2023年12月31日日曜日

ボニー・マクバード作「シャーロック・ホームズのクリスマス冒険 / 御使いうたいて」(A Sherlock Holmes Christmas / What Child Is This? by Bonnie MacBird) - その2

2023年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
ボニー・マクバード作「御使いうたいて」の
ペーパーバック版の裏表紙
(Cover design by 
HarperCollinsPublishers Ltd. /
Cover images by Bonnie MacBird <figure, front cover>
Cover images by Shutterstock.com <all other images>) 


シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの2人が、食事を終えた後、ベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)へと戻る途中、オックスフォードストリート(Oxford Street → 2016年5月28日付ブログで紹介済)において、子供の誘拐現場に遭遇し、それを未然に防いだ翌朝(1890年12月14日)、ホームズの元に、果物が一杯詰まった巨大なバスケットが届けられた。

それは、レディー・アンドロメダ・エンディコット(Lady Andromeda Endicott)からだった。ホームズによると、彼女の夫であるフィリップ・エンディコット卿(Lord Philip Endicott)は、エンディコット公爵(Duke Endicott)の次男とのこと。


子供のジョナサンが誘拐されるのを未然に防いでもらった御礼として、
レディー・アンドロメダ・エンディコットが
ベイカーストリート221Bのシャーロック・ホームズ宛に、
果物が一杯詰まったバスケットを送り届けてきた。
(Illustrations by Frank Cho /

1971年に韓国のソウル生まれのイラストレーター)

続いて、レディー・エンディコットが、ボディーガードのヘクター・ジョーンズ(Hector Jones)を従えて、子供のジョナサン(Jonathan - 3歳)と一緒に、ベイカーストリート221Bを訪れた。


レディー・エンディコットは、ジョナサンに、ホームズとワトスンの2人に対して、御礼を述べるように伝えた。

子供の首の後ろに、ワインの染みのような星形の痣があった。


レディー・エンディコットは、ホームズ達に、


(1)ジョナサンは、クリスマスの日に生まれたので、自分たちは、首の後ろの痣を「ベツレヘムの星(Star of Bethlehem)」と呼んでいる。

(2)彼は、次のクリスマスを迎えると、4歳になる。


こと等を説明すると、昨日、オックスフォードストリートで彼を誘拐しようとした犯人を捕まえてほしいと依頼したのである。


レディー・アンドロメダ・エンディコットが
シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの2人に紹介した
子供のジョナサンの首の後ろには、
ワインの染みのような星形の痣があった。
(Illustrations by Frank Cho


彼女によると、先週(12月10日)の午前2時、覆面をした何者かが、キッチンの窓から屋敷内へ侵入して、上の階へと向かったが、執事(butler)のジョーンズ(Jones)と彼の息子であるヘクターに見つかり、逃げ去ったとのこと。

その侵入者は、昨日の誘拐未遂犯と同一人物である可能性が高かった。


ホームズとワトスンは、その日の午後3時に、屋敷を訪問する約束をした。


その日の午後、メイフェア地区(Mayfiar)にあるエンディコット家の屋敷へと向かう馬車の中で、ホームズは、ワトスンに対して、レディー・エンディコットのことについて、事前説明を始めた。


(1)バッキンガムシャー州(Buckinghamshire)に所在する広大な農場を相続。

(2)ニューナムカレッジ(Newnham College)を卒業。

(3)フィリップ・エンディコット卿(現在、準男爵(barnet))と結婚。なお、フィリップ・エンディコット卿は、フランスの葡萄園への投資により、巨万な富を築いている。


エンディコット家の屋敷に到着したホームズとワトスンの2人が、レディー・エンディコットとの面談を始めようとしていたところ、そこにフィリップ・エンディコット卿が姿を見せて、ホームズへの調査依頼を断るとともに、屋敷から直ぐに出て行くように要求した。


更に、フィリップ・エンディコット卿に呼ばれて、彼の後から姿を表したのは、なんと、「シャーロック・ホームズの冒険 / 芸術家の血(A Sherlock Holmes Adventure / Art in the Blood → 2022年4月17日 / 4月23日 / 4月30日付ブログで紹介済)」から何かと因縁が続くフランス人探偵のジャン・ヴィドック(Jean Vidocq)であった。


シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの2人が、
レディー・アンドロメダ・エンディコットと面談する場に
突然入って来たフィリップ・エンディコット卿は、
ホームズ達に対して、即刻、屋敷から立ち去るように求めた。
彼の後から入って来たのは、
ホームズ達と因縁が深いフランス人の探偵である
ジャン・ヴィドックであった。
(Illustrations by Frank Cho

やむを得ず、部屋から退出するホームズとワトスンであったが、その際、ホームズは、フィリップ・エンディコット卿に対して、驚くべき一言を放つ。


「あなたの御子息は、本当のお子さんではなく、養子なのでは?」


2023年12月30日土曜日

アンドリュー・ウィルスン作「殺人の才能」(A Talent for Murder by Andrew Wilson) - その1

2018年に英国の Simon & Schuster UK Ltd. から出版された
アンドリュー・ウィルスン作「殺人の才能」の
ペーパーバック版の表紙
(Cover illustration : Mark Smith
Cover design : Pip Watkins / S&S Art Dept.) 


本作品「殺人の才能(A Talent for Murder)」は、英国の伝記作家 / 小説家 / ジャーナリストであるアンドリュー・ウィルスン(Andrew Wilson:1967年ー)が2017年に発表したものである。


アンドリュー・ウィルスンは、1967年6月6日、英国のランカシャー州(Lancashire)に出生。ロンドンのキングスカレッジ(King’s College, London)において、英国文学を専攻し、1988年に卒業すると、ジャーナリズムの世界へと進む。


アンドリュー・ウィルスンは、米国の作家であるパトリシア・ハイスミス(Patricia Highsmith:1921年ー1995年)の伝記に該る「Beautiful Shadow: A Life of Patricia Highsmith」を2003年に発表して、Edgar Allan Poe Award (for best critical biography) や LAMDA Literary Award (for biography) の賞を獲得する。

なお、パトリシア・ハイスミスは、「見知らぬ乗客(Strangers on a Train)」(1950年)や「太陽がいっぱい(The Talented Mr. Ripley)」(1955年)等の作品で、非常に有名である。


アンドリュー・ウィルスンは、他にも、アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)を主人公に据えた以下の推理小説も発表している。


(1)「A Talent for Murder(殺人の才能)」(2017年)

(2)「A Different Kind of Evil」(2018年)

(3)「Death in a Desert Land」(2019年)

(4)「I Saw Him Die」(2020年)


なお、本シリーズは、アガサ・クリスティー財団(Agatha Christie Ltd.)の許可を受けている訳ではないことが言及されている。


アガサ・クリスティーを主人公とするシリーズの第1作目に該る「殺人の才能」は、彼女が謎の失踪を遂げた10日間に、焦点が当てられている。


ウィルトンロード(Wilton Road)側に面したヴィクトリア駅の入口


物語は、1926年12月、ロンドンのヴィクトリア駅(Victoria Station → 2015年6月13日付ブログで紹介済)から始まる。

ヴィクトリア駅のプラットフォームに居たのは、アガサ・クリスティーその人であった。


2023年12月29日金曜日

アガサ・クリスティー エルキュール・ポワロ 2024年カレンダー(Agatha Christie - Hercule Poirot - Calendar 2024)- 「もの言えぬ証人(Dumb Witness)」

表紙が、謎の死を遂げたエミリー・アランデルの飼い犬であるボブの形に切り取られている。


アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の作品を出版している英国の Harper Collins Publishers 社から出ているエルキュール・ポワロ(Hercule Poirot)シリーズのペーパーバック版の表紙を使った2024年カレンダーのうち、2番目を紹介したい。


(2)長編「もの言えぬ証人(Dumb Witness)」(1937年)


本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第21作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第14作目に該っている。



ある年の6月28日、エルキュール・ポワロは、エミリー・アランデル(Emily Arundell)と名乗る老婦人から、自分の命に危険が迫っていることを示唆する内容の手紙を受け取る。奇妙なことに、手紙の日付は、その年の4月17日になっており、手紙が書かれてから2ヶ月後に投函されているのだった。

ポワロの相棒で、友人でもあるアーサー・ヘイスティングス大尉(Capitain Arthur Hastings)は、「老婦人のとりとめのない妄想ではないか?」と疑問を呈したが、手紙が差し出された経緯について興味を覚えたポワロは、ヘイスティングス大尉を伴って、事実を確かめるために、エミリー・アランデルが住むバークシャー州(Berkshire)のマーケットベイジング(Market Basing)へ赴くことにした。


