アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「スペイン櫃の謎(The Mystery of the Spanish Chest)」(1960年)は、1932年に発表された短編「バグダッドの大櫃の謎(The Mystery of the Baghdad Chest)」を改稿した中編で、短編集「クリスマスプディングの冒険(The Adventure of the Christmas Pudding)」(1960年)に収録されている。
![]() |
英国の HarperCollinsPublishers 社から以前に出版されていた アガサ・クリスティー作短編集「クリスマスプディングの冒険」のペーパーバック版の表紙 - 中編「スペイン櫃の謎」が収録されている。 |
![]() |
英国の HarperCollinsPublishers 社から現在出版されている アガサ・クリスティー作短編集「クリスマスプディングの冒険」のペーパーバック版の表紙 - 中編「スペイン櫃の謎」が収録されている。 |
アガサ・クリスティー作「スペイン櫃の謎」の TV ドラマ版が、英国の TV 会社 ITV 社による制作の下、1991年2月17日に放映された「Agatha Christie’s Poirot」の第27話(第3シリーズ)において、物語の冒頭、英国の俳優であるサー・デヴィッド・スーシェ(Sir David Suchet:1946年ー)が演じる名探偵エルキュール・ポワロが、アーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings)と一緒に、オペラ「リゴレット(Rigoletto - ヴィクトル・ユーゴーの戯曲「王様はお楽しみ」を原作にしたヴェルディ(Verdi)による歌劇)」を観劇した劇場として、ハックニーエンパイア劇場(Hackney Empire Theatre)の内部が撮影に使用されている。
![]() |
| 第27話「スペイン櫃の謎」が収録された エルキュール・ポワロシリーズの DVD コレクション No. 3 の表紙 |
ハックニーエンパイア劇場は、ロンドンの特別区の一つであるハックニー区(London Borough of Hackney)ハックニー地区(Hackney)内に所在しており、南北に延びるメアストリート(Mare Street)の西側に建っている。
![]() |
| ハックニーエンパイア劇場の周辺地図(Google Maps から抜粋) |
劇場の建設やデザインを専門とする英国の建築家であるフランク・マッチャム(Frank Matcham:1854年ー1920年)による設計に基づいて、1901年にミュージックホールとして建てられたハックニーエンパイア劇場は、その後、TV スタジオ(1956年ー1962年)、そして、ビンゴホール(1963年ー1984年)と言う変遷を経る。
ビンゴホールの運営会社がハックニーエンパイア劇場の維持管理費用の捻出が困難となったため、1984年、ハックニーエンパイア劇場は、取り壊しの危機を迎えた。
その際、英国の俳優 / 劇作家であるローランド・マルドゥーン(Roland Muldoon:1941年ー)が主催する「Cartoon Archetypical Slogan Theatre (CAST)」に対して、ビンゴホールの運営会社から接触があった。「CAST」は、当時、英国の地方を巡業する劇団で、ロンドンにおける拠点を必要としていたのである。
そこで、ローランド・マルドゥーンがハックニーエンパイア劇場の支配人(theatre director)に就任し、改修工事を経て、85周年に該る1986年12月9日、ハックニーエンパイア劇場は、劇場として再オープン。
![]() |
| ハックニーエンパイア劇場の歴史を案内する説明板(その3) <筆者撮影> |
約1300席の収容人数を有する劇場として生まれ変わったハックニーエンパイア劇場は、英国における喜劇上演劇場として、次第に知名度を上げていった。
改修工事のため、ハックニーエンパイア劇場は、2001年に一旦クローズ。
Tim Ronalds Architects による増改築工事を経て、2004年に再オープン。
その際、「Marie Lloyd」と言うパブが、増改築部分の1階(GF)に入居。
ハックニーエンパイア劇場は、現在、演劇、オペラ、喜劇、ダンスや音楽等、多彩な演目を上演している。
同劇場は、ガーディアン紙(The Guardian)に「ロンドンで最も美しい劇場(the most beautiful theatre)」と評されている。
ハックニーエンパイア劇場は、「オープンハウスフェスティバル(Open House Festival)」と言う普段は立ち入ることができない歴史的建物やデザイン建築等を見学できるイベントにおいて、2026年9月19日(土)と9月20日(日)の両日、一般に開放され、舞台を含めた劇場内部を自由に巡ることができた。





0 件のコメント:
コメントを投稿