2026年10月12日月曜日

ジョーゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー作「戦艦テメレール号」(The Fighting Temeraire by J. M. W. Turner)

ナショナルギャラリーに所蔵 / 展示されている
ジョーゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー作
「
解体されるために最後の停泊地へ曳航される戦艦テメレール号、1838年」(1839年)
Oil on canvas / 90.7 cm x 121.6 cm
<筆者撮影>


今回は、一般的には、「J・M・W・ターナー(J. M. W. Turner)」として知られている英国のロマン主義の画家であるジョーゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(Joseph Mallord William Turner:1775年ー1851年 → 2018年7月1日 / 7月8日 / 7月15日付ブログで紹介済)が描いた「戦艦テメレール号(The Fighting Temeraire)」について、紹介したい。

本作品の正式な名前は、「解体されるために最後の停泊地へ曳航される戦艦テメレール号、1838年(The Fighting Temeraire, tugged to her last berth to be broken up, 1838)」で、「英国最高の絵画(The Greatest Painting in Britain)」と評されている。


「トラファルガーの海戦」(1805年10月21日)の200周年を記念して、
英国のロイヤルメール(Royal Mail)が、2005年10月18日に発行した
記念切手に付いている海戦図


戦艦テメレール号は、1805年10月21日に、スペインのトラファルガー岬(Cape of Trafalgar)の沖で、英国地中海艦隊とフランス / スペイン連合艦隊が合間見えた「トラファルガーの海戦(Battle of Trafalgar → 2022年4月18日 / 4月22日付ブログで紹介済)」において、地中海艦隊司令長官(Commander-in-Chief of the Mediterranean Fleet)であった初代ネルソン子爵ホレーショ・ネルソン(Horatio Nelson, 1st Viscount Nelson:1758年ー1805年)が率いた旗艦「ビクトリー号(HMS Victory → 2022年1月16日付ブログで紹介済)」と共に、英国を勝利へと導いた船である。


ナショナルポートレイトギャラリー(National Portrait Gallery)に
所蔵 / 展示されている

Sir William Beechey 作「初代ネルソン子爵ホレーショ・ネルソンの肖像画」(1800年)
<筆者撮影>


1805年の「トラファルガーの海戦」において、
英国海軍提督の初代ネルソン子爵ホレーショ・ネルソンが座乗して、
旗艦を務めた「HMS ビクトリー」-
英国海軍の500周年を記念して、
2019年に英国のロイヤルメールが発行した8種類の記念切手のうちの1枚。


ただし、時代は、既に「帆船」から「蒸気船」への移行期に入っており、数々の歴戦をくぐり抜けてきた戦艦テメレール号も、そういった時の流れに抗うことはできず、1838年、解体および廃棄処分の決定を受け、新たな時代を担う蒸気船に曳かれて、最後の航海を迎えた。


ナショナルポートレイトギャラリーに所蔵 / 展示されている
ヴィクトリア女王の肖像画
(By Sir George Hayter / Oil on canvas / 1863年 /
based on a portrait of 1838)
<筆者撮影>


J・M・W・ターナーは、ハノーヴァー朝(House of Hanover)の第6代女王で、かつ、初代インド女帝であるヴィクトリア女王(Queen Victoria:1819年ー1901年 在位期間:1837年ー1901年 → 2017年12月10日 / 12月17日付ブログで紹介済)の即位を祝う祝砲を撃ち、黒い蒸気船によって、テムズ河(River Thames)を解体場所へと曳航されていく場面を、1839年に描いている。


本作品から感じられるのは、夕焼けと言う1日の終わりに擬えた一つの時代の終焉である。

本作品を描いた当時、J・M・W・ターナーは、60代半ばであり、戦艦テメレール号に、老いていく自分自身を重ね合わせていたのであろう。


「解体されるために最後の停泊地へ曳航される戦艦テメレール号、1838年」は、J・M・W・ターナーにとって、お気に入りの絵画の1作であり、1851年に亡くなるまでの生涯、どんなに大金を積まれても、手放すことは決してなかった。


ナショナルギャラリーの建物正面を下から見上げたところ 
<筆者撮影>


J・M・W・ターナーは、自分の死後、自分の手元にあった全作品を国に遺贈することを決めていたため、彼が1851年に亡くなった後の1856年に、本作品を含む絵画等がナショナルギャラリー(National Gallery)に収蔵された。


テイト・ブリテン美術館の建物正面を階段下から見上げたところ 
<筆者撮影>


1897年にテイト・ブリテン美術館(Tate Britain → 2018年2月18日付ブログで紹介済)が設立された際、J・M・W・ターナーの作品のほとんどが、ナショナルギャラリーからテイト・ブリテン美術館へと移管されたが、「解体されるために最後の停泊地へ曳航される戦艦テメレール号、1838年」は、ナショナルギャラリーに残り、今も同ギャラリーに所蔵 / 展示されている。


テイト・ブリテン美術館に所蔵 / 展示されている
ジョーゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー作
「自画像(Self-Portrait)」(1799年頃)
<筆者撮影>


2020年に新らしい20ポンド札が発行されているが、その裏面には、J・M・W・ターナーの肖像画(テイト・ブリテン美術館所蔵)と一緒に、本作品も描かれている。


英国銀行博物館(Bank of England Museum)内に展示されている
新20ポンド札の裏面(画面手前)と
ジョーゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー作
「
解体されるために最後の停泊地へ曳航される戦艦テメレール号、1838年」のコピー(画面奥)
<筆者撮影>

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