ノースエンドロード(North End Road)沿いに建つ Golders Green Parish Church(その1) |
アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1932年に発表したミス・ジェイン・マープル(Miss Jane Marple)シリーズ作品の短編集「ミス・マープルと13の謎(The Thirteen Problems)<米題:火曜クラブ( The Tuesday Club Murders)>」の第7話「青いゼラニウム / 青いジェラニウム(The Blue Geranium)」(1929年)において、物語の語り手を務めるアーサー・バントリー大佐(Colonel Arthur Bantry → 2024年8月14日付ブログで紹介済)の友人であるジョージ・プリチャード(George Pritchard)の妻プリチャード夫人(Mrs. Pritchard)は、気難しい半病人で、彼女を担当する看護師を次から次へと変えていた。ところが、コプリング看護師(Nurse Copling)は、他の看護師とは異なり、プリチャード夫人にうまく対処していた。
地下鉄ゴルダースグリーン駅からハムステッドヒースへと向かう ノースエンドロード(その1) |
物語上、コプリング看護婦の妹が住むと記述されているゴルダースグリーン地区(Golders Green)は、ロンドン特別区の一つであるバーネット区(London Borough of Barnet)内に属しており、ロンドンの北西部に所在している。
ゴルダースグリーン地区の北側と東側には、広大なハムステッドヒース(Hampstead Heath → 2015年4月25日付ブログで紹介済)が拡がっている。
地下鉄ゴルダースグリーン駅からハムステッドヒースへと向かう ノースエンドロード(その2) |
ゴルダースグリーン地区は、中世の郊外地域として始まる。
ゴルダースグリーン地区の「ゴルダース(Golders)」は、当該地区に住んでいた Godyere 家に因んでおり、また、「グリーン(Green)」は、当該地区内にあった荘園に因んでいる。
ノースエンドロードからウェストヒースドライヴ(West Heath Drive)へと曲がったところ |
1827年頃、ゴルダースグリーン地区内を通り、ロンドン市内からロンドンの北西部のフィンチリー地区(Finchley)へと延びるフィンチリーロード(Finchley Road)が建設されたことに伴い、ゴルダースグリーン地区は発展していく。
同じく、ノースエンドロード沿いに建つ Golders Green Hippodrome は、 以前、BBC コンサートオーケストラの本拠地だった。 |
1895年に Golders Green Jewish Cemetery(墓地)が、また、1902年に Golders Green Crematorium(火葬場)が開かれた。
1907年6月22日に、ロンドン地下鉄(London Underground)のノーザンライン(Northern Line)の駅として、ゴルダースグリーン駅(Golders Green Tube Station)がオープン。
また、1913年、地下鉄ゴルダースグリーン駅に隣接する場所に、Golders Green Hippodrome(馬術演技場)が建設され、長期間にわたって、BBC コンサートオーケストラ(BBC Concert Orchestra)の本拠地となった。
ノースエンドロード沿いに建つ Golders Green Parish Church(その2) |
ゴルダースグリーン地区の場合、現在、ユダヤ人コミュニティー、日本人コミュニティーや東アジアコミュニティー等が顕著である。
ゴルダースグリーン地区には、英国の小説家 / 脚本家であるサー・カズオ・イシグロ(Sir Kazuo Ishiguro / 日本名 - 石黒一雄:1954年ー)が住んでいる、とのこと。彼は、1954年11月8日に長崎県長崎市に生まれ、1960年に両親と一緒に英国へ移住。1989年に発表した長編小説「日の名残り(The Remains of the Day)」により、同年、英国最高の文学賞とされるブッカー賞(Booker Prize)を受賞し、2017年にはノーベル文学賞も受賞している。
0 件のコメント:
コメントを投稿