2025年6月6日金曜日

コナン・ドイル作「瀕死の探偵」<英国 TV ドラマ版>(The Dying Detective by Conan Doyle )- その4

英国で出版された「ストランドマガジン」
1913年12月号に掲載された挿絵(その4) -
シャーロック・ホームズによる罠にはまって、
ヴィクター・サヴィッジの殺害を認めたカルヴァートン・スミスの両手に、
スコットランドヤードのモートン警部が手錠を掛けた。
画面奥左側の人物がシャーロック・ホームズで、
画面奥右側の人物がジョン・H・ワトスン。
そして、画面手前左側の人物がカルヴァートン・スミスで、
画面手前右側の人物がモートン警部。

挿絵:ウォルター・スタンレー・パジェット
(Walter Stanley Paget:1862年ー1935年)

なお、ウォルター・スタンリー・パジェットは、
シャーロック・ホームズシリーズのうち、

第1短編集の「シャーロック・ホームズの冒険

(The Adventures of Sherlock Holmes)」(1892年)、

第2短編集の「シャーロック・ホームズの回想

(The Memoirs of Sherlock Holmes)」(1893年)、

第3短編集の「シャーロック・ホームズの帰還

(The Return of Sherlock Holmes)」(1905年)および

長編第3作目の「バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskervilles)」

「ストランドマガジン」1901年8月号から1902年4月号にかけて連載された後、

単行本化)の挿絵を担当したシドニー・エドワード・パジェット

(Sidney Edward Paget:1860年 - 1908年)の弟である。


シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、43番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1913年12月号に、また、米国の「コリアーズ ウィークリー(Collier’s Weekly)」の1913年11月22日号に掲載されたサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「瀕死の探偵(The Dying Detective → 2025年5月5日 / 5月21日付ブログで紹介済)」は、英国のグラナダテレビ(Granada Television Limited)が制作した「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」(1984年ー1994年)において、第6シリーズ(The Memoirs of Sherlock Holmes)の第2エピソード(通算では第37話)として、TV ドラマとして映像化され、英国では1994年に放映されているが、全体で50分程ある物語のうち、始まりから35分位までの間は、オリジナルの脚本になっており、コナン・ドイルの原作に到るまでの事件の経緯について、詳細に描くことで、原作に膨らみを持たせていると言える。


馬車に乗ったままで、屋敷(サマリーハウス(Somerleigh House))からの立退きを渋るアデレイド未亡人達(Adelaide Savage)のところへ、屋敷を引き継いだカルヴァートン・スミス(Culverton Smith:ヴィクター・サヴィジ(Victor Savage - アデレイド・サヴィッジの亡き夫)の従兄で、アマチュアの病理学者)が、警官2名を呼び付けて、「不法侵入者」として排除しようとする。

カルヴァートン・スミスにうまく罠に嵌められたことを嘆くアデレイド未亡人と、彼女を慰めるジョン・H・ワトスン。

ワトスン、アデレイド未亡人(Adelaide Savage)と警官2名が見守る中、シャーロック・ホームズは、屋敷から姿を出て来ないカルヴァートン・スミスに対して、大声で叫ぶ。

「お前が研究している病気が元となって、莫大な富を持つ資産家が亡くなり、お前が遺産を相続したのは、単なる偶然とは到底信じられない。お前は、必ず医学界から追放されるだろう。」と、ホームズは、高らかに宣言したのである。


その後、何者かからベーカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済) へローデシア煙草が郵送されてきて、ハドスン夫人(Mrs. Hudson)がホームズの元へ持って来る。

そして、アデレイド未亡人を励ましていたワトスンのところへ、慌てふためいたハドスン夫人が、駆け込んで来た。

「ホームズさんが瀕死の状態なんです(’Mr Holmes is dying.’)」と。


いよいよ、ここからコナン・ドイルによる原作の話が始まるのである。


<英国 TV ドラマ版>

ハドスン夫人からの話を聞いて、ワトスンが慌ててベイカーストリート221B に駆け付けると、ホームズは、毛布を掛けて、ソファーに寝ていた。

<原作>

ハドスン夫人からの話を聞いて、ワトスンが慌ててベイカーストリート221B に駆け付けると、ホームズは、シーツに覆われて、ベッドに横たわっていた。


<英国 TV ドラマ版>

慌てて駆け付けたワトスンに対して、ホームズは、「二枚貝があるならば、一枚貝もある筈だ。(If there are bi-valves, presumably there are mono-valves.)」と、うわ言のように告げる。

