2023年10月31日火曜日

ゲームブック「シャーロック・ホームズ 4つの事件捜査」(Sherlock Holmes - Four Investigations)- その3

第2の事件から、本格的な事件捜査となる。
また、事件を捜査する主体が、ホームズとワトスンの2人に分岐する。


ある深夜、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの2人が共同生活を送っているベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)の郵便受けに、何者かが4つの事件が入った封筒を直接投函して、立ち去ったのである。


<第2の事件:(手相の)生命線(The Lifeline)>


第2の事件から、いよいよ、本格的な事件捜査が始まる。

また、第2の事件より、ホームズの立場での事件捜査とワトスンの立場での事件捜査の2つに分かれて、物語が進んで行く。


第2の事件現場に到着したホームズとワトスンは、そこで
スコットランドヤードのレストレード警部に出会った。


ホームズに連れられて、ワトスンが、第2の事件現場へと到着すると、そこには、スコットランドヤードのレストレード警部(Inspector Lestrade)が、建物の前に立っていた。

まだ何の連絡もしていないにもかかわらず、事件現場に姿を見せたホームズとワトスンに驚くレストレード警部であったが、占い師(fortuneteller)のイヴェット(Yvette)が何者かに殺害されたことを、2人に対して、告げるのであった。


スコットランドヤードのレストレード警部に案内された
ホームズとワトスンの2人は、
占い師のイヴェットが彼女の占い部屋において
殺害されている現場に遭遇する。


レストレード警部に案内されて、ホームズとワトスンが建物の中へ入ると、占い師のイヴェットが、彼女の占い部屋にあるテーブルの上に突っ伏すようにして殺されている現場に行き当たった。

ホームズとワトスンが、それぞれ、占い師のイヴェットの死体を調べたところ、イヴェットの向かい側に座った犯人が、占い中に、彼女の右手を掴んで、自分の方へと引き寄せ、ナイフで彼女の右脇腹を刺して、殺害したものと考えられた。

彼女の死体から流れ出た血は、テーブルの上を汚すとともに、床の上にも、滴り落ちていた。その血の跡は、建物の裏側の庭まで続いていた。


占い師イヴェットの死体から流れ出た血は、
建物の裏側の庭まで続いていた。

彼女の死体の後ろにある棚の上には、今日、占いのために、彼女を訪れた客の名前が書かれた記録があった。


占い師イヴェットの死体の後ろにある棚の上には、
今日、占いのために、彼女を訪れた客の名前が書かれた記録が残されていた。

ホームズとワトスンの2人は、占い師のイヴェットを殺害した容疑者について、以下の6名まで絞り込んだ。


占い師イヴェットを殺害した容疑者の一覧表

(1)ベネディクト・ブライトン公爵(Duke Benedict Brighton)

(2)ジェレミヤ・ブライトン(Jeremiah Brighton - ベネディクト・ブライトン公爵の息子)

(3)ジョン・ウォルター(John Walter - ベネディクト・ブライトン公爵の使用人)

(4)ジュリー(Julie - 占い師イヴェットの助手)

(5)スティーヴン・ハスク(Stephen Husk - 占い師イヴェットの客)

(6)モルデカイ・クッシング(Mordecai Cushing - 占い師イヴェットの客エスター・クッシング(Esther Cushing)の父)


上記の6人の事情聴取を行なったホームズとワトスンは、占い師のイヴェットを殺害した犯人として、6人のうちの1人を指差すのであった。


2023年10月30日月曜日

チャールズ・ディケンズの世界<ジグソーパズル>(The World of Charles Dickens )- その1

英国の Laurence King Publishing Group Ltd. から2021年に出ている
ジグソーパズル「チャールズ・ディケンズの世界」(1000ピース)


英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、2021年に、「チャールズ・ディケンズの世界(The World of Charles Dickens)」と言うジグソーパズルも出ているので、紹介したい。


チャールズ・ジョン・ハファム・ディケンズ(Charles John Huffam Dickens:1812年ー1870年)は、ヴィクトリア朝を代表する英国の小説家で、主に下層階級を主人公にして、弱者の視点から社会を風刺した作品を発表している。


チャールズ・ディケンズの主な作品は、以下の通り。


ナショナルポートレートギャラリー(National Portrait Gallery)で販売されている
チャールズ・ジョン・ハファム・ディケンズの写真の葉書
(by George Herbert Watkins / 1858年 / albumen print, arched top /
190 mm x 152 mm) 


(1)「ボズのスケッチ集(Sketches by Boz)」(1836年):随筆集

(2)「ピクウィッククラブ(The Pickwick Papers)」(1836年ー1837年):最初の小説

(3)「オリヴァー・ツイスト(Oliver Twist)」(1837年ー1839年)

(4)「ニコラス・ニクルビー(Nicholas Nickleby)」(1838年-1839年)

(5)「骨董屋(The Old Curiosity Shop)」(1840年^1841年)

(6)「バーナビー・ラッジ(Barnaby Rudge)」(1841年)

(7)「マーティン・チャズルウィット(Martin Chuzzlewit)」(1843年ー1844年)

(8)「クリスマスキャロル(A Christmas Carol)」(1843年)

(9)「ドンビー父子(Dombey and Son)」(1846年ー1849年)

