ビル・ブラッグ氏(Mr. Bill Bragg)が描く ミス・ジェイン・マープルシリーズの長編第4作目「予告殺人」の一場面 (筆者が購入した「アガサ・クリスティー マープル 2023年カレンダー」から抜粋) |
英国の TV 会社 ITV 社が制作したアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「「予告殺人(A Murder Is Announced → 2022年12月5日付ブログで紹介済)」(1950年)の TV ドラマ版である「Agatha Christie’s Miss Marple」の第4話(第1シリーズ)「予告殺人」の場合、アガサ・クリスティーの原作に比べると、物語の展開上、以下の違いが見受けられる。
(1)
<原作>
チッピングクレグホーン村(Chipping Cleghorn)の地元紙朝刊「ギャゼット(Gazette)」の広告欄に、非常に変わった連絡が掲載された。「殺人をお知らせ致します。10月29日の金曜日、午後6時半にリトルパドックス館においてです。(A murder is announced and will take place on Friday, October 29th, at Little Paddocks, at 6:30 pm.)」と。
チッピングクレグホーン村の郊外にあるリトルパドックス館(Little Paddocks)の女主人であるレティシア・ブラックロック(Letitia Blacklock)は、この広告を見て困惑する。一方で、当日、好奇心旺盛な村の人々が、続々とリトルパドックス館に集まって来て、何が起きるのか、とても心待ちにしていた。
<TV ドラマ版>
チッピングクレグホーン村の地元紙朝刊「ギャゼット」の広告欄に掲載された予告殺人の日時は、原作の「10月29日(金)の午後6時半」ではなく、「9月25日(金)の午後7時半」に変更されている。
そして、時計が午後6時半を告げた時、室内の明かりが突然消えると、部屋の扉が開いて、懐中電灯を持った男が姿を現した。村の人々が何かの余興だと思った時、銃声が響く。
部屋の扉が閉まり、明かりが灯ると、そこには、突然部屋に侵入して来た男の死体が横たわっていたのである。レティシア・ブラックロックの親友であるドーラ・バンナー(Dora Bunner)によると、死んでいた男は、村のホテルに勤める従業員のルディー・シャーツ(Rudi Scherz)とのこと。
警察が呼ばれ、ダーモット・クラドック警部(Inspector Dermot Craddock - 捜査主任)が、その場に居合わせた村の人々を一人ずつ調べていく。状況としては、自殺、あるいは、事故のように思われるが、クラドック警部としては、どちらにも納得がいかなかった。
(2)
<原作>
ダーモット・クラドック警部にとって非常に幸運なことに、死亡したルディー・シャーツが勤めていた村のホテルには、探偵好きな独身の老婦人ミス・ジェイン・マープルが滞在していたのである。
ミス・マープルの手腕を高く評価している警察の上層部(ジョージ・ライデスデール(George Rydesdale - 地元の警察署長(Chief Constable)で、ダーモット・クラドック警部の上司)+サー・ヘンリー・クリザリング(Sir Henry Clithering - 前警視総監で、ダーモット・クラドック警部の名付け親))から、クラドック警部は、事件の真相解明のために、ミス・マープルに協力を求めるよう、指示される。
<TV ドラマ版>
TV ドラマ版の場合、原作とは異なり、警察関係者として、ダーモット・クラドック警部しか登場しないため、原作のような展開はない。
(3)
<原作>
ダーモット・クラドック警部の事件捜査に協力することになったミス・マープルは、チッピングクレグホーン村のジュリアン・ハーモン(Julian Harmon - 牧師)とダイアナ・ハーモン(Diana Harmon - ジュリアン・ハーモンの妻)の家に滞在することになる。
<TV ドラマ版>
TV ドラマ版の場合、原作とは異なり、ジュリアン・ハーモンとダイアナ・ハーモンは登場しないため、ミス・マープルは、エイミー・マーガトロイド(Amy Murgatroyd - 養鶏業者)とリジー・ヒンチクリフ(Lizzie Hinchcliffe - 養鶏業者で、エイミー・マーガトロイドの同居人)の家に滞在することになる。エイミー・マーガトロイドが、ミス・マープルの友人の娘と言う設定になっている。
ルディー・シャーツの恋人で、地元のスパホテルのウェートレスであるマーナ・ハリス(Myrna Harris)は、ダーモット・クラドック警部とミス・マープルに対して、「ルディー・シャーツは、何者かに雇われて、リトルパドックス館に侵入する強盗犯を演じた。」と言う話をするが、残念ながら、誰がルディー・シャーツを雇ったのかは、不明だった。
その結果、この事件において、本当に命を狙われたのは、リトルパドックス館の女主人であるレティシア・ブラックロックであり、ルディー・シャーツは、その口封じのために殺されたと言う説が有力となるのであった。
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