2025年4月5日土曜日

アガサ・クリスティー作「エッジウェア卿の死」<英国 TV ドラマ版>(Lord Edgware Dies by Agatha Christie )- その6

第47話「エッジウェア卿の死」が収録された
エルキュール・ポワロシリーズの DVD コレクション No. 5 の裏表紙(一部)-

これは、アーサー・ヘイスティングス大尉と一緒に、ジェーン・ウィルキンスンのフラットを訪れた

エルキュール・ポワロが、ジェーン・ウィルキンスンのメイドであるエリスに対して、

カーロッタ・アダムズが妹のルシー・アダムズ宛に送った手紙を見せ、

カーロッタ・アダムズのフラットにあった鼻眼鏡を渡し、内容を読ませる実験を行う場面である。


英国の TV 会社 ITV 社による制作の下、「Agatha Christie’s Poirot」の第47話(第7シリーズ)として、2000年1月19日に放映されたアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「エッジウェア卿の死(Lord Edgware Dies)」(1933年)のTV ドラマ版の場合、原作対比、以下のような差異が見受けられる。


(23)

<英国 TV ドラマ版>

スローンスクエア(Sloane Square)のローズデューマンションに部屋を借りている女芸人であるカーロッタ・アダムズ(Carlotta Adams)がヴェロナール(Veronal)の過剰摂取により死亡しているのが発見された後、エルキュール・ポワロの指示を受け、ミス・フェリシティー・レモン(Miss Felicity Lemon)が、ヴェロナールの入った薬箱を持って、ロンドン市内の宝石店を巡り、誰がこの薬箱を注文したのかを調べる。

ミス・レモンによる調査の結果、鼻眼鏡をしたヴァン・デューセン夫人(Mrs. Van Dusen)がこの薬箱を注文したことを突き止めた。

<原作>

原作に、ミス・レモンは登場しない。この小箱の出所を調べ上げたのは、スコットランドヤードのジャップ警部(Inspector Japp)で、ポワロに電話で知らせてきた。

また、この小箱の注文を受けたのは、この種のものを専門に扱っているパリの有名な店で、手紙での注文だった。その手紙は、コンスタンス・アカーリイ(卿夫人)と言う署名が為されていたが、偽名と思われた。

小柄で鼻眼鏡をかけた中年の女性が、小箱を受け取りにやって来ている。


(24)

<英国 TV ドラマ版>

ポワロの代わりに、アーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings)が食事会へと出かける。


場所:不明

主催者:新たにエッジウェア卿(Lord Edgware)となったロナルド・マーシュ(Ronald Marsh)

出席者(ヘイスティングス大尉を除く):

*ジェラルディン・マーシュ(Geraldine Marsh - 前エッジウェア卿と先妻の娘)

*ジェーン・ウィルキンスン(Jane Wilkinson - 舞台女優で、前エッジウェア卿の妻)

*マートン公爵(Duke of Merton - ジェーン・ウィルキンスンとの結婚を考えている)

*ブライアン・マーティン(Bryan Martin - 映画俳優)

*ペニー・ドライヴァー(Penny Driver - カーロッタ・アダムズの友人で、帽子店を営む)

*ロナルド・ロス(Ronald Ross - 若き劇作家)


食事会の会話中、ロナルド・ロスが、パリのことで何かひっかかる様子を見せる。


その頃、ポワロは、ホワイトヘイヴンマンションズ(Whitehaven Mansions)に残り、カーロッタ・アダムズが妹のルシー・アダムズ(Lucie Adams)宛に送った手紙を調べていた。


クラリッジズホテルの建物正面の外壁


<原作>

ポワロとヘイスティングス大尉は、昼食会へと招かれる。


場所:クラリッジズホテル(Claridge’s Hotel → 2014年12月31日付ブログで紹介済)

主催者:ウィドバーン夫人

出席者(ポワロ / ヘイスティングス大尉を除く):

*ジェーン・ウィルキンスン

*マートン公爵

*ブライアン・マーティン

*ジュヌヴィエーヴ・ドライヴァー(Genevieve Driver / 愛称:ジェニー(Jenny)- カーロッタ・アダムズの友人で、帽子店を営む)

*ロナルド・ロス(若き俳優)


昼食会の会話中、ロナルド・ロスが、パリのことでハッと息をのむ様子を見せた。


(25)

<英国 TV ドラマ版>

ポワロとミス・レモンは、ピカデリーパレスホテル(Piccadilly Palace Hotel)を訪れて、ヴァン・デューセン夫人のことを調べていた。ホテルによると、彼女は一泊だけの宿泊だった。

そこへ、同ホテルに宿泊しているヘイスティングス大尉が戻る。ヘイスティングス大尉は、ポワロに対して、ロナルド・ロスの名刺を渡して、彼へ電話するように依頼する。

なお、彼の名刺には、「Donald Ross / 4a Church Street, Kensington, London SW6 / Telephone : Ken. 2510」と記されていた。