<原作>

コナン・ドイルの原作上、ホームズは、このような言葉は発していない。


<英国 TV ドラマ版>

また、ホームズは、ワトスンに対して、「牡蠣は、繁殖を続けている。何故、海底が全て牡蠣の塊で埋め尽くされないのか、理解できない。(Oysters, They do bread, don’t they ? I cannot think why the whole bed of the ocean is not one slid mass of oysters.)」と付け加えている。

<原作>

コナン・ドイルの原作上、ホームズがワトスンに対して言ったうわ言は、「実際のところ、何故、海底が全て牡蠣の塊で埋め尽くされないのか、理解できない。牡蠣は、あれ程繁殖力が旺盛なのに。(Indeed, I cannot think why the whole bed of the ocean is not one slid mass of oysters, so prolific the creatures seem.)」となっており、英国 TV ドラマ版におけるホームズのセリフは、若干変更されている。


<原作>

ホームズから「ロウワーバークストリート13番地(13 Lower Burke Street → 2015年5月9日付ブログで紹介済)に住むカルヴァートン・スミスを連れて来てほしい。」と頼まれたワトスンが、ベーカーストリート221B から外へ出て、辻馬車を読んでいると、そこでスコットランドヤードのモートン警部(Inspector Morton)に出会う。

<英国 TV ドラマ版>

英国 TV ドラマ版の場合、このような場面はない。


<原作>

カルヴァートン・スミスが住むロウワーバークストリート13番地は、ノッティングヒル(Notting Hill)地区とケンジントン地区(Kensington)の間辺りに所在していると言う記述がある。

<英国 TV ドラマ版>

カルヴァートン・スミスは、先代から相続したサマリーハウスに住んでいるが、この屋敷がどこにあるのかについては、物語上、言及されていない。


<原作>

カルヴァートン・スミスの屋敷から、先にベーカーストリート221B へと戻ったワトスンに対して、ホームズは、「カルヴァートン・スミスが来る前に、隠れるんだ。」と急きたてられて、ホームズが横たわるベッドの頭のところにある隙間(’There is just room behind the head of my bed, Watson.’)に姿を隠す。

<英国 TV ドラマ版>

カルヴァートン・スミスの屋敷から、先にベーカーストリート221B へと戻ったワトスンに対して、ホームズは、「カルヴァートン・スミスが来る前に、隠れるんだ。」と急きたてられて、窓の横にあるカーテンの陰に姿を隠す。


<英国 TV ドラマ版>

ベーカーストリート221B へとやって来たカルヴァートン・スミスは、ソファーに横たわるホームズに対して、従弟であるヴィクター・サヴィッジの殺害方法を明かす。

「ロザーハイズ(Rotherhithe - テムズ河(River Thames)の南岸)にある阿片窟で、菌を持つ蚊をヴィクター(・サヴィッジ)の首にとまらせて、感染させた。(I put an infected mosquito to his neck while he was in a opiate stupor.)」と。

<原作>

コナン・ドイルの原作上、このような場面はない。


<英国 TV ドラマ版>

また、カルヴァートン・スミスは、ホームズに対して、ホームズにも菌を感染させた方法を明かす。

「(ホームズ宛に送った)ローデシア煙草入れの小箱に仕込んだ鋲だ。」と。

<原作>

コナン・ドイルの原作の場合、カルヴァートン・スミスがホームズ宛に送った小さな白黒の象牙の箱(a small black and white ivory box with a sliding lid)に仕込まれた鋭いバネ(a sharp spring)が、その手段となる。


英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、
2022年に発行されたシャーロック・ホームズをテーマにしたトランプのうち、
3 ♠️  象牙の箱


<英国 TV ドラマ版>

カルヴァートン・スミスが逮捕されて、事件は無事に解決。

その結果、アデレイド未亡人達は、サマリーハウスへと戻ることができた。

ヴィクター・サヴィッジとアデレイド・サヴィッジの夫妻には、マリーナ・サヴィジ(Marina Savage:姉)とジョージ・サヴィジ(George Savage:弟)の二人の子供が居たが、第三子が生まれている。

娘のマリーナ・サヴィジがワトスンに感謝の意を伝えると、ワトスンは彼女に「御礼なら、ホームズに。」と言うと、彼女は、緊張した様子で、帽子で顔を覆って寛いでいるホームズの元へと向かう。

マリーナ・サヴィジが、ホームズに手を差し出して、「心から感謝しています。(We are very grateful to you, sir.)」と告げると、ホームズは、手袋を外して、彼女の手を握り返し、「あなたのお役に立てて、光栄だ。(My previlege, Miss Savage.)」と答えたところで、物語は終わりを迎える。

