2020年1月5日日曜日

北原尚彦編訳「シャーロック・ホームズの栄冠」(’The Glories of Sherlock Holmes’ edited by Naohiko Kitahara)–その1

東京創元社から出版されている創元推理文庫
「シャーロック・ホームズの栄冠」の表紙
カバーイラスト: 鈴木 康士 氏
カバーデザイン: 柳川 貴代 氏 + Fragment

「シャーロック・ホームズの栄冠(The Glories of Sherlock Holmes)」は、日本のミステリー/SF/ホラー小説家、翻訳家で、古書研究家でもある北原尚彦氏(1962年ー)が編んだシャーロック・ホームズのパロディー&パスティーシュ集である。
北原尚彦氏は、日本シャーロック・ホームズクラブの会員で、世界中のシャーロック・ホームズ関連の書籍収集でも有名な日本有数のシャーロキアンである。また、彼は、サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作品やホームズ関連のアンソロジーを数多く編纂/翻訳している。
なお、「シャーロック・ホームズの栄冠」は、2007年に論創社から刊行され、2017年11月に東京創元社から創元推理文庫として出版されている。

「シャーロック・ホームズの栄冠」には、全部で25篇が収録されていて、内容に応じ、5つのカテゴリーに分けられている。

第I部:王道編
(1)ロナルド・A・ノックス(1888年ー1957年)作「一等車の秘密(The Adventure of the First-Class Carriage)」(1947年)
(2)E・C・ベントリー(1875年ー1956年)作「ワトスン博士の友人(Dr. Watson’s Friend)」(?年)
(3)アントニー・バウチャー(1911年ー1968年)作「おばけオオカミ事件(The Adventure of the Bogle-Wolf)」(1949年)
(4)アントニイ・バークリー(1893年ー1971年)作「ボー・ピープのヒツジ失踪事件(The Tale of “Little Bo-Peep” as Conan Doyle Would Have Written It)」(1925年)
(5)A・A・ミルン(1882年ー1956年)作「シャーロックの強奪(The Rape of Sherlock Being the Only True Version of Holmes’s Adventures)」(1903年)
(6)ロード・ワトスン(E・F・ベンスン(1867年ー1940年)とユースタス・H・マイルズ(1868年ー1948年)の合作)作「真説シャーロック・ホームズの生還(The Return of Sherlock Holmes)」(1903年)
(7)ロバート・バー(1850年ー1912年)作「第二の収穫(The Adventure of the Second Swaig)」(1904年)
(8)作者不詳「シャーロック・ホームズと<ボーダーの橋>バザー(”Sherlock Holmes.” Discovering the Border Burghs, and, by Deduction, the Brig Bazaar)」(1902年)

第Ⅱ部:もどき編
(9)ロス・マクドナルド(1915年ー1983年)作「南洋スープ会社事件(The South Sea Soup Co.)」(1931年)
(10)アーサー・ポージス(1915年ー2006年)作「ステイトリー・ホームズの冒険(Her Last Bow, or An Adventure of Stately Homes)」(1957年)
(11)アーサー・ポージス作「ステイトリー・ホームズの新冒険(Another Adventure of Stately Homes)」(1964年)
(12)アーサー・ポージス作「ステイトリー・ホームズと金属箱事件(Stately Homes…and the Box)」(1965年)
(13)ピーター・トッド(1876年ー1961年)作「まだらの手(The Freckled Hand)」
(14)ピーター・トッド作「四十四のサイン(The Sign of Forty Four)」

2020年1月4日土曜日

カーター・ディクスン作「第三の銃弾」(The Third Bullet by Carter Dickson)–その3

ハムステッド地区内に所在するハムステッドヒース(Hampstead Heath)