<原作>

ウィドバーン夫人が主催した昼食会の後、ポワロは、別件(ある外国大使の長靴紛失事件)で、午後2時半の約束があるため、先に帰宅。

ドナルド・ロスがヘイスティングス大尉のところへやって来て、「ポワロさんにちょっと話したいことがある。」と告げる。ヘイスティングス大尉は、ドナルド・ロスに対して、「ポワロは、午後5時には帰って来る筈だから、その頃、電話をするか、もしくは、会いに来て下さい。」と答えている。


(26)

<英国 TV ドラマ版>

ヘイスティングス大尉の依頼を受けて、ポワロは、ドナルド・ロスのフラットに電話をする。

ドナルド・ロスは、丁度、フラットに帰って来たところで、受話器を取った。そのため、フラットのドアは開いたまま。

ポワロと話している最中に、ドナルド・ロスは、フラット内に侵入して来た何者かに、首をナイフで刺されて死亡。

<原作>

ポワロが外出先からフラットに戻ったところ、ドナルド・ロスからの電話があった。

ドナルド・ロスは、ポワロと話している最中、遠くで鳴るベルの音を聞くと、「ちょっと待って下さい。」と言い、受話器を置き、席を外す。

ポワロとヘイスティングス大尉は、5分程待ったが、ドナルド・ロスは戻って来なかった。

ポワロは、電話交換台を呼び出したが、「向こうの受話器は外されたままで、何の応答もない。」と言われ、ヘイスティングス大尉と一緒に、ケンジントン(Kensington)にあるドナルド・ロスのフラットでタクシーで向かう。

残念ながら、時既に遅く、ドナルド・ロスは、頭蓋のつけねを刺されて、亡くなっていたのである。


(27)

<英国 TV ドラマ版>

ドナルド・ロスが刺殺されたフラットには、ポワロ、ヘイスティングス大尉、ミス・レモン、そして、スコットランドヤードのジャップ主任警部(Chief Inspector Japp)が居た。

ポワロに、昼食会から席を立った順を尋ねられたヘイスティングス大尉は、当初、


(A)ブライアン・マーティン

(B)ペニー・ドライヴァー

(C)ジェーン・ウィルキンスン / マートン公爵


の順番だと答えたが、「順番が逆だった。(The other way round.)」と言い出して、


(A)ジェーン・ウィルキンスン / マートン公爵

(B)ペニー・ドライヴァー

(C)ブライアン・マーティン


が正しいと訂正した。

ヘイスティングス大尉による「順番が逆だった。」と言う発言を受けて、ポワロは事件の真相を見抜く。

<原作>

ドナルド・ロスが刺殺されたフラットからホワイトヘイヴンマンションズに戻って来たポワロは、ヘイスティングス大尉が居眠りをしている間、カーロッタ・アダムズの妹であるルシー・アダムズから来た手紙を、傍目もふらずに読み耽り、事件解決の糸口を見つけている。


(28)

<原作>

ポワロとヘイスティングス大尉は、リージェントゲート(Regent Gate → 2025年3月23日付ブログで紹介済)にある前エッジウェア卿邸を訪れて、秘書のミス・キャロル(Miss Carroll)と面会する。

帰る際、テーブルの上に置いた手袋を取る時に、ポワロは、誤ったふりをして、カフスをミス・キャロルの鼻眼鏡の鎖に引っかけて、鼻眼鏡ごと払い落としてしまう。そして、ミス・キャロルの鼻眼鏡を拾い上げる時に、カーロッタ・アダムズのハンドバッグに入っていた鼻眼鏡と入れ替える実験を行っている。

ただし、ミス・キャロルには、「これは、自分の鼻眼鏡ではない。」と指摘されてしまう。

<英国 TV ドラマ版>

このような場面は、描写されていない。


(29)

<英国 TV ドラマ版>

ポワロとヘイスティングス大尉は、ジェーン・ウィルキンスンのフラットを訪れる。

ポワロは、ジェーン・ウィルキンスンのメイドであるエリス(Ellis)に対して、カーロッタ・アダムズが妹のルシー・アダムズ宛に送った手紙を見せ、カーロッタ・アダムズのフラットにあった鼻眼鏡を渡し、内容を読ませる実験を行っている。

<原作>

ジェーン・ウィルキンスンの不在中、彼女が滞在しているサヴォイホテル(Savoy Hotel → 2016年6月12日付ブログで紹介済)から、彼女のメイドであるエリスを、ポワロはホワイトヘイヴンマンションズへ呼び出す。

ポワロは、誤ったふりをして、暖炉の上の棚に置かれた薔薇の花瓶をひっくり返して、エリスの頭や顔に水をかけてしまう。そのどさくさの最中に、ポワロは、エリスがかけていた鼻眼鏡を、カーロッタ・アダムズのハンドバッグに入っていた鼻眼鏡と入れ替える実験を行っている。

鼻眼鏡を入れ替えられたエリスは、何の問題もなく、ポワロのフラットから帰って行った。


(30)