<原作>

上記の場面は、英国 TV ドラマ版のオリジナルなので、コナン・ドイルの原作上、このような場面はない。


2025年6月5日木曜日

アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」<英国 TV ドラマ版>(And Then There Were None by Agatha Christie )- その1

2016年9月15日に、アガサ・クリスティー没後40周年に際して、
英国のロイヤルメール(Royal Mail)が発行した記念切手6種類のうちの
1枚である「そして誰もいなくなった」 -
デヴォン州(Devon)の沖合いに浮かぶ兵隊島(Soldier Island)を陸地から見たシーンが描かれている。
夜間のシーンで、兵隊島内に建つ屋敷の窓には、明かりが灯っている。
よく見ると、兵隊島が人間(男性?)の顔の形になっている上に、明かりが灯る屋敷の窓が目に該っている。
兵隊島の前の海に浮かぶ黄色い物には、
オーウェン夫妻の名前を略した「U. N. Owen」が逆さまに表示されている。
更に、画面の左下には、童謡「10人の子供の兵隊」の内容が、これも同様に逆さまに記載されている。
この童謡は、マザーグースの一つとして分類されるが、大元の「Ten Little Nigger Boys」は、
英国の作詞家フランク・グリーン(Frank Green)が1869年に翻案した作品のため、
「Frank Green 1869」と表示されている。


アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1939年に発表したノンシリーズ作品「そして誰もいなくなった(And Then There Were None)」は、英国の BBC(British Broadcasting Corporation)が TV ドラマとして映像化の上、2015年12月26日、12月27日および12月28日の3夜に渡って放映されている。


なお、本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第26作目に該り、彼女の作品の中でも、代表作に挙げられている。


HarperCollins Publishers 社から2009年に出ている
アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」の
グラフィックノベル版の表紙
(Cover Design and Illustration by Ms. Nina Tara)-
表紙と裏表紙の両方で、兵隊島に集まった招待客8人と召使夫婦の計10人が、
一人また一人と、正体不明の何者かによって殺害されていくことが暗示されている。


HarperCollins Publishers 社から2009年に出ている
アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」の
グラフィックノベル版の裏表紙
(Cover Design and Illustration by Ms. Nina Tara)


BBC の TV ドラマ版における主な登場人物は、以下の通り。

なお、順番は、謎のオーウェン氏(Mr. Owen)による告発順である。


(1)エドワード・ジョージ・アームストロング(Edward George Armstrong): Toby Stephens

医師で、Louisa Mary Clees(患者)を殺したと告発された。


(2)エミリー・キャロライン・ブレント(Emily Caroline Brent): Miranda Richardson

信仰心の厚い老婦人で、Beatrice Taylor(使用人の娘)を殺した告発された。


(3)ウィリアム・ヘンリー・ブロア(William Henry Blore): Burn Gorman

元巡査部長(Detective Sergeant)で、James Stephen Landor(無実の人間)を殺したと告発された。

BBC の TV ドラマ版の場合、元「巡査部長」と言う設定になっているが、アガサ・クリスティーの原作の場合、元「警部(Detective Inspector)」となっている。


(4)ヴェラ・エリザベス・クレイソーン(Vera Elizabeth Claythorne): Maeve Dermody

秘書や家庭教師を職業とする若い女性で、Cyril Ogilvie Hamilton(家庭教師をしていた子供)を殺したと告発された。


(5)フィリップ・ロンバード(Philip Lombard): Aidan Turner

元陸軍中尉で、東アフリカにおいて先住民族21人(21 men, members of an East African tribe)を殺したと告発された。


招待客が兵隊島に到着した日の晩餐会において、
謎の声(オーウェン氏)による告発により、招待客8人と召使夫婦が戦慄する場面
(HarperCollins Publishers 社から2009年に出ている
アガサ・クリスティー作「そして誰もいなくなった」のグラフィックノベル版から抜粋)


(6)ジョン・ゴードン・マッカーサー(John Gordon MacArthur): Sam Neill

退役した老将軍(General)で、Henry Richmond(妻の愛人だった部下)を殺したと告発された。


(7)アンソニー・ジェイムズ・マーストン(Anthony James Marston): Douglas Booth

遊び好きの上、生意気な青年で、John Coombes と Lucy Coombes(二人の子供)を殺したと告発された。


(8)ローレンス・ジョン・ウォーグレイヴ(Lawrence John Wargrave): Charles Dance

高名な元判事で、Edward Seton(無実の被告)を殺したと告発された。


(9)トマス・ロジャーズ(Thomas Rogers): Noah Taylor

(10)エセル・ロジャーズ(Ethel Rogers): Anna Maxwell Martin

Jennifer Brady(仕えていた老女)を殺したと告発された。 


2025年6月4日水曜日

ミシェル・バークビー作「ベイカー街の女たちと幽霊少年団」(The Women of Baker Street by Michelle Birkby)- その4

英国の Pam Macmillan 社から2017年に出版された
ミシェル・バークビー作「ベイカー街の女たちと幽霊少年団」
ペーパーバック版の内扉 -
作者であるミシェル・バークビーのサイン付き


