2024年11月21日木曜日

アガサ・クリスティー作「春にして君を離れ」(’Absent in the Spring’ by Agatha Christie)- その3

日本の出版社である早川書房から
クリスティー文庫の1冊として出版されている
アガサ・クリスティー作「春にして君を離れ」の表紙(部分)
Photograph : CORBIS / amana images
Cover Design : Hayakawa Design

1930年代、主婦であるジョーン・スカダモア(Joan Scudamore)は、急病になった末娘(次女)であるバーバラを見舞うために、英国のクレイミンスターからバグダッド(当時、英国の勢力圏内)に来ていた。

ジョーンの手当で、次女のバーバラは、無事に回復期へ入った。

急病となったバーバラと全く頼りにならない夫のウィリアムの2人により混乱した家庭を、ジョーンは、万事怠り無く立て直したものと満足していた。


ところが、次女のバーバラが急病になった原因が、何故かハッキリとしない上に、バーバラとウィリアムに加えて、彼らの主治医までが、ジョーンに対して、非常に余所余所しい態度をみせる。

更に、バーバラが回復期に入ったため、ジョーンが英国へ引き上げようとするそぶりを見せると、バーバラとウィリアムの2人は、ジョーンを引き留めようとは、全くしなかった。寧ろ、どちらかと言うと、2人は、ジョーンに早く帰って欲しそうだった。それが、ジョーンには、非常に奇妙に思えたのである。


バーバラとウィリアムの2人の態度がよく判らないものの、ジョーン・スカダモアは、バグダッドから英国への帰路に着いた。

ジョーンは、悪天候の中、汽車と自動車を乗り継いで、イラクとトルコの国境に到着し、砂漠の真っ只中にあるテル・アブ・ハミド駅の鉄道宿泊所(レストハウス)に宿泊する。

テル・アブ・ハミド駅は、イラクとトルコの国境近くにあるトルコ鉄道の終着駅で、トルコ領内にあった。一方、ジョーンが宿泊することになった鉄道宿泊所は、イラク領内にあり、テル・アブ・ハミド駅とレストハウスの間には、国境の鉄条網が設置されていた。


ジョーンは、鉄道宿泊所において、聖アン女学院の同級生だったブランチ・ハガードと偶然再会する。

ブランチ・ハガードは、現在の夫である鉄道技師(ドノヴァン氏)が住むバグダッドへと向かう途上にあった。

聖アン女学院在籍当時、ブランチ・ハガードは、ジョーンを含め、女生徒達の憧れの的だったが、その後、恋愛事件も何度も引き起こしており、イラクでの再会時点では、すっかりと老け込んでいた。更に、ブランチ・ハガードが語る彼女自身の奔放な人生の話を聞いて、ジョーンは、彼女の零落を憐れむ。


悪天候の影響は続き、交通網は寸断され、本来であれば、翌朝、イスタンブール駅からテル・アブ・ハミド駅に到着する予定だった列車が着かなかった。

鉄道宿泊所には、インド人の管理人、アラブ少年の使用人とコックが居たが、管理人によると、悪天候のため、イスタンブール駅からの列車が到着する見込みが全くたたない、とのことだった。


こうして、ジョーン・スカダモアは、イスタンブール駅からの列車が来るあてのないまま、砂漠の真っ只中にある鉄道宿泊所に、たった一人、何日も留まることを余儀なくされる。

彼女の朝食と昼食の内容は、以下の通り。

<朝食>

コーヒー / ミルク(缶入り)/ 卵の目玉焼き / 固く小さなトースト数枚 / ジャム / 怪しげなスモモを煮たもの

<昼食>

オムレツ / 卵のカレー炒め / 缶詰の鮭 / ベークドビーンズ / 缶詰の桃

夕食も、朝食や朝食と似たような内容で、毎日、同じメニューの繰り返しで、ジョーンは飽きてしまう。

また、ジョーンは、「ダイサード夫人回想録」、推理小説と「パワーハウス」の本3冊を持って来ていたが、鉄道宿泊所に滞在している間に、全て読み切ってしまった。


何もすることがなくなったジョーン・スカダモアは、自分の今までの人生を回想し始めた。

そして、やがて、ジョーンは、これまでの親子関係(長男:トニー / 長女:エイヴラル / 次女:バーバラ)と夫婦の愛情(夫:ロドニー)にかかる自分の認識に疑念を抱き、今まで判らなかった真実に気付くのであった。


