2023年12月2日土曜日

コナン・ドイル作「まだらの紐」<グラフィックノベル版>(The Speckled Band by Conan Doyle )- その4

ヘレン・ストーナーの寝室(元は、ジュリア・ストーナーの寝室)において、
沼マムシを撃退したシャーロック・ホームズは、ジョン・H・ワトスンと一緒に、
グリムズビー・ロイロット博士の寝室へと飛び込むが、
その部屋には、誰も居なかった。


チェコ共和国(Czech Republic)ヴィソチナ州トシェビーチ郡の都市トシェビーチ出身のイラストレーターであるペトル・コプル(Petr Kopl:1976年ー)によるグラフィックノベル版「まだらの紐(The Speckled Band)」の場合、サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)の原作に比べると、物語の展開上、以下の違いが見受けられる。


(10)

<原作>

原作の場合、シャーロック・ホームズが撃退した蛇「沼マムシ(swamp adder)」に噛まれて、グリムズビー・ロイロット博士が死亡した場所は、ヘレン・ストーナーの寝室(元は、ジュリア・ストーナーの寝室)に隣接する彼の寝室である。

<グラフィックノベル版>

グラフィックノベル版の場合、沼マムシに噛まれて、グリムズビー・ロイロット博士が死亡した場所は、彼の寝室ではなく、彼の寝室の更に奥にある動物飼育場(menagerie)である。


シャーロック・ホームズが沼マムシを撃退したのは、「Julia's Chamber」で、
彼は、ジョン・H・ワトスンと一緒に、「Doctor Roylott's Chamber」へと入るが、
誰も発見できなかった。

「Doctor Roylott's Chamber」から走り出したシャーロック・ホームズは、
ジョン・H・ワトスンの報告を受けて、
「The Doctor's Menagerie」へと向かった。

(11)

<原作>

原作の場合、グリムズビー・ロイロット博士は、ヒヒの他に、チーター(cheetah)も飼っているが、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの2人がチーターを見かけることはない。

<グラフィックノベル版>

グラフィックノベル版の場合、グリムズビー・ロイロット博士の動物飼育場において、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの2人は、チーターに襲われるが、ヘレン・ストーナーが、右手に椅子を持ち、そして、左手の鞭を使って、檻の中に閉じ込めると言う活躍を見せる。ヘレン・ストーナーによると、グリムズビー・ロイロット博士がチーターを鞭で調教する現場を何度も見ており、それで覚えた、とのことだった。


動物飼育場において、
沼マムシに噛まれて死亡しているグリムズビー・ロイロット博士を発見した
シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの2人を、
博士が飼っていたチーターが、樹木の上から狙っている。

シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの2人を襲ったチーターを、
ヘレン・ストーナーが、鞭と椅子を使って、おとなしくさせた。

(12)

<原作>

原作の場合、ヘレン・ストーナーは、婚約者であるパーシー・アーミテージ(Percy Armitage)と無事結婚できる明るい予感を感じさせつつ、物語は終わりを迎える。

<グラフィックノベル版>

グラフィックノベル版の場合、事件後、ヘレン・ストーナーは、婚約者(彼の名前は、明らかになっていない)と無事結婚するものの、残念ながら、その数ヶ月後に、彼女は亡くなってしまうと言う悲しい結果を迎えるのである。


ジョン・H・ワトスンは、ヘレン・ストーナーとの間で、
彼女の存命中は、「まだらの紐」事件を世間には公表しないと言う約束を交わした。
ヘレン・ストーナーは、事件後、婚約者と無事結婚できたが、
その数ヶ月後には、亡くなってしまい、短い生涯を終えている。

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