2024年1月18日木曜日

アガサ・クリスティー エルキュール・ポワロ 2024年カレンダー(Agatha Christie - Hercule Poirot - Calendar 2024)- 「ABC 殺人事件(The ABC Murders)」

ABC と名乗る犯人の策略により、ストッキングのセールスマンとして、

英国内を巡っているアレクサンダー・ボナパルト・カスト

(Alexander Bonaparte Cust)が従軍した

第一次世界大戦の戦場跡(?)と思われる草原の表紙が、

ABC と名乗る犯人がエルキュール・ポワロ宛に送り付けた超戦場を

タイプするのに使用されたタイプライターの形に切り取られている。

もしかすると、表紙の草原は、

サー・カーマイケル・クラークが引退したチャーストンにある屋敷の敷地なのかもしれない。


アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の作品を出版している英国の Harper Collins Publishers 社から出ているエルキュール・ポワロ(Hercule Poirot)シリーズのペーパーバック版の表紙を使った2024年カレンダーのうち、6番目を紹介したい。


(6)長編「ABC 殺人事件(The ABC Murders)」(1935年)


本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第18作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第11作目に該っている。



南アフリカから戻ったアーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings)は、ロンドンに新しいフラットを構えた友人エルキュール・ポワロの元を訪れた。

そんなポワロの元に、ABC と名乗る謎の人物から、「アンドーヴァー(Andover)を警戒せよ。」と警告する手紙が届いていたのだ。


そして、その手紙通り、「A」で始まるアンドーヴァーにおいて、小さなタバコ屋を切り盛りしていた老女で、イニシャルが「A. A.」のアリス・アッシャー(Alice Asher)が殺害されたのである。その上、彼女の死体の傍らには、「ABC 鉄道案内(ABC Railway Guide)」が置かれていた。

アリス・アッシャーの殺害犯として、大酒飲みで、妻の彼女に度々お金をせびっていた夫のフランツ・アッシャー(Franz Ascher)が、警察によって疑われる。


その最中、ABC と名乗る謎の人物からポワロの元に、第2、そして、第3の犯行を予告する手紙が届く。


第2の殺人事件として、「B」で始まるべクスヒル(Bexhill)において、カフェのウェイトレスとして働いていた若い女性で、イニシャルが「B. B.」のエリザベス(ベティー)・バーナード(Elizabeth (Betty) Barnard)が殺害される。

今度は、ベティー・バーナードの殺害犯として、彼女の婚約者で、不動産関係の仕事をしているドナルド・フレーザー(Donald Fraser)が、警察によって疑われる。何故なら、殺されたベティー・バーナードの場合、異性関係に少々だらしなかったため、彼女の異性関係に着いて、2人の間で、何度も言い争いが起きていたからである。


続いて、第3の殺人事件として、「C」で始まるチャーストン(Churston)において、かつて医師として成功した大富豪で、イニシャルが「C. C.」のサー・カーマイケル・クラーク(Sir Carmichael Clarke)が殺害された。


ベティー・バーナードとサー・カーマイケル・クラークの死体の傍にも、「ABC 鉄道案内」が置かれていたのである。


ポワロは、ABC と名乗る犯人が、住んでいる場所の頭文字とイニシャルが合致する人物を、アルファベット順に選び出した上で、殺害しているものと推測した。

ところが、それぞれの被害者に対して、殺害動機を有する者は存在しているが、全ての被害者に対して、殺害動機を有する人物は居なかった。また、被害者達には、ABC 以外の関連性はなく、ABC と名乗る犯人の正体とその動機については、判らなかった。


ポワロは、以下の事件関係者達を集まると、ABC と名乗る犯人の正体を捕まえるチームを結成するのであった。


(1)メアリー・ドローワー(Mary Drower)- アリス・アッシャーの姪で、アンドーヴァー近郊の屋敷でメイドとして働いている。

(2)ドナルド・フレーザー - ベティー・バーナードの婚約者

(3)メーガン・バーナード(Megan Barnard)- ベティー・バーナードの姉で、ロンドンでタイピストとして働いている。

(4)フランクリン・クラーク(Franklin Clarke)- サー・カーマイケル・クラークの弟で、兄の右腕として、兄が趣味としている骨董品を、世界中から買い集めている。

(5)ソーラ・グレイ(Thora Grey)- サー・カーマイケル・クラークの秘書


「ABC 殺人事件」は、ミッシングリンクをテーマにしたミステリー作品の中でも、最高峰と評価される作品で、知名度・評価ともに非常に高く、アガサ・クリスティーの代表作の一つとなっている。


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