2023年11月26日日曜日

コナン・ドイル作「まだらの紐」<グラフィックノベル版>(The Speckled Band by Conan Doyle )- その2

ペトル・コプルによるグラフィックノベル版の場合、
コナン・ドイルの原作とは異なり、
シャーロック・ホームズは、一人で
事件の依頼人であるヘレン・ストーナーの訪問を受ける。
従って、ジョン・H・ワトスンは、同席していない。


チェコ共和国(Czech Republic)ヴィソチナ州トシェビーチ郡の都市トシェビーチ出身のイラストレーターであるペトル・コプル(Petr Kopl:1976年ー)によるグラフィックノベル版「まだらの紐(The Speckled Band)」の場合、サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)の原作に比べると、物語の展開上、以下の違いが見受けられる。


(1)

<原作>

原作の場合、「ボヘミアの醜聞(A Scandal in Bohemia → 2022年12月18日 / 2023年8月6日 / 8月9日 / 8月19日付ブログで紹介済)」事件は、1888年3月20日に、また、「まだらの紐」事件は、1883年4月初めに発生したと明記されている。

<グラフィックノベル版>

グラフィックノベル版の場合、1880年の冬から1881年の春にかけて発生したものと、ペトル・コプルによって設定されている。


(2)

<原作>

原作の場合、事件の依頼人であるヘレン・ストーナー(Helen Stoner - 双子の妹)が、早朝にベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)を訪れたため、午前7時15分に、ジョン・H・ワトスンは、シャーロック・ホームズに起こされる。そして、ワトスンは、ホームズと一緒に、ヘレン・ストーナーから事件の説明を受ける。

<グラフィックノベル版>

グラフィックノベル版の場合、シャーロック・ホームズは、ヘレン・ストーナーの訪問を受けて、一人でヘレン・ストーナーによる事件説明を受けている。従って、ジョン・H・ワトスンは、同席していない。その結果、サリー州(Surrey)のレザーヘッド駅(Leatherhead Station)経由、ストークモラン(Stoke Moran)へと向かう列車の中で、ワトスンは、ホームズに対して、事件の説明を求めている。


「まだらの紐」事件の事情を知らないジョン・H・ワトスンは、
サリー州のレザーヘッド駅へと向かう列車の中で、
シャーロック・ホームズに対して、説明を求めた。


(3)

<原作>

原作の場合、ヘレン・ストーナーの部屋、最初の被害者で、ヘレンの双子の姉であるジュリア・ストーナー(Julia Stoner)の部屋とグリムズビー・ロイロット博士(Dr. Grimesby Roylott - ジュリア・ストーナーとヘレン・ストーナーの義父)の部屋の3つは、全て隣り合っているという設定だったと思う。

<グラフィックノベル版>

グラフィックノベル版の場合、グリムズビー・ロイロット博士の部屋とジュリア・ストーナーの部屋の2つのみが隣り合っており、ヘレン・ストーナーの部屋だけ、別棟にあり、ゲストルームと隣り合っている設定に変更されている。


ペトル・コプルによるグラフィックノベル版の場合、
コナン・ドイルの原作とは異なり、
グリムズビー・ロイロット博士の部屋とジュリア・ストーナーの部屋は、
建物の右翼に、そして、
ヘレン・ストーナーの部屋とゲストルームは、
建物の左翼に位置している。

具体的に言うと、グリムズビー・ロイロット博士の部屋とジュリア・ストーナーの部屋は、建物の右翼にあり、ヘレン・ストーナーの部屋とゲストルームは、建物の左翼にある。


(4)

<原作>

原作の場合、ヘレン・ストーナーが辞去した後、グリムズビー・ロイロット博士がベイカーストリート221Bへと乗り込んで来て、シャーロック・ホームズとのやりとりに激怒した彼は、そこにあった火搔き棒をひん曲げてしまう。

グリムズビー・ロイロット博士がベイカーストリート221Bから出て行った後、ホームズは、グリムズビー・ロイロット博士がひん曲げた火搔き棒を、元の通り、真っ直ぐに戻してしまう。

ハドスン夫人(Mrs. Hudson)は、その場に同席していない。

<グラフィックノベル版>

グラフィックノベル版の場合、ヘレン・ストーナーが辞去した後、ベイカーストリート221Bへと乗り込んで来たグリムズビー・ロイロット博士は、シャーロック・ホームズとのやりとりに激怒して、そこにあった火搔き棒をひん曲げてしまう。


ヘレン・ストーナーが帰った後、ベイカーストリート221Bに押しかけて来た
グリムズビー・ロイロット博士は、
シャーロック・ホームズを威嚇するために、
そこにあった火搔き棒をひん曲げてしまう。


グリムズビー・ロイロット博士が出て行った後、ホームズは、調べもののために、直ぐに外出してしまう。

その場に同席したハドスン夫人は、グリムズビー・ロイロット博士がひん曲げた火搔き棒のことで、ホームズに対して、強くクレームをする。


グリムズビー・ロイロット博士がひん曲げた火搔き棒をそのままにして、
調べもののために外出したシャーロック・ホームズに対し、
ハドスン夫人は、強くクレームした。

ホームズが、グリムズビー・ロイロット博士によってひん曲げられた火搔き棒を、元の通り、真っ直ぐに戻すのは、「まだらの紐」事件が解決して、ベイカーストリート221Bへと戻った後である。


「まだらの紐」事件が解決した後、シャーロック・ホームズは、
グリムズビー・ロイロット博士がひん曲げた火搔き棒を、
元の通り、真っ直ぐに戻した。

(5)

<原作>

原作の場合、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの2人が、サリー州のレザーヘッド駅経由、ストークモランへと向かうために、列車に乗った駅は、ウォータールー駅(Waterloo Station → 2014年10月19日付ブログで紹介済)である。


ウォータールー駅の正面玄関


<グラフィックノベル版>

グラフィックノベル版の場合、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの2人が列車に乗った駅は、チャリングクロス駅(Charing Cross Station → 2014年9月20日付ブログで紹介済)へと変更されている。


チャリングクロス駅において、シャーロック・ホームズの到着を待つ
ジョン・H・ワトスン。

ストランド通り(Strand)に面しているチャリングクロス駅の正面


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