腹部の閉塞症のために倒れて、セントバーソロミュー病院(St. Bartholomew's Hospital → 2014年6月14日付ブログで紹介済)において緊急手術を受けたハドスン夫人(Mrs. Hudson - マーサ・ハドスン(Martha Hudson))の元を、ワトスン夫人(Mrs. Watson)となったメアリー・ワトスン(Mary Watson - 旧姓:モースタン(Morstan))が、お見舞いに訪れる。何故か、帽子は歪んでいる上に、ジャケットのボタンもかけ違えているし、服と靴もちぐはぐだった。

「何か心配事でも?」と尋ねるハドスン夫人に対して、メアリー・ワトスンは、「(ベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)の)給仕のビリー(Billy)経由、ベイカーストリート不正規隊(Baker Street Irregulars)のウィギンズ(Wiggins)から聞いた話が気になっている。」と答えた。


ウィギンズによると、ロンドンの街角から、少年達が忽然と姿を消している、とのこと。また、それは、もう数年前から起きていることで、誰も不審には思っていないらしい。不思議なことに、突然に姿を消すのは、路上で生活している浮浪児だけではなく、様々な場所で発生していることだった。

最近の話で言うと、いつも交差点で働いていた掃除係の少年(crossing sweeper)が見当たらなくなったことに加えて。その数日後には、ちゃんと家があり、母親と一緒に暮らしていた別の少年も、姿を消した、とのこと。

彼ら2人は未だに帰ってこないし、行方も全く判らない。ウィギンズが方々の知り合いにあたって捜したものの、警察にも、救貧院にも居らず、彼らの足取りは全くつかめなかった。まるで、地面に飲み込まれたような姿の消し方なのだ。


ウィギンズが行き当たった噂は、もう一つあった。それは、「幽霊少年団(The Pale Boys)」のことだった。

(1)夜間だけ、街角に姿を見せる。

(2)街灯の明かりには決して近付かない。

(3)往来の激しい大通りには、足を踏み入れない。

(4)全員、青白い顔をして、闇に溶け込みそうな黒づくめの服装をしている。

(5)薄暗い道端や人気の無い路地を彷徨く。

(6)何年経っても、歳をとらないし、飲んだり食べたりもしない。

(7)彼らの姿を見た者は、死んでしまう。


まるで怪談話(ghost story)だと思ったハドスン夫人ではあったが、「手始めに、一番新しい失踪事件である交差点掃除係の少年の件について、更に聞き込みを進めてはどうか?」と助言すると、メアリー・ワトスンは、嬉しそうに笑って、帰って行った。


セントバーソロミュー病院の場合、昼間は、多くの看護婦達や見習いの看護婦達が、せわしなく動きまわっていて、誰が誰なのか、全く判らないが、夜間(午後6時以降)になると、患者を除くと、シスターのルース・ベイ(Ruth Bey)と看護婦2名(ノラ・テイラー(Nora Taylor)+1名)だけの体制となる。


英国の Pam Macmillan 社から2017年に出版された
ミシェル・バークビー作「ベイカー街の女たちと幽霊少年団」
ペーパーバック版内に付されている
セントバーソロミュー病院の特別病棟の見取り図


遠くでセントポール大聖堂(St. Paul’s Cathedral → 2018年8月18日 / 8月25日 / 9月1日付ブログで紹介済)の時計の鐘が午前3時を知らせた時、サラ・マローン(Sarah Malone - ハドスン夫人の左側に居る患者 / かなり深刻な容体で、死期が迫っている / 始終ぶつぶつと何かを呟いている)が、うわごとめいた叫び声をあげて、「告解」を求めた。

夜中にカトリックの司祭を呼ぶことは無理だったため、ミランダ・ローガン(Miranda Logan - ハドスン夫人の右側に居る患者 / 過労と貧血を理由に入院中 / ほとんど誰とも口をきかない / 派手なガウン姿で、ベッドに起き上がり、新聞をずーっと読んでいる)が、手伝いを申し出る。