強盗傷害罪で、15回の鞭打ちと18ヶ月間の重労働という刑罰を言い渡された青年ゲイブリエル・ホワイトは、仮釈放で刑務所から出所した後、先般退官したチャールズ・モートレイク元判事を殺害しようと考え、質屋で拳銃(アイヴァー・ジョンソン38口径リヴォルヴァー)を購入し、ロンドン北西部のハムステッド地区(Hampstead→2018年8月26日付ブログで紹介済)内にあるモートレイク邸へと侵入した。
質屋からの電話連絡を受けたロンドン警視庁(スコットランドヤード)のジョン・ペイジ警部とボーデン部長刑事の二人は、モートレイク邸へと急行したものの、タッチの差でホワイトを捕まえることができず、ホワイトはモートレイク元判事が居た四阿(離れ)の書斎の中へ飛び込み、内側からドアの鍵を閉めてしまった。
そして、最初の銃声が聞こえたのである。

ハムステッドヒース内にある池(その1)

ボーデン部長刑事から遅れて、四阿に駆け寄ったペイジ警部は、半開きになった窓越しに、外から書斎の中を覗くと、窓から少し離れた左手にある書きもの机の上に、モートレイク元判事が突っ伏しており、書斎の真ん中には、例の拳銃(アイヴァー・ジョンソン38口径リヴォルヴァー)を手にしたホワイトが、呆けたような顔をして、立っているのが見えた。

ハムステッドヒース内にある池(その2)

ペイジ警部は、窓枠を乗り越えて、窓から書斎の中に入り、ホワイトに近付くと、彼の手から拳銃(アイヴァー・ジョンソン38口径リヴォルヴァー)を取り上げた。そして、書斎のドアの鍵を開け、廊下に居て、ドアを叩き続けて居たボーデン部長刑事を書斎の中へと入れた。
ペイジ警部とボーデン部長刑事がモートレイク元判事の死体を調べたところ、至近距離から心臓を撃ち抜かれていて、即死だったと思われた。銃弾は、全部で2発撃たれたようで、1発はモートレイク元判事の心臓に命中し、もう1発は、モートレイク元判事が突っ伏している書きもの机の左側にある口述録音機から垂れ下がった送話管の先端のガラス製口当てを砕いた後、元判事の後ろの壁にめり込んでいた。

ハムステッドヒース内にある池(その3)

書斎の中には、射殺されたモートレイク元判事とホワイト以外に、誰も隠れていなかったため、ペイジ警部とボーデン部長刑事にとって、ホワイトが所持していた拳銃(アイヴァー・ジョンソン38口径リヴォルヴァー)で2発撃って、そのうちの1発がモートレイク元判事を殺害して、残りのもう1発は的である元判事を外して、彼の後ろの壁にめり込んだというストーリーしか考えられなかった。
念の為、ペイジ警部が先程ホワイトから取り上げた拳銃(アイヴァー・ジョンソン38口径リヴォルヴァー)を開けて、弾倉を覗いてみたところ、驚くべきことに、ホワイトが所持していた拳銃(アイヴァー・ジョンソン38口径リヴォルヴァー)から、弾丸は1発しか発射されていないことが判ったのである。

それでは、もう1発の弾丸は、どこから発射されたのか?

2020年1月1日水曜日

山本周五郎作「シャーロック・ホームズ」–その4

ヴィクトリア女王の生誕200周年を記念して、
昨年(2019年)、ロイヤルメール(Royal Mail)から発行された切手(その1)

シャーロック・ホームズが、相棒のジョン・H・ワトスンと一緒に、ロンドンで活躍したヴィクトリア朝時代(「緋色の研究(A Study in Scarlet)」<事件発生年月;1881年3月>ー「這う男(The Creeping Man)」<事件発生年月:1903年9月>)、即ち、原作者のサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)がホームズシリーズを発表した期間(「緋色の研究(A Study in Scarlet)」<1887年11月>ー「ショスコム・オールド・プレイス(Shoscombe Old Place)」<1927年4月>)は、ヴィクトリア女王(Queen Victoria:1819年ー1901年 在位期間:1837年ー1901年)の統治下、英国の帝国主義が最盛期に達した時期である。

