2026年10月28日水曜日

エセル・リナ・ホワイト作「消えた女性」<小説版>(The Lady Vanishes by Ethel Lina White )- その2

2024年に英国の Pushkin Press 社から出版された
エセル・リナ・ホワイト作「消えた女性」のペーパーバック版の表紙
(Cover design by Jo Walker / Photo by SSPL + Getty Images /
Photo by Found Image Holdings + Corbis via Getty Images) 

英国ウェールズ地方(Wales)モンマスシャー(Monmouthshire)生まれの女性推理作家で、1930ー1940年代を代表する推理作家の一人と言われているエセル・リナ・ホワイト(Ethel Lina White:1876年ー1944年)が1936年に発表した長編第9作目に該る「消えた女性(The Lady Vanishes - 原題:「車輪の空転(The Wheel Spins)」)の場合、社交界の名士(名花)であるアイリス・カー(Iris Carr)が、欧州大陸で夏の休暇を過ごした後、アドリア海に臨むイタリア北東部の港市トリエステ(Trieste)から英国へ戻るところから、物語が始まる。

駅のプラットフォームにおいて、2人の男性が裁判の証人のことで議論しているのを見ていたアイリス・カーは、突然、気を失ってしまう。暫くして気が付くと、彼女は、待合室のベンチで横になっていた。スーツケースと帽子は近くにあったが、お金、切符やパスポート等が入った鞄が手元になかった。周囲で見守っていたポーターが、彼女に鞄を手渡す。幸いにして、鞄の中に、お金、切符やパスポート等は入っていた。ホテルの領収書も、一緒に入っていた。

アイリス・カーは、鞄の中から取り出した切符をポーターに見せると、ポーターは、彼女の手をとり、プラットフォームへ向かって、駆け出す。そして、ポーターは、 動き出した列車の一番近い車輌のドアを開けると、アイリス・カーのスーツケースを車輌内へ放り込んだ後、乗客の女性の手助けを得て、アイリス・カーもなんとか車輌に無事乗せることができた。

アイリス・カーがなんとか列車に乗ることを手助けした乗客の女性は、英国人の教師(English governess)であるウィニフレッド・フォイ(Winifred Foy - 愛称:ウィニー(Winnie))で、休暇のため、英国へと戻る途中だった。ウィニフレッド・フォイは、落ち着いたアイリス・カーを、食堂車でのお茶へと誘う。

食堂車へ行く前に、ウィニフレッド・フォイは、アイリス・カーに対して、自分の両親等のことを話し始める。

*父親(シオドア(Theodore):77歳)- 65歳で引退して、70歳からヘブライ語(Hebrew)を学び始めた。

*母親(80歳)- 小説好きで、毎週、長距離バスに乗って、本を借りに行く。 

*犬(ソック(Sock))


ウィニフレッド・フォイの話を聞いている途中、アイリス・カーは、酷い頭痛がして、気分が悪くなってきた。目を閉じたアイリス・カーのことを心配したウィニフレッド・フォイは、アイリス・カーが食べられそうなものを買いに、食堂車へ一人で向かった。

暫くして、アイリス・カーが目を覚ますと、ウィニフレッド・フォイの席は空いたままで、食堂車からまだ戻って来ていなかった。


アイリス・カーが、別のコンパートメントに居る牧師のケネス・バーンズ(Kenneth Barnes)と妻のエドナ・バーンズ(Edna Barnes)に、ウィニフレッド・フォイのことを尋ねるが、2人からは、「彼女(ウィニフレッド・フォイ)のことは見ていない。」と言う答えが返ってきた。


ウィニフレッド・フォイが食堂車から戻ってこないことを心配するアイリス・カーに、山岳地帯でダム建設に従事する技師のマクシミリアン・ヘア(Maximilian Hare)とトッドハンター教授(Professor Todhunter)が協力する。

ウィニフレッド・フォイとアイリス・カーが居たコンパートメントの乗客達にヒアリングするものの、皆、「そういった女性のことは知らない。」と答えるのであった。


アイリス・カーは、マクシミリアン・ヘアと一緒に、食堂車へ赴くものの、残念ながら、何の情報も得られなかった。そこへ、トッドハンター教授が「ウィニフレッド・フォイは、自分の席に戻った。」と告げに来た。


アイリス・カーとマクシミリアン・ヘアが元のコンパートメントへ戻ってみると、確かに、その席に女性が座っていたが、ウィニフレッド・フォイとは全く別人だった。その女性は、クマー夫人(Frau Kummer)だと名乗り、食堂車でアイリス・カーとお茶したことも付け加えたのだ。

その話を聞いたアイリス・カーは、思わず、「そんなのは嘘です。私は、貴女とお茶などしていません。私は、今までに貴女に会ったことはありません。(That’s a lie. I never had tea with you. You’re a complete stranger to me.)」と叫んだ。


ウィニフレッド・フォイは、一体、何処へ姿を消してしまったのか?それとも、彼女は、アイリス・カーが見た幻なのか?


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