ミランダ・ローガンが手をとる中、サラ・マローンが、小さな声で「告解」を始めた。そして、セントポール大聖堂の時計が午前3時15分を告げる頃、サラ・マローンは力尽きたようにぐったりと横たわった。


セントバーソロミュー病院に入院して3日の夜、ハドスン夫人は、入院初日の晩に続く2つ目の死に遭遇したのである。


それから数日後の夜、ハドスン夫人は、消灯後、眠りに落ちたが、午前3時頃、悪夢に襲われて、目が覚めた。目が覚めたものの、何故か、身体が全く動かず、また、助けを呼ぼうにも声も出なかった。

すると、入院初日の晩と全く同じことが起きる。

病室の隅の黒いかたまりから、人の形をしたものがすうっと出て来たのだ。そして、エマ・フォーダイス(Emma Fordyce - ミランダ・ローガンの正面に居る患者 / 歳を召していて、あちこち悪いところがあるみたいだが、老いを楽しんでいる様子 / 過去に非凡な面白い体験をしていて、思い出話を他の人に聞かせるのが大好き)が眠るベッドの側に立った。

その時、エマ・フォーダイスが目を覚まして、はっと息をのんだ後、悲鳴を上げようとしたが、その人影は、いきなり側にあった枕を掴むと、彼女の顔に押し付けた。エマ・フォーダイスは激しく暴れた、次第に抵抗が弱くなり、最後は、ぐったりとして動かなくなった。


ハドスン夫人は、入院初日に続き、2つ目の殺人現場を目撃したことになる。


エマ・フォーダイスを殺害した人影は、暫くの間、彼女の様子を窺っていたが、急に後ろを振り向くと、ハドスン夫人の方を見つめた。そして、その人影は、足音もなく、ハドスン夫人のベッドの方へと近づいて来たのである。ハドスン夫人は、思わず、目をつぶった。

その時、ノラ・テイラー看護婦が特別病棟へと戻って来る軽快な足音が聞こえる。そして、特別病棟内のベッドを順番に移動して、患者の様子を確認し始めるが、エマ・フォーダイスのベッドで足を止めると、短い悲鳴を上げた。

そして、ハドスン夫人が目を開けると、エマ・フォーダイスを殺害した人影は、既に消え去っていたのである。


実は、エマ・フォーダイスは、若い頃、王侯貴族をお相手する有名な高級娼婦だったことが判る。彼女の口が堅く、当時の事情が外に漏れたことは、今まで一度もなかった。当時の醜聞がエマ・フォーダイスの口から公になることを恐れた誰かが、彼女の殺害を指示したのであろうか?


一方で、ウィギンズやビリー達の手助けを受けつつ、「幽霊少年団」の調査を進めるメアリー・ワトスン。

ハドスン夫人が遭遇した2つの殺人事件とメアリー・ワトスンが調べている「幽霊少年団」の話は、やがて一つに繋がるのであった。


2025年6月3日火曜日

ロンドン サー・ジョン・ソーンズ博物館(Sir John Soane’s Museum)- その3

サー・ジョン・ソーンズ博物館内の「South Drawing Room」-
窓が大きくとられていて、自然光が多く入り、室内が非常に明るい。


米国のペンシルヴェニア州(Pennsylvania)に出生して、英国人のクラリス・クルーヴス(Clarice Cleaves)との結婚後、1932年から1946年にかけて英国のブリストル(Bristol)に居を構えていた米国の推理作家で、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)が1935年に発表した推理小説で、ギディオン・フェル博士(Dr. Gideon Fell)が登場するシリーズ第5作目に該る「死時計(Death-Watch → 2025年4月30日 / 5月4日付ブログで紹介済)」において言及される「サー・ジョン・ソーンズ博物館(Sir John Soane’s Museum)」は、リンカーンズ・イン・フィールズ(Lincoln’s Inn Fileds → 2016年7月3日付ブログで紹介済)に面して建っている博物館で、英国の古典主義を代表する建築家で、1788年にロバート・テイラー(Robert Taylor:1714年ー1788年)の後を継いで、イングランド銀行(Bank of England → 2015年6月21日 / 6月28日付ブログで紹介済)の建築家に就任し、その後、1833年まで45年間にわたり、その任を務めたサー・ジョン・ソーン(Sir John Soane:1753年ー1837年)の邸宅兼スタジオを使用しており、彼が手掛けた建築に関する素描、図面や建築模型、更に、彼が収集した絵画や骨董品等を所蔵している。