ヴィクトリア女王の生誕200周年を記念して、
昨年(2019年)、ロイヤルメール(Royal Mail)から発行された切手(その2)

あくまでも、個人的な感想ではあるが、「樅の木は残った」(1954年ー1958年)、「赤ひげ診療譚」(1958年)、「五辯の椿」(1959年)、「青べか物語」(1960年)や「季節のない街」(1962年)等の作品(特に、時代小説ー市井に生きる庶民や名もなき流れ者を書いた作品)で知られる日本の小説家である山本周五郎(本名:清水三十六 1903年ー1967年)が、「新少年」の1935年12月別冊附録に発表したホームズのパスティーシュである「シャーロック・ホームズ」を読んでいると、意図的なのか、それとも、無意識なのかは分らないものの、所々、国粋主義的な雰囲気が若干漂っているように感じられる。

勿論、本作品は、少年向けに執筆されているため、本作品を読む少年達の気持ちを高揚させる / 物語を楽しませる目的しかないのかもしれないが、ストーリー的に、また、時代背景的に、そう思えてしまう部分がある。

ヴィクトリア女王の生誕200周年を記念して、
昨年(2019年)、ロイヤルメール(Royal Mail)から発行された切手(その3)

本作品が発表されたのは、1935年12月であるが、当時、日本は、

・1931年ー満州事変勃発
・1932年ー傀儡政権である満州国の建国
・1933年ー国際連盟(League of Nations)からの脱退

というように、第二次世界大戦(1939年ー1945年) / 太平洋戦争(1941年ー1945年)へと向かって、帝国主義的な野望を露わにしていた時期であり、無意識に、そういった時代背景が本作品の雰囲気に影響を与えているのかもしれない。あるいは、作者の山本周五郎が、そういった時代背景を踏まえて、意図的に切り取り、本作品へ反映させているのかもしれない。

ヴィクトリア朝時代の1891年に発行された切手–
ヴィクトリア女王の横顔が描かれている

ちなみに、本作品のラストには、ホームズファン全員が衝撃を受ける驚愕の展開が待ち受けている。

2019年12月29日日曜日

カーター・ディクスン作「第三の銃弾」(The Third Bullet by Carter Dickson)–その2

ハムステッドヒース(Hampstead Heath)の入口近辺から、
池越しにハムステッド地区内の住宅街を望む

ゲイブリエル・ホワイトは、6週間前の9月24日、刑務所から仮釈放されたが、判決時にチャールズ・モートレイク(元)判事を脅迫していたため、ジョン・ペイジ警部と彼の部下であるボーデン部長刑事は、ホワイトの動向に眼を光らせていた。


そして、昨日の夕方(午後4時頃)、彼らがよく知っている質屋から、ホワイトが拳銃(アイヴァー・ジョンソン38口径リヴォルヴァー)を買っていったという電話連絡が入った。更に、モートレイク元判事の次女で、ホワイトとも面識のあったアイダ・モートレイクからも、「ホワイトが、自分の父親を殺そうとしている。」という電話があった、そのため、ペイジ警部とボーデン部長刑事の二人は、警察車に飛び乗って、ハムステッド地区(Hampstead→2018年8月26日付ブログで紹介済)内にあるモートレイク元判事邸へと大急ぎで向かったのである。


二人がモートレイク元判事邸に到着したのは、午後5時頃で、既に辺りは暗くなりかけていた。外は11月らしい荒れ模様の天候で、風雨が強かった。門番のロビンスンに教えられて、二人は母屋から200ヤード程離れた木立の中にある四阿(離れ)へと小径を進んだ。


