2025年1月16日木曜日

初代レイトン男爵フレデリック・レイトン(Frederic Leighton, 1st Baron Leighton)- その3

ホーランドパークロード(Holland Park Road)の反対側から
レイトンハウス博物館の正面を見上げたところ


アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1935年に発表したミス・ジェイン・マープルシリーズ作品の短編「ミス・マープルの思い出話 / ミス・マープルは語る(Miss Marple Tells a Story → 英国の雑誌に掲載された際の原題は、「Behind Closed Doors」)で、ミス・マープルが、甥のレイモンド・ウェスト(Raymond West)と彼の妻であるジョアン・ウェスト(Joan West)に、尊敬する人物として挙げていた「Mr Frederic Leighton」は、ヴィクトリア朝時代の英国を代表する画家 / 彫刻家である初代レイトン男爵フレデリック・レイトン(Frederic Leighton, 1st Baron Leighton:1830年ー1896年)のことである。


フレデリック・レイトンは、1855年から1859年にかけて定住したパリを離れ、1860年にロンドンへ転居。

そして、彼は、ラファエル前派(Pre-Raphaelite Brotherhood - 19世紀中頃、ヴィクトリア朝に活動した美術家 / 批評家から成るグループ)との交流を始める。


中央に見えるガウアーストリート7番地(7 Gower Street)の建物が、
1848年9月、ジョン・エヴァレット・ミレー(John Everett Millais:1829年ー1896年
→ 2018年3月25日 / 4月1日 / 4月14日 / 4月21日付ブログで紹介済)が、
ウィリアム・ホルマン・ハント(William Holman Hunt:1827年ー1910年
→ 2018年5月20日 / 5月26日付ブログで紹介済)や
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ(Dante Gabriel Rossetti:1828年ー1882年
→ 2018年3月4日 / 3月11日付ブログで紹介済)達と一緒に、
「ラファエル前派」と呼ばれる芸術グループを結成した場所である。


ガウアーストリート7番地の建物外壁には、
「1848年に、ここでラファエル前派が結成された」ことを示す
プループラーク(English Heritage が管理)が架けられている。


フレデリック・レイトンは、1861年に、英国の詩人であるロバート・ブラウニング(Robert Browning:1812年ー1889年)から依頼を受けて、イタリア / フィレンシェ(Florence)にある英国人墓地(English Cemetery)にあるエリザベス・バレット・ブラウニング(Elizabeth Barrett Browning:1806年ー1861年 / 英国の詩人で、ロバート・ブラウニングの妻)の墓碑をデザインした。


フレデリック・レイトンは、1864年に、王立芸術院(Royal Academy of Arts)の会員(associate)になり、1878年から1896年まで、会長(President)に就任。


1769年に開校した王立芸術院の250周年を記念して、
英国のロイヤルメールが2019年に発行した記念切手の1枚


1878年に、ウィンザー城(Windsor Castle → 2017年10月15日 / 10月22日付ブログで紹介済)最下級勲爵士位(ナイト / knight)の称号を授けられ、1886年には、準男爵(baronet)となる。


2017年2月15日に英国のロイヤルメール(Royal Mail)から発行されたウィンザー城の記念切手 -
ラウンドタワー(Round Tower)に王室旗が掲げられている場合は、
国王 / 女王がウィンザー城に滞城していることを、
また、ラウンドタワーに英国旗が掲げられている場合は、
国王 / 女王がウィンザー城を不在にしていることを示す。


1896年の新年の受勲において、フレデリック・レイトンは、画家として、最初の貴族に叙せられる。

そして、1896年1月24日には、「ストレットンのレイトン男爵(Baron Leighton of Stretton)」の爵位を授けられたが、翌日の1月25日に、狭心症の発作のため、ロンドンのケンジントン&チェルシー王立区(Royal Borough of Kensington and Chelsea)において急死。65歳だった。

彼は生涯を通して独身だったので、僅か1日でレイトン男爵家は断絶。これは、貴族であった最短期間記録となる。


レイトンハウス博物館の入口右側にある掲示板


ロンドンのホーランドパーク地区(Holland Park)内にあったフレデリック・レイトンの邸宅は、レイトンハウス美術館(Leighton House Museum → 2016年3月6日付ブログで紹介済)となり、彼の絵画や彫刻が数多く収蔵されている。


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