マリルボーン劇場のチケットカウンター |
パークロード35番地(35 Park Road, Marylebone, London NW1 6XT)に建つルドルフ・シュタイナーハウス(Rudolf Steiner House → 2019年8月18日付ブログで紹介済)内にあるマリルボーン劇場(Marylebone Theatre - 旧ルドルフ・シュタイナー劇場(Rudolf Steiner Theatre))において、2024年11月29日(金)から2025年1月5日(日)までの1ヶ月間強、舞台劇「シャーロック・ホームズのキャロル(A Sherlock Carol)」が上演されていた。
舞台劇「シャーロック・ホームズのキャロル」上演前の舞台 |
「シャーロック・ホームズのキャロル」の場合、1891年5月、「犯罪界のナポレオン(Napoleon of crime)」と呼ばれるジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)と一緒に、スイスのマイリンゲン(Meiringen)にあるライヘンバッハの滝(Reichenbach Falls)へと姿を消したシャーロック・ホームズが、1894年4月、3年ぶりにロンドンへと帰還した同年12月のクリスマスイヴから、物語が始まる。
暗くなるロンドンの街を彷徨い歩くホームズ。彼は、未だにモリアーティー教授の幻影に取り憑かれていた。「モリアーティー教授は、ライヘンバッハの滝壺で死んだ筈だが、実際には、どこかで、もしかすると、ロンドンに居る自分の近くで、まだ生きて居るのではないか?」と。
そんな最中、路上において、ホームズは、成長して医師となったタイニー・ティム・クラチット(Dr. Tiny Tim Cratchit)に出会う。彼は、エベネーザ・スクルージ(Ebenezer Scrooge)とジェイコブ・マーレイ(Jacob Marley)が経営する事務所「スクルージ&マーレイ(Scrooge & Marley)」に、薄給で雇われていたロバート・クラチット(Robert Cratchit - 愛称:ボブ(Bob))の息子であった。
タイニー・ティム・クラチット医師は、ホームズに対して、エベネーザ・スクルージの謎の死の捜査を依頼するのであった。
舞台劇「シャーロック・ホームズと目に見えないもの」のポスター |
以前、マリルボーン劇場において、2019年7月17日(水)から同年8月18日(日)までの約1ヶ月間、舞台劇「シャーロック・ホームズと目に見えないもの(Sherlock Holmes and The Invisible Thing → 2019年8月10日 / 8月11日付ブログで紹介済)」が上演されており、筆者は2019年8月10日(土)の午後の回を観劇した。
舞台劇「シャーロック・ホームズと目に見えないもの」が上演されていたのが、夏休み期間中だったこと、また、最終週の一つ前の週の上演だったこともあり、観劇客の数は、半分にも満たなかった。
舞台劇「シャーロック・ホームズと目に見えないもの」のプログラム |
舞台劇「シャーロック・ホームズと目に見えないもの」の場合、ホームズとジョン・H・ワトスンの2人が、地元警察のピーコック警部(Inspector Peacock)に請われて、ある事件の捜査のため、ルーシー・グレンドル嬢(Miss Lucy Grendle)が住む屋敷へとやって来るところから、物語が始まる。
同席したピーコック警部によると、屋敷に隣接する湖から男性の溺死体が上がった、とのこと。複数の証人が目撃したところでは、当該男性は、自ら湖へと身を投げた訳ではなく、目に見えない何かに数回押されて、湖へと突き落とされたように見えたそうである。
そうだとすると、単なる自殺ではなく、殺人ということになる。しかし、どのような方法によれば、他の人達から見えないまま、その男性を湖へと突き落とすことができたのだろうか?
不思議な謎に挑もうとするホームズとワトスンであったが、彼らが滞在するルーシー・グレンドル嬢の屋敷内で、奇妙な音が聞こえてきたり、天井から吊り下げられた燭台が風もないにもかかわらず大きく揺れたり、また、壁に架かった絵画が突然落ちたりと、怪異な現象が何度も発生する。
一方で、ルーシー・グレンドル嬢の亡くなった父親アルフレッド・グレンドル(Alfred Grendle)には、良くない噂があり、どうやら人身売買を生業にしていたことが判ってくる。
果たして、ホームズとワトスンの二人は、この謎を解明することができるのだろうか?
上記の通り、怪異な事件にホームズが挑むのであるが、脚本の出来が今一つで、内容的にも、全く盛り上がらなかった。
舞台劇「シャーロック・ホームズのキャロル」上演後の舞台 |
今回、舞台劇「シャーロック・ホームズのキャロル」を観劇したのは、最終日である1月5日の午後1時の回で、本当の最終回は、同日の午後5時の回だった。
英国の場合、1月1日(水)だけが祝日と言う状況ではあったが、先週末まで休暇を取得している人が多いこと、また、最終日であることから、観劇客の入りは8割近かった。
舞台劇「シャーロック・ホームズのキャロル」は、(1)サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「青いガーネット(The Blue Carbuncle → 2025年1月1日 / 1月2日 / 1月3日 / 1月4日付ブログで紹介済)」(1892年)と(2)ヴィクトリア朝を代表する英国の小説家で、主に下層階級を主人公にして、弱者の視点から社会を風刺した作品を発表したチャールズ・ジョン・ハファム・ディケンズ(Charles John Huffam Dickens:1812年ー1870年)作「クリスマスキャロル(A Christmas Carol)」(1843年)の内容を取り入れつつ、展開していく。
内容的には、舞台劇「シャーロック・ホームズと目に見えないもの」に比べると、かなり良かった。ある意味、モリアーティー教授の幻影に取り憑かれたホームズにとって、「本当の復活劇」と言える。
「クリスマスキャロル」の場合、共同経営者で、7年前に亡くなった筈のジェイコブ・マーレイの亡霊が、エベネーザ・スクルージの前に姿を現す。
舞台劇「シャーロック・ホームズのキャロル」の場合も、暗くなるロンドンの街を彷徨い歩くホームズの前に、エベネーザ・スクルージの亡霊が、何度も姿を見せる。
コナン・ドイルも心霊現象に深く心酔していったように、英国人は、亡霊話や怪異話が大好きなことが、よく判った。
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