2024年1月9日火曜日

シャーロック・ホームズのトランプ(Sherlock Holmes - Playing Cards)- その5

英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、一昨年(2022年)に発行されたシャーロック・ホームズをテーマにしたトランプの各カードについて、前回に引き続き、紹介したい。


(13)4 ❤️2人乗り1頭立て2輪馬車(Hansom Cab)」



2人乗り1頭立て2輪馬車は、英国の建築家であるジョーゼフ・アロイシウス・ハンソム(Joseph Aloysius Hansom:1803年ー1882年)によって発明され、英国では、20世紀初め頃まで、タクシー代わりの辻馬車として使われた。


英国で出版された「ストランドマガジン」の
「バスカヴィル家の犬」に掲載された挿絵 -
第4章「サー・ヘンリー・バスカヴィル(Sir Henry Baskervilles)」
ベーカーストリート221B(221B Baker Street →
2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)を辞去した
サー・ヘンリー・バスカヴィル(Sir Henry Baskerville)と
ジェイムズ・モーティマー医師(Dr. James Mortimer)の後を、
シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンは、急いで追った。
オックスフォードストリート(Oxford Street →
2016年5月28日付ブログで紹介済)を通り、
リージェントストリート(Regent Street)に差し掛かった時、
サー・ヘンリー・バスカヴィル達の後を付けている
辻馬車に座る謎の男の存在に、ホームズは気が付いた。
画面右側から、ホームズ、そして、ワトスン。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(Sidney Edward Paget:1860年ー1908年)

シャーロック・ホームズやジョン・H・ワトスンを初めとして、登場人物の多くが使用している。


(14)4 ♠️「大型の肉切り包丁(Meat Cleaver)」



水力工学技師であるヴィクター・ハザリー(Victor Hatherley)は、独立したものの、全く鳴かず飛ばずの状態だったが、そこにライサンダー・スターク大佐(Colonel Lysander Stark)と名乗る人物が事務所を訪れ、内密で巨大な水圧機の故障原因を調べてほしいと依頼した。

高額な報酬に惹かれて、仕事を受けたヴィクター・ハザリーであったが、ライサンダー・スターク大佐の話通りではないことが判り、逃げ出そうとした。ヴィクター・ハザリーは、謎の婦人の案内で逃げ込んだ2階の部屋の窓から飛び降りようとした時、大型の肉切り包丁を持ったライサンダー・スターク大佐が追いかけて来た。

窓枠にぶら下がったヴィクター・ハザリーの左手の上に包丁が振り落とされ、彼は親指を切断されてしまう。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1892年3月号「技師の親指」に掲載された挿絵 -
高額な報酬に釣られて、水圧機の故障の原因を調べに来た
水力工学技師のヴィクター・ハザリーは、
2階の部屋の窓から逃げようとして、
左手で窓枠にぶら下がった際、
後を追って来たライサンダー・スターク大佐が
振り下ろした大型の肉切り包丁によって、
親指を断ち切られてしまう。
画面上の人物がライサンダー・スターク大佐で、
画面下の人物がヴィクター・ハザリー。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(1860年 - 1908年)

「技師の親指(The Engineer’s Thumb)」は、ホームズシリーズの短編小説56作のうち、9番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1892年3月号に掲載された。

また、同作品は、1892年に発行されたホームズシリーズの第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」に収録されている。


(15)4 ♦️「太った白いガチョウ(Dead Goose)」



クリスマスから2日目の朝、ジョン・H・ワトスンがベーカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)を訪問すると、紫色の化粧着を着たシャーロック・ホームズは、ソファーの上でくつろいでいた。

ソファーの隣りに置かれた木製椅子の背もたれの角には、薄れてボロボロになった固いフェルト製帽子が掛けられていて、ホームズは拡大鏡とピンセットでこの帽子を調べていたようであった。ワトスンの問いに、ホームズは「この帽子は、退役軍人(commissionaire)のピータースン(Peterson)が置いていったものだ。」と答える。

そして、ホームズは、ワトスンに対して、グッジストリート(Goodge Street → 2014年12月27日付ブログで紹介済)において、ピータースンがボロボロになった帽子と丸々と太った白いガチョウを手に入れることになった経緯を語り始めた。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1892年1月号「青いガーネット」に掲載された挿絵 -

クリスマスの早朝、宴席から帰る途中の退役軍人ピータースン(Peterson)が、
トッテナムコートロード(Tottenham Court Road)と
グッジストリート(Goodge Street 
→2014年12月27日付ブログで紹介済)の角で
発生した喧嘩の現場に残された帽子とガチョウを、
ベーカーストリート221Bのシャーロック・ホームズの元に届けて来た。
ホームズに言われて、ピータースンは拾ったガチョウを持って帰ったが、
その餌袋の中から、ホテルコスモポリタン(Hotel Cosmopolitan)に滞在していた
モーカー伯爵夫人(Countess of Morcar)の元から12月22日に盗まれて、
懸賞金がかかっている「青いガーネット」が出てきたのである。
画面右側の人物が、退役軍人のピータースン。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(1860年 - 1908年)

「青いガーネット(The Blue Carbuncle)」は、ホームズシリーズの短編小説56作のうち、7番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1892年1月号に掲載された。

また、同作品は、1892年に発行されたホームズシリーズの第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」に収録されている。


(16)4 ♣️「警察の留置場(Police Cell)」



ホームズシリーズを通して、警察の留置場は、容疑者の勾留に使用されている。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1891年12月号「唇のねじれた男」に掲載された挿絵 -
物語の終盤、シャーロック・ホームズは、ジョン・H・ワトスンと一緒に、
ボウストリート(Bow Street → 2014年10月31日付ブログで紹介済)の警察署へと向かうと、
シティー(City → 2018年8月4日 / 8月11日付ブログで紹介済)近くの
アヘン窟の3階で謎の失踪を遂げたネヴィル・セントクレア(Neville St Clair)の殺害容疑で
留置場に勾留されている物乞いのヒュー・ブーン(Hugh Boone)が、
ネヴィル・セントクレア本人であると指摘するのであった。
画面右側から、物乞いのヒュー・ブーンに扮したネヴィル・セントクレア、
ホームズ、ワトスン、そして、ボウストリート警察署の警官。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(1860年 - 1908年)


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