二人が進む前方に四阿が見えてきた時、右手の木立から背の高い男が背を屈め出て来て、四阿の正面中央にあるドアの方へと走って行くのが見えた。雷が小止みなく鳴る中、その男が正面玄関のドアに手をかける直前、稲妻が閃き、その男が居る辺りを皓々と照らし出した。稲妻に照らし出された男は、二人が予想した通り、ホワイトで、ボーデン部長刑事の大声に呼ばれ、振り返って二人に気付くと、羽織っていた丈の長いコートのポケットから、その日の夕方質屋で購入した例の拳銃(アイヴァー・ジョンソン38口径リヴォルヴァー)を取り出して、そのまま四阿のドアを開け、中へと侵入した。そして、ホワイトは、左手にあるモートレイク元判事の書斎のドアへと向かった。


ペイジ警部のずっと前を走るボーデン部長刑事の大声が、モートレイク元判事を書斎の窓辺へと引き寄せた。モートレイク元判事は、四阿の正面玄関のドアに近い方の窓のカーテンを開け、窓を少し押し開くと、外を見た。
その時、ホワイトが、廊下から書斎に入るドアを開けて、中に飛び込むなり、ドアの鍵を閉めた。ボーデン部長刑事は、タッチの差でホワイトを捕まえそこなかったのである。

ボーデン部長刑事の後を追うペイジ警部が、一番の近道となった半開きの窓へと向かった正にその時、最初の銃声が聞こえた。半開きとなった窓から書斎の中を覗き込んだペイジ警部は、非常に不可解な現場を目撃するのであった。

2019年12月28日土曜日

山本周五郎作「シャーロック・ホームズ」–その3

地下鉄ベイカーストリート駅(Baker Street Tube Station)内の
ジュビリーライン(Jubilee Line)のプラットフォームの壁に描かれた
シャーロック・ホームズシリーズ7作品のうちの一つである「四つの署名」

初出:リピンコット・マンスリー・マガジン(米)1890年2月
事件の発生:1888年9月
収録:四つの署名

「樅の木は残った」(1954年ー1958年)、「赤ひげ診療譚」(1958年)、「五辯の椿」(1959年)、「青べか物語」(1960年)や「季節のない街」(1962年)等の作品(特に、時代小説ー市井に生きる
庶民や名もなき流れ者を書いた作品)で知られる日本の小説家である山本周五郎(本名:清水三十六 1903年ー1967年)が、新少年」の1935年12月別冊附録に発表した「シャーロック・ホームズ」というホームズのパスティーシュでは、

・異民族が残した莫大な財宝をめぐって、殺人事件が起きること
・その財宝の隠し場所について、四人の人物が関与していること
・物語内で発生する殺人事件において、異民族が使う毒矢が使用されていること

等があり、サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)によるシャーロック・ホームズシリーズの長編第2作である「四つの署名(The Sign of the Four→2017年8月12日付ブログで紹介済)」(1890年)を、物語の基本設定にそのまま使っている。

1993年10月12日に、英国のロイヤルメール(Royal Mail)が発行した
「シャーロック・ホームズ生還100周年記念切手」
5種類のうちの一つである「最後の事件」

初出:「ストランドマガジン」(英)1893年12月
事件の発生:1891年4月–1891年5月
収録:シャーロック・ホームズの回想

物語の中盤過ぎ、ロンドン警視庁(スコットランドヤード)のお尋ね者であるディック・ドノバンの奸計にはまったシャーロック・ホームズは、真田男爵の別荘がある軽井沢の滝壺へ転落して、一時死亡したものと見做されるが、これは、同じく、「最後の事件(The Final Problem→「シャーロック・ホームズの回想(The Memoir of Sherlock Holmes)」(1893年)に収録)」をベースにしている。
スイスのライヘンバッハの滝が日本の軽井沢の滝に、そして、ホームズと一緒に滝壺へは転落しないものの、犯罪界のナポレオンであるジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)が英国の犯罪王であるディック・ドノバンに置き換えられている。

また、物語の中盤の後半において、本牧の岬でホームズと凡太郎が乗る船舶が敵側の船舶を追撃する場面があるが、これは、前述の「四つの署名」のクライマックスシーンに該るテムズ河(River Thames)での船舶同士のチェイスが再現されている。

