ペトル・コプルによるグラフィックノベル版の場合、 コナン・ドイルの原作とは異なり、 シャーロック・ホームズは、一人で 事件の依頼人であるヘレン・ストーナーの訪問を受ける。 従って、ジョン・H・ワトスンは、同席していない。 |
チェコ共和国(Czech Republic)ヴィソチナ州トシェビーチ郡の都市トシェビーチ出身のイラストレーターであるペトル・コプル(Petr Kopl:1976年ー)によるグラフィックノベル版「まだらの紐(The Speckled Band)」の場合、サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)の原作に比べると、物語の展開上、以下の違いが見受けられる。
(1)
<原作>
原作の場合、「ボヘミアの醜聞(A Scandal in Bohemia → 2022年12月18日 / 2023年8月6日 / 8月9日 / 8月19日付ブログで紹介済)」事件は、1888年3月20日に、また、「まだらの紐」事件は、1883年4月初めに発生したと明記されている。
<グラフィックノベル版>
グラフィックノベル版の場合、1880年の冬から1881年の春にかけて発生したものと、ペトル・コプルによって設定されている。
(2)
<原作>
原作の場合、事件の依頼人であるヘレン・ストーナー(Helen Stoner - 双子の妹)が、早朝にベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)を訪れたため、午前7時15分に、ジョン・H・ワトスンは、シャーロック・ホームズに起こされる。そして、ワトスンは、ホームズと一緒に、ヘレン・ストーナーから事件の説明を受ける。
<グラフィックノベル版>
グラフィックノベル版の場合、シャーロック・ホームズは、ヘレン・ストーナーの訪問を受けて、一人でヘレン・ストーナーによる事件説明を受けている。従って、ジョン・H・ワトスンは、同席していない。その結果、サリー州(Surrey)のレザーヘッド駅(Leatherhead Station)経由、ストークモラン(Stoke Moran)へと向かう列車の中で、ワトスンは、ホームズに対して、事件の説明を求めている。
「まだらの紐」事件の事情を知らないジョン・H・ワトスンは、 サリー州のレザーヘッド駅へと向かう列車の中で、 シャーロック・ホームズに対して、説明を求めた。 |
(3)
<原作>
原作の場合、ヘレン・ストーナーの部屋、最初の被害者で、ヘレンの双子の姉であるジュリア・ストーナー(Julia Stoner)の部屋とグリムズビー・ロイロット博士(Dr. Grimesby Roylott - ジュリア・ストーナーとヘレン・ストーナーの義父)の部屋の3つは、全て隣り合っているという設定だったと思う。
<グラフィックノベル版>
グラフィックノベル版の場合、グリムズビー・ロイロット博士の部屋とジュリア・ストーナーの部屋の2つのみが隣り合っており、ヘレン・ストーナーの部屋だけ、別棟にあり、ゲストルームと隣り合っている設定に変更されている。
ペトル・コプルによるグラフィックノベル版の場合、 コナン・ドイルの原作とは異なり、 グリムズビー・ロイロット博士の部屋とジュリア・ストーナーの部屋は、 建物の右翼に、そして、 ヘレン・ストーナーの部屋とゲストルームは、 建物の左翼に位置している。 |
具体的に言うと、グリムズビー・ロイロット博士の部屋とジュリア・ストーナーの部屋は、建物の右翼にあり、ヘレン・ストーナーの部屋とゲストルームは、建物の左翼にある。
(4)
<原作>
原作の場合、ヘレン・ストーナーが辞去した後、グリムズビー・ロイロット博士がベイカーストリート221Bへと乗り込んで来て、シャーロック・ホームズとのやりとりに激怒した彼は、そこにあった火搔き棒をひん曲げてしまう。
グリムズビー・ロイロット博士がベイカーストリート221Bから出て行った後、ホームズは、グリムズビー・ロイロット博士がひん曲げた火搔き棒を、元の通り、真っ直ぐに戻してしまう。
ハドスン夫人(Mrs. Hudson)は、その場に同席していない。
<グラフィックノベル版>
グラフィックノベル版の場合、ヘレン・ストーナーが辞去した後、ベイカーストリート221Bへと乗り込んで来たグリムズビー・ロイロット博士は、シャーロック・ホームズとのやりとりに激怒して、そこにあった火搔き棒をひん曲げてしまう。ヘレン・ストーナーが帰った後、ベイカーストリート221Bに押しかけて来た グリムズビー・ロイロット博士は、 シャーロック・ホームズを威嚇するために、 そこにあった火搔き棒をひん曲げてしまう。 |
グリムズビー・ロイロット博士が出て行った後、ホームズは、調べもののために、直ぐに外出してしまう。
その場に同席したハドスン夫人は、グリムズビー・ロイロット博士がひん曲げた火搔き棒のことで、ホームズに対して、強くクレームをする。
グリムズビー・ロイロット博士がひん曲げた火搔き棒をそのままにして、 調べもののために外出したシャーロック・ホームズに対し、 ハドスン夫人は、強くクレームした。 |
ホームズが、グリムズビー・ロイロット博士によってひん曲げられた火搔き棒を、元の通り、真っ直ぐに戻すのは、「まだらの紐」事件が解決して、ベイカーストリート221Bへと戻った後である。
「まだらの紐」事件が解決した後、シャーロック・ホームズは、 グリムズビー・ロイロット博士がひん曲げた火搔き棒を、 元の通り、真っ直ぐに戻した。 |
(5)
<原作>
原作の場合、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの2人が、サリー州のレザーヘッド駅経由、ストークモランへと向かうために、列車に乗った駅は、ウォータールー駅(Waterloo Station → 2014年10月19日付ブログで紹介済)である。
ウォータールー駅の正面玄関 |
<グラフィックノベル版>
グラフィックノベル版の場合、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの2人が列車に乗った駅は、チャリングクロス駅(Charing Cross Station → 2014年9月20日付ブログで紹介済)へと変更されている。
チャリングクロス駅において、シャーロック・ホームズの到着を待つ ジョン・H・ワトスン。 |
ストランド通り(Strand)に面しているチャリングクロス駅の正面 |
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