ポワロとヘイスティングス大尉の二人が、エミリー・アランデルの住所である小緑荘(Littlegreen House)を訪れると、屋敷の前には、「売家」の札が掲げられていた。疑問を抱いた二人が地元で尋ねると、エミリー・アランデル本人は、1ヶ月以上も前になくなっていたのである。


亡くなったエミリー・アランデルは、長女マチルダ(Matilda)、三女アラベラ(Arabella)、長男トマス(Thomas)および四女アグネス(Agnes)の五人兄弟の次女で、ただ一人存命中だった。彼女は、父親のアランデル将軍からかなりの財産を相続しており、非常に裕福であった。彼女は、生涯未婚の上、自分の財産を遺す子供が居なかったため、以下の姪と甥が将来彼女の遺産を分け合うものと思われていた。


(1)ベラ・タニオス(Bella Tanios):三女アラベラの娘

   ジャコブ・タニオス(Dr. Jacob Tanios):ギリシア人の医者で、ベラの夫

(2)チャールズ・アランデル(Charles Arundell):長男トマスの長男で、テリーザの兄

(3)テリーザ・アランデル(Theresa Arundell):長男トマスの長女で、チャールズの妹

   レックス・ドナルドスン(Dr. Rex Donaldson):医者で、テリーザの婚約者


ところが、エミリー・アランデルは、亡くなるわずか数日前に、遺言書を書き換えていて、新しい遺言書により、彼女の全財産は、彼女の相手役(コンパニオン)であるウィルへルミナ・ロウスン(Wilhelmina Lawsonー通称:ミニー(Minnie))に遺贈され、彼女の本当の肉親である姪2人と甥1人に対しては、何も残されなかったのである。そのため、地元マーケットベイジングの住人達の間では、その噂でもちきりだった。


エミリー・アランデルの遺族の間で憤懣がつのる中、彼女の愛犬であった「もの言えぬ証人(Dumb Witness)」のテリア犬ボブ(Bob)は、彼女の死の真相究明に乗り出したポワロとヘイスティングス大尉に対して、何かを伝えようとしていた。


2023年12月28日木曜日

ボニー・マクバード作「シャーロック・ホームズのクリスマス冒険 / 御使いうたいて」(A Sherlock Holmes Christmas / What Child Is This? by Bonnie MacBird) - その1

2023年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
ボニー・マクバード作「御使いうたいて」の
ペーパーバック版の表紙
(Cover design by 
HarperCollinsPublishers Ltd. /
Cover images by Bonnie MacBird <figure, front cover>
Cover images by Shutterstock.com <all other images>) 


本作品「シャーロック・ホームズのクリスマス冒険 / 御使いうたいて(A Sherlock Holmes Christmas / What Child Is This?)」は、米国の小説家であるボニー・マクバード(Bonnie MacBird)が2022年に発表したものである。


サンフランシスコ(San Francisco)出身のボニー・マクバードは、スタンフォード大学(Stanford University)において、音楽の学士号と映画の修士号を取得した後、ハリウッド(Hollywood)において、脚本家およびプロデューサーとして、長らく活躍し、エミー賞(Emmy Awards)を3回、そしてmCine Golden Eagles 賞を11回受賞。また、彼女は、SF 映画「トロン(TRON)」(1982年)の原案・原作者としても知られている。

なお、本作品は、小説家としての処女作に該る「シャーロック・ホームズの冒険 / 芸術家の血(A Sherlock Holmes Adventure / Art in the Blood → 2022年4月17日 / 4月23日 / 4月30日付ブログで紹介済)」(2015年)や第2作目に該る「シャーロック・ホームズの冒険 / 不穏な蒸留酒(A Sherlock Holmes Adventure / Unquiet Spirits → 2022年5月22日 / 5月28日 / 6月3日 / 11月29日付ブログで紹介済)」(2017年)等に続く第5作目である。


本作品のタイトルに該る「御使いうたいて(What Child Is This?)」とは、イングランドの伝統的な民謡「グリーンスリーヴス(Greensleeves)」の旋律に合わせて、英国の作詞家であるウィリアム・チャタート・ディックス(William Chatterton Dix:1837年ー1898年)が歌詞を付したクリスマスキャロルのことである。