今回は、博物館の内部について述べたいと思う。




博物館内部の設計および内装も、建築家サー・ジョン・ソーンの思想を反映する建築美術作品となっている。




その特徴として挙げられるのは、数多く設けられた採光用の天窓、窓や多彩な色合いのガラスで、これらに通して、建物の内部には自然光が満たされ、更に、各部屋に設置されている鏡により、奥行きが深められている。




その中でも特筆すべき場所は、博物館の後部に位置している採光用天窓を備えた空間で、ここはサー・ジョン・ソーンが考案したイングランド銀行(Bank of England → 2015年6月21日 / 6月28日付ブログで紹介済)ホールの独創的な採光技術を示すミニチュア版とも言える。


サー・ジョン・ソーンズ博物館後部に位置している採光用天窓を備えた空間(その1)


サー・ジョン・ソーンズ博物館後部に位置している採光用天窓を備えた空間(その2)


サー・ジョン・ソーンズ博物館後部に位置している採光用天窓を備えた空間(その3)


サー・ジョン・ソーンズ博物館後部に位置している採光用天窓を備えた空間(その4)


サー・ジョン・ソーンズ博物館後部に位置している採光用天窓を備えた空間(その5)

博物館の内部には、異なる内装の部屋が数多く設けられており、朝食用食堂(Breakfast Parlour)には、凸面鏡が嵌め込まれた半球形のドーム天井があり、世界中の建築家に影響を与えている。

ゴシック様式の影響を反映した図書室は、鮮やかな「ポンペイの赤」で装飾されている。


サー・ジョン・ソーンズ博物館で購入した絵葉書
「Breakfast Parlour - Vie South」
(Photo : Derry Moore)

サー・ジョン・ソーンズ博物館で購入した絵葉書
「Library-Dining Room - View of the East Side」
(Photo : Derry Moore)

サー・ジョン・ソーンズ博物館で購入した絵葉書
「Monk's Parlour」
(Photo : Martin Charles)

サー・ジョン・ソーンズ博物館で購入した絵葉書
「South Drawing Room - View East」
(Photo : Derry Moore)

サー・ジョン・ソーンズ博物館で購入した絵葉書
「The Model Rom in Soane's Private Apartments」
(Photo : Gareth Gardner)

博物館の内部に2つある中庭であるモニュメントコート(Monument Court - 古典主義様式を反映)とモンクスヤード(Monk’s Yard - ゴシック様式を反映)には、建築物の断片が多数所蔵 / 展示されている。


2025年6月2日月曜日

コナン・ドイル作「瀕死の探偵」<英国 TV ドラマ版>(The Dying Detective by Conan Doyle )- その3

ジェレミー・ブレットがシャーロック・ホームズとして主演した
英国のグラナダテレビ制作「シャーロック・ホームズの冒険」の
DVD コンプリートボックス2巻目の内表紙


シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、43番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1913年12月号に、また、米国の「コリアーズ ウィークリー(Collier’s Weekly)」の1913年11月22日号に掲載されたサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「瀕死の探偵(The Dying Detective → 2025年5月5日 / 5月21日付ブログで紹介済)」は、英国のグラナダテレビ(Granada Television Limited)が制作した「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」(1984年ー1994年)において、第6シリーズ(The Memoirs of Sherlock Holmes)の第2エピソード(通算では第37話)として、TV ドラマとして映像化され、英国では1994年に放映されているが、全体で50分程ある物語のうち、始まりから35分位までの間は、オリジナルの脚本になっており、コナン・ドイルの原作に到るまでの事件の経緯について、詳細に描くことで、原作に膨らみを持たせていると言える。


シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの2人は、ヴィクター・サヴィジ(Victor Savage)/ アデレイド・サヴィジ(Adelaide Savage)に招待されて、サマリーハウス(Somerleigh House)での晩餐会に出席するが、晩餐会がおわった後の男性陣によるカーペット滑りの余興中、招待主であるヴィクター・サヴィジが、突然倒れたため、馬車に乗せられて、病院へと運ばれるものの、数日後に亡くなってしまう。


ヴィクター・サヴィジの死後に病院を訪れたホームズに対して、カルヴァートン・スミス(Culverton Smith:ヴィクター・サヴィジの従兄で、アマチュアの病理学者)は、「ヴィクター(・サヴィジ)の死因となった病名は、スマトラ病で、ロザーハイズ(Rotherhithe - テムズ河(River Thames)南岸)の阿片窟で感染したのではないか?」と告げた。


ヴィクター・サヴィジの死去に伴い、屋敷(サマリーハウス)を含む遺産の全ては、先代(サー・バーナード(Sir Bernard))の遺言により、ヴィクターの従兄であるカルヴァートン・スミスのものとなり、未亡人となったアデレイド・サヴィジは、子供達2人(娘+息子)と一緒に、住んでいた屋敷から追い出されることになる。

