2025年1月15日水曜日

コナン・ドイル作「青いガーネット」<英国 TV ドラマ版>(The Blue Carbuncle by Conan Doyle )- その2

ジェレミー・ブレットがシャーロック・ホームズとして主演した
英国のグラナダテレビ制作「シャーロック・ホームズの冒険」の
DVD コンプリートボックス1巻目の内表紙

サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「青いガーネット(The Blue Carbuncle → 2025年1月1日 / 1月2日 / 1月3日 / 1月4日付ブログで紹介済)」は、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、7番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1892年1月号に掲載された。


コナン・ドイル作「青いガーネット」は、以下のようにして始まる。


ある年のクリスマスから2日目の朝(on the second morning after Christmas)である12月27日、ジョン・H・ワトスンがベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)を訪問すると、紫色の化粧着を着たシャーロック・ホームズは、ソファーの上で寛いでいたところだった。

ソファーの隣りに置かれた木製椅子の背もたれの角には、薄れてボロボロになった固いフェルト製帽子が掛けられていて、ホームズは拡大鏡とピンセットでこの帽子を調べていたようであった。ワトスンの問いに、ホームズは「この帽子は、退役軍人(commissionaire)のピータースン(Peterson)が置いていったものだ。」と答える。

そして、ホームズは、ワトスンに対して、トッテナムコートロード(Tottenham Court Road → 2015年8月15日付ブログで紹介済)とグッジストリート(Goodge Street → 2014年12月27日付ブログで紹介済)の角において、ピータースンがボロボロになった帽子と丸々と太った白いガチョウを手に入れることになった経緯を語り始めた。


英国のグラナダテレビ(Granada Television Limited)が制作した「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」(1984年ー1994年)において、TV ドラマとして映像化され、第1シリーズ(The Adventures of Sherlock Holmes)の第7エピソード(通算では第7話)として、英国では、1984年6月5日に放映された「青いガーネット」は、コナン・ドイル作「青いガーネット」とは全く異なる始まり方をする。

視聴者に話の筋が理解しやすいように、以下の通り、物語が時系列的に語られるのである。


(1)

宝石「青いガーネット(blue carbuncle)」の持ち主となった人達を襲った呪われた歴史(殺人や盗難等)が、まず最初に述べられる。

(2)

モーカー伯爵夫人(Countess of Morcar)が、買い物からホテルコスモポリタン(Hotel Cosmopolitan)へと戻って来る。

ホテルコスモポリタンの客室係であるジェイムズ・ライダー(James Ryder)とモーカー伯爵夫人のメイドであるキャサリン・キューサック(Catherine Cusack)の2人は、伯爵夫人の不在をいいことに、熱愛中。

一方、修理工であるジョン・ホーナー(John Honer)は、暖炉の修理中。

フロントからの電話で、伯爵夫人が戻ったことを聞いたジェイムズ・ライダーとキャサリン・キューサックは、慌てふためくが、暖炉の修理が終わったジョン・ホーナーは帰って行く。

部屋に戻った伯爵夫人の言い付けにより、キャサリン・キューサックは、入浴の準備に向かう。

伯爵夫人の叫び声を聞いて、キャサリン・キューサックとジェイムズ・ライダーが伯爵夫人の元に駆け付けると、伯爵夫人がテーブルの上に置いた宝石箱から、宝石「青いガーネット」が消え失せていた。

(3)

ジョン・ホーナーが、妻のジェニー・ホーナー(Jennie Horner - コナン・ドイルの原作には登場しない)と一緒に、ある店の窓に並ぶ商品を眺めているところに、スコットランドヤードのブラッドストリート警部(Inspector Bradstreet - コナン・ドイルの原作には登場しない)が警官を連れて現れ、宝石「青いガーネット」の盗難犯として、ジョン・ホーナーを逮捕する。

(4)

早朝、ピータースンが、ベイカーストリート221B へとやって来る。

就寝中だったホームズは、ハドスン夫人(Mrs. Hudson)に起こされ、非常に不機嫌。

ホームズは、ピータースンから、帽子とガチョウを見せられ、これらを拾った経緯について、話を聞かされた。

コナン・ドイルの原作上、明記はされていないものの、ピータースンは、拾った帽子とガチョウを持って、現場からホームズの元へ直接訪れたように思われるが、グラナダテレビ版の場合、ピータースンは、「妻と相談の上、持って来ました。」と、ホームズに話しているので、一旦、帰宅していることが判る。

なお、この際、ピータースンが帽子とガチョウを拾った場所が、「トッテナムコートロードとグッジストリートの角」であることを、彼はホームズに対して言及していない。

ピータースンから話を聞いたホームズは、帽子だけを自分の手元に置き、ガチョウについては、ピータースンに持ち帰らせた。

(5)

ホテルコスモポリタンにおいて、スコットランドヤードのブラッドストリート警部は、モーカー伯爵夫人から、捜査の状況に関して、厳しく詰問される。

(6)

ジョン・H・ワトスンが、クリスマスプレゼントを抱えて、買い物からベイカーストリート221B へと戻って来る。

コナン・ドイルの原作の場合、ワトスンは結婚して、ベイカーストリート221B から出ているが、グラナダテレビ版の場合、ベイカーストリート221B にホームズと同居している設定になっている。


ここまでの前振りを終えて、グラナダテレビ版は、コナン・ドイルの原作の冒頭に繋がるのである。


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