英国の HarperCollinsPublishers 社から出版されているアガサ・クリスティー作エルキュール・ポワロシリーズのペーパーバック表紙が新装版に変わったので、前回に続き、紹介したい。
(17)長編「愛国殺人(→英国での原題は、「One, Two, Buckle My Shoe」(いち、にい、私の靴の留め金を締めて)であるが、日本でのタイトルは米国版「The Patriotic Murders」をベースにしている)」(1940年)
アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第28作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第19作目に該っている。
物語の冒頭、クイーンシャーロットストリート58番地(58 Queen Charlotte Street)にある歯科医ヘンリー・モーリー(Henry Morley)での半年に一回の定期検診を終えて、建物の外に出たエルキュール・ポワロは、そこで女性の患者とすれ違った際、彼女が落とした靴の留め金(バックル)を拾って渡している。表紙が、その靴と留め金の形に切り取られている。
(18)長編「五匹の子豚(Five Little Pigs)」(1942年)
アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第32作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第21作目に該っている。
英国の有名な画家で、事件の被害者となるアミアス・クレイル(Amyas Crale)を背景にした表紙が、彼が愛用している筆とパレットの形に切り取られている。
(19)長編「ホロー荘の殺人(The Hollow)」(1946年)
アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第37作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第22作目に該っている。
女優のヴェロニカ・クレイ(Veronica Clay)がきらしたマッチを借りようとホロー荘へとやって来たことを契機にして、殺人事件が発生するが、表紙が、そのマッチの形に切り取られている。
(20)長編「スタイルズ荘の怪事件(The Mysterious Affairs at Styles)」(1920年)
アガサ・クリスティーの商業デビュー作であり、そして、エルキュール・ポワロシリーズの長編第1作目、かつ、ポワロの初登場作品に該る。
アーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings)の旧友ジョン・キャヴェンディッシュ(John Cavendish)の義母で、スタイルズ荘(Styles Court)の持ち主である老婦人エミリー・イングルソープ(Emily Inglethrop)がストリキニーネによって毒殺される事件が発生するが、スタイルズ荘を背景にした表紙が、そのストリキニーネが入った小瓶の形に切り取られている。
(21)長編「カーテン( Curtain)」(1975年)
アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第65作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第33作目かつ最終作に該っている。
厳密に言うと、「カーテン」は1943年に執筆されているので、執筆順で言うと、長編「象は忘れない(Elephants Can Remember)」(1972年)が、実質的には、ポワロ最後の作品となる。
廃墟となった僧院へと至る階段を背景にした表紙が、ポワロシリーズの長編第1作目、かつ、ポワロの初登場作品に該る長編「スタイルズ荘の怪事件(The Mysterious Affairs at Styles)」(1920年)に倣って、ストリキニーネが入った小瓶の形に切り取られている。
(22)長編「三幕の悲劇(Three Act Tragedy)」(1934年)
アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第16作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第9作目に該っている。
有名な舞台俳優であるサー・チャールズ・カートライト(Sir Charles Cartwright)は、コンウォール(Cornwall)の自宅において、晩餐会を開催した際、出席者の一人であるバビントン牧師(Reverend Babbington)が、出されたカクテルを口にして、急死してしまう事件が発生するが、表紙が、そのカクテルシェーカーの形に切り取られている。
(23)戯曲「ブラックコーヒー(Black Coffee)」(1934年)
英国のテキサタイルデザイナーであるウィリアム・モリス(William Morris:1834年ー1896年)風のデザイン画を背景にした表紙が、コーヒーが入ったカップの形に切り取られている。
(24)長編「死との約束(Appointment with Death)」(1938年)
アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第22作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第16作目に該っている。
ボイントン一家がヨルダン(Jordan)の古都ペトラ(Petra)にある遺跡等の見物に出かけた際、彼らが滞在しているキャンプ地において、ボイントン夫人(Mrs. Boynton - 以前、刑務所の所長と言う役職に就いていたためか、非常にサディスティックで、支配的な人物)が、洞窟の入口近くで、多量のジギトキシンを皮下注射器で投与され、殺害される事件が発生するが、その皮下注射器を背景にした表紙が、毒蛇の形に切り取られている。
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