2023年6月21日水曜日

サイモン・ゲリエ作「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 大いなる戦争」(The further adventures of Sherlock Holmes / The Great War by Simon Guerrier) - その2

英国の Titan Publishing Group Ltd. の Titan Books 部門から
2021年に出版された
サイモン・ゲリエ作
「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 大いなる戦争」の表紙


1917年12月第1週、英国軍を含む連合国側と同盟国側が相対する東部戦線(East Front)、つまり、フランスのレベック(Rebecq - 現在のベルギーのワロン地域にある場所)から2 - 3マイル離れた野戦病院において、オーガスタ・ワトスン(Miss Augusta Watson)は、救急看護奉仕隊(VAD - Voluntary Aid Detachment)として勤務していた。

その野戦病院に現れた深夜の来客である60歳代後半の男性は、シャーロック・ホームズだった。


その夜、ホームズへの対応を行ったオーガスタ・ワトスンは、看護師長(Matron)のシスター グロリア(Sister Gloria)による指示で、翌日のシフトを午前8時からとしてもらえた。


翌朝、オーガスタ・ワトスンは、同僚の看護師によって起こされたが、前夜、レイナー・フィッツジェラルド将軍(General Rayner Fitzgerald)とシスター グロリアと一緒に、慣れないウィスキーを飲んだため、頭痛が激しかった。


その日の勤務を終えたオーガスタ・ワトスンは、同僚の看護師達に捕まる。

仕方なく、彼女は、同僚の看護師達に対して、「昨夜、自分が対応した人物は、シャーロック・ホームズだ。」と答える。彼女は、更に、ホームズが野戦病院へとやって来た目的について尋ねられるが、「自分は知らない。」と言って、嘘を突き通した。

しかしながら、ホームズが野戦病院へとやって来たという噂は、既に病院内を駆け巡っていた。


その翌日、オーガスタ・ワトスンは、看護師長のシスター グロリアに呼び出される。

シスター グロリアによると、ホームズは、前戦の視察を希望しており、レイナー・フィッツジェラルド将軍が現在手配中、とのこと。シスター グロリアは、オーガスタ・ワトスンに対して、ホームズの運転手を務めるように指示するとともに、自分達のスパイになるように依頼した(We are asking you to be our spy.)。


同僚の看護師達からコート、ゴーグルや手袋等を借り受けたオーガスタ・ワトスンは、「赤十字(Red Cross)」のマークが付いた救急車に乗り、ホームズを迎えに行くと、雨の中、出発した。

行き先は、東部戦線の前戦。


前戦に着いたホームズは、まず最初に、亡くなったフィリップ・オグル=トンプソン大尉(Captain Philip Ogle-Thompson)の後任の将校であるボイス大尉(Captain Boyce)と面談する。

ボイス大尉との面談中、彼のポケットから紙のメモが落ちる。そこには、


「66/1  76/1  66/1  89/1  54/1  83/1  90/1」


と、賭けの倍率のような数字が列挙されていた。

身に覚えがないボイス大尉は、怪訝な表情を見せる。


ボイス大尉の後、ホームズは、彼の部下達(=フィリップ・オグル=トンプソン大尉の元部下達)にヒアリングを行ったところ、フィリップ・オグル=トンプソン大尉は、皆から嫌われていたようだった。


また、フィリップ・オグル=トンプソン大尉の元部下でもあったウィリアム・マレー・ダットン上等兵(Private William Murray Dutton)は、3日前に戦死した(killed in action)と言う情報も得られた。


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