(10)「ディヴィッド・コッパーフィールド(David Copperfield)」(1849年ー1850年)

(11)「荒涼館(Bleak House)」(1852年ー1853年)

(12)「リトルドリット(Little Dorrit)」(1855年ー1857年)

(13)「二都物語(A Tale of Two Cities)」(1859年)

(14)「大いなる遺産(Great Expectations)」(1860年ー1861年)

(15)「互いの友(Our Mutual Friend)」(1864年ー1865年)

(16)「エドウィン・ドルードの謎(The Mystery of Edwin Drood)」(1870年)


ナショナルポートレートギャラリーで販売されている
チャールズ・ジョン・ハファム・ディケンズの肖像画の葉書
(by Daniel Maclise / 1839年 / Oil on canvas
914 mm x 714 mm)

「オリヴァー・ツイスト」、「クリスマスキャロル」、「ディヴィッド・コッパーフィールド」、「二都物語」や「大いなる遺産」等、チャールズ・ディケンズの作品は、彼の死後、度々、映画化、TV ドラマ化や舞台化されている。


チャールズ・ディケンズは、英国の国民作家と評されていて、1992年から2003年まで使用された10ポンド紙幣に、彼の肖像画が描かれている。


「チャールズ・ディケンズの世界」は、Ms. Eleni Caulcott がデザインを、そして、Mr. Barry Falls がイラストを描いたものが、ジグソーパズル(1000ピース - 縦:約70㎝ / 横:約50㎝)となっている。

「チャールズ・ディケンズの世界」は、「アガサ・クリスティーの世界(The World of Agatha Christie)」、「シャーロック・ホームズの世界(The World of Sherlock Holmes)」、「フランケンシュタインの世界(The World of Frankenstein)」や「シェイクスピアの世界(The World of Shakespeare)」のジグソーパズルと同様に、横長である。


本ジグソーパズルのイラスト内には、チャールズ・ディケンズや彼が生きた時代の人物、そして、彼の作品に登場するキャラクター等が散りばめられているので、次回以降、順番に紹介していきたい。


2023年10月29日日曜日

パディントン 2 <映画版>(Paddington 2 )- その1

英国 / フランスによる共同制作の下、
2017年に実写アニメーション映画となった
「パディントン 2」の DVD ケースの表紙


英国の作家であるマイケル・ボンド(Michael Bond:1926年-2017年)作の児童文学「くまのパディントン(Paddington Bear)」シリーズの第1作目となる「くまのパディング(A Bear Called Paddington → 2023年9月26日付ブログで紹介済)」(1958年)をベースにして、英国 / フランスが共同制作した実写アニメーション映画「パディントン(Paddington)」が2014年に公開された後、続編の「パディントン 2(Paddington 2)」が2017年に公開されているので、紹介したい。


続編の「パディントン 2」の主な配役は、以下の通り。


<熊>

(1)パディントン(Paddington):(声)ベン・ウィショー(Ben Whishaw)

(2)ルーシー叔母さん(Aunt Lucy):(声)イメルダ・スタウントン(Imelda Staunton)

(3)パストゥーゾ叔父さん(Uncle Pastuzo - 故人と言うか、故熊

):(声)マイケル・ガンボン(Michael Gambon)


<ブラウン一家>

(4)ヘンリー・ブラウン(Henry Brown - ブラウン家の主人):ヒュー・ボネヴィル(Hugh Bonneville)

(5)メアリー・ブラウン(Mary Brown - ヘンリー・ブラウンの妻):サリー・ホーキンス(Sally Hawkins)

(6)ジュディー・ブラウン(Judy Brown - ブラウン家の長女で、ジョナサンの姉):マデリン・ハリス(Madeleine Harris)

(7)ジョナサン・ブラウン(Jonathan Brown - ブラウン家の長男で、ジュディーの弟):サミュエル・ジョスリン(Samuel Joslin)

(8)バード夫人(Mrs. Bird - ブラウン家住み込みの家政婦):ジュリー・ウォルターズ(Julie Walters)


英国 / フランスによる共同制作の下、
2017年に実写アニメーション映画となった
「パディントン 2」の DVD ケースの裏表紙 -
画面中央に、カリー氏、バード夫人、サミュエル・グルーバー、
ジュディー・ブラウン、ジョナサン・ブラウン、
メアリー・ブラウンとヘンリー・ブラウンと言った
1作目から出ているキャラクターに加えて、
フェニックス・ブキャナン(落ち目の舞台俳優)と
ナックルズ・マギンティー(凶暴な囚人)と言った
2作目から新たに登場するキャラクターが配置されている。

<ブラウン一家の隣人 / 知人>

(9)フェニックス・ブキャナン(Phoenix Buchanan - ブラウン家の近所に住む俳優で、嘗てはウェストエンドの舞台で活躍したが、現在は落ち目):ヒュー・グラント(Hugh Grant)

(10)カリー氏(Mr. Curry - ブラウン家の隣人で、皮肉屋):ピーター・カパルディ(Peter Capaldi)

(11)サミュエル・グルーバー(Samuel Gruber - メアリー・ブラウンの友人で、骨董品屋):ジム・ブロードベント(Jim Broadbent)

