2024年5月23日木曜日

P・D・ジェイムズ作「女には向かない職業」(An Unsuitable Job for a Woman by P. D. James)- その3

英国の Faber and Faber Limited から
2020年に刊行されている
 
P・D・ジェイムズ作「女には向かない職業」の内扉
Cover design by Faber and Faber Limited /
Cover illustration by Ms. Angela Harding


1972年6月のある朝、探偵事務所(Detective Agency)の共同パートナーであったバーナード・G・プライド(Bernard G. Pryde)は、癌に罹っており、手首を切って、事務所内で自殺してしまう。共同パートナーを失ったコーデリア・グレイ(Cordelia Gray)は、途方に暮れるものの、いろいろと考えた末に、22歳の若輩ながら、一人で探偵稼業を続けていくことに決めた。


そんな最中、探偵事務所の単独代表となった彼女の元に、エリザベス・レミング(Elizabeth Leaming)と言う女性が、最初の依頼者として訪れる。彼女は、天然資源保護論者(conservationist)/ 微生物学者(microbiologist)であるサー・ロナルド・カレンダー(Sir Ronald Callender)の秘書を務めていた。


エリザベス・レミングに連れられて、ケンブリッジ(Cambridge)のガーフォースハウス(Garforth House)までやって来たコーデリア・グレイは、そこで彼女の到着を待っていたサー・ロナルド・カレンダーから、ある事件の調査を依頼される。

それは、18日前に(=5月26日の夜)、彼の子息で、ケンブリッジ大学(University of Cambridge)の学生だったマーク・カレンダー(Mark Callender)が自分の命を突然断った事件で、サー・ロナルド・カレンダーとしては、コーデリア・グレイに、マークが自殺をしたのか、その原因を調査したほしい、とのことだった。


1951年4月25日に生まれたマーク・カレンダーは、今年の4月25日で、21歳になっていた。彼は、父親と同じケンブリッジ大学(University of Cambridge)に入学して、歴史を学んでおり、最終年度を迎えていた。

5週間前、事前に何の連絡もなく、彼は、突然、大学を辞めると、ダックスフォード(Duxford - ケンブリッジから10マイル程、南へ下ったところに所在する村)郊外の屋敷サマーツリーズ(Summertrees)に住むマークランド少佐(Major Markland)の庭師の職に就く。

彼は、マークランド少佐の敷地内にある小屋で一人暮らしをしていたが、庭師になってから18日後、小屋の居間の天井から吊るした紐で、首を吊って、亡くなっているのを、マークランド少佐の(義理の)妹により発見されたのである。

検視法廷は、マーク・カレンダーの自殺と言うことで決着していた。


サー・ロナルド・カレンダーからの依頼を引き受けたコーデリア・グレイは、一旦、ロンドンに戻ると、翌朝の7時に、車でダックスフォード郊外のマークランド少佐の屋敷へ出発した。

現地に到着したコーデリア・グレイは、マークランド少佐の義理の妹に、マーク・カレンダーが住んでいた小屋へと案内してもらい、彼の死体を発見した経緯を尋ねるとともに、彼の元を訪れていた人物の情報も入手する。

マークランド少佐の義理の妹の好意に基づき、コーデリア・グレイは、マーク・カレンダーが住んでいた小屋に滞在して、調査を続けることにした。

次に、コーデリア・グレイは、マーク・カレンダーの大学時代の友人であるヒューゴ・ティリング(Hugo Tilling)やソフィア・ティリング(Sophia Tilling - ヒューゴの妹)等を訪ねて、マーク・カレンダーが大学を突然辞めた経緯等を尋ねるのであった。


マーク・カレンダーの友人の一人は、コーデリア・グレイに対して、「探偵稼業は、女には向かない。(It is not, I think, a suitable job for a woman.)」と言われたが、彼女は、単身、マーク・カレンダーの自殺事件の調査を進めていく。

当初、彼女の初仕事としては、それ程難しい事件ではないように思われたが、彼女が調査を進めていくに従って、マーク・カレンダーは、自殺ではなく、第三者によって殺害されたのではないかと言う疑いが出てきたのである。


そして、物語の終盤、コーデリア・グレイは、元警察官だった共同パートナーのバーナード・G・プライドの元上司であるスコットランドヤードのアダム・ダリグリッシュ警視(Superintendent Adam Dalgliesh)と対決することになる。 


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