物語の最後、バグダッドから英国のクレイミンスターへとなんとか辿り着いたジョーン・スカダモアは、久し振りに、夫のロドニーの元へ帰ったが、彼女を出迎えたロドニーが、彼女にかけた言葉とは裏腹に、心の中で呟く言葉は、(通常の推理小説で発生するような殺人事件等は、本作品内では発生しないものの、)非常に恐ろしい内容だった。


                                        

2024年11月19日火曜日

ベアトリス・ポター生誕150周年記念切手 - その4

英国のファンタジー / SF / 推理作家であるフィリップ・パーサー=ハラード(Philip Purser-Hallard:1971年ー)が2023年に発表した「シャーロック・ホームズ / 湖の怪物」(Sherlock Holmes / The Monster of the Mere → 2024年10月30日付ブログで紹介済)は、英国の湖水地方(Lake District)を舞台にしている。

湖水地方と言うと、思い出されるのが、英国の絵本作家であるヘレン・ベアトリス・ポター(Helen Beatrix Potter:1866年ー1943年)と彼女が生み出したピーターラビット(Peter Rabbit)である。


2016年7月28日に、ヘレン・ベアトリス・ポターの生誕150周年を記念した切手10種類が、英国のロイヤルメール(Royal Mail)から発行されているので、11月7日、11月9日および11月13日に引き続き、紹介したい。



今回は、ヘレン・ベアトリス・ポターが1902年に発表した「ピーターラビットのおはなし(The Tale of Peter Rabbit)」(1902年)にかかる記念切手4種類である。


ある時、寡婦となった母親うさぎが、子供達(ピーターラビットと娘3匹)に対して、
「お父さんは畑に入って、マグレガーおじさんに捕まり、パイにされてしまった。
だから、マグレガーおじさんの畑には絶対入らないように。」と忠告する。


ピーターラビットは、1893年9月4日に、ヘレン・ベアトリス・ポターが彼女の家庭教師で友人のアニー・ムーア(Annie Moore)の息子である病床のノエル少年(Noel - 5歳)に対して送った絵手紙が原型となっている。

1900年に、アニー・ムーアに勧められたヘレン・ベアトリス・ポターは、上記の絵手紙をベースにした絵本の執筆に入る。執筆を終えたヘレン・ベアトリス・ポターは、「ピーターラビットとマグレガーおじさんの畑」と言うタイトルの原稿を各出版社宛に送ったが、残念ながら、彼女の原稿は各出版社から断られてしまった。

そこで、自費出版を決意したヘレン・ベアトリス・ポターは、1901年12月16日、「ピーターラビットのおはなし」を自分で250冊印刷して、家族や友人達に配ったのである。


子供達のうち、娘うさぎの3匹は、母親うさぎの忠告通り、
マグレガーおじさんの畑には入らず、ブラックベリーを摘みに出かけた。
一方、悪戯好きなピーターラビットは、母親うさぎの忠告を聞かず、
マグレガーおじさんの畑に入り、おやつに畑の野菜を勝手に食べてしまう。


フレデリック・ウォーン社(Frederick Warne & Co.)は、当初、ヘレン・ベアトリス・ポターの原稿を断った出版社の1社であったが、彼女の作品が他の児童書と競合できるのではないかと考え、再検討を行った。そして、フレデリック・ウォーン社は、ヘレン・ベアトリス・ポターに対して、白黒の挿絵ではなく、色付きの挿絵を入れることを求めた。