<原作>

ポワロが真相を解明する場面には、


*ヘイスティングス大尉

*ジャップ警部


*ブライアン・マーティン

*ジュヌヴィエーヴ・ドライヴァー


が出席する。

なお、場所は、ホワイトヘイヴンマンションズである。

<英国 TV ドラマ版>

ポワロが真相を解明する場面には、


*ヘイスティングス大尉

*ジャップ主任警部

*ミス・レモン


*ジェーン・ウィルキンスン

*マートン公爵


*ジェラルディン・マーシュ

*ロナルド・ロス

*ミス・キャロル


*ペニー・ドライヴァー

*ブライアン・マーティン


と、生存している事件の関係者が全員出席している。

なお、場所は、おそらく、劇場である。


(31)

<原作>

前エッジウェア卿が殺害される要因として、ポワロは、「マートン公爵家は代々英国国教会の大立者であり、たとえ離婚したとしても、前夫が生きている女性と結婚することは、夢想だにできない。」と述べている。

<英国 TV ドラマ版>

前エッジウェア卿が殺害される要因として、ポワロは、「マートン公爵は、カトリック教であり、離婚した女性とは結婚できない。」と述べている。

また、マートン公爵がカトリック教徒であることが判った理由として、ポワロは、「マートン公爵は、ウェストミンスター寺院(Westminster Abbey)ではなく、ウェストミンスター大聖堂(Westminster Cathedral)において、ジェーン・ウィルキンスンとの結婚式を行う予定だったから。」と説明している。


(32)

<英国 TV ドラマ版>

事件が無事解決した後、ポワロは、ヘイスティングス大尉に対して、小切手を手渡す。それは、マートン公爵がヘイスティングス大尉宛に振り出された小切手だった。

ポワロによると、当初、マートン公爵は、感謝の意図して、ポワロ宛に小切手を振り出そうとしたが、ポワロが、マートン公爵に対して、ヘイスティングス大尉宛の小切手を依頼した、とのこと。

それは、ヘイスティングス大尉が呟いた「The other way round.」と言う一言が、ポワロにとって、事件解明の非常に重要なヒントとなったからであった。

物語の冒頭部分で、ヘイスティングス大尉は、


*アルゼンチンにおいて、Pampas de Fernandez Consolidated Railway に全額を投資したものの、鉄道の施設がうまく行かず、投資が失敗し、全額を失ったこと

*牧場を売却するため、彼の妻は現地にまだ残っていること

*ヘイスティングス大尉夫妻は、アルゼンチンから英国へ戻る計画であること

*ヘイスティングス大尉は、住居を探すために、先に帰国した次第で、住居を探す間、ピカデリーパレスホテルに宿泊する予定であること


と述べていたが、マートン公爵が振り出した高額の小切手を、ヘイスティングス大尉は、英国で住居を探すための費用に充当することが可能となったのである。

ポワロの説明を受けて、非常に喜ぶヘイスティングス大尉であったが、ジャップ主任警部が、ヘイスティングス大尉に対して、冗談で新たな投資話を持ち掛けるところで、物語は終わりを迎える。

<原作>

原作の場合、処刑後に犯人からポワロ宛に送られた手記の写しの内容を、ヘイスティングス大尉が述べるところで、物語は終わりを迎えているので、英国 TV ドラマ版のような結末は描かれていない。


2025年4月3日木曜日

アガサ・クリスティー作「エッジウェア卿の死」<英国 TV ドラマ版>(Lord Edgware Dies by Agatha Christie )- その5

日本の株式会社 早川書房から現在出版されている
クリスティー文庫7「エッジウェア卿の死」の表紙
 < Photograph : CORBIS / amana images
Cover Design : Hayakawa Design >


英国の TV 会社 ITV 社による制作の下、「Agatha Christie’s Poirot」の第47話(第7シリーズ)として、2000年1月19日に放映されたアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「エッジウェア卿の死(Lord Edgware Dies)」(1933年)のTV ドラマ版の場合、原作対比、以下のような差異が見受けられる。


(16)

<原作>

スローンスクエア(Sloane Square)のローズデューマンションに部屋を借りている女芸人であるカーロッタ・アダムズ(Carlotta Adams)がヴェロナール(Veronal)の過剰摂取により死亡しているのが発見された後、割合と早い段階で、エルキュール・ポワロとアーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings)の2人は、


*リージェントゲート(Regent Gate → 2025年3月23日付ブログで紹介済)にある邸の書斎で刺殺されたエッジウェア卿(Lord Edgware)と先妻の娘であるジェラルディン・マーシュ(Geraldine Marsh)

*エッジウェア卿の甥であるロナルド・マーシュ(Ronald Marsh)


と別個に会って、事情聴取をしている。


カーロッタ・アダムズが住むフラットとして、
アディスランドコート(Addisland Court → 2016年2月7日付ブログで紹介済)が
撮影に使用されている。


<英国 TV ドラマ版>

ポワロとヘイスティングス大尉の2人は、事情聴取のために、ジェラルディン・マーシュ / ロナルド・マーシュと個別に会うのは、物語の後半以降であるし、2人と一緒に会っている。