イングランドの伝統的な民謡「グリーンスリーヴス」の旋律に合わせて、
英国の作詞家ウィリアム・チャタート・ディックスが付した
「御使いうたいて」の歌詞
(Illustrations by Frank Cho /
1971年に韓国のソウル生まれのイラストレーター)

1890年の12月13日、ジョン・H・ワトスンは、ベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)に居た。

彼の妻メアリー(Mary)は、夫を最近亡くした友人を慰めるために、チェスター(Chester)へ絵かけていたので、妻が不在の間、ワトスンは、シャーロック・ホームズの元に滞在していたのである。


クリスマス休暇が近いロンドンの雰囲気に全く馴染めず、また、面白い事件がないホームズは、非常に不機嫌の上、苛立っていた。

そんなホームズを、ワトスンは、ローストビーフサンドウィッチを食べに、外へ連れ出す。


ローストビーフサンドウィッチを食べて、ベイカーストリート221Bへ戻る途中、
シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの2人は、
オックスフォードストリートにおいて、子供の誘拐現場に遭遇する。
(Illustrations by Frank Cho)

食事を終えたホームズとワトスンの2人が、オックスフォードストリート(Oxford Street → 2016年5月28日付ブログで紹介済)からベイカーストリート(Baker Street → 2016年10月1日付ブログで紹介済)へと戻る途中、子供の誘拐現場に遭遇する。

2人は、誘拐犯から子供を助けると、ホームズは、逃走する犯人の後を追った。一方、ワトスンは、母親、子供とメイドの3人を馬車に乗せると、母親にホームズのカードを渡した。生憎と、ワトスンが母親に名前を尋ねる前に、馬車が走り出してしまった。ホームズは、ワトスンの元へ戻って来たが、残念ながら、犯人には逃げられてしまったようだ。


ベイカーストリート221Bに戻ったホームズとワトスンの元を、ブランベリー侯爵(Marquis of Blanbury)のヘンリー・ウェザーリング(Henry Weathering)が訪れた。

ウェザーリング家には、長男のロバート(Robert)、次男のランドルフ(Randolf)と三男のレジナルド(Reginald - 21歳)が居たが、芸術や音楽に造詣が深く、スポーツをあまり好まないレジナルドが、父母のお気に入りだった。

ブランベリー侯爵は、レジナルドに、昨年のクリスマスプレゼントとして、ロンドンのメイフェア地区(Mayfair)にフラットを買い与え、レジナルドが13歳の時から仕えているジョージ・パーキンス(George Perkins)を執事(valet)に据えた。

彼によると、10月からレジナルドとの連絡がとれなくなった上に、その後、レジナルドとジョージの2人は、行方不明になった、とのこと。更に、現在、同フラットには、別のカップルが住んでいるようで、彼がフラットを訪れても、中にはいれてもらえなかった、と言う。

そのため、ブランベリー侯爵は、ホームズに対して、三男レジナルドの行方を調べてほしいと依頼した。


ブランベリー侯爵からの話を聞いたホームズは、調査費用として、200ポンドを請求した。

ブランベリー侯爵は、直ぐに、前金として、100ポンドの小切手をホームズに渡す。

高額な費用に驚くワトスンに対して、ホームズは、「引越費用に困っているへフィー(Heffie - Miss Hephzibah O’Malley / 第3作目の「Devil’s Due」に登場した人物で、探偵としての能力が高い少女)に、ブランベリー侯爵の三男レジナルドの行方を調べる仕事を任せ、その報酬として、200ポンド全額を渡すつもりだ。」と告げた。


シャーロック・ホームズは、探偵としての能力が高いへフィーに対して、
ブランベリー侯爵の三男レジナルドの行方を調べる仕事を任せることにした。
(Illustrations by Frank Cho

ホームズは、どうやら、ブランベリー侯爵の三男レジナルドの行方よりも、先程、オックスフォードストリートで遭遇した誘拐未遂事件のことが、非常に気になるようだった。


2023年12月27日水曜日

アガサ・クリスティー エルキュール・ポワロ 2024年カレンダー(Agatha Christie - Hercule Poirot - Calendar 2024)- 「オリエント急行の殺人(Murder on the Orient Express)」