フレデリック・ウォーン社の創業者の息子3人のうち、一番下で編集者であるノーマン・ウォーン(Norman Warne:1868年ー1905年)による協力の下、原稿を完成させたヘレン・ベアトリス・ポターは、1902年6月、5000冊を発行することで、同社と正式な出版契約を締結する。

そして、1902年10月、「ピーターラビットのおはなし」が出版され、初版8000冊が直ぐに売り切れとなった。更に、最初の出版から1年後には、56000冊以上が印刷され、商業的な成功を収めたのである。


マグレガーおじさんの畑の野菜を食べ過ぎて、
お腹が痛くなったピーターラビットは、パセリを探しに行った。


「ピーターラビットのおはなし」は、大変な悪戯っ子であるピーターラビットが、母親から「マグレガーおじさん(Mr. McGregor)の畑には、絶対行かないように。」といつも注意を受けているものの、母親の言い付けを守らず、畑へ忍び込んで、マグレガーおじさんに見つかってしまい、なんとか逃げ切ると言う話をその内容としており、現在、40近くの言語に翻訳され、世界的なベストセラーの1冊となっている。


マグレガーおじさんに見つかったピーターラビットは、
ジャケットと靴が脱げる程の勢いで、逃げ出したのである。


なお、シャーロック・ホームズシリーズの作者であるサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)も、彼の子供が欲しがったため、同作品を購入した1人であり、内容について、非常に高い評価を与えている。


                                    

2024年11月18日月曜日

アガサ・クリスティー作「ゼロ時間へ」<小説版(愛蔵版)>(’Towards Zero’ by Agatha Christie )- その1

2024年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
アガサ・クリスティー作「ゼロ時間へ」の
愛蔵版(ハードカバー版)の表紙
(Cover design by 
HarperCollinsPublishers Ltd. /
Cover illustration : Courtesy of the Mill at Sonning Theatre) 


「ゼロ時間へ(Towards Zero)」は、アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1944年に発表した長編推理小説である。

今年(2024年)、「ゼロ時間へ」の発表80周年を記念して、英国の HarperCollinsPublishers 社から同作品の愛蔵版(ハードバック版)が出版されているので、今回、紹介致したい。


「ゼロ時間へ」は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第34作目にに該っている。


「ゼロ時間へ」の場合、通常の作品とは異なり、犯人が殺人の計画を策定する時間から始まって、犯行の瞬間である「ゼロ時間」へと遡っていくと言う独特の叙述法が採用されている。


「ゼロ時間へ」には、エルキュール・ポワロ 、ミス・ジェイン・マープルやトミー&タペンス・ベレズフォードのシリーズ探偵は登場せず、その代わりに、スコットランドヤード(ロンドン警視庁)のバトル警視(Superintendent Battle)が探偵役を務める。


英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、
2023年に発行されたアガサ・クリスティーをテーマにしたトランプのうち、
3 ♠️「バトル警視(Superintendent Battle)」


バトル警視は、スコットランドヤードの警視で、主に政治に関係する重要な問題を取り扱う。大柄の体格、彫りが深くて無表情な顔、そして、エルキュール・ポワロに匹敵する口髭が特徴。

バトル警視には、妻のメアリー(Mary Battle)との間に、5人の子供が居て、末娘の名前は、シルヴィア(Sylvia Battle)である。また、甥には、バトル警視と同じく、スコットランドヤードに所属するジェイムズ・リーチ警部(Inspector James Leach)が居る。


登場作品

<長編>

*「チムニーズ館の秘密(The Secret of Chimneys)」(1925年)

*「七つの時計(The Seven Dials Mystery)」(1929年)

*「ひらいたトランプ(Cards on the Table)」(1936年)- エルキュール・ポワロ シリーズ

*「殺人は容易だ(Murder is Easy)」(1939年)

*「ゼロ時間へ」(1944年) 


                                        

