2023年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された アガサ・クリスティー作「ハロウィーンパーティー」の 愛蔵版(ハードカバー版)の表紙 (Cover design by Sarah Foster / HarperCollinsPublishers Ltd. Cover images by Shutterstock.com) |
映画「名探偵ポワロ ヴェネツィアの亡霊(A Haunting in Venice → 2023年9月17日 / 9月20日 / 9月22日 / 9月24日付ブログで紹介済)が2023年9月15日から公開されたのに合わせて、アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1969年に発表した「ハロウィーンパーティー(Hallowe’en Party)」の愛蔵版(ハードバック版)が、今年、出版されているので、紹介致したい。
英国の俳優 / 映画監督 / 脚本家 / プロデューサーであるサー・ケネス・ブラナー(Sir Kenneth Branagh:1960年ー)が監督と主演(エルキュール・ポワロ)を務めた映画「オリエント急行殺人事件(Murder on the Orient Express)」(2017年)、「ナイル殺人事件(Death on the Nile)」(2022年)と「名探偵ポワロ:ヴェネチアの亡霊」(2023年)の脚本を担当したマイケル・グリーン(Michael Green)が、序文を寄せている。
マイケル・グリーンは、米国ニューヨーク生まれの TV ドラマ や映画の脚本家 / プロデューサーで、この序文において、サー・ケネス・ブラナー監督 / 主演の第3作目の原作として、「ハロウィーンパーティー」を使った経緯等を語っている。
なお、この序文は、2023年4月2日、バーバンク(Burbank)からジョン・F・ケネディー空港へと向かう飛行機の搭乗時に書かれたものである。
「ハロウィーンパーティー」は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第60作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズに属する長編のうち、第31作目に該っている。
2023年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された アガサ・クリスティー作「ハロウィーンパーティー」の 愛蔵版(ハードカバー版)の内扉(その1) |
女性推理作家として有名なアリアドニ・オリヴァー夫人(Mrs. Ariadne Oliver)は、ロンドンから30ー40マイル程離れた町ウッドリーコモン(Woodleigh Common)に住む友人のジュディス・バトラー(Judith Butler)宅に滞在していた。
ウッドリーコモンの中心的な存在であるロウィーナ・ドレイク夫人(Mrs. Rowena Drake)が、学校の生徒達のために、ハロウィーンパーティーを主催することになり、オリヴァー夫人やジュディス・バトラーも、準備作業を含めて、参加する運びとなった。
ハロウィーンパーティーを晩に控えた午後、ドレイク夫人宅「リンゴの木荘(Apple Trees House)」において、学校の生徒達が準備の手伝いをしていた。その際、生徒の一人である13歳のジョイス・レイノルズ(Joyce Reynolds)が、突然、「ずっと前に殺人を目撃したことがある。ただ、当時は、それが殺人だと判らなかった。(I witnessed a murder once, when I was little. I didn’t understand what was going on at the time.)」と言い出したのである。
ジョイス・レイノルズの話を聞いた他の生徒達は、日頃から彼女が人の関心を惹くために、いろいろと嘘をつくので、彼女を全く相手にしない。ドレイク夫人宅に準備の手伝いに来ていたオリヴァー夫人も、ジョイスが推理作家である自分の気を引こうとしているものと思い、彼女の話を本気にしなかった。
ドレイク夫人宅において、ハロウィーンパーティーが行われた日の翌日の晩、オリヴァー夫人が、ロンドンのエルキュール・ポワロのフラットに電話をかけてきた後、慌ててやって来る。オリヴァー夫人は、ポワロに対して、ヒステリー気味に話を始めた。
ハロウィーンパーティーが終わった後、以前殺人を目撃したことがあると言っていたジョイス・レイノルズが、ドレイク夫人宅の図書室において、リンゴが浮かぶブリキのバケツに頭を押し込まれて、溺死しているのが見つかったのである。
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