2023年11月19日日曜日

カナレット(Canaletto)- その1

ヴェネツィア共和国の景観画家 / 版画家である
ジョヴァンニ・アントーニオ・カナレット(Giovanni antonio Canaletto:1697年ー1768年)作
「View of the Grand Canal」-
ケンブリッジ(Cambridge)のフィッツウィリアム博物館(Fitzwilliam Museum)で
筆者が購入した絵葉書から抜粋。


アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「五匹の子豚(Five Little Pigs → 2023年11月9日 / 11月13日付ブログで紹介済)」(1943年)では、エルキュール・ポワロは、カーラ・ルマルション(Carla Lemarchant)から再調査を依頼された事件(=彼女の母親カロリン・クレイル(Caroline Crale)が画家の夫アミアス・クレイル(Amyas Crale)を毒殺したと考えられている事件)の重要関係者である5人を順番に訪れて、当時の事情や経緯等を尋ねる。

ポワロが4番目にコンタクトするのは、セシリア・ウィリアムズ(Cecilia Williams - 事件当時、カロリン・クレイルの異母妹であるアンジェラ・ウォレン(Angela Warren)の家庭教師)で、ポワロがセシリア・ウィリアムズを訪れた際、彼女の部屋の壁には、数枚の絵画が架けられていた。


アガサ・クリスティーの原作には、以下のように記載されている。


The walls were distempered an ascetic pale grey, and various reproductions hung upon them. Dante meeting Beatrice on a bridge - and that picture once described by a child as a ‘blind girl sitting on an orange and called, I don’t know why, “Hope”’. There were also two watercolours of Venice and a sepia copy of Botticelli’s ‘Primavera’.


「オレンジの上に座る目隠しされた少女(blind girl sitting on an orange)」の絵画「希望(Hope)」(1886年)については、2023年6月4日付ブログで、また、「希望」を描いた英国ヴィクトリア朝時代の画家 / 彫刻家であるジョージ・フレデリック・ワッツ(George Frederic Watts:1817年ー1904年)に関しては、2023年6月12日 / 6月16日付ブログで紹介済である。


アガサ・クリスティーの原作上、「ヴェネツィアの水彩画2枚」としか記述されていないが、おそらく、カナレット(Canaletto)による絵画の複製ではないかと思われる。


カナレットの本名は、ジョヴァンニ・アントーニオ・カナール(Giovanni Antonio Canal:1697年ー1768年)で、彼は、ヴェネツィア共和国(Republic of Venice)の景観画家 / 版画家である。


ジョヴァンニ・アントーニオ・カナールは、1697年、画家 / 劇場舞台背景制作者のベルナルド・カナール(Bernardo Canal:1664年ー1744年)の子として、ヴェネツィア(Venice)に出生。

彼は、父親も画家であったことから、両者を区別するために、「小カナール(カナレット)」と呼ばれるようになった。


カナレットは、父親の下で見習いを始め、ローマにおいて、父親と一緒に、劇場舞台背景制作に携わった。

彼は、1719年にローマからヴェネツィアに戻って来た後、絵画の制作を開始した。


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