ただし、ポワロがホワイトヘイヴンマンションズ(Whitehaven Mansions)を不在にしている間、ヘイスティングス大尉、ミス・フェリシティー・レモン(Miss Felicity Lemon)とスコットランドヤードのジャップ主任警部(Chief Inspector Japp)の3人が、


*ロナルド・マーシュ:多額の借金を抱えている / エッジウェア卿のタイトルを狙っている。

*ジェラルディン・マーシュ:エッジウェア卿に離婚された後、失意のうちに亡くなった母親のことで、エッジウェア卿のことを恨んでいる。


と言う話をしている。


(17)

<英国 TV ドラマ版>

マウントストリートガーデンズ(Mount Street Gardens → 2016年5月1日付ブログで紹介済)内を散歩しながら、ポワロは、エッジウェア卿の妻で、舞台女優であるジェーン・ウィルキンスン(Jane Wilkinson)から、


*夫であるエッジウェア卿と不仲になった後、映画俳優のブライアン・マーティン(Bryan Martin)とは、恋愛関係にあったこと

*マートン公爵(Duke of Merton)とは、結婚を考えていること


を告げられる。


ポワロとジェーン・ウィルキンスンが外で個別に会う場所として、
マウントストリートガーデンズが撮影に使用されている。


<原作>

原作には、このような場面はない。


(18)

<英国 TV ドラマ版>

ポワロ、ヘイスティングス大尉とジャップ主任警部の3人は、エッジウェア卿の秘書ミス・キャロル(Miss Carroll)によって、リージェントゲートのエッジウェア卿邸へと呼び出される。

彼女によると、エッジウェア卿が書斎の金庫内に保管していたフランスフラン紙幣(→ フランスの美術品の買付のために使用する予定だった)が失くなっていること、また、エッジウェア卿の執事アルトン(Alton)が行方不明になっていることを告げられる。


リージェンツパーク内に設置されている
リージェンツパークの俯瞰地図


<原作>

原作には、このような場面はない。


(19)

<英国 TV ドラマ版>

カーロッタ・アダムズの妹であるルシー・アダムズ(Lucie Adams)が、カーロッタ・アダムズのフラットを訪ねて来る。対応に出て来たカーロッタ・アダムズのメイドであるアリス(Alice)から、カーロッタ・アダムズが亡くなったことを告げられる。

<原作>

原作の場合、カーロッタ・アダムズの妹であるルシー・アダムズは米国に居て、ポワロとは手紙のやりとりを行うのみで、英国を訪れることはない。


(20)

<英国 TV ドラマ版>

ポワロとヘイスティングス大尉の2人は、カーロッタ・アダムズの友人であるペニー・ドライヴァー(Penny Driver )が営む帽子店へ呼び出される。

帽子店の上階に、カーロッタ・アダムズの妹ルシー・アダムズが居た。ポワロとヘイスティングス大尉は、ルシー・アダムズから、「姉(カーロッタ・アダムズ)から受け取った手紙の中で、姉は2千ドルで仕事を請け負った話をしている。また、その仕事は、劇場のプロデューサー(theatrical producer)であるロナルド・マーシュから依頼された。」との話を聞く。


ペニー・ドライヴァーが営む帽子店として、
デュークスロード(Duke's Road → 2017年6月18日付ブログで紹介済)沿いに建つ建物が
撮影に使用されている。


<原作>

カーロッタ・アダムズがヴェロナールの過剰摂取により亡くなった後、ポワロとヘイスティングス大尉の2人は、カーロッタ・アダムズの友人であるジュヌヴィエーヴ・ドライヴァー(Genevieve Driver / 愛称:ジェニー(Jenny))が経営する帽子店を訪れ、カーロッタ・アダムズの妹ルシー・アダムズからではなく、ジュヌヴィエーヴ・ドライヴァー本人から、「カーロッタ・アダムズが、ジェーン・ウィルキンスンの身代わりを務める仕事を請け負った」話を聞いている。


(21)

<英国 TV ドラマ版>

ポワロ、ヘイスティングス大尉とジャップ主任警部の3人は、ジェラルディン・マーシュ / ロナルド・マーシュと会い、彼らから「エッジウェア卿が刺殺された当夜、早急にお金が必要だったので、ロイヤルオペラハウス(Royal Opera House → 2015年8月29日付ブログで紹介済)からリージェントゲートのエッジウェア卿邸までタクシーで向かった。ジェラルディンが邸からネックレスを持って来る間、ロナルドは外で待っていた。その際、映画俳優のブライアン・マーティンがエッジウェア卿邸から出て来るのを見かけた。」と言う告白を引き出す。


ボウストリート(Bow Street)の南側から見たロイヤルオペラハウス

<原作>

エッジウェア卿が刺殺された当夜、ジェラルディン・マーシュとロナルド・マーシュの2人がロイヤルオペラハウスからリージェントゲートのエッジウェア卿邸まで向かったことについて、ポワロ達はタクシーのドライバーからの証言を得ており、ジェラルディン・マーシュ / ロナルド・マーシュから直接告白を受けた訳ではない。