ヴィクター・サヴィジの弁護士であるチャールズ・ダーマント(Charles Damant)は、ヴィクターに対して、先代の遺言を書き直すように何度も説得していたが、まだ若かったヴィクターが遺言を書き換えようとしなかったことが、アデレイド未亡人達が遺産を相続できなかった要因だった。


アデレイド未亡人の依頼を受けて、ヴィクター・サヴィジの死因調査に乗り出したホームズは、ベーカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)にベーカーストリート不正規隊(Baker Street Irregulars)3人を呼び出して、お金を渡すと、ヴィクター・サヴィジが通ったロザーハイズの阿片窟を探し出すよう、指示を与えた。


それに並行して、ホームズは、ヴィクター・サヴィジの検死を行ったペンローズ・フィッシャー(Penrose Fisher)の元を訪れる。

ホームズがペンローズ・フィッシャーに、ヴィクター・サヴィジの死因となったスマトラ病の感染経路を確認すると、「虫刺されの傷しかなかった。(I did find an insect bite, but no other puncture of the skin.)」と知らされた。


そんな中、ベーカーストリート不正規隊3人が、ジョン・ゲッドグレイヴ(John Gedgrave)なる人物を見事に探し出した。

ヴィクター・サヴィジは、ジョン・ゲッドグレイヴに誘われて、阿片窟を訪れ、殆ど阿片中毒の状態になりかけていたのである。

ジョン・ゲッドグレイヴによると、「阿片の良い店を知りたいと言う新聞広告を通じて、ヴィクター・サヴィジと知り合ったが、貸事務所で会った広告主は、ヴィクター・サヴィジとは別の男性だった。」と証言した。


馬車に乗ったままで、屋敷(サマリーハウス)からの立退きを渋るアデレイド未亡人達のところへ、屋敷を引き継いだカルヴァートン・スミスが、警官2名を呼び付けて、「不法侵入者」として排除しようとする。

カルヴァートン・スミスにうまく罠に嵌められたことを嘆くアデレイド未亡人と、彼女を慰めるワトスン。


ワトスン、アデレイド未亡人と警官2名が見守る中、ホームズは、屋敷から姿を出て来ないカルヴァートン・スミスに対して、大声で叫ぶ。

「お前が研究している病気が元となって、莫大な富を持つ資産家が亡くなり、お前が遺産を相続したのは、単なる偶然とは到底信じられない。お前は、必ず医学界から追放されるだろう。」と、ホームズは、高らかに宣言したのである。


その後、何者かからベーカーストリート221B へローデシア煙草が郵送されてきて、ハドスン夫人がホームズの元へ持って来る。


そして、アデレイド未亡人を励ましていたワトスンのところへ、慌てふためいたハドスン夫人が、駆け込んで来た。

「ホームズさんが瀕死の状態なんです(’Mr Holmes is dying.’)」と。


2025年6月1日日曜日

コナン・ドイル作「瀕死の探偵」<英国 TV ドラマ版>(The Dying Detective by Conan Doyle )- その2

ジェレミー・ブレットがシャーロック・ホームズとして主演した
英国のグラナダテレビ制作「シャーロック・ホームズの冒険」の
DVD コンプリートボックス2巻目の裏表紙


シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、43番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1913年12月号に、また、米国の「コリアーズ ウィークリー(Collier’s Weekly)」の1913年11月22日号に掲載されたサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「瀕死の探偵(The Dying Detective → 2025年5月5日 / 5月21日付ブログで紹介済)」は、英国のグラナダテレビ(Granada Television Limited)が制作した「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」(1984年ー1994年)において、第6シリーズ(The Memoirs of Sherlock Holmes)の第2エピソード(通算では第37話)として、TV ドラマとして映像化され、英国では1994年に放映されている。


コナン・ドイルの原作の場合、物語は次のようにして始まる。

ジョン・H・ワトスンが結婚し、シャーロック・ホームズとの共同生活を解消してから、2年が経過していた。

11月の霧がかかって薄暗い午後、ベーカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)の家主であるハドスン夫人(Mrs. Hudson)が、ワトスンの家を訪れる。

ハドスン夫人曰く、ホームズが何か訳の分からない病に罹患して、「ここ3日間でどんどん衰弱して、瀕死の状態なのだ(’He’s dying, Dr Watson.’)。」と言う。更に、今朝、ハドスン夫人が「ホームズさんの許可があろうとなかろうと、今直ぐ、医者を呼びに行く。」と告げると、ホームズは、「それじゃ、ワトスンを呼んでくれ。」と答えたのだった。



