2024年12月21日土曜日

カンブリア州(Cumbria) 湖水地方(Lake District)

英国のロイヤルメール(Royal Mail)から、
2021年1月14日に発行された国立公園創設70周年の記念切手の1枚で、
1951年に国立公園に指定された湖水地方が描かれている。

英国のファンタジー / SF / 推理作家であるフィリップ・パーサー=ハラード(Philip Purser-Hallard:1971年ー)が2023年に発表した「シャーロック・ホームズ / 湖の怪物」(Sherlock Holmes / The Monster of the Mere → 2024年10月30日付ブログで紹介済)は、英国の湖水地方(Lake District)を舞台にしている。

湖水地方は、イングランド北西部のカンブリア州(Cumbria)内に所在する地域で、氷河時代の痕跡が色濃く残り、渓谷沿いに大小無数の湖が点在する風光明媚な場所である。そのため、イングランド内における有数のリゾート地 / 保養地として知られている。

約15,000年前の最終氷期に氷河が衰退した際、その氷河が削り取った跡の渓谷等に水が溜まり、多くの湖となった。

湖水地方近辺の場合、緯度が高く、平均気温が低いため、湖にならなかった場所は岩場やムーア(Moor - 背が低い草木のみが広がる土地)となり、シダ等が繁茂している。


湖水地方は、地形によって、以下の区分に分けられている。

(1)中央高原(central fells)

(2)北西高原(north western fells)

(3)西部(western fells)

(4)東部高原(eastern fells)

(5)極東高原(far eastern fells)

(6)南東高原(south eastern fells)

(7)南西高原(south western fells)

(8)中央部


湖水地方は、1951年、「湖水地方国立公園(Lake District National Park)」に指定された。

イングランド / ウェールズ内に所在する国立公園13ヶ所のうち、湖水地方国立公園は最も広大で、英国全体でも、2番目の広さを誇っている。


湖水地方の場合、第11回世界遺産委員会(1987年)と第14回世界遺産委員会(1990年)では見送られたが、第41回世界遺産委員会において、文化的景観として推薦され、2017年に世界遺産(World Heritage Site)リストに登録された。


ナショナルポートレートギャラリー(National Portrait Gallery)で
販売されている
ウィリアム・ワーズワースの肖像画の葉書
(by Benjamin Robert Haydon / chalk / 1818年 / 546 mm x 419 mm) -
ウィリアム・ワーズワースは、英国の代表的なロマン派詩人で、
湖水地方をこよなく愛した。


2016年に英国の Faber & Faber 社から出版された
ウィリアム・ワーズワース詩集の表紙
<Poems selected by Seamus Heaney>
(Series design by Faber
 / Illustration : Glenn Tomkinson
) 


湖水地方は、日本の房総半島と同じ位の面積であるが、森閑とと佇む湖と静寂 / 峻厳さを併せ持つ山々の景観が、英国の代表的なロマン派詩人で、「桂冠詩人(宮廷職で、優れた詩人に与えられる称号)」だったウィリアム・ワーズワース(William Wordsworth:1770年ー1850年 → 2024年12月10日 / 12月11日付ブログで紹介済)に霊感を与えると共に、英国の絵本作家であるヘレン・ベアトリス・ポター(Helen Beatrix Potter:1866年ー1943年)は、ここでピーターラビット(Peter Rabbit → 2024年11月7日 / 11月9日 / 11月13日 / 11月19日付ブログで紹介済)を生み出し、育んだのである。そして、今も、同地を訪れる多くの旅人達を魅了し続けている。


英国のロイヤルメール(Royal Mail)から
2016年7月28日に発行されたヘレン・ベアトリス・ポターの生誕150周年を記念した切手の1枚 -
彼女による児童書に登場する主役キャラクターであるピーターラビットが描かれている。

           

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