テイト・ブリテン美術館に所蔵 / 展示されている ジョージ・フレデリック・ワッツ作「希望」 |
1886年(11月20日)に、スコットランドの工芸家で、デザイナーでもあるメアリー・シートン・フレイザー=タイトラー(Mary Seton Fraser-Tytler:1849年ー1938年)と、サリー州(Surrey)エプソム(Epsom)で再婚した英国ヴィクトリア朝時代の画家 / 彫刻家であるジョージ・フレデリック・ワッツ(George Frederic Watts:1817年ー1904年)は、同年、絵画「希望(Hope)」を制作している。そして、同作品は、1889年に開催されたパリ万国博覧会(Paris Exposition Universelle)において展示された。
アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「五匹の子豚(Five Little Pigs)」(1943年)において、、カーラ・ルマルション(Carla Lemarchant)から、彼女の母親カロリン・クレイル(Caroline Crale)が画家の夫アミアス・クレイル(Amyas Crale)を毒殺したと考えられている事件の再調査を依頼されたエルキュール・ポワロが、事件の重要関係者である5人のうちの一人であるセシリア・ウィリアムズ(Cecilia Williams - 事件当時、カロリン・クレイルの異母妹であるアンジェラ・ウォレン(Angela Warren)の家庭教師)の部屋を訪ねた際、彼女の部屋の壁に、「オレンジの上に座る目隠しされた少女(blind girl sitting on an orange)」、つまり、この絵画の複製が架けられていた訳である。
テイト・ブリテン美術館の正面玄関へと向かう階段の左脇の支柱 |
テイト・ブリテン美術館の建物正面を階段下から見上げたところ |
コンプトン村近郊へと引っ越したジョージ・フレデリック・ワッツは、家「ライムナーズリース」の直ぐ近くにある建物を「ワッツギャラリー(Watts Gallery)」へと改装する作業に取り掛かった。
自分の作品のみを展示する美術館を準備する一方で、ジョージ・フレデリック・ワッツは、テート・ブリテン美術館(Tate Britain → 2018年2月18日付ブログで紹介済)に対して、1897年に「希望」を含む象徴主義の絵画18点を、更に、1900年に3点を寄贈している。
また、彼は、ナショナルポートレートギャラリー(National Portrait Gallery → 2022年7月16日付ブログで紹介済)に対しても、1895年に肖像画17点を、更に、その後に30点以上を寄贈した。
テイト・ブリテン美術館の正面玄関の左側にある庭園に咲き誇る薔薇 |
ジョージ・フレデリック・ワッツは、1867年にロイヤルアカデミー(Royal Academy)の会員に選ばれ、1902年にメリット勲章(Order of Merit - 軍事での功績、科学、芸術や文学等の文化の振興、または、公共の福祉への貢献があった人物に対して、英国君主から贈られる)を授与された。
その一方で、彼は、英国ハノーヴァー朝(House of Hanover)の第6代女王であるヴィクトリア女王(Queen Victoria:1819年ー1901年 在位期間:1837年-1901年)から准男爵(Baronet)の授爵の話があったが、これを辞退している。
テイト・ブリテン美術館の正面玄関の左側にある庭園の風景 |
「ワッツギャラリー」は、1904年4月にオープンしたが、それから間もない同年7月1日に、ジョージ・フレデリック・ワッツは死去した。
なお、同ギャラリーは、1人の芸術家のためだけに建てられた美術館として、英国では最初で、尚且つ、現在でも唯一のものである。
0 件のコメント:
コメントを投稿