2026年10月3日土曜日

アガサ・クリスティー作「牧師館の殺人」<小説版(愛蔵版)>(The Murder at the Vicarage by Agatha Christie )- その2

2026年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
アガサ・クリスティー作「牧師館の殺人」の
愛蔵版(ハードカバー版)の裏表紙
(Cover design and 
illustration
by Poppy Loughtman / 
HarperCollinsPublishers Ltd. ) -
ロンドン郊外のセントメアリーミード村にある教会が、
表紙に描かれている。
なお、レナード・クレメント牧師が、
司祭を務めている。

英国の HarperCollinsPublishers 社から今年(2026年)に愛蔵版(ハードバック版)が出版されたアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「牧師館の殺人(The Murder at the Vicarage → 2022年10月30日 / 10月31日付ブログで紹介済)」(1930年)は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第10作目に該り、ミス・ジェーン・マープル(Miss Jane Marple)シリーズに属する長編のうち、第1作目に該っている。

ジグソーパズル「ミス・マープルの世界」の完成形
<筆者撮影>


レナード・クレメント牧師は、
ジズソーパズル中央のやや右側の位置に居て、
ミス・マープルの右隣りにあるテラス用の椅子に座り、
右手に帽子を持っている。
<筆者撮影>

本作品の語り手を務めるのは、ロンドン郊外のセントメアリーミード(St. Mary Mead)という小さな村にある教会の司祭(vicar)であるレナード・クレメント牧師(Reverend Leonard Clement → 2024年8月18日付ブログで紹介済)である。

事件の舞台となる牧師館の GF 平面図 -
2026年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
アガサ・クリスティー作「牧師館の殺人」の
愛蔵版(ハードカバー版)から抜粋。
なお、教会と牧師館は隣接しておらず、
離れた場所に建っている。

ある水曜日の午後、牧師館において、クレメント牧師は、若き妻のグリゼルダ(Griselda)と甥のデニス(Dennis)と一緒に、昼食をとっていたが、その際、彼らの話題は、ルシアス・プロセロウ大佐(Colonel Lucius Protheroe)のことでもちきりだった。プロセロウ大佐は、治安判事かつセントメアリーミード村の教区委員で、次の日の午後、牧師館にやって来て、教会の献金袋から盗まれた1ポンド紙幣の件について、クレメント牧師と話し合うことになっていた。なお、牧師補のホーズ(Hawes)が、問題の1ポンド紙幣を盗んだ犯人だと疑われていた。

プロセロウ大佐は、クレメント牧師を困らせることを何よりも至上の楽しみにしていたので、昼食の席上、クレメント牧師は、思わず、「誰でもいいから、プロセロウ大佐をあの世へ送ってくれたら、世の中は随分と良くなるだろう。」と口走ってしまう。


昼食後、クレメント牧師は、セントメアリーミードに滞在中の肖像画家であるローレンス・レディング(Lawrence Redding)のアトリエへと出向く。牧師館の庭の一画に小屋があり、彼は、この小屋をアトリエとして使用していた。

クレメント牧師は、このアトリエ内でローレンス・レディングとプロセロウ大佐の妻であるアン・プロセロウ(Anne Protheroe)の二人が情熱的なキスを交わしている現場を、偶然見かけてしまう。クレメント牧師の跡を追って、牧師館の書斎まで追いかけてきたアン・プロセロウに対して、クレメント牧師は、軽はずみな関係はできる限り早く終わらせるよう、諭すのであった。


その夜、ローレンス・レディングは、牧師館の夕食に招かれていた。

夕食後、牧師館の書斎において、クレメント牧師は、ローレンス・レディングに対して、厳しく叱責するとともに、できるだけ早く村を立ち去るよう、忠告する。ところが、ローレンス・レディングは、クレメント牧師の忠告を全く受け入れず、「プロセロウ大佐が死んでくれれば、いい厄介払いになる。」と嘯くと、「自分は、25口径のモーゼル銃を持っている。」と、恐ろしいことを口にする。


翌朝、セントメアリーミードのハイストリートにおいて、クレメント牧師は、プロセロウ大佐と偶然出会った際、耳が遠くなりかけている人にありがちで、自分以外の人間も耳が遠いと思い込んでいるプロセロウ大佐は、当日の午後の約束を大声で念押ししつつ、約束の時間も午後6時15分へと変更した。