(22)

<英国 TV ドラマ版>

エッジウェア卿が書斎の金庫内に保管していたフランスフラン紙幣を盗み出した執事のアルトンがブエノスアイレスへ飛行機で向かう情報が入る。

ポワロ、ヘイスティングス大尉とジャップ主任警部の3人は飛行場へと向かい、搭乗する直前のアルトンを発見。

フランスフラン紙幣が入った鞄を持って逃げ回るアルトンは、最後には、飛行場の建物の屋上から転落して死亡する。

<原作>

原作には、このような場面はない。


2025年4月2日水曜日

ミシェル・バークビー作「ベイカー街の女たち」(The House at Baker Street by Michelle Birkby)- その2

英国の Pam Macmillan 社から2016年に出版された
ミシェル・バークビー作「ベイカー街の女たち」
ペーパーバック版の裏表紙
(Cover Images : Stephen Mulcahey / Arcangel, Bjanka Kadic /
Getty Images & Shutterstock)


19歳のミス・マーサ・グレイ(Miss Martha Grey)は、おっとりとした飾らない性格で、退屈な気分を持て余していた。そんな時、彼女は、軍服に身を包んだ背の高いハンサムなヘクター・ハドスン(Hector Hudson)に出会う。2人は、お互いに一目惚れだった。そして、僅か1週間のうちに、マーサ・グレイは、ヘクター・ハドスンから結婚の申し込みを受けた。


マーサ・グレイとヘクター・ハドスンの2人は直ぐに結婚したが、半年後、兵士であるヘクター・ハドスンは、マーサ・ハドスンが見たことも聞いたこともない土地の戦場で、命を落とした。お腹に赤ちゃんが居るマーサを残したまま。


不幸中の幸いに、戦死したヘクター・ハドスンは、ロンドンに数件の家を所有しており、それらの物件が全てマーサに遺されたため、彼女が生活に困ることはなかった。なお、それらの物件の中には、ベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)の家も含まれていたのである。


無事、男の子を出産したマーサ・ハドスンは、息子と一緒に、田舎暮らしを続けたが、不幸なことは更に続いた。彼女の息子も早逝してしまったのである。


夫と息子を失ったマーサ・ハドスンは、田舎からロンドンへと移り住み、下宿の家主として、自分が所有する物件全てを管理すると、下宿人達の世話に精を出した。

年齢を重ねるに従い、ロンドン内に所有する物件を少しずつ処分した結果、最後に1軒だけが残る。それが、ベイカーストリート221B の家だった。

マーサ・ハドスンは、ベイカーストリート221B の家へ引っ越して、ここを終のすみかにしようと決める。


ある9月の雨の夜、呼び鈴を鳴らして、「空いている部屋はないですか?」と、マーサ・ハドスンの元を訪ねて来た一人の青年が居た。「世界でただ一人の諮問探偵(The only consulting detective)」と自分を呼称するシャーロック・ホームズ、その人だった。

家賃の額を心配するホームズに対して、マーサ・ハドスンは、気心の知れた友人と同居し、下宿代を分担することを勧める。その結果、ホームズが連れて来たのが、負傷してアフガニスタンから戻って来たジョン・H・ワトスン医師(Dr. John H. Watson)である。


こうして、シャーロック・ホームズ、ジョン・H・ワトスン、そして、マーサ・ハドスンと言う三つの迷える魂は出会い、互いを見出して、物語が始まった。


ホームズと一緒に、ベイカーストリート221B での同居生活を始めたワトスンは、「四つの署名(The Sign of the Four → 2017年8月12日付ブログで紹介済)を通じて出会ったメアリー・モースタン(Mary Morstan)と結婚。


そして、1889年4月のある日、ハドスン夫人は、ワトスン夫人となったメアリーと一緒に、ベイカーストリート221B の明るい地下の台所において、大きなテーブルに静かについていた。

その日、ホームズの元には、新しい依頼人がやって来ていた。それは、小柄で内気そうな若い女性だった。

実は、マーサ・ハドスンとメアリー・ワトスン(Mary Watson)の2人が居る台所の通気口は、2階にあるホームズの居間と繋がっており、通気口の蓋を開くと、ホームズの居間での会話を聞くことができたのである。マーサ・ハドスンとメアリー・ワトスンは、ホームズと新しい依頼人の会話に聞き耳を立てていた。


2025年4月1日火曜日

アガサ・クリスティー作「エッジウェア卿の死」<英国 TV ドラマ版>(Lord Edgware Dies by Agatha Christie )- その4

第47話「エッジウェア卿の死」が収録された
エルキュール・ポワロシリーズの DVD コレクション No. 5 の裏表紙(一部)-
リージェントゲート(Regent Gate → 2025年3月23日付ブログで紹介済)の邸において、
エッジウェア卿が刺殺されたことを受け、
エルキュール・ポワロ、アーサー・ヘイスティングス大尉と
スコットランドヤードのジャップ主任警部の3人が、
ジェーン・ウィルキンスンが住むフラットを訪れて、
彼女から事件当夜のことを事情聴取する場面が、これに該る。
ただし、実際の映像は、画面右側から、ポワロ、ジャップ主任警部、
そして、ヘイスティングス大尉の順番なので、
DVD コレクション No. 5 の裏表紙は、映像が反転している。


