英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、昨年(2023年)に発行されたアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)をテーマにしたトランプの各カードについて、引き続き、紹介したい。
(17)5 ♠️「フェリシティー・レモン(Felicity Lemon)」
フェリシティー・レモンは、エルキュール・ポワロの有能な秘書である。彼女には、ヒッコリーロード26番地(26 Hickory Road)にある学生寮で寮母をしている未亡人のハバード夫人(Mrs. Hubbard)と言う姉が居る。
不思議なことだが、エルキュール・ポワロシリーズにおいて、彼女が登場する作品は、長編3作と中短編4作と非常に少ない。
一方で、フェリシティー・レモンは、パーカー・パイン(Parker Pyne)シリーズにおいて、彼の秘書も務めている。
登場作品
<長編>
*「ヒッコリーロードの殺人(Hickory Dickory Dock)」(1955年)- エルキュール・ポワロシリーズ
*「死者のあやまち(Dead Man’s Folly)」(1956年)- エルキュール・ポワロシリーズ
*「第三の女(Third Girl)」(1966年)- エルキュール・ポワロシリーズ
<短編集>
*「パーカー・パイン登場(Parker Pyne Investigates)」(1934年)- パーカー・パインシリーズ
*「レガッタデーの事件(The Regatta Mystery)」(1939年)
・「あなたの庭はどんな庭?(How Does Your Garden Grow ?)」- エルキュール・ポワロシリーズ
*「ヘラクレスの冒険(The Labours of Hercules)」(1947年)
・「ケルベロスの捕獲(The Capture of Cerberus)」- エルキュール・ポワロシリーズ
等
(18)5 ❤️「チェスのビショップの駒(Bishop Chess Piece)」
当初、彼の死は自然死と思われていたが、エルキュール・ポワロは、「ビッグ4」のナンバー4によって、殺害されたものと考えるのであった。
「ビッグ4」は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第7作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第4作目に該っている。
英国の Harper Collins Publishers 社から出版されている アガサ・クリスティー作エルキュール・ポワロシリーズ 「ビッグ4」のペーパーバック版の表紙 |
(19)5 ♣️「リンゴが浮かべられたバケツ(Apple-bobbing Bucket)」
長編「ハロウィーン・パーティー(Hallowe’en Party)」(1969年)において、女性推理作家として有名なアリアドニ・オリヴァー夫人(Mrs. Ariadne Oliver)は、ロンドンから30ー40マイル程離れた町ウッドリーコモン(Woodleigh Common)に住む友人のジュディス・バトラー(Judith Butler)宅に滞在していた。
ウッドリーコモンの中心的な存在であるロウィーナ・ドレイク夫人(Mrs. Rowena Drake)が、学校の生徒達のために、ハロウィーンパーティーを主催することになり、オリヴァー夫人も参加する運びとなった。
ハロウィーンパーティーを晩に控えた午後、ドレイク夫人宅「リンゴの木荘(Apple Trees House)」において、学校の生徒達が準備の手伝いをしていた。その際、生徒の一人である13歳のジョイス・レイノルズ(Joyce Reynolds)が、突然、「ずっと前に殺人を目撃したことがある。ただ、当時は、それが殺人だと判らなかった。(I witnessed a murder once, when I was little. I didn’t understand what was going on at the time.)」と言い出した。
ジョイスの話を聞いた他の生徒達は、日頃からジョイスが人の関心を惹くために、いろいろと嘘をつくので、彼女を全く相手にしない。ドレイク夫人宅に準備の手伝いに来ていたオリヴァー夫人も、ジョイスが推理作家である自分の気を引こうとしているものと思い、彼女の話を本気にしなかった。
ドレイク夫人宅において、ハロウィーンパーティーが行われた日の翌日の晩、オリヴァー夫人が、ロンドンのエルキュール・ポワロ宅に電話をかけてきた後、慌ててやって来る。オリヴァー夫人は、ポワロに対して、ヒステリー気味に話を始める。
ハロウィーンパーティーが終わった後、以前殺人を目撃したことがあると言っていたジョイスが、ドレイク夫人宅の図書室において、リンゴが浮かぶブリキのバケツに頭を押し込まれて、溺死しているのが見つかったのである。
英国の Harper Collins Publishers 社から出版されている アガサ・クリスティー作エルキュール・ポワロシリーズ 「ハロウィーンパーティー」のペーパーバック版の表紙 |
「ハロウィーン・パーティー」は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第60作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第31作目に該っている。
(20)5 ♦️「ルーベンスの絵画(Rubens Painting)」
短編集「ヘラクレスの冒険」(1947年)に収録されている短編「ヒッポリュテの帯(The Girdle of Hyppolita)」において、暴動とともに行方が判らなくなったピーテル・パウル・ルーベンス(Peter Paul Rubens:1577年ー1640年 / バロック期のフランドルの画家で、外交官)の絵画が、物語の主題となる。
ルーベンスの絵画の行方を追って、エルキュール・ポワロがフランスへ旅立とうとしたところ、列車から少女が蒸発した事件の情報が、彼の元にもたらされた。
行方不明となったルーベンスの絵画と少女の蒸発事件の間に、何か関連性があるのだろうか?
英国の Harper Collins Publishers 社から出版されている アガサ・クリスティー作エルキュール・ポワロシリーズ 「ヘラクレスの冒険」のペーパーバック版の表紙 |
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