(12)マドモアゼル デュボイス(Mademoiselle Dubois - ブラウン家の前を自転車で走ることを日課にしている女性で、毎朝、パディントンが作ったマーマレードサンドウィッチを食べている):マリエ・フランス・アルバレジ(Marie-France Alvarez)

(13)ジャフリ医師(Dr. Jafri - ブラウン家の近所に住む医師):サンジーヴ・バスカー(Sanjeev Bhaskar)

(14)ランカスター大佐(Colonel Lancaster - ブラウン家の近所に住む元軍人で、無愛想):ベン・ミラー(Ben Miller)

(15)ミス キッツ(Miss Kitts - ブラウン家の近所で新聞店を経営している女性):ジェシカ・ハインズ(Jessica Hynes)

(16)バーンズ氏(Mr. Barnes - ゴミ収集車のドライバー):ロビー・ギー(Robbie Gee)


<刑務所>

(17)ナックルズ・マギンティー(Knuckles McGinty - 刑務所内で一番凶暴な囚人):ブレンダン・グリーソン(Brendan Gleeson)

(18)スプーン(Spoon - 眼鏡を掛けた囚人):アーロン・ニール(Aaron Neil)

(19)フィブス(Phibs - 剽軽な囚人):ノア・テイラー(Noah Taylor)

(20)Tボーン(T-Bone - 好戦的な囚人):トム・デイヴィス(Tom Davis)

(21)教授(The Professor - 囚人の一人):ジェイミー・デメトリウ(Jamie Demetriou)


<その他>

(22)マダム コズロヴァ(Madame Kozlova - 移動遊園地の主催者で、占い師):アイリーン・アトキンス(Eileen Atkins)

(23)ジェラルド・ビグルスウエード判事(Judge Gerarld Biggleswade - パディントンの裁判を担当した判事):トム・コンティ(Tom Conti)

(24)ガートルード・ビグルスウエード(Gertrude Biggleswade - ジェラルド・ビグルスウエード判事の妻):マギー・スティード(Maggie Steed)

(25)バリー(Barry - セントポール大聖堂の警備副主任代理で、1作目の時には、地理学者協会の警備員だった):サイモン・ファーナビー(Simon Farnaby)

(26)フェリシティー・ファンショー(Felicity Fanshaw - 「俳優エージェント」の社長で、フェニックス・ブキャナンのマネージメントを担当):ジョアンナ・ラムレイ(Joanna Lumley)


2023年10月28日土曜日

アガサ・クリスティー作「オリエント急行の殺人」<英国 TV ドラマ版>(Murder on the Orient Express by Agatha Christie )- その3

第64話「オリエント急行の殺人」が収録された
エルキュール・ポワロシリーズの DVD コレクション No. 8 ケースの表紙
 -
下段の一番左側の人物が、
「オリエント急行の殺人」に登場する
米国人の実業家サミュエル・ラチェットの執事であるエドワード・マスターマン
(演:Hugh Bonneville)で、
左側から2番目の人物が、
スウェーデン人で、信仰心の強い女性である
グレタ・オルソン
(演:Marie-Josee Croze)。


英国の TV 会社 ITV 社による制作の下、「Agatha Christie’s Poirot」の第64話(第12シリーズ)として、2010年12月25日に放映されたアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「オリエント急行の殺人(Murder on the Orient Express)」(1934年)の TV ドラマ版の場合、原作対比、以下のような差異が見受けられる。

なお、今回は、エルキュール・ポワロがオリエント急行(Orient Express)に乗車してから、サミュエル・ラチェット(Samuel Ratchett - 米国人の実業家)の刺殺死体が発見される場面までとする。


(7)

<原作>

ベルギー時代からの友人で、国際寝台車会社(Compagnie Internationale des Wagons Lits)の重役ブック氏(Mr. Bouc)と一緒に、イスタンブール(Istanbul)駅に到着したポワロであったが、オリエント急行のピエール・ミシェル(Pierre Michel - フランス人で、オリエント急行の車掌)から、「常に予備として空けてある一等寝台席の16号室も、今日は空いていない。」と告げられる。

それを聞いたブック氏は、出発時刻の午後9時まで、あと4分しかないにもかかわらず、まだ姿を見せていないハリス氏(Mr. Harris)の7号室(二等寝台席)を、ポワロの部屋とするよう、車掌のピエール・ミシェルに対して、指示する。

1号室(一等寝台席)を使用するブック氏が別の車輌へ移るまでの一晩、ポワロは、6号室(二等寝台席)を使用するヘクター・マックイーン(Hector MacQueen - 米国人で、ラチェットの秘書)と同室となるのであった。

<TV ドラマ版>

基本的に、原作と同じである。


(8)

<原作>

原作の場合、ポワロがヘクター・マックイーンと同室になった場面から、翌日、ポワロが、昼食のために、食堂車輌(Wagon Restaurant)へと向かう場面へと、一気に展開する。

<TV ドラマ版>

TV ドラマ版の場合、ポワロがヘクター・マックイーンと同室になり、オリエント急行がイスタンブール駅を出発した後の場面が挿入されている。

・ポワロは、6号室 / 7号室(二等寝台席)を出て、廊下に佇んでいる。

・2号室(一等寝台席)から出て来たサミュエル・ラチェットが、廊下を歩いて来たメアリー・デベナム(Mary Hermione Debenham - 英国人で、家庭教師)の腕を急に取るが、拒絶される。

