2025年1月17日金曜日

コナン・ドイル作「青いガーネット」<英国 TV ドラマ版>(The Blue Carbuncle by Conan Doyle )- その3

英国で出版された「ストランドマガジン」
1892年1月号に掲載された挿絵(その6) -

ヘンリー・ベイカーからの話を聞いた後、ジョン・ワトスンを伴い、

アルファイン(Ailpha Inn → 2015年12月19日付ブログで紹介済)へ赴いた

シャーロック・ホームズは、そこで主人のウィンディゲート(Windigate)から、

「問題のガチョウは、コヴェントガーデンマーケット

(Covent Garden Market → 2016年1月9日付ブログで紹介済)にある

ブレッキンリッジ(Breckinridge)の店から仕入れた」ことを聞き付ける。

そこで、ホームズとワトスンの2人は、ブレッキンリッジの店へと向かった。

ブレッキンリッジが問題のガチョウを

ブリクストンロード117番地(117 Brixton Road → 2017年7月15日付ブログで紹介済)の

オークショット夫人(Mrs. Oakshott)から仕入れたことをなんとか突き止めた

ホームズとワトスンが、ブリクストンロード117番地へと向かおうとしたところ、

見知らぬ男性が2人に近付いて来た。

彼は、ホテルコスモポリタンの客室係である

ジェイムズ・ライダー(James Ryder)だった。

画面左側から、ジェイムズ・ライダー、ジョン・H・ワトスン、

そして、シャーロック・ホームズが描かれている。

挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(Sidney Edward Paget:1860年 - 1908年)


サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「青いガーネット(The Blue Carbuncle → 2025年1月1日 / 1月2日 / 1月3日 / 1月4日付ブログで紹介済)」は、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、7番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1892年1月号に掲載された。


英国のグラナダテレビ(Granada Television Limited)が制作した「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」(1984年ー1994年)において、TV ドラマとして映像化され、第1シリーズ(The Adventures of Sherlock Holmes)の第7エピソード(通算では第7話)として、英国では、1984年6月5日に放映された「青いガーネット」の場合、コナン・ドイル作「青いガーネット」とは異なり、視聴者に話の筋が理解しやすいように、物語が時系列的に語られるのである。


(1)宝石「青いガーネット(blue carbuncle)」の持ち主となった人達を襲った呪われた歴史(殺人や盗難等)

(2)ホテルコスモポリタン(Hotel Cosmopolitan)に滞在しているモーカー伯爵夫人(Countess of Morcar)の部屋から宝石「青いガーネット」が盗まれ、部屋の暖炉の修理に来ていたジョン・ホーナー(John Honer)が逮捕される経緯

(3)早朝、退役軍人(commissionaire)のピータースン(Peterson)がベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)のホームズの元を訪れ、 帽子とガチョウを拾った出来事を語る経緯

(4)ホームズが、ピータースンにガチョウを持って帰らせ、帽子は自分の手元に残す経緯


等の物語が時系列的に語られる。


そして、ジョン・H・ワトスンが、クリスマスプレゼントを抱えて、買い物からベイカーストリート221B へと戻って来る。クリスマスプレゼントの上に載せた新聞を読みながら、ワトスンは、ホームズに対して、


(1)ホテルコスモポリタンの部屋から宝石「青いガーネット」を盗まれたモーカー伯爵夫人は、宝石を取り戻した人1千ポンドの報奨金を支払うこと

(2)スコットランドヤードのブラッドストリート警部(Inspector Bradstreet - 原作には登場しない)は、宝石「青いガーネット」を盗んだ犯人として、修理工のジョン・ホーナーを逮捕したが、彼は無実を主張していること


等を告げる。


コナン・ドイルの原作の場合、ピータースンが、割いたガチョウの腹から出てきた宝石「青いガーネット」をホームズの元へ届け出た後に、宝石「青いガーネット」盗難の経緯が語られるので、グラナダテレビ版とは異なっている。


実際、丁度そこに、ピータースンが、割いたガチョウの腹から出てきた宝石「青いガーネット」を持って、ホームズの元へ慌ててやって来る。

そこで、ホームズは、帽子とガチョウの落とし主を探すために、新聞広告を書き始め、それをピータースンに渡す。

新聞広告の文面は、以下の通り。

‘Found at the corner of Goodge Street, a goose and a black belt hat. Mr Henry Baker can have the same by applying at 6:30 at 221B Baker Street.’

上記の文面は、コナン・ドイルの原作とほぼ同じ。

ただし、ホームズがピータースンに対して、広告を依頼した新聞が、原作とグラナダテレビ版の間で、順番を含めて、やや異なっている。


<原作> 

The Globe, Star, Pall Mall, St. James’s Gazette, Evening News, Standard, Echo and any others that occur to you.

<グラナダテレビ版> 

The Globe, Star, Pall Mall, Echo, Evening News, Standard and others.


更に、ホームズは、ピータースンに対して、ヘンリー・ベイカー(Henry Baker / 宝石「青いガーネット」を飲み込んだガチョウを路上に落として行った人物)に渡すガチョウを買って来るように依頼するが、これは、原作通り。グラナダテレビ版の場合、ホームズに頼まれたワトスンがピータースンに必要なお金を渡すシーンがあるが、これはオリジナルで、原作上、このような記述はない。


グラナダテレビ版では、この後、ブラッドストリート警部が、留置場に居るジョン・ホーナーを厳しく尋問する場面が続く。


場面は、ベイカーストリート221B へと戻り、ヘンリー・ベイカーの到着を待ちながら、ワトスンが、ホームズに対して、


*宝石「青いガーネット」は、中国南部(southern China)のアモイ川(Amoy River)流域で発見されたこと

*宝石「青いガーネット」には、様々な血塗られた歴史があること

*宝石「青いガーネット」は、発見されてから、まだ20年経っていないこと


等と告げ、ホームズがそれに答えている。


コナン・ドイルの原作の場合、ワトスンがホームズに告げた内容について、逆に、ホームズ自身がワトスンに語っている。

また、原作の場合、ホームズがワトスンにそれらを語ったのは、ピータースンがベイカーストリート221B を去った後、宝石「青いガーネット」を明かりに翳しながらである。


ホームズとワトスンが話を続けていると、期待通り、午後6時半、帽子とガチョウの持ち主であるヘンリー・ベイカーが、ベイカーストリート221B のホームズの元を訪れて来る。


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