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チャリングクロスロード107番地に所在する フォイルズ書店の2階(1F)にある Crime Fiction の本棚(その1) |
米国のペンシルヴェニア州(Pennsylvania)に出生して、英国人のクラリス・クルーヴス(Clarice Cleaves)との結婚後、1932年から1946年にかけて英国のブリストル(Bristol)に居を構えていた米国の推理作家で、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)が1935年に発表した推理小説で、ギディオン・フェル博士(Dr. Gideon Fell)が登場するシリーズ第5作目に該る「死時計(Death-Watch → 2025年4月30日 / 5月4日付ブログで紹介済)」におて言及される「フォイルズ書店(Foyles - 正式名称:W & G Foyle Ltd.)」は、ロンドン市内に実在する老舗書店で、公務員試験に通らなかったウィリアム・アルフレッド・ウェストロップ・フォイル(William Alfred Westropp Foyle:1885年ー1963年)と弟のギルバート・フォイル(Gilbert Foyle)の2人が、大量に持っていた受験用の教科書を売りに出したところ、在庫以上の注文を受けることがキッカケとなり、1903年に自宅で古本を販売する事業を始めたところから始まっている。
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チャリングクロスロード107番地に所在する フォイルズ書店の建物中央吹き抜け部分(その1) |
創業者の一人であるウィリアム・フォイルの娘クリスティーナ・アグネス・リリアン・フォイル(Christina Agnes Lilian Foyle:1911年ー1999年)が、1945年にフォイルズ書店のオーナーとなり、同書店の舵取りを担った。
彼女は、フォイルズ書店のオーナーに就任する前の1930年10月より、作家やゲスト等を招いて、文学を議論する昼食会(luncheon)を開催したことで知られており、これは今日まで続いている。
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チャリングクロスロード107番地に所在する フォイルズ書店の建物中央吹き抜け部分(その2) |
一方で、新しくオーナーとなったクリスティーナ・フォイルは、近代化を拒み続け、以下のような経営姿勢を以って、書店の運営を進めた。
(1)本棚における書籍の配置は、分野別や著者別ではなく、出版社別。
(2)書籍を購入する場合、三度カウンター(注文書、支払+書籍受取)に並び必要あり。
(3)電話番号を公表しているが、書店が電話をとらないことを伝えるメッセージを流すためであった。つまり、電話による書籍の注文も受け付けなかった。
(4)受け行きが悪く絶版となった書籍も、売れるまで本棚に並べ続ける。
更に、クリスティーナ・フォイルと夫のロナルド・バッティー(Ronald Batty)は、従業員を自由に解雇し、従業員達の関係は良くなかった。
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チャリングクロスロード107番地に所在する フォイルズ書店の2階(1F)にある Crime Fiction の本棚(その2) |
1999年にクリスティーナ・フォイルが死去して、書店の経営権が彼女の甥であるクリストファー・フォイル(Christopher Foyle)へ移ると、彼は前オーナーが拒み続けていた近代化に着手し、経営の効率化を進め、電子書籍の販売も始めた。
新オーナーのクリストファー・フォイルによる近代化 / 効率化にも関わらず、フォイルズ書店は、2018年9月に、Waterstones Booksellers Limited(1982年創業)に買収され、同社の傘下に入る。なお、Waterstones 社は、不フォイルズ書店のブランド名をそのまま維持。
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チャリングクロスロード107番地に所在する フォイルズ書店の2階(1F)にある Crime Fiction の本棚(その3) |
フォイルズ書店の本店は、現在、チャリングクロスロード107番地(107 Charing Cross Road)へと移っているが、ここは、ロンドン市民に限らず、有名な観光スポットになっている。

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