地下鉄ベイカーストリート駅(Baker Street Tube Station)内の
ジュビリーライン(Jubilee Line)のプラットフォームの壁に描かれた
シャーロック・ホームズシリーズ7作品のうちの一つである「まだらの紐」

初出:ストランドマガジン(英)1892年2月
事件の発生:1883年4月
収録:シャーロック・ホームズの冒険

そして、物語の終盤には、ホームズシリーズの中でも最も有名な短編の一つである「まだらの紐(The Speckled Band → 「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」(1892年)に収録)」のストーリーが、ほぼ全て取り入れられているのである。

忘れてはいけないのは、今回、ホームズの助手となって活躍するホームレスの少年である凡太郎は、少年向けの物語であることに加えて、コナン・ドイル原作の「ベイカーストリート不正規隊(Baker Street Irregulars)」の設定を踏まえていると言える。

2019年12月26日木曜日

クリスマス 2019(Christmas 2019)

UK Royal Mail stamps designed by Charlie Smith Design, featuring the illustrations by Hari & Deepti










2019年12月22日日曜日

カーター・ディクスン作「第三の銃弾」(The Third Bullet by Carter Dickson)ーその1

ハヤカワ文庫で出版されている
カーター・ディクスン作「第三の銃弾〔完全版〕」
(カバー装画: 山田 維史氏)

「第三の銃弾(The Third Bullet)」は、米国のペンシルヴェニア州(Pennsylvania)に出生して、英国人のクラリス・クルーヴス(Clarice Cleaves)との結婚後、1932年から1946年にかけて英国のブリストル(Bristol)に居を構えていた米国の推理作家で、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)が、別名義のカーター・ディクスン(Carter Dickson)で執筆の上、1937年に発表したノン・シリーズ作品の一つで、アンリ・バンコラン(Henri Bencolin)シリーズ、ギディオン・フェル博士(Dr. Gideon Fell)シリーズやヘンリー・メリヴェール卿(Sir Henry Merrivale)シリーズには属していない。

ロンドン市内を流れるテムズ河(River Thames)の北岸に沿って延びるヴィクトリアエンバンクメント通り(Victoria Embankment→2018年12月9日付ブログで紹介済)を見下ろすロンドン警視庁(スコットランドヤード)警視監のマーキス大佐の部屋の机の端には、

(1)チャールズ・モートレイク元判事の殺害を伝える新聞
(2)マーキス大佐の部下であるジョン・ペイジ警部の報告書
(3)2挺の拳銃(アイヴァー・ジョンソン38口径リヴォルヴァーとベルギー製のブローニング32口径オートマティック)

が置かれていた。
まだ朝の11時前であったが、外はうすら寒い雨模様の天気で、机の上では電気スタンドがつけられ、ペイジ警部からマーキス大佐に対して、事件の報告が行われていた。

チャールズ・モートレイク氏は、高等法院王座部の判事で、ロンドン中央刑事裁判所(Central Criminal Court→2016年1月17日付ブログで紹介済)に奉職し、先般退官。
退官前、モートレイク氏は、第一法廷で殺人等の重罪を担当しており、ゲイブリエル・ホワイトという青年に対して、強盗傷害罪で、15回の鞭打ちと18ヶ月間の重労働という刑罰を言い渡し、ホワイトからその場で脅迫を受けていた。
ホワイトは、刑務所から仮釈放で出所すると、昨日の夕方、ロンドン北西部のハムステッド地区(Hampstead→2018年8月26日付ブログで紹介済)内にあるモートレイク邸内に侵入し、午後5時半頃、離れの書斎において、モートレイク元判事に向けて、所持していた拳銃を発砲。モートレイク元判事は胸を撃たれて、死亡。

ペイジ警部と彼の部下であるボーデン部長刑事ん二人は、ちょうどその事件現場に居合わせて、ホワイトがモートレイク元判事を拳銃で殺害したということ以外には考えられない状況であったが、実際のところ、そうは思えない事実が出てきて、非常に不可思議な事件であった。