陸橋を渡るオリエント急行を背景にした表紙が、

同列車内に設置されているランプの形に切り取られている。


アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の作品を出版している英国の Harper Collins Publishers 社から、エルキュール・ポワロ(Hercule Poirot)シリーズのペーパーバック版の表紙を使った2024年カレンダーが出ているので、順番に紹介したい。


2024年カレンダーに使用されているエルキュール・ポワロシリーズのペーパーバック版の表紙の場合、デザインについては、Ms. Claire Ward / Harper Collins Publishers Ltd. が、また、背景のイラストやシルエットに関しては、Shutterstock が担当している。


なお、カレンダーの順番は、長編・短編集を含めて、エルキュール・ポワロシリーズの発表順にはなっていない。


(1)長編「オリエント急行の殺人(Murder on the Orient Express)」(1934年)


本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第14作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第8作目に該っている。



中東のシリア(Syria)での仕事を終えて、イスタンブール(Istanbul)のホテル(The Tokatlian Hotel)に到着したエルキュール・ポワロは、そこで「直ぐにロンドンへ戻られたし。」という電報を受け取る。早速、ポワロはホテルにイスタンブール発カレー(Calais)行きのオリエント急行(Orient Express)の手配を依頼するが、通常、冬場(12月)は比較的空いている筈にもかかわらず、季節外れの満席だった。

とりあえず、駅へ向かったポワロであったが、ベルギー時代からの友人で、ホテルで再会した国際寝台車会社(Compagnie Internationale des Wagons Lits)の重役ブック氏(Mr. Bouc)が、ポワロのために、二等寝台席を確保してくれる。なお、ブック氏は、仕事の関係で、スイスのローザンヌ(Lausanne)へと向かう予定だった。

なんとかヨーロッパへの帰途についたポワロは、米国人のヘクター・ウィラード・マックイーン(Hector Willard MacQueen)と同室になる。


季節外れにもかかわらず、オリエント急行には、様々な国と職業の人達が乗り合わせていた。

その中の一人で、イスタンブールのホテルで既に見かけていた米国人の実業家であるサミュエル・エドワード・ラチェット(Samuel Edward Ratchett)が、ポワロに対して、話しかけてくる。彼は、最近脅迫状を数回受け取っていたため、身の危険を感じており、ポワロに自分の護衛を依頼してきたのであった。彼の狡猾な態度を不快に思ったポワロは、彼の依頼を即座に断る。


翌日の夜、ベオグラード(Belgrade - 現在のセルビア共和国の首都)において、アテネ(Athens)発パリ(Paris)行きの車輌が接続され、ブック氏はその車輛へと移り、自分の一等寝台席(1号室)をポワロに譲ったため、ポワロはカレーまでゆっくりと一人で過ごせる筈だった。ところが、ポワロの希望とは裏腹に、列車は、ヴィンコヴツィ(Vinkovciー現在のクロアチア(Croatia)共和国領内)近くで積雪による吹き溜まりに突っ込んで、立ち往生しつつあった。


その夜、隣室(2号室)のラチェットの部屋での出来事や廊下での騒ぎ等により、ポワロは、何度も安眠を邪魔された。そして、翌朝、車掌が、ポワロの隣室において、ラチェットが死んでいるのを発見する。彼は、刃物で全身を12箇所もメッタ刺しの上、殺害されていたのである。

ブック氏は、会社の代表者として、ポワロに対し、事件の解明を要請し、それを受諾したポワロは、別の車輛に乗っていたギリシア人の医師コンスタンティン博士(Dr. Constantine)と一緒に、ラチェットの検死を行う。ラチェットが殺害された現場には、燃やされた手紙が残っていて、ポワロは、その手紙からデイジー・アームストロング(Daisy Armstrong)という言葉を解読した。サミュエル・エドワード・ラチェットという名前は偽名であり、彼は、5年前に、米国において、幼いデイジー・アームストロングを誘拐して殺害した犯人カセッティ(Cassetti)で、身代金を持って海外へ逃亡していたのである。


ラチェットの正体を知ったポワロは、ブック氏/コンスタンティン博士と一緒に、列車の乗客の事情聴取を開始する。積雪のため、立ち往生した列車の周囲には足跡がなく、外部の人間が犯人とは思えなかった。列車には、