・ポワロは、メアリー・デベナムに対して、話しかける。そして、イスタンブールの街頭で、他の男性の子供を宿したトルコ人の女性が、彼女の夫を含む集団に追われて、皆から石を投げ付けられた上に、唾を吐きかけられると言う私刑を受けていた件を、話題にする。ポワロは、メアリー・デベナムに、「Justice is often upsetting to witness. In another cultre it is best not to intervene, mademoiselle. I also found it upsetting. It is not pleasant.」と言うように、「地元の正義が行われたまでのこと。」と評するのであった。

・10号室 / 11号室(二等寝台席)から、グレタ・オルソン(Greta Ohisson - スウェーデン人で、愛想のいい中年女性)が出て来る。彼女と入れ違いに、メアリー・デベナムが、部屋の中へ入ってしまう。

・サミュエル・ラチェットが、車掌のピエール・ミシェルを自分の部屋(2号室 - 一等寝台席)に呼んで、お金を彼のポケットに捻じ込むと、一等寝台席の乗客の情報を求めた。


(9)

<原作>

翌日、ポワロが、昼食のために、食堂車輌へ向かい、ブック氏と同席になる。オリエント急行は、通常、冬場(12月)は比較的空いている筈にもかかわらず、季節外れの満席の上、国際色豊かな乗客の面々だった。

<TV ドラマ版>

翌朝、ポワロが、朝食のために、食堂車輌へ向かい、ブック氏に加えて、コンスタンティン博士(Dr. Constantine - ギリシア人で、医師)と同席になる。コンスタンティン博士は、ポワロ達に対して、「アンカラ(Ankara)から米国へ帰る途中。」と告げる。

原作の場合、コンスタンティン博士は、別の車輌の乗客で、ポワロとブック氏が彼に出会うのは、サミュエル・ラチェットの刺殺死体が発見されてからである。


(10)

<原作>

昼食が終わった後、サミュエル・ラチェットが、ポワロに接触して来た。彼は、最近脅迫状を数回受け取っていたため、身の危険を感じており、ポワロに対して、自分の護衛を依頼してきたのであった。サミュエル・ラチェットは、自分の命を守ってくれる報酬として、2万ドルまで吊り上げたが、彼の狡猾な態度を不快に思ったポワロは、サミュエル・ラチェットに対して、「If you will forgive me for being personal - I do not like your face, M. Ratchett.」と言って、即座に断った。

<TV ドラマ版>

夕食が終わった後、サミュエル・ラチェットが、ポワロに接触して来た。サミュエル・ラチェットは、自分の命を守ってくれる報酬として、バーのカウンターの上に、お金を積み上げる。しかし、ポワロは、サミュエル・ラチェットに対して、「I do not play poker with you, monsieur. Non.」と言って、即座に断ったところ、サミュエル・ラチェットは、バーのカウンターの上に積み上げたお金を持って、立ち去るのであった。


(11)

<原作>

午後8時45分に、イスタンブール発カレー(Calais)行きのオリエント急行は、ベオグラード(Belgrade - 現在のセルビア共和国の首都)に到着。そして、アテネ(Athens)発パリ(Paris)行きの車輌と接続される。

ポワロは、一旦、プラットフォームへと降りるが、あまりの寒さのため、車輌に戻る。そして、ポワロは、車掌のピエール・ミシェルから、「あなたの荷物を、ブック氏が使っていた1号室(一等寝台席)へと移動させました。」と告げられる。

ポワロは、ブック氏を探しに行くと、彼はアテネ発パリ行きの車輌に居た。ブック氏によると、「アテネ発パリ行きの車輌は空いていて、自分とギリシア人の医師(コンスタンティン博士)の2人しか居ない。」とのことだった。

ポワロが1号室(一等寝台席)へ向かうと、廊下でジョン・アーバスノット大佐(Colonel John Arbuthnot - 英国人で、軍人)と会話をしていたヘクター・マックイーンは、ポワロの姿を見て、驚く。ポワロは、ヘクター・マックイーンに対して、「今夜から、別の部屋へ移動した。」と告げた。

<TV ドラマ版>

イスタンブール発カレー行きのオリエント急行は、ベオグラードに到着。そして、アテネ発パリ行きの車輌と接続される。

ポワロが、プラットフォームへと降りると、ヘクター・マックイーンも降りて来る。「ここで降りるんじゃないのですか?」と言うヘクター・マックイーンの問いに、ポワロは、「今夜から、別の部屋へ移動する。」と答える。そこへ車掌のピエール・ミシェルがやって来て、ポワロに対して、「1号室(一等寝台席)の準備が出来ました。」と告げる。


(12)

<TV ドラマ版>

ポワロが、1号室(一等寝台席)において、お祈りをする。

「I thank thee for having created me … for having made me a Catholic. … and if I have done any good, deign to accept it. Amen.」そして、ポワロは、ロザリオ(十字架)にキスをする。

一方、サミュエル・ラチェットも、2号室(一等寝台席)において、祈りを捧げている。

「Pardon me for all evil I have done this day. Watch over me while I take my rest. And deliver me from danger.」

