2026年4月21日火曜日

エルキュール・ポワロの世界 <ジグソーパズル>(The World of Hercule Poirot )- その30A

英国の HarperCollinsPublishers 社から以前に出版されていた
アガサ・クリスティー作「杉の柩」ペーパーバック版の表紙 -
ウェルマン家の門番の美しい娘であるメアリー・ジェラードに心を奪われて、
気持ちが離れていってしまったロデリック・ウェルマンのことを嘆く
エリノア・カーライルが描かれていると思われる。


英国の Orion Publishing Group Ltd. から2023年に発行されている「エルキュール・ポワロの世界(The World of Hercule Poirot)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているエルキュール・ポワロシリーズの登場人物や各作品に関連した112個の手掛かりについて、引き続き、紹介したい。

前回に引き続き、各作品に出てくる登場人物、建物や手掛かり等が、その対象となる。


ジグソーパズル「エルキュール・ポワロの世界」の完成形
<筆者撮影>


(69)魚肉ペースト(練りもの)のサンドウィッチ(plate of fish-paste sandwiches)



ジグソーパズル中央に立つエルキュール・ポワロ(Hercule Poirot → 2025年10月11日付ブログで紹介済)の手前に設置されているテーブルの左端奥に、魚肉ペースト(練りもの)のサンドウィッチがのった皿が置かれている。


(70)棘のない薔薇(thornless rose)



ジグソーパズル中央に立つエルキュール・ポワロから右真横へ移動した画面右端近くにある柱の側に、彼の執事であるジョージ(George → 2025年10月23日付ブログで紹介済)が立っている。ポワロの執事ジョージが立つ左側の柱に、飾り棚があるが、その上の左端近くに、花瓶に入った棘のない薔薇が飾られている。


(71)裁判官(judge)



ジグソーパズルの中央のやや左側に設置されている暖炉の左側の柱の上の方に、裁判官の肖像画が掛けられている。


これらから連想されるのは、アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1940年に発表した「杉の柩(Sad Cypress)」である。

「杉の柩」は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第27作目に該り、そして、エルキュール・ポワロシリーズの長編としては、第18作目に該っている。


ナショナルポートレートギャラリー
(National Portrait Gallery)で販売されている
ウィリアム・シェイクスピアの肖像画の葉書
(Associated with John Taylor
 / 1610年頃 / Oil on panel
552 mm x 438 mm)


「杉の柩」の原題である「Sad Cypress」は、イングランドの劇作家 / 詩人であるウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare:1564年ー1616年 → 2023年5月19日付ブログで紹介済)作の喜劇「十二夜(Twelfth Night, or What You Will → 2023年6月9日付ブログで紹介済)」(1601年 / 1602年頃)の第2幕第4場に出てくる歌詞が、その由来となっている。

なお、「十二夜」の副題は、「御意のままに」となっている。


Come away, come away, death,

And in sad cypress let me be laid;

Fly away, fly away, breath;

I am slain by a fair cruel maid.

My shroud of white, stuck all with yew,

O, prepare it!

My part of death, no one so true

Did share it.


來をれ、最期《いまは》よ、來をるなら、來をれ、 

杉の柩に埋めてくりゃれ。 

絶えよ、此息、絶えるなら、絶えろ、 

むごいあの兒に殺されまする。 

縫うてたもれよ白かたびらを、 

縫ひ目~に水松《いちゐ》を挿して。 

又とあるまい此思ひ死。

(坪内逍遥訳)


アガサ・クリスティーの原作の場合、婚約中のエリノア・カーライル(Elinor Carlisle)とロデリック・ウェルマン(Roderick Welman)の2人が、見舞いのため、ハンターベリー(Hunterbury)の屋敷を訪れた際、エリノアの叔母で、金持ちの未亡人であるローラ・ウェルマン(Mrs. Laura Welman)が、寝たきりのベッドの中で、上記の歌詞を唱えている。


英国の The Orion Publishing Group Ltd. から2020年に出ている
「シェイクスピアの世界(The World of Shakespeare)」と言うジグソーパズルにおいて、
グローブ座(Globe Theatre → 2023年5月8日付ブログで紹介済)の

右側に建っている居酒屋(tavern)の前で、
イリリアの伯爵令嬢であるオリヴィア(Olivia)の叔父である
サー・トビー・ベルチ(Sir Toby Belch / 画面右側の人物)と
彼の友人であるサー・アンドリュー・エイギュチーク(Sir Andrew Aguecheek / 画面左側の人物)の2人が、
酒を飲み交わしている。
なお、彼らの背後には、
悲劇「オセロ(Othello → 2023年6月3日付ブログで紹介済)」に登場する
イアーゴー(Iago)、オセロー(Othello)、キャシオー(Cassio)、
そして、デズデモーナ(Desdemona)の4人が、画面左側から並んで立っている。
<筆者撮影>


「Sad Cypress」を直訳すると、「悲しいイトスギ / セイヨウヒノキ」となるが、日本の小説家 / 評論家 / 翻訳家 / 劇作家である坪内逍遥(1859年ー1935年)や日本の英文学者 / 演劇評論家である小田島雄志(1930年ー)が「杉の柩」と訳したため、アガサ・クリスティー作「Sad Cypress」の日本語タイトルについても、「杉の柩」で定着したものと言われている。


英国の The Orion Publishing Group Ltd. から2020年に出ている
「シェイクスピアの世界」と言うジグソーパズルにおいて、
テムズ河(River Thames)に架かるロンドン橋(London Bridge)の
南岸側にある入口の左脇に置かれた樽の上に、
オリヴィアの執事であるマルヴォーリオ(Malvolio)が座っている。
<筆者撮影>


ウィリアム・シェイクスピア作「十二夜」の歌詞は、届かない片想いへの嘆きを表しており、アガサ・クリスティー作「杉の柩」の場合、ウェルマン家の門番の美しい娘であるメアリー・ジェラード(Mary Gerrard)に心を奪われて、気持ちが離れていってしまったロデリック・ウェルマンに対するエリノア・カーライルの嘆きを重ね合わせているのではないかと思われる。


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