テイト・ブリテン美術館に展示されている ジョン・シンガー・サージェント作「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」 (1885年-1886年) <筆者が撮影> |
英国のヨーク(York)出身の作家で、フリーランスの編集者でもあるティム・メージャー(Tim Major)が2021年に発表した「シャーロック・ホームズ / 背中合わせの殺人(Sherlock Holmes / The Back to Front Murder → 2023年7月11日 / 7月13日付ブログで紹介済)」において、National Gallery of British Art <テイト・ブリテン美術館(Tate Britain → 2018年2月18日付ブログで紹介済)>に展示されている絵画「two young girls in nightgowns lighting paper lanterns in an overgrown garden」である「カーネーション、リリー、リリー、ローズ(Carnation, Lily, Lily, Rose → 2023年7月15日付ブログで紹介済)」(1885年-1886年)を描いたのは、米国人の画家であるジョン・シンガー・サージェント(John Singer Sargent:1856年ー1925年)で、19世紀後半から20世紀前半にかけて、主にパリとロンドンで活動した。
ジョン・シンガー・サージェントは、1883年から1884年にかけて制作して、1884年にパリのサロンに出品した肖像画「マダムXの肖像(Portrait of Madame X)」によって、スキャンダルを引き起こすことになる。
この肖像画は、当初、「…夫人の肖像」と言う題名で発表されたが、肖像画のモデルは、米国人で、フランス人銀行家であるピエール・ゴートローと結婚したヴィルジニー・アメリー・アヴェーニョ・ゴートロー(Virginie Amelie Avegno Gautreau:1859年ー1915年)だと見做された。彼女は、その露出の多い衣装や挑発的なポージングで、批判を受けていたが、この肖像画も、「人妻を描いたものとしては、品がない。」と、批評家からかなりの非難を受けたのである。
ジョン・シンガー・サージェントは、翌年の1885年に、パリを離れると、ロンドンに活動拠点を構えた。これは、「マダムXの肖像」を巡るスキャンダルから逃れるためだったと、一般的に解釈されている。
1882年からロンドンの王立芸術院(Royal Academy)に既に出品していたジョン・シンガー・サージェントは、ロンドンに活動拠点を構えると、直ぐに肖像画家としての地歩を固め、1897年に王立芸術院の正会員となっている。
肖像画家として知られた彼であったが、1907年頃から肖像画の注文を断るようになり、以降は水彩の風景画を主に描いた。
ジョン・シンガー・サージェントは、1891年にボストン公共図書館の壁画制作を始め、1916年にはボストン美術館の円形大ホールの天井画制作を請け負うと、1925年に亡くなる直前まで、制作を進めた。
ジョン・シンガー・サージェントは、1925年4月14日、ロンドンで69歳の生涯を閉じた。
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