米国において、幼いデイジー・アームストロング(Daisy Armstrong)を誘拐して殺害したことについ関して、悔恨の念を抱いているように見受けられる。

「法とは、何か?正義とは、何か?」と言う問い掛けが、何度も提示され、原作に比べると、全体を通して、非常に暗く、かつ、重苦しい内容となっている。

<原作>

原作の場合、このような場面はない。


(13)

<原作>

眠りについたポワロは、夜中、隣りの部屋の叫び声に目を覚ます。

車掌のピエール・ミシェルが、サミュエル・ラチェットが宿泊している2号室(一等寝台席)をノックする。すると、内から、「Ce n’est rien. Je me suis trompe.」と言う返事がある。午前0時37分のことだった。

残念ながら、ポワロは、眠れなくなってしまった。

3号室(一等寝台席)に宿泊しているキャロライン・マーサ・ハバード夫人(Mrs.   Caroline Martha Hubbard - 米国人で、陽気でおしゃべりな中年女性)が、車掌のピエール・ミシェルを呼んで、「部屋の中に、誰か居る。」とクレームした。

ポワロは、車掌のピエール・ミシェルに、水を頼む。その際、彼から、「オリエント急行は、ヴィンコヴツィ(Vinkovci - 現在のクロアチア(Croatia)共和国領内)近くで積雪による吹き溜まりに突っ込んで、立ち往生しています。」と告げられる。

再び、ベッドに戻ったポワロであったが、何か重いものがドアに当たった音がした。ポワロがドアを空けて、廊下を見てみると、赤い着物を羽織った女性が、廊下を歩き去って行くところだった。その先の車掌の席には、ピエール・ミシェルが書類仕事をしていた。

<TV ドラマ版>

眠りについたポワロは、夜中、隣りの部屋の叫び声に目を覚ます。

車掌のピエール・ミシェルが、サミュエル・ラチェットが宿泊している2号室(一等寝台席)をノックする。すると、内から、「C’est rien. Je me suis trompe.」(原作対比、セリフが若干の異なっている)と言う返事がある。午前0時半頃のことだった。

再度、ポワロは、眠りにつく。

オリエント急行は、大雪に突っ込んで、急停車する。午前2時頃のことだった。

3号室(一等寝台席)に宿泊しているキャロライン・マーサ・ハバード夫人が、車掌のピエール・ミシェルを呼んで、「部屋の中に、誰か居る。」とクレームする。

もう一度、ベッドに戻ったポワロであったが、彼の部屋のドアがノックされる。ポワロがドアを空けて、廊下を見てみると、赤いキモノを着た女性が、廊下を歩き去って行くところだった。その先の車掌の席には、ピエール・ミシェルが書類仕事をしていた。午前2時半頃のことだった。


2023年10月27日金曜日

ゲームブック「シャーロック・ホームズ 4つの事件捜査」(Sherlock Holmes - Four Investigations)- その2


ある深夜、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの2人が共同生活を送っているベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)の郵便受けに、何者かが4つの事件が入った封筒を直接投函して、立ち去ったのである。


翌朝、4つの事件が入った封筒の内容に目を通したホームズは、協力を申し出るワトスンに対して、一番簡単そうに思われた封筒を手渡すと、まず手始めに、この事件をワトスン単独で捜査するように指示したのである。


<第1の事件:ベイカーストリートの猫(The Cat of Baker Street)>



ワトスンは、ホームズと共同生活を送るベイカーストリート221Bを出ると、ホームズから渡された封筒の住所を再確認した。なんと、その住所は、直ぐ隣りの「ベイカーストリート219番地(219 Baker Street)」であった。


ワトスンがベイカーストリート219番地のドアをノックすると、驚くことに、出て来たのは、ハドスン夫人( Mrs. Hudson)だった。

ハドスン夫人によると、ベイカーストリート221番地の建物に加えて、ベイカーストリート219番地の建物も所有している、とのことだった。



ベイカーストリート219番地の建物は、左右の2部屋に分かれており、左側の「Tenant’s Living Room」については、既にテナントが決まっているものの、まだ入居前であった。

一方、右側の「Caretaker’s Suite」に関しては、現在、ハドスン夫人が使用中だった。


実は、ハドスン夫人は、右側の「Caretaker’s Suite」において、猫を飼っていて、ロザリー(Rosalie)と名付けていた。

ハドスン夫人曰く、ベイカーストリート221番地の建物内で猫を飼うと、ホームズが非常に嫌がるため、止むを得ず、ベイカーストリート219番地の建物内で猫を飼わざるを得なかったのである。



ある日、ハドスン夫人が、ベイカーストリート219番地の「Caretaker’s Suite」において、猫のロザリーが飲む水と食べる餌の準備をして、しゃがんでいた際、突然、後頭部に衝撃があり、気を失ってしまった。

暫くして、ハドスン夫人が目を覚ますと、猫のロザリーの姿は、何処にもなかった。


ハドスン夫人は、ワトスンに対して、行方不明になった猫のロザリーの居場所を早急に探してほしいと依頼した。

果たして、行方不明になった猫のロザリーは、現在、何処に居るのだろうか?