英国の TV 会社 ITV 社による制作の下、「Agatha Christie’s Poirot」の第47話(第7シリーズ)として、2000年1月19日に放映されたアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「エッジウェア卿の死(Lord Edgware Dies)」(1933年)のTV ドラマ版の場合、原作対比、以下のような差異が見受けられる。


(10)

<原作>

エルキュール・ポワロ、アーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings)とスコットランドヤードのジャップ警部(Inspector Japp)の3人は、サヴォイホテル(Savoy Hotel → 2016年6月12日付ブログで紹介済)へ向かい、同ホテルの3階の部屋に宿泊しているジェーン・ウィルキンスン(Jane Wilkinson - 米国出身の舞台女優)から、事件当夜のことを聴取する。

なお、ジェーン・ウィルキンスンの弁護士であるミスター・モクスンも、事情聴取に同席する。


サヴォイホテルの正面玄関


<英国 TV ドラマ版>

ポワロ、ヘイスティングス大尉とスコットランドヤードのジャップ主任警部(Chief Inspector Japp)の3人は、ジェーン・ウィルキンスンが住むフラットへ赴き、彼女から事件当夜のことを聴取する。

なお、ジェーン・ウィルキンスンの弁護士であるミスター・モクスンは、事情聴取に同席しない。


(11)

<原作>

ジェーン・ウィルキンスンによる事件当夜の説明は、以下の通り。

*午後8時:サヴォイホテルを出発

*途中、ピカデリーパレスホテル(Piccadilly Palace Hotel)に寄り、米国へ帰る友人のヴァン・デューセン夫人(Mrs. Van Dusen)に対して、別れの挨拶をする。

*午後8時45分頃:テムズ河(River Thames)畔のチジック地区(Chiswick → 2016年7月23日付ブログで紹介済)にあるサー・モンタギュー・コーナー(Sir Montague Corner)邸に到着し、晩餐会に出席。


筆者がチジックハウス(Chiswick House)で購入した
イングリッシュヘリテージ(English Heritage)のガイドブック


*午後11時半頃:サー・モンタギュー・コーナー邸を出て、サヴォイホテルに戻る。

なお、上記の移動については、彼女が雇っているダイムラー社の車を使用。

<英国 TV ドラマ版>

ジェーン・ウィルキンスンによる事件当夜の説明は、以下の通り。

*午後7時頃:サヴォイホテルを出発

*途中、ピカデリーパレスホテルに寄り、米国人のヴァン・デューセン夫人(174号室)と会い、20分程会談。ヴァン・デューセン夫人には、舞台劇を執筆してもらったが、あまり出来は良くなかった、との話も挿入されている。

*午後7時半:ピカデリーパレスホテルを出て、ホルボーン地区(Holborn)にあるサー・モンタギュー・コーナー(Sir Montague Corner)邸に到着し、晩餐会に出席。

*午後12時過ぎ:サー・モンタギュー・コーナー邸を出て、自分のフラットに戻る。

なお、上記の移動に関しては、タクシーを使用している。


(12)

<原作>

上記の事情聴取の際、ジェーン・ウィルキンスンは、ポワロ達に対して、サー・モンタギュー・コーナーが開催した晩餐会の時、若い俳優であるドナルド・ロス(Donald Ross)が自分の向かい側に座っていたことは話していない。

<英国 TV ドラマ版>

上記の事情聴取の際、ジェーン・ウィルキンスンは、ポワロ達に対して、サー・モンタギュー・コーナーが開催した晩餐会の時、若い劇作家であるドナルド・ロスが自分の向かい側に座っていたことを語っている。


(13)

<原作>

物語の冒頭、ジェーン・ウィルキンスンは、ポワロとヘイスティングス大尉の2人を自分が宿泊しているサヴォイホテルの3階の部屋へ誘い、そこで夫のエッジウェア卿(Lord Edgware)との離婚の段取りを依頼するとともに、マートン公爵(Duke of Merton)との再婚についても、既に言及している。

<英国 TV ドラマ版>

ポワロ、ヘイスティングス大尉とジャップ主任警部の3人が、ホルボーン地区にあるサー・モンタギュー・コーナー邸を訪れた際、サー・モンタギュー・コーナー、同夫人やロナルド・ロスから、ジェーン・ウィルキンスンとマートン公爵の結婚話を初めて聞く。


(14)

<原作>

ジェーン・ウィルキンスンが、ポワロとヘイスティングス大尉の2人を自分が宿泊しているサヴォイホテルの3階の部屋へ誘い、そこで夫のエッジウェア卿との離婚の段取りを依頼した2-3日後、映画俳優のブライアン・マーティン(Bryan Martin)がポワロの元を訪れており、その後も、数回やって来ている。

