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| 2025年に英国の Pushkin Press 社から出版された エセル・リナ・ホワイト作「螺旋階段」のペーパーバック版の裏表紙 (Cover design by Jo Walker) |
英国ウェールズ地方(Wales)モンマスシャー(Monmouthshire)生まれの女性推理作家で、1930ー1940年代を代表する推理作家の一人と言われているエセル・リナ・ホワイト(Ethel Lina White:1876年ー1944年)が1933年に発表した長編第6作目に該る「螺旋階段(The Spiral Staircase - 原題:誰かが見ている(Some Must Watch → 2020年6月7日付ブログで紹介済))」の場合、イングランドとウェールズの境界、何もない荒涼とした田園地帯に建つ「サミット邸(The Summit)」が、物語の舞台となる。サミット邸は、一番近い町から22マイル(約36㎞)、一番近い村からは12マイル(約20㎞)離れた辺鄙で、不便な場所に所在していた。
一風変わったウォーレン(Warren)一家が住むこの屋敷に、女主人の世話役として雇われたヘレン・カペル(Helen Capel:23歳)は、不吉な予感に震えていた。
何故ならば、近隣の町や村で、若い女性4人が連続して、何者かに殺害されているのだ。最初の2人は町(パブの外の通りや庭)で、3人目は村(パブの屋内)で殺されたのだが、サミット邸からはまだ離れた世界の話である。ところが、4人目はサミット邸から僅か5マイル(約8㎞)しか離れていない一軒家の中で絞殺されたのである。
つまり、若い女性ばかりを殺害している犯人は、少しずつサミット邸へと近づいて来ているのであった。次に殺人鬼に狙われるのは、自分かもしれない。何故か、ヘレンは、そう感じていた。
雷鳴が近づくある夕暮れ、散歩に出かけたヘレンは、サミット邸に戻ろうとしていた。雨と風が激しくなりつつある中、正門からサミット邸の玄関へと向かうヘレンは、ある樹木の幹が2つに分かれるのを目撃した。それは、つまり、謎の男が樹木の幹の後ろから出て来て、暗闇の中へと姿を消したのである。
嵐が激しくなる夜、サミット邸に居るのは、ヘレンの他には、
(1)レディーウォーレン(Lady Warren):寝たきりの老齢の女主人
(2)セバスチャン・ウォーレン教授(Professor Sebastian Warren):女主人の義理の息子で、妻を早くに亡くしている。
(3)ブランシェ・ウォーレン(Miss Blanche Warren):ウォーレン教授の妹
(4)ニュートン・ウォーレン(Newton Warren):ウォーレン教授の息子
(5)シモーネ・ウォーレン(Simone Warren):ニュートンの妻で、スティーヴン・ライスに対して、色目を使っている。
(6)スティーヴン・ライス(Stephen Rice - 愛称:スティーヴ(Steve)):サミット邸に居ついているウォーレン教授の学生で、教授から Indian Civil Service を学んでいる。また、オットー(Otto)と名付けた犬を部屋で飼っている。
(7)バーカー(Nurse Barker):レディーウォーレンを担当する新任の看護婦
(8)オーテス夫妻(Mr. & Mrs. Oates):サミット邸の家事全般をとりしきる執事と家政婦
(9)パリー(Dr. Parry):レディーウォーレンを担当する若き医師(ウェールズ人)
の10人。
丁度そこに、パブ「ザ・ブル(The Bull)」のオーナーであるウィリアムズ(Williams)からパリー医師宛に電話がある。
以前、サミット邸で働いていた女性セリドウェン・オーウェン(Ceridwen Owen)の死体が見つかったのである。近所に住むビーン大尉(Captain Bean)が市場から自宅に戻った際、ドアの鍵を開けようと、鍵穴をよく見るために、マッチを擦ったところ、庭の隅に彼女の死体が横たわっているのを発見したのだ。
遂に、連続殺人鬼の魔の手が、サミット邸の近くまで達したと言える。
パリー医師は、死体を調べるために、オーテス氏は、レディーウォーレン用の酸素ボンベを調達するために、それぞれ、嵐の中、サミット邸を出て行く。更には、ニュートン・ウォーレン、シモーネ・ウォーレンとスティーヴン・ライスの間で、痴話喧嘩が発生し、スティーヴン、シモーネ、そして、ニュートンの順に、サミット邸を出て行ってしまう。
サミット邸からどんどん人が居なくなるにつれて、ヘレン・カペルは、ひたひたと忍び寄る連続殺人鬼の影に怯えるのであった。遂には、男性のように体格がよいバーカー看護婦に対して、ヘレンは疑惑の目を向けるようになる。
この非常事態の下、ウォーレン教授は、翌朝までサミット邸を内側から封鎖するよう、指示を下す。しかし、実際には、ヘレンが恐れるよりもずっと近くに、連続殺人鬼はその姿を隠していたのである。
そして、最後、連続殺人鬼が、遂にヘレンの前にその姿を現すのである。



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