2023年10月26日木曜日

パディントン <映画版>(Paddington )- その2

英国 / フランスによる共同制作の下、
2014年に実写アニメーション映画となった
「パディントン」の DVD 本体

英国の作家であるマイケル・ボンド(Michael Bond:1926年-2017年)作の児童文学「くまのパディントン(Paddington Bear)」シリーズの第1作目となる「くまのパディング(A Bear Called Paddington → 2023年9月26日付ブログで紹介済)」(1958年)をベースにして、英国 / フランスが共同制作した実写アニメーション映画「パディントン(Paddington)」(2014年)の場合、次のように、物語が展開する。


「暗黒の地ペルー(Darkest Peru)」へとやって来た英国人探検家(後に、モンゴメリー・クライド(Montgomery Clyde)であることが判明)は、そこで熊の夫婦に遭遇する。彼らの名前は、ルーシー(Lucy)とパストゥーゾ(Pastuzo)で、驚くべきことに、知性があり、マーマレードが大好きだった。

その熊の夫婦と意気投合した探検家は、「いつか、ロンドンを訪ねて

来なさい。いつもでも大歓迎する。」と言い残すと、約束のしるしとして、帽子を渡し、英国へと帰国した。

マイケル・ボンドの原作上、このような話はないので、映画独自の展開である。)


40年後、歳をとった熊の夫婦ルーシーとパストゥーゾは、探検家との約束通り、ロンドンへ行くことは叶わなかったが、親を亡くした甥と一緒に、暮らしていた。彼らの甥は、叔母 / 叔父夫婦から、探検家の話を聞いて、ロンドンへの憧れを抱いていた。

マイケル・ボンドの原作上、このような話はないので、映画独自の展開である。)


そんなある日、彼らが住む土地に、大地震が発生した。

彼らは地下シェルターへと逃げ込もうとするが、逃げ遅れた叔父のパストゥーゾは、倒れてきた樹木の下敷きになり、亡くなってしまう。

マイケル・ボンドの原作上、このような話はないので、映画独自の展開である。)


夫を亡くした叔母のルーシーは、「老熊ホーム(Home for Retired Bears)」への入居を決め、甥は、叔母に勧められて、新しい家を求め、探検家が居るロンドンへと向かうのであった。

(叔母のルーシーが、夫のパストゥーゾを亡くした件については、マイケル・ボンドの原作上、ないが、それ以降、映画版は、概ね原作に基づいた展開となる。)


ロンドンに着いた熊は、夜のパディントン駅(Paddington Station → 2014年8月3日付ブログで紹介済)において、途方に暮れていた

そこに、旅行から帰って来たブラウン一家が偶然通り掛かり、メアリー・ブラウン(Mary Brown)が、独りぼっちで途方に暮れていた熊に声を掛ける。熊から事情を聞いたメアリー・ブラウンは、駅の名前に因んで、彼を「パディントン(Paddington)」と名付けると、ウィンザーガーデンズ(Windsor Gardens)にある自分達の家へと招待すると、彼が自分の住処を見つけられるまで、家に住まわせてあげることにした。

ブラウン一家の主人であるヘンリー・ブラウン(Henry Brown)は、パディントンが言うことを今ひとつ信じておらず、彼としては、パディントンを自分達の家に泊めるのは、1日だけのつもりだった。一方、メアリー・ブラウン、長女のジュディー・ブラウン(Judy Brown)、長男のジョナサン・ブラウン(Jonathan Brown)、そして、ブラウン家住み込みの家政婦のバード夫人(Mrs. Bird)は、パディントンに好意的だった。

しかし、都会の暮らしに慣れていないパディントンは、階上のバスタブを溢れさせて、早速、騒動を引き起こしてしまい、早くも、ヘンリー・ブラウンから煙たがられる結果となった。

(映画版は、概ね原作に基づいた展開であるが、原作の場合、パディントンは、ブラウン一家の誰からも煙たがられていないが、映画版の場合、パディントンは、ブラウン家の主人であるヘンリー・ブラウンから煙たがられている。)


パディントンは、叔母のルーシーと叔父のストゥーゾが会った探検家の行方を探そうとするが、彼の名前が判らない上に、インターネット上にも、ペルーを探検した人物の記録は、全く存在していなかった。

メアリー・ブラウンの勧めで、骨董品屋を営むサミュエル・グルーバー(Samuel Gruber)の元を訪れたパディントンは、店から出て行く客が財布を落としたことに気付き、財布を返そうと、その客の後を追い掛ける。パディントンは、ロンドン市内中で一騒動を引き起こすが、なんとか客に追い付いたところ、驚くことに、その客は、スリの常習犯であるアンドレ(Andre)だった。

結果的に、スリを逮捕することになったパディントンは、一躍、ロンドン市内中のヒーローとなる。

マイケル・ボンドの原作上、このような話はないので、映画独自の展開である。)


パディントンの噂を聞いた自然史博物館(National History Museum)の剥製部長であるミリセント・クライド(Millicent Clyde)は、彼を剥製にしようと、彼の行方を探し始めた。

実は、彼女の父親であるモンゴメリー・クライドが、パディントンの叔母のルーシーと叔父のストゥーゾに遭遇した探検家で、知性がある熊を捕獲して、剥製にすることを拒んだ結果、地理学者協会から追放された上に、彼のそれまでの経歴も、全て抹消されてしまったのである。

