2025年1月18日土曜日

綾辻行人作「迷路館の殺人」<小説版>(The Labyrinth House Murders by Yukito Ayatsuji ) - その3

英国のプーシキン出版(Pushkin Press)から
2024年に刊行されている
Pushkin Vertigo シリーズの一つである
綾辻行人作「迷路館の殺人」の英訳版内に付されている
「迷路館」の見取り図 / 部屋の割当て図


1987年4月1日、推理作家界の巨匠である宮垣葉太郎(Yotaro Miyagaki:59歳)の還暦(60歳)の祝賀パーティーのために、以下の人物が、彼が住む「迷路館(The Labyrinth House)」に招かれた。


(1)宇多山英幸(Hideyuki Utayama:40歳 - 稀譚社の編集者で、宮垣葉太郎の担当者)

(2)宇多山桂子(Keiko Utayama:33歳 - 宇多山英幸の妻で、現在、妊娠中。医大卒で、以前、耳鼻咽喉科に勤務。)

(3)島田潔(Kiyoshi Shimada:37歳 - 推理小説マニアで、「十角館の殺人(The Decagon House Murders → 2023年2月21日 / 2月25日 / 3月9日 / 3月18日付ブログで紹介済)」と「水車館の殺人(The Mill House Murders → 2023年4月30日 / 5月3日 / 5月13日付ブログで紹介済)」において探偵役を務めた)


(4)清村淳一(Jyunichi Kiyomura:30歳 - 推理作家 / デビュー前、小さな劇団に所属 / 舟丘まどかとは、元夫婦)

(5)須崎昌輔(Shosuke Suzaki:41歳 - 推理作家 / 作家としての実力は高いが、非常に遅筆で、編集者から敬遠されがち / 同性愛者で、最近、林宏也を口説いている)

(6)舟丘まどか(Madoka Funaoka:30歳 - 推理作家 / デビュー当時は、美人の女流若手新人作家として持て囃されたが、その後は伸び悩んでいる / 清村淳一とは、元夫婦)

(7)林宏也(Hiroya Hayashi:27歳 - 推理作家 / 気が弱い / 最近、同性愛者の須崎昌輔から口説かれている)

(8)鮫嶋智生(Tomoo Samejima:38歳 - 評論家 / 9歳になる息子が居るが、生まれつき重度の知的障害を抱えている上に、身体があまり丈夫ではない / デビュー前は、高校の数学教師だった)


清村淳一、須崎昌輔、舟丘まどか、林宏也と鮫嶋智生の5人は、全員、宮垣葉太郎の絶賛を受け、若くして文壇にデビューしたものの、彼らの中には、現在、伸び悩んでいる者も居た。


宮垣葉太郎の出迎えを待ち侘びる8名であったが、約束の時間を過ぎても、何故か、宮垣葉太郎は姿を見せなかった。

すると、そこへ彼の秘書である井野満男(Mitsuo Ino:36歳)が現れて、


*宮垣葉太郎は、今朝、自殺したこと

*宮垣葉太郎の遺書に従い、彼の死を警察にはまだ通報していないこと


を告げる。

自殺を遂げた宮垣葉太郎は、1本のテープを遺しており、そこには、驚くべき内容が録音されていたのである。


宮垣葉太郎が遺したテープによると、


*5日後まで、秘書の井野満男と宮垣葉太郎の主治医だった黒江辰夫(Tatsuo Kuroe)の2人以外は、「迷路館」を出てはならないこと

*5日後まで、宮垣葉太郎の死を警察に通報してはならないこと

*当該5日の間に、清村淳一、須崎昌輔、舟丘まどかと林宏也の推理作家4人は、「迷路館」を舞台にして、自分が被害者となる殺人事件をメインとする推理小説を執筆しなければならないこと → 彼ら4人が執筆した推理小説が厳正に審査され、最も優れた作品を書いた者に対して、宮垣葉太郎の遺産の半分を相続する権利が与えられる。


宮垣葉太郎の遺書の内容に驚愕しつつも、巨額な遺産に目が眩んだ清村淳一、須崎昌輔、舟丘まどかと林宏也の推理作家4人は、各自、「迷路館」を舞台にして、自分が被害者となる殺人事件をテーマとする推理小説の執筆を開始。


「迷路館」内の部屋の割当ては、以下の通り。


<「迷路館」の西側>

* Polycaste:角松フミヱ(Fumie Kadomatsu:63歳 - 「迷路館」の使用人)

* Cocalus:島田潔

* Theseus:清村淳一

* Aegeus:林宏也

* Talos:須崎昌輔

* Icarus:舟丘まどか


<「迷路館」の東側>

* Europa:井野満男

* Pasiphae:鮫嶋智生

* Poseidon:宇多山英幸

* Dionysus:宇多山桂子


宮垣葉太郎の遺産を相続するべく、出入口を閉ざした「迷路館」内において、推理小説の執筆を続ける清村淳一、須崎昌輔、舟丘まどかと林宏也の推理作家4人であったが、何者かによって、彼らが書いた小説の見立て通り、次々に殺害されていくのであった。


果たして、彼ら4人を殺害した正体不明の人物は、一体、誰なのか?

「十角館の殺人」と「水車館の殺人」において探偵役を務めた島田潔が、この謎に対して挑む。


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