2024年11月16日土曜日

テイト・ブリテン美術館にあるジョスリン・バーバラ・ヘップワース彫刻作品(Sculptures by Jocelyn Barbara Hepworth at Tate Britain in London)

「翼がある形(Winged Figure → 2024年11月6日付ブログで紹介済)」、「サギ(Heron → 2024年11月8日付ブログで紹介済)」、「天空の石柱(Monolith-Empyrean = Heavenly Stone → 2024年11月11日付ブログで紹介済)」およびセントアイヴス(St. Ives)にある彫刻作品(→ 2024年11月14日付ブログで紹介済に続き、英国の芸術家 / 彫刻家で、英国コンウォール州(Cornwall)にあるセントアイヴスに住む芸術家のコミュニティーにおいて、主導的な役割を果たした人物であるジョスリン・バーバラ・ヘップワース(JocelynBarbara Hepworth:1903年ー1975年 → 2024年10月1日 / 10月31日 / 11月2日付ブログで紹介済)による彫刻作品のうち、ロンドンにあるテイト・ブリテン美術館(Tate Britain → 2018年2月18日付ブログで紹介済)に所蔵されている作品について、紹介したい。


テイト・ブリテン美術館の建物正面を階段下から見上げたところ 

テイト・ブリテン美術館の正面玄関へと向かう階段の左脇の支柱


Seated Figure / 1932年ー1933年
Lignum vitae / 35.6 cm x 26.7 cm x 21.6 cm
Presented by the executors of the artist's estate in 1980
<テイト・ブリテン美術館で購入した葉書を使用>

Mother and Child / 1934年
Cumberland alabaster on marble base / 22 cm x 45.5 cm x 18.9 cm
Presented with assistance from the Friends of the Tate Gallery in 1993
<テイト・ブリテン美術館で購入した葉書を使用>

Pelagos / 1946年
Elm and strings on oak base / 43 cm x 46 cm x 38.5 cm
Presented by the artist in 1964
<テイト・ブリテン美術館で購入した葉書を使用>


なお、次の彫刻作品は、ロンドンのテイト・ブリテン美術館ではなk、ウェストヨークシャー州(West Yorkshire)ウェイクフィールド(Wakefield)にあるヘップワース・ウェイクフィールド(The Hepworth Wakefield)と言うギャラリーに所蔵されている。


Three Forms (Tokio) / 1967年
Plaster / Wakefield Permanent Art Collection
The Hepworth Family Gift Presented through the Art Fund
<テイト・ブリテン美術館で購入した葉書を使用>


                                             

2024年11月15日金曜日

アガサ・クリスティー作「春にして君を離れ」(’Absent in the Spring’ by Agatha Christie)- その2

日本の出版社である早川書房から
クリスティー文庫の1冊として出版されている
アガサ・クリスティー作「春にして君を離れ」の表紙(部分)
Photograph : CORBIS / amana images
Cover Design : Hayakawa Design

エルキュール・ポワロやミス・ジェイン・マープル等のシリーズ探偵を生み出したアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が、メアリー・ウェストマコット(Mary Westmacott)名義で、第二次世界大戦(1939年ー1945年)中の1944年に発表した長編小説である「春にして君を離れ(Absent in the Spring)」の場合、1930年代、主婦であるジョーン・スカダモア(Joan Scudamore)が、急病になった末娘(次女)を見舞うために、英国のクレイミンスターからバグダッド(当時、英国の勢力圏内)に来ているところから、話が始まる。


ジョーン・スカダモアは、優しい夫と良き子供達(1男2女)に恵まれ、良き妻 / 良き母であると自負するとともに、自分の理想の過程を築き上げたことに、非常に満ち足りていたところだったが、次女が急病になった旨の連絡があり、急いで次女の元へとやって来たのであった。