彼女は、父親が地理学者協会から追放された結果、極貧生活を送る羽目となり、その恨みから、パディントンを剥製にしようと考えていたのだ。

マイケル・ボンドの原作上、このような話はないので、映画独自の展開である。)


2023年10月25日水曜日

アガサ・クリスティー作「オリエント急行の殺人」<英国 TV ドラマ版>(Murder on the Orient Express by Agatha Christie )- その2

第64話「オリエント急行の殺人」が収録された
エルキュール・ポワロシリーズの DVD コレクション No. 8 の裏表紙
 -
一番左側が「オリエント急行の殺人」の場面で、
右側の人物が、エルキュールポワロ
(演:
サー・デヴィッド・スーシェ(Sir David Suchet)で、
左側の人物が、
サミュエル・ラチェット(演:Toby Jones)である。


英国の TV 会社 ITV 社による制作の下、「Agatha Christie’s Poirot」の第64話(第12シリーズ)として、2010年12月25日に放映されたアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「オリエント急行の殺人(Murder on the Orient Express)」(1934年)の TV ドラマ版の場合、原作対比、以下のような差異が見受けられる。

なお、今回は、エルキュール・ポワロがオリエント急行(Orient Express)に乗車する場面までとする。


(1)

<原作>

ポワロがオリエント急行に乗車する前に携っていた事件

・場所:シリア(Syria)

・依頼者:シリアに駐屯するフランス陸軍(と思われる)の将軍(General)

・内容:明確に言及されていないため、不明。

・犯人:「A very distinguished officer had committed suicide.」と述べられているだけで、具体的な名前や階級は与えられていない。また、共犯者なのか、それとも、犯人の上官なのか、判らないが、「Another had resigned.」と言う記載もある。

・結末:犯人が自殺。

<TV ドラマ版>

ポワロがオリエント急行に乗車する前に携っていた事件

・場所:パレスチナ(Palestine)

・関係者:パレスチナに駐屯する英国陸軍(と思われる)の将軍

・内容:英国陸軍(と思われる)の駐屯地から2マイル離れた場所で、ある女性が首の骨を折って死亡。 → ポワロによると、人間の手によるものではなく、転落による骨折、とのこと。

・犯人:モーリス中尉(Lieutenant Morris)

・結末:ポワロから厳しい糾弾を受けたモーリス中尉は、横に立っていた同僚の腰のベルトから銃を奪い、頭を撃って、自殺を遂げる。血の一部が、ポワロの顔に降りかかる場面も挿入されている。


(2)

<原作>

ポワロがイスタンブール(Istanbul)へと向かう場面

・アレッポ(Aleppo)駅で、イスタンブール行きのタウルス急行(Taurus Express)に乗車。

・シリアに駐屯するフランス陸軍(と思われる)のデュボスク中尉(Lieutenant Dubosc)が、アレッポ(Aleppo)駅で、ポワロを見送る。なお、デュボスク中尉は、ポワロがどういった事件を捜査していたのかについては、知らされておらず、あくまでも、ポワロの見送りだけを指示されていた。

<TV ドラマ版>

ポワロがイスタンブール(Istanbul)へと向かう場面

・船で、イスタンブールへ移動。

・パレスチナに駐屯する英国陸軍(と思われる)ブランシュフラワー中尉(Lieutenant Blanchflower - モーリス中尉の友人)が、パレスチナからイスタンブールまで、ポワロに帯同。なお、ブランシュフラワー中尉は、ポワロがどういった事件を操作していたのか、また、その結末についても、全て知っており、パレスチナからイスタンブールへと向かう船上において、ポワロに対して、上官からの感謝を伝えつつも、友人のモーリス中尉を自殺に追い詰めたことに異を唱えている。


(3)

<原作>

ポワロが、ジョン・アーバスノット大佐(Colonel John Arbuthnot - 英国人で、軍人)とメアリー・デベナム(Mary Hermione Debenham - 英国人で、家庭教師)の2人を最初に見かけるのは、アレッポ(Aleppo)駅から乗車したイスタンブール行きのタウルス急行内である。

<TV ドラマ版>

ポワロが、ジョン・アーバスノット大佐とメアリー・デベナムの2人を最初に見かけるのは、船が到着したイスタンブールの街頭においてである。


(4)

<原作>

メアリー・デベナムがジョン・アーバスノット大佐に対して発した「Not now. Not now. When it’s all over. When it’s behind us - then -」と言う言葉をポワロが耳にしたのは、イスタンブール行きのタウルス急行が停車した途中駅のプラットフォームにおいてである。

<TV ドラマ版>

メアリー・デベナムがジョン・アーバスノット大佐に対して発した「Not now. Not now. When it’s all over. When it’s behind us - then -」と言う言葉をポワロが耳にしたのは、船が到着したイスタンブールの街頭においてである。


(5)

<TV ドラマ版>

イスタンブールの街頭において、他の男性の子供を宿したトルコ人の女性が、彼女の夫を含む集団に追われて、皆から石を投げ付けられた上に、唾を吐きかけられると言う私刑を受ける。

