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| ナショナルギャラリー内に所蔵 / 展示されている ヨハネス・フェルメール作「ヴァージナルの前に座る女」 (1671年ー1674年)<その1> 51.5 cm x 45.6 cm / Oil on canvas <筆者撮影> |
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| トラファルガースクエア(Trafalgar Square)に面したナショナルギャラリー - 画面中央奥に見えるセインズベリーウィング(Sainsbury Wing)が、現在、 ナショナルギャラリーへの入口として使用されている。 <筆者撮影> |
今回は、「ヴァージナルの前に立つ女(A Lady Standing at the Virginal → 2026年3月4日付ブログで紹介済)」に続き、「ヴァージナルの前に座る女(A Lady Seated at the Virginal」について、紹介したい。
「ヴァージナルの前に座る女」も、「ギターを弾く女」や「ヴァージナルの前に立つ女」と同じく、ヨハネス・フェルメール晩年(1671年ー1674年)の作品である。
「ヴァージナルの前に立つ女」の場合、立っている女性の黄色いスカートの折り目が非常に立体的で、明暗もハッキリしているのに対して、「ヴァージナルの前に座る女」の場合、座っている女性の青いスカートは質感に乏しく、簡略化されている。
また、「ヴァージナルの前に立つ女」の後ろの壁に掛かっている絵画の額縁に比べると、「ヴァージナルの前に座る女」の後ろの壁に掛かっている絵画の額縁も、簡略されている。
両者のドレスの質感の違いや後ろの壁に掛かっている絵画の額縁の簡略化から、「ヴァージナルの前に立つ女」対比、「ヴァージナルの前に座る女」におけるヨハネス・フェルメールの力が衰えたと評されており、そのため、「ヴァージナルの前に座る女」は、ヨハネス・フェルメールが描いたとされる絵画の最後の作品ではないかと考えられている。
ヴァージナル(virginal)と言うのは、チェンバロに似た楽器で、当時のオランダの家庭にはよく置かれていたものと思われる。
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| ナショナルギャラリー内に所蔵 / 展示されている ヨハネス・フェルメール作「ヴァージナルの前に立つ女」(左側の絵画)と 「ヴァージナルの前に座る女」(右側の絵画) <筆者撮影> |
ヴァージナルの前に座る女性の後ろの壁に掛けられている画中画は、オランダの画家で、ユトレヒト・カラヴァッジョ派でも知られるディルク・ファン・バビューレン(Dirck Jaspersz van Baburen:1595年ー1624年)作「取り持ち女(The Procuress / 娼婦と客の間を仲介する女)」である。
元ワシントンナショナルギャラリー学芸員のアーサー・K・ウィーロック・ジュニア(Arthur K. Wheelock Jr.:1943年ー)は、「女性が弾いているヴァージナルと左側に置かれているヴィオラ・ダ・ガンバが「調和」や「愛」を意味しているので、二つの対立する価値観が描かれている。つまり、売春が象徴する不浄な愛と理想的な愛の二者択一を見る者に対して問うている。」と解釈している。
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| ナショナルギャラリー内に所蔵 / 展示されている ヨハネス・フェルメール作「ヴァージナルの前に座る女」 (1671年ー1674年)<その2> 51.5 cm x 45.6 cm / Oil on canvas <筆者撮影> |
「ヴァージナルの前に座る女」は、「ヴァージナルの前に立つ女」と一緒に、当初、アントウェルペンのデュアルトの元にあったようで、その後、アムステルダムで競売にかけられ、流転の末にフランス人のテオフィル・トレ=ビュルガー(Théophile Thoré-Bürger:1807年ー1869年)によって所有された。
彼は、美術ジャーナリストである「テオフィル・トレ」と美術史家である「ウィリアム・ビュルガー」と言う2つの顔を持ち、画商を生業としており、ヨハネス・フェルメール作品を再発見した人物として知られている。
彼の死後、競売にかけられて、英国の画商が買い、英国人(個人)の所有となり、ナショナルギャラリーに寄贈され、現在に至っている。


