<英国 TV ドラマ版>

ポワロ、ヘイスティングス大尉とジャップ主任警部の3人がサー・モンタギュー・コーナー邸を訪れた後、ブライアン・マーティンは、ポワロの元を初めて訪れている。


アッパーアディソンガーデンズ(Upper Addison Gardens)から見た
アディスランドコート


(15)

<原作>

ポワロとヘイスティングス大尉の2人は、女芸人であるカーロッタ・アダムズ(Carlotta Adams)が住むスローンスクエア(Sloane Square)のローズデューマンションに駆け付けたところ、彼女は、ヴェロナール(Veronal)の過剰摂取により死亡していた。

なお、カーロッタ・アダムズは、2階にあることが言及されている。

<英国 TV ドラマ版>

カーロッタ・アダムズが住むフラットが、スローンスクエアに所在しているかどうかについては、言及されていない。

彼女が住むフラット名として、「アディスランドコート(Addisland Court → 2016年2月7日付ブログで紹介済)」が画面上に表示される。なお、「アディスランドコート」は実在するフラットで、ケンジントン&チェルシー王立区(Royal Borugh of Kensington and Chelsea)のケンジントン地区(Kensington)の高級住宅街内に所在している。

また、彼女の部屋は、「25号室」と画面上に表示される。


アディスランドコートの入口


2025年3月31日月曜日

アガサ・クリスティー作「エッジウェア卿の死」<英国 TV ドラマ版>(Lord Edgware Dies by Agatha Christie )- その3

日本の出版社である株式会社早川書房から以前に発行されていた
アガサ・クリスティー作「エッジウェア卿の死」の文庫版表紙
(カバーイラスト:真鍋博氏)


英国の TV 会社 ITV 社による制作の下、「Agatha Christie’s Poirot」の第47話(第7シリーズ)として、2000年1月19日に放映されたアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「エッジウェア卿の死(Lord Edgware Dies)」(1933年)のTV ドラマ版の場合、原作対比、以下のような差異が見受けられる。


(4)

<原作>

女芸人カーロッタ・アダムズ(Carlotta Adams)による舞台が終わった後、エルキュール・ポワロとアーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Artuhr Hastings)は、サヴォイホテル(Savoy Hotel → 2016年6月12日付ブログで紹介済)へと移動して、夕食をとる。


サヴォイホテルの正面玄関


サヴォイホテルのレストランにおいて夕食をしていたメンバーは、以下の通り。

*ポワロ / ヘイスティングス大尉の2人

*ジェーン・ウィルキンスン(Jane Wilkinson - 米国出身の舞台女優)/ ブライアン・マーティン(Bryan Martin - 映画俳優)/ ウィドバーン夫妻の4人

*カーロッタ・アダムズ / ドナルド・ロス(Donald Ross - 若い俳優)の2人

なお、上記の3組は、別々に食事をしている。また、ウィドバーン夫妻の2人は、物語において、重要な役割を果たしていない。

上記の夕食の途中、ブライアン・マーティンと一緒に居たジェーン・ウィルキンスンが、ポワロの席を訪れて、内密の会話を求める。

<英国 TV ドラマ版>

女芸人カーロッタ・アダムズによる舞台が終わった後、劇場において、ジェーン・ウィルキンスンが、ポワロを呼び止めて、内密の会話を求める。

更に、カーロッタ・アダムズも、ポワロの元を訪れて、食事へ誘うカーロッタ・アダムズによる誘いに基づいて、以下のメンバーが一緒に食事をする。

*ポワロ

*ヘイスティングス大尉

*ジェーン・ウィルキンスン

*ブライアン・マーティン

*カーロッタ・アダムズ

*ペニー・ドライヴァー(Penny Driver - カーロッタ・アダムズの友人 / 帽子屋を営む)

*ロナルド・マーシュ(Ronald Marsh - エッジウェア卿(Lord Edgware)の甥 / 劇場のプロデューサー(theatrical producer))

また、皆が食事をする場所は、原作のサヴォイホテルとは異なり、カーロッタ・アダムズによる舞台が行われた劇場のバーだと思われる。


(5)

<原作>

ジェーン・ウィルキンスンは、ポワロとヘイスティングス大尉の2人を自分が宿泊しているサヴォイホテルの3階の部屋へ誘い、そこで夫のエッジウェア卿との離婚の段取りを依頼する。

<英国 TV ドラマ版>

カーロッタ・アダムズ達との食事が終わった後、劇場のバーにおいて、ジェーン・ウィルキンスンは、ポワロに対して、夫のエッジウェア卿との離婚の段取りを依頼する。


(6)

<原作>

ジェーン・ウィルキンスンから「離婚話に応じない夫を説得してもらいたい。」という依頼を受けたポワロ(とヘイスティングス大尉)が、その2-3日後、リージェントゲート(Regent Gate → 2025年3月23日付ブログで紹介済)にあるエッジウェア卿の邸を訪問したところ、彼は「6ヶ月も前に、離婚に同意する旨を彼女宛に手紙で既に伝えた。」と答えるのであった。(但し、エッジウェア卿がその手紙をどこに送ったのかについては、言及されていない。)話のくい違いに納得がいかないポワロであったが、そのまま帰宅せざるを得なかった。