その場に居合わせたジョン・アーバスノット大佐とメアリー・デベナムの2人は、為す術もなく、立ち尽くすしかなかった。

同じく、その場に居合わせたポワロは、この私刑について、「地元の正義が行われたまでのこと。」と評するのであった。

TV ドラマ版の場合、モーリス中尉 / ブランシュフラワー中尉の件、イスタンブールの街頭における他の男性の子供を宿したトルコ人の女性に対する私刑、そして、オリエント急行内での殺人事件と、「法とは、何か?正義とは、何か?」と言う問い掛けが、何度も提示され、原作に比べると、全体を通して、非常に暗く、かつ、重苦しい内容となっている。

<原作>

原作の場合、このような場面はない。


(6)

<原作>

ポワロがイスタンブールのホテル(The Tokatlian Hotel)に到着した後の流れ

・ポワロは、ホテルのコンシェルジュから、「直ぐにロンドンへ戻られたし。」という電報を受領。

・ポワロは、ホテルのコンシェルジュに対して、イスタンブール発カレー(Calais)行きのオリエント急行(Orient Express)の手配を依頼。

・ポワロは、ホテルのレセプションへ行って、部屋の予約をキャンセル。

・ホテルのホールにおいて、ポワロは、ベルギー時代からの友人で、国際寝台車会社(Compagnie Internationale des Wagons Lits)の重役ブック氏(Mr. Bouc)に再会。ブック氏は、仕事の関係で、スイスのローザンヌ(Lausanne)へと向かう予定で、後で一緒に駅へ向かう約束をした。

・ポワロは、ホテルのレストランで、夕食をとっている際、それ程離れていないテーブルに居るサミュエル・ラチェット(Samuel Ratchett - 米国人の実業家)とヘクター・マックイーン(Hector MacQueen - 米国人で、ラチェットの秘書)の2人に興味を抱いた。

・ポワロが、ホテルのラウンジにおいて、ブック氏と落ち合った際、サミュエル・ラチェットとヘクター・マックイーンの2人がホテルから出て行くのを見かける。

・ホテルのコンシェルジュがポワロの元へとやって来て、イスタンブール発カレー行きのオリエント急行の一等寝台席が満席であることを告げる。

・ボック氏は、ポワロに対して、「一等寝台席の16号室は、常に予備として空けてあるので、大丈夫だ。(There is always one compartment - the No. 16, which is not engaged. The conductor sees to that!)」と請け合い、2人は駅へと向かった。

<TV ドラマ版>

ポワロがイスタンブールのホテル(The Tokatlian Hotel)に到着した後の流れ

・ポワロは、ホテルのコンシェルジュから、「直ぐにロンドンへ戻られたし。」という電報を受領。

・ポワロは、ホテルのコンシェルジュに対して、部屋の予約をキャンセルするとともに、イスタンブール発カレー行きのオリエント急行の手配を依頼。

・オリエント急行の手配を待つポワロは、サミュエル・ラチェットとヘクター・マックイーンの2人がホテルから出て行くのを見かける。

・続いて、ポワロは、ベルギー時代からの友人で、国際寝台車会社の重役ザビエル・ブック(Xavier Bouc)に再会。

・ホテルのコンシェルジュが、ポワロに対して、イスタンブール発カレー行きのオリエント急行の一等寝台席が満席であることを告げる。

・ボック氏は、ポワロに対して、「寝台席を必ず確保できるから、大丈夫だ。」と請け合い、2人は駅へと向かった。


原作の場合、「ブック氏」と呼ばれているだけであるが、TV ドラマ版の場合、「ザビエル・ブック」と言うフルネームが与えられている。

また、上記の通り、ポワロがイスタンブールのホテルに到着した後、原作の場合、コンシェルジュ(手紙や電報の受領+オリエント急行の手配依頼)、レセプション(ホテルの予約キャンセル)、ホール(ブック氏との再会)、レストラン(サミュエル・ラチェットとヘクター・マックイーンの2人を見かける)、そして、ラウンジ(オリエント急行の一等寝台席が満席であることを告げられる)と言うように、場所がいろいろと切り替わるが、TV ドラマ版の場合、時間の関係上、全て、コンシェルジュのところにまとめられている。


2023年10月24日火曜日

シェイクスピアの世界<ジグソーパズル>(The World of Shakespeare )- その29

テムズ河(River Thames)の南岸(Southbank)において、
五月祭を祝うメイポールダンスが行われている。


英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、2020年に発売されたジグソーパズル「シェイクスピアの世界(The World of Shakespeare)」には、のイラスト内には、イングランドの劇作家 / 詩人であるウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare:1564年ー1616年 → 2023年5月19日付ブログで紹介済)や彼が生きた時代の人物、彼の劇が上演されたグローブ座、そして、彼が発表した史劇、悲劇や喜劇に登場するキャラクター等が散りばめられているので、前回に続き、順番に紹介していきたい。


今回紹介するのは、「五月祭(May Day fete)」である。

五月祭は、古代ローマの祭りに由来するもので、夏の豊穣を予祝する祭りと考えられている。

春分の日(spring equinox)と夏至の日(summer solstice)の中間点に該る「5月1日」に、ギリシア神話 / ローマ神話の豊穣の女神マイア(Maia)を祭り、供物が捧げられたが、現在では、春の訪れを祝う日として定着している。


五月祭では、「メイポール(maypole)」と呼ばれる背の高い木製の柱が建てられ、その周りでメイポールダンス(maypole dance)が行われる。