英国の Titan Publishing Group Ltd. の Titan Books 部門から 2021年に出版された サイモン・ゲリエ作 「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 大いなる戦争」の表紙 |
1917年12月第1週、英国軍を含む連合国側と同盟国側が相対する東部戦線(East Front)、つまり、フランスのレベック(Rebecq - 現在のベルギーのワロン地域にある場所)から2 - 3マイル離れた野戦病院において、オーガスタ・ワトスン(Miss Augusta Watson)は、救急看護奉仕隊(VAD - Voluntary Aid Detachment)として勤務していた。
その野戦病院に現れた深夜の来客である60歳代後半の男性は、シャーロック・ホームズだった。
その夜、ホームズへの対応を行ったオーガスタ・ワトスンは、看護師長(Matron)のシスター グロリア(Sister Gloria)による指示で、翌日のシフトを午前8時からとしてもらえた。
翌朝、オーガスタ・ワトスンは、同僚の看護師によって起こされたが、前夜、レイナー・フィッツジェラルド将軍(General Rayner Fitzgerald)とシスター グロリアと一緒に、慣れないウィスキーを飲んだため、頭痛が激しかった。
その日の勤務を終えたオーガスタ・ワトスンは、同僚の看護師達に捕まる。
仕方なく、彼女は、同僚の看護師達に対して、「昨夜、自分が対応した人物は、シャーロック・ホームズだ。」と答える。彼女は、更に、ホームズが野戦病院へとやって来た目的について尋ねられるが、「自分は知らない。」と言って、嘘を突き通した。
しかしながら、ホームズが野戦病院へとやって来たという噂は、既に病院内を駆け巡っていた。
その翌日、オーガスタ・ワトスンは、看護師長のシスター グロリアに呼び出される。
シスター グロリアによると、ホームズは、前戦の視察を希望しており、レイナー・フィッツジェラルド将軍が現在手配中、とのこと。シスター グロリアは、オーガスタ・ワトスンに対して、ホームズの運転手を務めるように指示するとともに、自分達のスパイになるように依頼した(We are asking you to be our spy.)。
同僚の看護師達からコート、ゴーグルや手袋等を借り受けたオーガスタ・ワトスンは、「赤十字(Red Cross)」のマークが付いた救急車に乗り、ホームズを迎えに行くと、雨の中、出発した。
行き先は、東部戦線の前戦。
前戦に着いたホームズは、まず最初に、亡くなったフィリップ・オグル=トンプソン大尉(Captain Philip Ogle-Thompson)の後任の将校であるボイス大尉(Captain Boyce)と面談する。
ボイス大尉との面談中、彼のポケットから紙のメモが落ちる。そこには、
「66/1 76/1 66/1 89/1 54/1 83/1 90/1」
と、賭けの倍率のような数字が列挙されていた。
身に覚えがないボイス大尉は、怪訝な表情を見せる。
ボイス大尉の後、ホームズは、彼の部下達(=フィリップ・オグル=トンプソン大尉の元部下達)にヒアリングを行ったところ、フィリップ・オグル=トンプソン大尉は、皆から嫌われていたようだった。
また、フィリップ・オグル=トンプソン大尉の元部下でもあったウィリアム・マレー・ダットン上等兵(Private William Murray Dutton)は、3日前に戦死した(killed in action)と言う情報も得られた。
0 件のコメント:
コメントを投稿