リージェンツパーク内に設置されている
リージェンツパークの俯瞰地図


<英国 TV ドラマ版>

ジェーン・ウィルキンスンから「離婚話に応じない夫を説得してもらいたい。」という依頼を受けたポワロ(とヘイスティングス大尉)が、リージェントゲートにあるエッジウェア卿の邸を訪問したところ、彼は「1ヶ月前に、離婚に同意する旨を彼女宛に手紙で既に伝えた。」と答えている。また、エッジウェア卿は、その手紙をジェーン・ウィルキンスンが出演している リージェンシー劇場(Regency Theatre)宛に送った旨も告げている。


(7)

<原作>

リージェントゲートのエッジウェア卿邸を出たポワロ達は、サヴォイホテルへ赴き、同ホテルに宿泊しているジェーン・ウィルキンスンに対して、「6ヶ月も前に、エッジウェア卿は、離婚に同意する旨を貴方宛に手紙で既に伝えている」旨を告げている。

しかし、ポワロから話を聞いた彼女は、「夫からそのような手紙を受け取っていない。」と答えている。

<英国 TV ドラマ版>

リージェントゲートのエッジウェア卿邸を出たポワロ達は、ジェーン・ウィルキンスンのフラットを訪れ、彼女に対して、「1ヶ月も前に、エッジウェア卿は、離婚に同意する旨を貴方宛に手紙で既に伝えている」旨を告げている。


(8)

<原作>

上記の後、物語は翌朝(6月30日の午前9時半)へと飛び、スコットランドヤードのジャップ警部(Inspector Japp)が、ポワロの元を訪れる。


チャーターハウス スクエア6-9番地 フローリンコート
(Florin Court, 6-9 Charterhouse Square → 2014年6月29日付ブログで紹介済)が、
ポワロが住むホワイトヘイヴンマンションズ(Whitehaven Mansions)として、撮影に使用されている。


ジャップ警部から、ポワロとヘイスティングス大尉の2人は、「前夜、エッジウェア卿が、リージェントゲートの自邸の書斎において、頸部を刺され、殺害された。」と知らされる。

<英国 TV ドラマ版>

原作とは異なり、英国 TV ドラマ版の場合、エッジウェア卿が、リージェントゲートの自邸の書斎において、頸部を刺され、殺害されるまでの経緯が、順番に語られる。

*ジェラルディン・マーシュ(Geraldine Marsh - エッジウェア卿の先妻の娘)が、リージェントゲートのエッジウェア卿邸を出て、ロイヤルオペラハウス(Royal Opera House → 2015年8月29日付ブログで紹介済)のオペラ観劇に出かける。


ボウストリート(Bow Street)の南側から見たロイヤルオペラハウス


*エッジウェア卿は、自邸の書斎において、秘書のミス・キャロル(Miss Carroll)から手渡された書類に署名を行う。

*ポワロ、ヘイスティングス大尉、ミス・フェリシティー・レモン(Miss Felicity Lemon)とジャップ主任警部(Chief Inspector Japp)の4人は、ポワロのフラットにおいて、ポワロが用意した食事でディナー中。

*ジェーン・ウィルキンスンは、サー・モンタギュー・コーナー(Sir Montague Corner - ロンドンのホルボーン地区(Holbron)に在住)が開催した晩餐会に出席中。食事の途中である午後9時半頃、彼女宛に電話があり、電話口へ呼び出される。

*ペニー・ドライヴァーが経営する帽子屋をブライアン・マーティンが訪れる。


そして、エッジウェア卿邸の前にある電話ボックスから女性が出て来て、エッジウェア卿邸へと向かう。


青色や緑色のレンガが鮮やかに輝くデベナムハウス
(Debenham House → 2016年2月21日付ブログで紹介済)が、
エッジウェア卿邸の外観として、撮影に使用されている。


執事のアルトン(Alton)が、玄関口で彼女を出迎え、エッジウェア卿の書斎へと案内する。秘書のミス・キャロルは、階段の上から、アルトンに案内されて、エッジウェア卿の書斎へと向かう女性を見かける。


(9)

<原作>

スコットランドヤードのジャップ警部が、ポワロの元を訪れて、ポワロとヘイスティングス大尉の2人に対して、「前夜、エッジウェア卿が、リージェントゲートの自邸の書斎において、頸部を刺され、殺害された。」と告げるが、ポワロ自身は、エッジウェア卿邸へ赴いて、エッジウェア卿の死体を調べることはしていない。

<英国 TV ドラマ版>

エッジウェア卿の刺殺体は、翌朝の8時に、執事のアルトンが発見。

スコットランドヤードのジャップ主任警部からの知らせを受けて、ポワロとヘイスティングス大尉の2人は、リージェントゲートのエッジウェア卿邸へと呼びされ、ジャップ主任警部に出迎えられる。