2024年12月18日水曜日

ロンドン ゴルダースグリーン地区(Golders Green)- その2

ノースエンドロード(North End Road)沿いに建つ
Golders Green Parish Church(その1)


アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1932年に発表したミス・ジェイン・マープル(Miss Jane Marple)シリーズ作品の短編集「ミス・マープルと13の謎(The Thirteen Problems)<米題:火曜クラブ( The Tuesday Club Murders)>」の第7話「青いゼラニウム / 青いジェラニウム(The Blue Geranium)」(1929年)において、物語の語り手を務めるアーサー・バントリー大佐(Colonel Arthur Bantry → 2024年8月14日付ブログで紹介済)の友人であるジョージ・プリチャード(George Pritchard)の妻プリチャード夫人(Mrs. Pritchard)は、気難しい半病人で、彼女を担当する看護師を次から次へと変えていた。ところが、コプリング看護師(Nurse Copling)は、他の看護師とは異なり、プリチャード夫人にうまく対処していた。


地下鉄ゴルダースグリーン駅からハムステッドヒースへと向かう
ノースエンドロード(その1)

物語上、コプリング看護婦の妹が住むと記述されているゴルダースグリーン地区(Golders Green)は、ロンドン特別区の一つであるバーネット区(London Borough of Barnet)内に属しており、ロンドンの北西部に所在している。

ゴルダースグリーン地区の北側と東側には、広大なハムステッドヒース(Hampstead Heath → 2015年4月25日付ブログで紹介済)が拡がっている。


地下鉄ゴルダースグリーン駅からハムステッドヒースへと向かう
ノースエンドロード(その2)

ゴルダースグリーン地区は、中世の郊外地域として始まる。

ゴルダースグリーン地区の「ゴルダース(Golders)」は、当該地区に住んでいた Godyere 家に因んでおり、また、「グリーン(Green)」は、当該地区内にあった荘園に因んでいる。


ノースエンドロードからウェストヒースドライヴ(West Heath Drive)へと曲がったところ

1827年頃、ゴルダースグリーン地区内を通り、ロンドン市内からロンドンの北西部のフィンチリー地区(Finchley)へと延びるフィンチリーロード(Finchley Road)が建設されたことに伴い、ゴルダースグリーン地区は発展していく。


同じく、ノースエンドロード沿いに建つ Golders Green Hippodrome は、
以前、BBC コンサートオーケストラの本拠地だった。

1895年に Golders Green Jewish Cemetery(墓地)が、また、1902年に Golders Green Crematorium(火葬場)が開かれた。

1907年6月22日に、ロンドン地下鉄(London Underground)のノーザンライン(Northern Line)の駅として、ゴルダースグリーン駅(Golders Green Tube Station)がオープン。

また、1913年、地下鉄ゴルダースグリーン駅に隣接する場所に、Golders Green Hippodrome(馬術演技場)が建設され、長期間にわたって、BBC コンサートオーケストラ(BBC Concert Orchestra)の本拠地となった。


ノースエンドロード沿いに建つ
Golders Green Parish Church(その2)

ゴルダースグリーン地区の場合、現在、ユダヤ人コミュニティー、日本人コミュニティーや東アジアコミュニティー等が顕著である。

ゴルダースグリーン地区には、英国の小説家 / 脚本家であるサー・カズオ・イシグロ(Sir Kazuo Ishiguro / 日本名 - 石黒一雄:1954年ー)が住んでいる、とのこと。彼は、1954年11月8日に長崎県長崎市に生まれ、1960年に両親と一緒に英国へ移住。1989年に発表した長編小説「日の名残り(The Remains of the Day)」により、同年、英国最高の文学賞とされるブッカー賞(Booker Prize)を受賞し、2017年にはノーベル文学賞も受賞している。


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