ロンドン塔(Tower of London → 2018年4月8日 / 4月15日 / 4月22日付ブログで紹介済)の 背後にある庭園には、 ジュリアス・シーザー(中央の人物)と彼に襲い掛かる暗殺計画のメンバー達が描かれている。 |
英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、2020年に発売されたジグソーパズル「シェイクスピアの世界(The World of Shakespeare)」には、のイラスト内には、イングランドの劇作家 / 詩人であるウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare:1564年ー1616年 → 2023年5月19日付ブログで紹介済)や彼が生きた時代の人物、彼の劇が上演されたグローブ座、そして、彼が発表した史劇、悲劇や喜劇に登場するキャラクター等が散りばめられているので、前回に続き、順番に紹介していきたい。
今回紹介するのは、ウィリアム・シェイクスピア作の政治劇 / 悲劇「ジュリアス・シーザー(The Tragedy of Julius Caesar)」(1599年)である。
ウィリアム・シェイクスピア作の政治劇 / 悲劇「ジュリアス・シーザー」では、共和政ローマ末期の永久独裁官となったガイウス・ユリウス・カエサル(Gaius Julius Caesar:紀元前100年ー紀元前44年)に対する陰謀 / 暗殺とその後が描かれている。
劇のタイトルは「ジュリアス・シーザー」となっているが、ジュリアス・シーザー(Julius Caesar)自身が主人公なのではなく、3場面だけに登場する人物に過ぎず、第3幕の初めに暗殺されてしまう。政治劇 / 悲劇「ジュリアス・シーザー」の主人公はマーカス・ブルータス(Marcus Brutus)で、ジュリアス・シーザーが独裁者へと変貌していくことを防ぐために、ケイアス・キャシアス(Caius Cassius)が主導するジュリアス・シーザー暗殺計画に参加するものの、名誉欲、愛国心と友情の間で、葛藤する。マーカス・ブルータス達によるジュリアス・シーザー暗殺計画は実現したが、ジュリアス・シーザーの右腕で、彼亡き後の三頭政治(Triumvirs)のメンバーの一人であるマーク・アントニー(Mark Antony)が、ジュリアス・シーザー暗殺のメンバー達に対して、敵意を向けるようになり、共和政ローマは、次第に内乱状態へと突入していくのである。
政治劇 / 悲劇「ジュリアス・シーザー」において、ジュリアス・シーザー暗殺計画のメンバーには、
(1)マーカス・ブルータス
(2)ケイアス・キャシアス
(3)キャスカ(Casca)
(4)ディシアス・ブルータス(Decius Brutus)
(5)メテラス・シルバ(Metellus Cimber)
(6)トレボニアス(Trebonius)
(7)ケイアス・リゲリアス(Caius Ligarius)
等が含まれるが、シグソーパズル「シェイクスピアの世界(The World of Shakespeare)」の場合、ロンドン塔(Tower of London → 2018年4月8日 / 4月15日 / 4月22日付ブログで紹介済)の背後にある庭園には、ジュリアス・シーザーと彼に襲い掛かる暗殺計画のメンバー達が描かれているが、暗殺計画のメンバーは、総勢で5名しか居ない。
ウィリアム・シェイクスピア作の政治劇 / 悲劇「ジュリアス・シーザー」が創作 / 上演された当時、イングランドとアイルランドの女王で、テューダー朝の第5代かつ最後の君主であるエリザベス1世(Elizabeth I:1533年ー1603年 在位期間:1558年-1603年)が統治していたが、高齢であるにもかかわらず、自分の後継者を指名していなかった。そのため、エリザベス1世の死後、イングランド内は内乱状態になるのではないかと言う不安が、世間に蔓延していた。
従って、多くのシェイクスピア研究家達は、ウィリアム・シェイクスピアが、政治劇 / 悲劇「ジュリアス・シーザー」を創作する上で、エリザベス朝イングランドを共和政ローマ末期になぞらえて、王権の継承にかかる当時の世間の不安を劇に反映させたものと考えている。
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