一方、グラナダテレビが製作したTV ドラマ版の場合、全体で50分程ある物語のうち、始まりから35分位までの間は、オリジナルの脚本になっており、コナン・ドイルの原作に到るまでの事件の経緯について、詳細に描くことで、原作に膨らみを持たせていると言える。


Oxford and Lombard Bank の重役であるヴィクター・サヴィジ(Victor Savage)は、仕事をそっちのけにして、詩人になることを夢見て、詩作の想像力を高めると信じ込み、阿片窟通いが続いていた。

今日もまた、ジョン・ゲッドグレイヴ(John Gedgrave)なる人物に誘われ、ヴィクター・サヴィジは阿片窟を訪れ、殆ど阿片中毒の状態になりかけていたのである。


朝起きて、夫のヴィクター・サヴィジが居ないことに、妻のアデレイド・サヴィジ(Adelaide Savage)は気付く。寝室のテーブルの上には、真珠のネックレスと「Forgive me(許してほしい)」と書かれたメモを、ヴィクター・サヴィジは残していた。

犬2頭を連れて、階下へと降りてきたアデレイド・サヴィジは、既に朝食を済ませていたカルヴァートン・スミス(Culverton Smith:アマチュア病理学者)に対して、「夫はどこへ行ったのか?」と尋ねる。カルヴァートン・スミスによる「私が関知するようなことではない。」と言う答えに、2人の間は、険悪な雰囲気となる。

コナン・ドイルの原作の場合、カルヴァートン・スミスとヴィクター・サヴィジの関係は、「伯父と甥」の関係にあったが、英国 TV ドラマ版の場合、「従兄弟同士(従兄と従弟)」と言う設定に変更されている。


結婚して、ベーカーストリート221B を離れていたワトスンが、ホームズの元を訪れる。ワトスンは、出迎えたハドスン夫人(Mrs. Hudson)に対して、「10日ぶり」だと告げている。

一方、ホームズは、自分の部屋で何かの実験中で、窓から外を覗くと、アデレイド・サヴィジがベーカーストリート221B 対岸の通りを行ったり来たりしているのが見えた。


意を決したアデレイド・サヴィジが、ホームズの元を相談に訪れた。

「銀行の重役である夫(ヴィクター・サヴィジ)が、詩人を夢見るあまり、阿片窟に入り浸るようになって、仕事への情熱が失せ、アヘン中毒になりかけている。」と、アデレイド・サヴィジは訴えるものの、当初、ホームズは「これは、ワトスンが対応すべき事件だ!」と答えて、途中だった実験に戻ろうとする。

アデレイド・サヴィジが「これは、自分の利益のために、従兄のカルヴァートン・スミスが、夫を唆しているからだ。」と言う疑いを呈すると、ホームズは途端に彼女の話に興味を示し始める。ホームズは、カルヴァートン・スミスが、東洋で医学上の重要な発見をしたことを知っていたのである。


ホームズとワトスンは、アデレイド・サヴィジに晩餐会へと招待される。

正装して、ヴィクター / アデレイド・サヴィジ夫妻のサマリーハウス(Somerleigh House)に到着した2人は、同じく晩餐会に招かれていたカルヴァートン・スミスと玄関口で邂逅し、ホームズとカルヴァートン・スミスは、早くもお互いに牽制し合った。

晩餐会には、ホームズ、ワトスンとカルヴァートン・スミスの他にも、数名が出席。

晩餐会中も、ホームズとカルヴァートン・スミスの間の牽制は続く。


晩餐会が終わり、女性陣は別室へ移動し、お喋りに興じる。

一方、男性陣はカーペット滑りの余興を始め、招待主であるヴィクター・サヴィジの番となった。ヴィクター・サヴィジは、上手い具合にカーペット滑りを行い、皆に対して勝ち誇った態度を見せたが、突然倒れてしまう。

そして、ヴィクター・サヴィジは、馬車に乗せられて、病院へと運ばれるものの、数日後に亡くなってしまったのである。


男性陣によるカーペット滑りの余興中、ホームズは、彼らから離れて、サヴィジ邸内を密かに彷徨いていた。

その時、2階の廊下において、サヴィジ夫妻の幼い娘であるマリーナ・サヴィジ(Marina Savage)が、母のアデレイド・サヴィジに対して、「ダディー(ヴィクター・サヴィジ)は、夕食前から身体の具合が悪そうだった。」と訴える。

丁度、階段のところを通りかかったホームズが、聞き耳を立てていたのである。