<ロドニー・スカダモア>

ジョーン・スカダモアの夫で、クレイミンスターにおいて、オルダマン・スカダモア・ウィットニー法律事務所を経営。

法律事務所は、元々、ロドニーの伯父であるハリーが経営していたが、司法試験に合格したロドニーは、ハリー伯父から、共同経営者として迎え入れられた。当時、ロドニーは、自分を弁護士には向いていないと考えており、本当のところは、農場経営を夢見ていたが、ジョーンによる説得を受けて、最終的には、ハリー伯父の法律事務所へと入った。


<トニー・スカダモア>

スカダモア夫妻の初子で、長男。

農科大学を卒業後、アフリカのローデシアにおいて、オレンジ園を経営。

ダーバン出身の娘と結婚。


<エイヴラル・スカダモア>

スカダモア夫妻の長女で、非常に理知的な性格。

以前、妻帯者である年上の男性との間で、激しい恋愛に落ちて、スカダモア夫妻の気を揉ませたことがある。

現在、株式ブローカーで、物静かな、良い人柄で、非常に裕福なエドワード・ハリソン・ウィルモットと結婚して、ロンドンに居住。


<バーバラ・スカダモア>

スカダモア夫妻の末っ子で、次女

彼女は、スカダモア家を離れたがっており、レディー・ヘリオットを叔母に持つウィリアム・レイと結婚して、現在、バグダットに居住。

夫のウィリアムは、イラクの土木事業局に有力な地位を得ている。

レイ夫妻には、赤ん坊のモプシーが居る。


見舞いに訪れたジョーン・スカダモアの手当で、次女のバーバラは、無事に回復期へ入った。

急病となったバーバラと全く頼りにならないウィリアムの2人により混乱した家庭を、ジョーン・スカダモアは、万事怠り無く立て直したものと満足していた。


ところが、次女のバーバラが急病になった原因が、何故かハッキリとしない上に、バーバラとウィリアムに加えて、彼らの主治医までが、ジョーンに対して、非常に余所余所しい態度をみせる。

更に、バーバラが回復期に入ったため、ジョーンが英国へ引き上げようとするそぶりを見せると、バーバラとウィリアムの2人は、ジョーンを引き留めようとは、全くしなかった。寧ろ、どちらかと言うと、2人は、ジョーンに早く帰って欲しそうだった。それが、ジョーンには、非常に奇妙に思えたのである。


          

2024年11月14日木曜日

セントアイブスにあるジョスリン・バーバラ・ヘップワース彫刻作品(Sculptures by Jocelyn Barbara Hepworth in St. Ives)

「翼がある形(Winged Figure → 2024年11月6日付ブログで紹介済)」、「サギ(Heron → 2024年11月8日付ブログで紹介済)」および「天空の石柱(Monolith-Empyrean = Heavenly Stone → 2024年11月11日付ブログで紹介済)」に続き、英国の芸術家 / 彫刻家で、英国コンウォール州(Cornwall)にあるセントアイヴス(St. Ives)に住む芸術家のコミュニティーにおいて、主導的な役割を果たした人物であるジョスリン・バーバラ・ヘップワース(JocelynBarbara Hepworth:1903年ー1975年 → 2024年10月1日 / 10月31日 / 11月2日付ブログで紹介済)による彫刻作品のうち、セントアイブスに所在するバーバラ・ヘップワース美術館(Barbara Hepworth Museum)にある作品について、紹介したい。


Sea Form (Porthmeor) / 1958年
Plaster / 83 cm x 113.5 cm x 35.5 cm
On loan from the artist's estate
to the Barbara Hepworth Museum, St. Ives
<テイト・ブリテン美術館(Tate Britain
→ 2018年2月18日付ブログで紹介済)で購入した葉書を使用>

Corymb / 1959年
Bronze / 26.5 cm x 34.2 cm x 24.2 cm
Accepted by HM Government
in lieu of inheritance tax
and allocated to Tate 2005, accessioned 2006 
On display at 
Barbara Hepworth Museum
and Sculpture Gardern, St. Ives, Cornwall
<テイト・ブリテン美術館で購入した葉書を使用>

