2025年5月30日金曜日

ロンドン サー・ジョン・ソーンズ博物館(Sir John Soane’s Museum)- その2

サー・ジョン・ソーンズ博物館で所蔵 / 展示されている作品(その1)


米国のペンシルヴェニア州(Pennsylvania)に出生して、英国人のクラリス・クルーヴス(Clarice Cleaves)との結婚後、1932年から1946年にかけて英国のブリストル(Bristol)に居を構えていた米国の推理作家で、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)が1935年に発表した推理小説で、ギディオン・フェル博士(Dr. Gideon Fell)が登場するシリーズ第5作目に該る「死時計(Death-Watch → 2025年4月30日 / 5月4日付ブログで紹介済)」において言及される「サー・ジョン・ソーンズ博物館(Sir John Soane’s Museum)」は、リンカーンズ・イン・フィールズ(Lincoln’s Inn Fileds → 2016年7月3日付ブログで紹介済)に面して建っている博物館で、英国の古典主義を代表する建築家で、1788年にロバート・テイラー(Robert Taylor:1714年ー1788年)の後を継いで、イングランド銀行(Bank of England → 2015年6月21日 / 6月28日付ブログで紹介済)の建築家に就任し、その後、1833年まで45年間にわたり、その任を務めたサー・ジョン・ソーン(Sir John Soane:1753年ー1837年)の邸宅兼スタジオを使用しており、彼が手掛けた建築に関する素描、図面や建築模型、更に、彼が収集した絵画や骨董品等を所蔵している。


サー・ジョン・ソーンズ博物館で所蔵 / 展示されている作品(その2)

ジョン・ソーンは、妻エリザベス・ソーン(Elizabeth Soane / 旧姓:スミス(Smith)- 1784年8月21日に結婚)の叔父ジョージ・ワット(George Wyatt - ロンドンの建築業者で、1790年2月に死去)の遺産を相続した後、1792年6月30日にリンカーンズ・イン・フィールズ12番地(12 Lincoln’s Inn Fileds)の物件を購入。

そして、1792年から1794年にかけて、自分の設計に基づき、当時特有の質素な煉瓦家屋だった建物を取り壊しの上、再築を行い、1794年1月18日に移り住んだ。


リンカーンズ・イン・フィールズ12番地の建物 -
サー・ジョン・ソーンズ博物館の一棟
現在、玄関は、博物館からの出口として使用されている。


1806年に王立芸術院(Royal Academy of Arts)の建築教授に就任した後、1808年6月に隣接するリンカーンズ・イン・フィールズ13番地(13 Lincoln’s Inn Fileds)の物件を購入。

当初、購入したリンカーンズ・イン・フィールズ13番地を前の所有者に賃貸しつつ、翌年の1809年にかけて、建物の裏手の馬小屋だった場所に、製図室と博物館を建設。これが、現在の博物館の元となっている。

そして、1812年7月に建物を取り壊して、ポートランド石(Portland stone)製の外壁を有する地下1階 / 3階建ての建物を再築した後、同年10月にリンカーンズ・イン・フィールズ12番地から同13番地へと引っ越し、同12番地の建物を賃貸に出した。

リンカーンズ・イン・フィールズ13番地の再築は完了したものの、ジョン・ソーンは、絶えず建物の内部を改装し続けた。


リンカーンズ・イン・フィールズ13番地の建物 -
サー・ジョン・ソーンズ博物館の一棟
現在、玄関は、博物館への入口として使用されている。
建物の外壁は、ポートランド石で覆われている。


1823年に更に隣りのリンカーンズ・イン・フィールズ14番地(14 Lincoln’s Inn Fileds)を購入し、翌年の1824年にかけて、取り壊しの上、建物の裏手の馬小屋だった場所に、同13番地に連続した絵画ギャラリーを建築。

1825年3月に建物を再築して、外壁は同12番地の建物と同じようにした。ただ、同14番地の玄関は他の建物とは別個のままで、内部でも他の建物とは繋げられなかった。また、同14番地の建物も、投資のために貸し出された。


リンカーンズ・イン・フィールズ14番地の建物 -
サー・ジョン・ソーンズ博物館の一棟
建物の外壁は、同12番地と同じようになっている。


ジョン・ソーンの死に際して、リンカーンズ・イン・フィールズ12番地 / 13番地の建物は、国家に寄贈される。これは、同12番地の賃貸収入が博物館の運営資金となることを、彼が意図していたのである。


サー・ジョン・ソーンズ博物館で所蔵 / 展示されている作品(その3)

19世紀の終わり頃までに、リンカーンズ・イン・フィールズ12番地の後方の部屋と同13番地の博物館を繋げる作業が実施され、1969年からは、同12番地も、学術図書館 / オフィスとして運営される。


サー・ジョン・ソーンズ博物館で所蔵 / 展示されている作品(その4)

サー・ジョン・ソーンズ博物館は、当初より、ジョン・ソーンの遺産により独立運営されていたが、1947年に国の建築研究センターとなった結果、文化・メディア・スポーツ省を通じて、英国政府から補助金を受け取ることができるようになった。

そして、1997年に文化遺産宝くじ基金(National Lottery Heritage Fund)による援助を受けて、リンカーンズ・イン・フィールズ14番地の残りの大部分が購入され、現在に至っている。


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