*1号室(一等寝台席):エルキュール・ポワロ

*2号室(一等寝台席):サミュエル・エドワード・ラチェット

*3号室(一等寝台席):キャロライン・マーサ・ハバード夫人(Mrs.   Caroline Martha Hubbard)- 陽気でおしゃべりな中年女性(米国人)

*4号室(二等寝台席):エドワード・ヘンリー・マスターマン(Edward Henry Masterman)- ラチェットの執事(英国人)

*5号室(二等寝台席):アントニオ・フォスカレリ(Antonio Foscarelli)- 自動車のセールスマン(米国に帰化したイタリア人)

*6号室(二等寝台席):ヘクター・ウィラード・マックイーン - ラチェットの秘書(米国人)

*7号室(二等寝台席):空室(当初、ポワロが使用していた)

*8号室(二等寝台席):ヒルデガード・シュミット(Hildegarde Schmidt)- ドラゴミロフ公爵夫人に仕える女中(ドイツ人)

*9号室(二等寝台席):空室

*10号室(二等寝台席):グレタ・オルソン(Greta Ohisson) 愛想のいい中年女性(スウェーデン人)

*11号室(二等寝台席):メアリー・ハーマイオニー・デベナム(Mary Hermione Debenham)- 家庭教師(英国人)

*12号室(一等寝台席):エレナ・マリア・アンドレニ伯爵夫人(Countess Elena Maria Andrenyi / 旧姓:エレナ・マリア・ゴールデンベルク(Elena Maria Goldenberg))- ルドルフ・アンドレニ伯爵の妻(ハンガリー人)

*13号室(一等寝台席):ルドルフ・アンドレニ伯爵(Count Rudolf Andrenyi)- 外交官(ハンガリー人)

*14号室(一等寝台席):ナタリア・ドラゴミロフ公爵夫人(Princess Natalia Dragomiroff)- 亡命貴族の老婦人(フランスに帰化したロシア人)

*15号室(一等寝台席):アーバスノット大佐(Colonel Arbuthnot)- 軍人(英国人)

*16号室(一等寝台席):サイラス・ベスマン・ハードマン(Cyrus Bethman Hardman)- セールスマンと言っているが、実はラチェットの身辺を護衛する私立探偵(米国人)


ポワロと被害者のラチェット以外に、12名の乗客とオリエント急行の車掌で、フランス人のピエール・ポール・ミシェル(Pierre Paul Michel)が乗っていた。

果たして、ラチェットを惨殺した犯人は、誰なのか?ところが、何故か、乗客達のアリバイは、互いに補完されていて、容疑者と思われる者は、誰も居なかった。

捜査に難航するポワロであったが、最後には驚くべき真相を明らかにするのであった。


本作品において、犯行動機の重要なファクターとなるデイジー・アームストロング誘拐殺人事件については、初の大西洋単独無着陸飛行(1927年5月20日ー同年5月21日)を成功したことで有名な米国人飛行家チャールズ・オーガスタス・リンドバーグ(Charles Augustus Lindbergh:1902年ー1974年)の長男チャールズ・オーガスタス・リンドバーグ・ジュニア(当時1歳8ヶ月)が、1932年3月1日にニュージャージー州(New Jersey)の自宅から誘拐され、約2ヶ月後に邸宅付近で死亡しているのが発見されるという実際の事件があり、アガサ・クリスティーは、この事件から着想を得たものとされている。


2023年12月26日火曜日

クリスマス 2023(Christmas 2023)

The attached stamps issued by Royal Mail on 2nd November 2023 are designed by Steers McGillan Eves, featuring the illustrations by Tom Duxbury.







2023年12月25日月曜日

「シャーロック・ホームズのクリスマスイブ」<グラフィックノベル版>(Sherlock’s Night before Christmas

米国ユタ州の Gibbs Smith 社から出版されている
グラフィックノベル版
「シャーロック・ホームズのクリスマスイブ」の表紙


「シャーロック・ホームズのクリスマスイブ(Sherlock’s Night before Christmas)」と言うグラフィックノベル版が、米国ユタ州(Utah)レイトン(Layton)にある Gibbs Smith 社から2018年に出版されているので、紹介したい。