Sphere with Inner Formea Form / 1963年
Bronze / 90 cm x 90 cm x 88.5 cm
Presented by the executors of the artist's estate
in accordance with her wishes
On display at Barbara Hepworth Museum
and Sculpture Gardern, St. Ives, Cornwall
<テイト・ブリテン美術館で購入した葉書を使用>

River Form / 1965年
Bronze / 79 cm x 193 cm x 85 cm
On loan from the artist's estate
to the Barbara Hepworth Museum, St. Ives
<テイト・ブリテン美術館で購入した葉書を使用>

Four-Square (Walk Through) / 1966年
Bronze / 429 cm x 199 cm x 229.5 cm
On loan from the artist's estate
to the Barbara Hepworth Museum, St. Ives
<テイト・ブリテン美術館で購入した葉書を使用>


                                        

2024年11月13日水曜日

ベアトリス・ポター生誕150周年記念切手 - その3

英国のファンタジー / SF / 推理作家であるフィリップ・パーサー=ハラード(Philip Purser-Hallard:1971年ー)が2023年に発表した「シャーロック・ホームズ / 湖の怪物」(Sherlock Holmes / The Monster of the Mere → 2024年10月30日付ブログで紹介済)は、英国の湖水地方(Lake District)を舞台にしている。

湖水地方と言うと、思い出されるのが、英国の絵本作家であるヘレン・ベアトリス・ポター(Helen Beatrix Potter:1866年ー1943年)と彼女が生み出したピーターラビット(Peter Rabbit)である。


2016年7月28日に、ヘレン・ベアトリス・ポターの生誕150周年を記念した切手10種類が、英国のロイヤルメール(Royal Mail)から発行されているので、前々回(11月7日)と前回(11月9日)に引き続き、紹介したい。


(5)こねこのトム(Tom Kitten)



「こねこのトムのおはなし(The Tale of Tom Kitten)」において、母親(Mrs. Tabitha Twitchit)がお友達を招いてお茶会を開く日、子猫のトムと妹達(Mittens / Moppet)は、母親におめかしをしてもらうが、残念ながら、彼らは、折角の素敵な洋服をダメしてしまう。

次作の「ひげねずみサミュエルのおはなし あるいは、ねんねこロール(The Tale of Samuel Whiskers or, The Rolv-Polv Pudding)」では、子猫のトムは、ネズミ達に捕まってしまい、夕食のねんねこロールにされてしまいそうになる。


<こねこのトムの登場作品>

*「こねこのトムのおはなし」(1907年)

*「ひげねずみサミュエルのおはなし あるいは、ねんねこロール」(1908年)


(6)ベンジャミンバニー(Benjamin Bunny)



ベンジャミンバニーは、ピーターラビット(Peter Rabbit)の従兄で、マグレガーおじさん(Mr. McGregor)の古い毛糸の帽子を冠っている。


ベンジャミンバニーが登場する「ベンジャミンバニーのおはなし(The Tale of Benjamin Bunny)」は、「ピーターラビットのおはなし(The Tale of Peter Rabbit)」(1902年)の続編で、母親の言い付けを守らず、マグレガーおじさんの畑へ忍び込んで、マグレガーおじさんに見つかり、上着と靴を忘れて来た大変な悪戯っ子であるピーターラビットは、従兄のベンジャミンバニーと一緒に、取り返しに行く。

ピーターラビットとベンジャミンバニーは、マグレガーおじさんの飼い猫に見つかってしまい、玉葱用の大きな籠に隠れるものの、その籠の上で猫が昼寝を始めてしまう事態に陥るのである。


<ベンジャミンバニーの登場作品>

*「ベンジャミンバニーのおはなし」(1904年)

*「フロプシーのこどもたち(The Tale of Flopsy Bunnies)」(1909年)

*「キツネのトッドのおはなし(The Tale of Mr. Tod)」(1912年)