クレメント牧師が牧師館に戻ると、ローレンス・レディングが立ち寄って、「(プロセロウ大佐の妻である)アンとの不倫関係を清算して、明日、村を去るつもりだ。」と、クレメント牧師に告げる。


その日の午後5時半頃、クレメント牧師は電話を受け、「ロウワーファーム(Lower Farm)のアボット氏(Mr. Abbott)が危篤状態なので、側に居てほしい。」と頼まれる。

クレメント牧師は、今からロウワーファームまで出かけると、プロセロウ大佐との約束の午後6時15分までに牧師館へ戻ることは難しいと判断して、プロセロウ大佐には書斎で待っていてもらうよう、メイドに頼むと、急いでロウワーファームへと徒歩で(→ クレメント牧師は自転車に乗れないため)向かった。


事件の舞台となる牧師館の書斎の平面図 -
2026年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
アガサ・クリスティー作「牧師館の殺人」の
愛蔵版(ハードカバー版)から抜粋。
なお、
拳銃で後頭部を撃たれたルシアス・プロセロウ大佐が突っ伏していた
牧師の書き物机は、画面の右上に位置している
。


クレメント牧師がロウワーファームのアボット氏の元を訪れると、驚くことに、本人は全くピンピンとしていて、先程の電話は悪戯であったことが判明する。

午後7時頃、クレメント牧師が牧師館に戻った際、非常に取り乱した様子のローレンス・レディングが大慌てで牧師館から立ち去るところだった。不思議に思ったクレメント牧師が書斎に入ると、プロセロウ大佐が拳銃で後頭部を撃たれて、牧師の書き物机の上に突っ伏してたまま、息絶えているのを発見したのである。


2022年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
「アガサ・クリスティー / 2023年カレンダー作
(ミス・ジェーン・マープルシリーズ版)」のうち、
ビル・ブラッグ氏(Mr. Bill Bragg)が描く
ミス・マープルシリーズの長編第1作目「牧師館の殺人」の一場面 -

カレンダーには、レナード・クレメント牧師が司祭を務める牧師館の書斎において、

何者かに後頭部を拳銃で撃たれて殺害されたルシアス・プロセロウ大佐から流れ出た血が、

クレメント牧師の机の上に広がり、そして、床へと滴り落ちる場面が描かれている。

背後の窓の右側の壁には、ミス・マープルと思われる人物の影が映っている。

それとも、プロセロウ大佐を殺害した真犯人の影であろうか?


HarperCollinsPublishers 社から現在出版されている「牧師館の殺人」のペーパーバック版の表紙には、
ビル・ブラッグ氏によるイラストが、
プロセロウ大佐の殺害に使用された拳銃の形に切り取られているものが使用されている。


メルチェット大佐(Colonel Melchett)とスラック警部(Inspector Slack → 2024年8月20日付ブログで紹介済)が率いる地元警察が捜査を進める中、ローレンス・レディングとアン・プロセロウの二人がそれぞれに、プロセロウ大佐の殺害を自供した。


ジズソーパズルのやや右上の位置で、
右手を右頬に当てて、
ヘイドック医師(Dr. Haydock → 2024年8月18日付ブログで紹介済)と
話をしている背広姿の男性が、スラック警部である。
<筆者撮影>


ところが、ローレンス・レディングは、正確ではない犯行時刻を主張する一方、アン・プロセロウの場合、犯行時刻の頃、彼女が牧師館を訪れるのを、隣りに住むミス・ジェーン・マープル(→ 2024年8月8日付ブログで紹介済)が見かけており、アン・プロセロウは、その際、手ぶらで、拳銃のような大きさのものが入ったバッグ等を持っていなかったと、ミス・マープルは明言する。


ミス・ジェーン・マープルは、
ジズソーパズル中央のやや右側の位置に居て、
テラス用の椅子に座り、得意の編み物をしている。
<筆者撮影>


地元警察は、不倫関係のため、プロセロウ大佐の殺害動機があると疑われたローレンス・レディングとアン・プロセロウの二人が、お互いに庇い合っているものと考えて、一旦、二人を無罪放免とし、他に容疑者を求めることになった。


事件の舞台となる牧師館を含む
セントメアリーミード村の周辺地図 -

2026年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
アガサ・クリスティー作「牧師館の殺人」の
愛蔵版(ハードカバー版)から抜粋。


果たして、クレメント牧師の牧師館の書斎において、プロセロウ大佐の後頭部を拳銃で撃って、彼を殺害した犯人は、一体、誰なのか?


         

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