2026年8月16日日曜日

エルキュール・ポワロの世界 <ジグソーパズル>(The World of Hercule Poirot )- その41B

英国の HarperCollinsPublishers 社から現在出版されている
アガサ・クリスティー作「鳩のなかの猫」ペーパーバック版の表紙 -
壁紙が、物語において重要な要素となる
テニスラケットとテニスボールの形に切り取られている。


アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1959年に発表した「鳩のなかの猫(Cat Among the Pigeons → 2025年8月3日 / 8月4日付ブログで紹介済)」の場合、中東のラマット王国(Ramat)において、国王に対する革命(coup  d'etat)が勃発するところから、物語が始まる。


若き国王であるアリ・ユースフ(Prince Ali Yusuf)は民主化を進めていたが、自身に迫る危機を事前に察した彼は、親友で、お抱え飛行士でもあるボブ・ローリンスン(Bob Rawlinson)に対して、数十万ポンドの価値にもなる王家に伝わる宝石を密かに国外へ運び出すことを依頼。

アリ・ユースフ国王からの依頼を受けたボブ・ローリンスンは、咄嗟に姉のジョアン・サットクリフ(Joan Sutcliffe)と姪のジェニファー・サットクリフ(Jennifer Sutcliffe - 肺炎(pneumonia)が治った後の転地療養を兼ねている)が2ヶ月間滞在しているホテル(Ritz Savoy Hotel)の部屋を訪ねたが、生憎と、彼女達は外出中で留守だった。そこで、ボブ・ローリンスンは、姪のジェニファーが使っているテニス用のラケットの握り部分に宝石が入った包みを隠すと、ホテルの部屋を出た。ボブ・ローリンスンとしては、自分の行動を誰にも見られていないつもりでいたが、実際には、彼の行動は、何者か(謎の女性)に見られていたのである。


母親のジョアン・サットクリフと娘のジェニファーは、数十万ポンドにものぼる宝石が自分達の目と鼻の先にあるとは夢にも思わず、ジェニファーの学校入学に合わせて、ラマット王国から英国へと帰国した。

その後、アリ・ユースフ国王は、ボブ・ローリンスンと一緒に、飛行機でラマット王国を脱出しようと試みたが、途中で事故により墜落した結果、2人とも亡くなってしまう。


2025年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
「アガサ・クリスティー 2026年オフィシャルカレンダー」のうち、
2027年1月のカレンダー
に描かれている
エルキュール・ポワロシリーズの長編第28作目「鳩のなかの猫」(1959年)-
画面左手前には、ボブ・ローリンスンが
中東のラマット王国
王家に伝わる宝石を握り部分に隠したテニスラケットが、コートの端に置かれている。
画面右奥からテニスラケットへ向かって近づいて来ているのは、
ボブ・ローリンスンの姪で、テニスラケットの持ち主であるジェニファー・サットクリフだろうか?
更に、画面左奥には、彼女が学んでいるメドウバンク校の校舎が見える。
<筆者撮影>


それから約2ヶ月後、ボブ・ローリンスンの姪であるジェニファー・サットクリフは、ロンドンにある有名な私立女子校であるメドウバンク校(Meadowbank School)へと通っていた。

メドウバンク校は、英国屈指の名門校で、王族の子女達が学ぶ一方で、革新的な教育システムも採り入れていた。亡くなったアリ・ユースフ国王の従姉妹で、彼の婚約者でもあったラマット王国のシャイスタ王女(Princess Shaista - スイスに留学中)も、新入生として、メドウバンク校に入学していた。


メドウバンク校の創設者で、校長も務めるオノリア・バルストロード(Honoria Bulstrode)は、夏季学期の始業日の行事を滞りなく進める中、引退と自分の後継者の選定を考えていた。

オノリア・バルストロードにとって、数学の教師であるミス・チャドウィック(Miss Chadwick)は、メドウバンク校創設以来の彼女の盟友であったが、学校を率いるタイプではないと考えており、事実上、彼女の後継者候補からは外されていた。そのため、オノリア・バルストロードは、歴史とドイツ語の教師であるエレノア・ヴァンシッタート(Eleanor Vansittart)を、後継者の最有力候補として考えていたのである。


そんな最中、夏季学期が始まる前に完成したばかりの室内競技場(Sports Pavilion)において、深夜、銃声が鳴り響き、体育の教師であるグレイス・スプリンガー(Grace Springer)が殺害される。

後日、ラマット王国のシャイスタ王女が誘拐される事件が発生すると、更に、オノリア・バルストロードの後継者の最有力候補であるエレノア・ヴァンシッタートが、後頭部を砂袋で強打され、第2の被害者となると、続いて、フランス語の教師であるアンジェール・ブランシュ(Angele Blanche)も、後頭部を砂袋で強打され、第3の被害者となった。


こうして、一見関係ないように見えたラマット王国での出来事とメドウバンク校の出来事の2つが、次第に深く絡み合って行くのであった。


エルキュール・ポワロは、
ジグソーパズル「エルキュール・ポワロの世界」の中央に立っている。
<筆者撮影>


なお、本作品の場合、推理小説と言うよりは、サスペンス小説に近く、探偵役を務めるエルキュール・ポワロは、物語の終盤に入ってから(全体の 2/3 辺りを過ぎてから)登場して、事件を解決する役目を担うにとどまっている。


(96)女学生(schoolgirl)



メドウバンク校の女学生のうち、物語上、以下の2人が重要な役割を果たす。


*ジェニファー・サットクリフ - ヘンリー・サットクリフ(Henry Sutcliffe)とジョアン・サットクリフの娘で、ボブ・ローリンスンの姪

*ジュリア・アップジョン(Julia Upjohn)- ジェニファー・サットクリフの友人


ジュリア・アップジョンが、ジェニファー・サットクリフと交換したテニスラケットを調べ、握り部分に宝石が入った包みを発見して、最終的に、ポワロの元を訪れ、事件の調査を依頼するのである。


(97)テニスラケット(tennis racket)



中東のラマット王国において若き国王を務めるアリ・ユースフの親友で、お抱え飛行士でもあるボブ・ローリンスンは、アリ・ユースフ国王からの依頼(数十万ポンドの価値にもなる王家に伝わる宝石を密かに国外へ運び出すこと)を受け、姉のジョアン・サットクリフと姪のジェニファー・サットクリフが滞在しているホテルを訪ねて、ジェニファーが使っているテニスラケットの握り部分に宝石が入った包みを隠した。


(98)砂袋(sandbag)



メドウバンク校において、オノリア・バルストロードの後継者の最有力候補であるエレノア・ヴァンシッタートが、後頭部を砂袋で強打され、第2の被害者となると、続いて、フランス語の教師であるアンジェール・ブランシュも、後頭部を砂袋で強打され、第3の被害者となる。


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