本グラフィックノベルは、(Ms.) Julie Petersen が構成を、そして、(Ms.) Sheryl Dockert がイラストを担当している。


米国ユタ州の Gibbs Smith 社から出版されている
グラフィックノベル版
「シャーロック・ホームズのクリスマスイブ」の裏表紙

クリスマスイブ(12月24日)に、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの2人は、ベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)を出ると、「犯罪界のナポレオン(Napoleon of crime)」と呼ばれるジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)が計画した窃盗事件の実行犯を追っていた。明日はクリスマス(12月25日)なのにもかかわらず、モリアーティー教授が指揮する犯罪は、時と場所を全く選ばなかった。


シャーロック・ホームズと一緒に、
ジェイムズ・モリアーティー教授が計画した窃盗事件の実行犯を追う
ジョン・H・ワトスンは、サンタクロースの後ろ姿を見かけるが、
振り返ったホームズには、その姿が見えなかった。

窃盗犯を追って、ベイカーストリート(Baker Street → 2016年10月1日付ブログで紹介済)を駆け抜けるホームズとワトスンであったが、突然、何かを見つけたワトスンが、ホームズに対して、声を掛ける。

「直ぐそこに、サンタクロースが立っている。(Why, Sherlock, I just saw Santa standing right there!)」と。

ワトスンが指差す方向へ、ホームズは目を向けるが、サンタクロースの姿を見ることはできなかった。


ジョン・H・ワトスンは、続いて、街角でクリスマスソングを歌う聖歌隊を指揮する
サンタクロースを見かけるが、
その話を聞いたシャーロック・ホームズには、またもや、
その姿を見えなかった。

更に、窃盗犯の追跡を続けるホームズとワトスン。

街角には、クリスマスソングを歌う聖歌隊の姿があった。そして、サンタクロースが、聖歌隊を指揮していた。

ワトスンが、再度、叫ぶ。

「直ぐ目の前に、サンタクロースが居る。(Look! There is Santa, right before our very eyes!)」と。

ワトスンの叫びを聞いたホームズが、その方向へ顔を向けるものの、またしても、サンタクロースの姿はなかった。

空想の人物であるサンタクロースを現実の存在であるとは全く信じないホームズ。


シャーロック・ホームズは、目を皿のようにして、
ベイカーストリートを見回すものの、
残念ながら、彼の視界には、
サンタクロースの姿は入ってこなかった。


ワトスンの目には見えるサンタクロースの姿が、何故、ホームズには見えないのか?

それとも、サンタクロースは、幻影で、本当は、存在していないのだろうか?


本グラフィックノベルは、30ページ強の短い作品で、具体的な事件が発生して、ホームズが解決する訳ではなく、物語の終盤、サンタクロースの姿が、何故、ホームズの目には見えなかったのかが明かされる。

(Ms.) Sheryl Dockert が描くシャーロック・ホームズには、エルキュール・ポワロのような口髭があり、少しばかり独特なホームズ像となっている。


2023年12月24日日曜日

アガサ・クリスティー作「杉の柩」<英国 TV ドラマ版>(Sad Cypress by Agatha Christie )- その1

第51話「杉の柩」が収録された
エルキュール・ポワロシリーズの DVD コレクション No. 5 の表紙


アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「杉の柩(Sad Cypress)」(1940年)の TV ドラマ版が、英国の TV 会社 ITV 社による制作の下、「Agatha Christie’s Poirot」の第51話(第9シリーズ)として、2003年12月26日に放映されている。英国の俳優であるサー・デヴィッド・スーシェ(Sir David Suchet:1946年ー)が、名探偵エルキュール・ポワロを演じている。ちなみに、日本における最初の放映日は、2005年8月24日である。


英国 TV ドラマ版における主な登場人物(エルキュール・ポワロを除く)と出演者は、以下の通り。


(1)エリノア・カーライル(Elinor Carlisle - ローラ・ウェルマンの姪):Elizabeth Dermot Walsh

(2)ロディー・ウィンター(Roddy Winter - ローラ・ウェルマンの亡き夫の甥 / エリノア・カーライルの従兄で、彼女の婚約者):Rupert-Penry-Jones

(3)メアリー・ジェラード(Mary Gerrard - ウェルマン家の門番の娘): Kelly Reilly

(4)ピーター・ロード医師(Dr. Peter Lord - ローラ・ウェルマンの掛かり付け医):Paul McGann

(5)ジェシー・ホプキンズ(Jessie Hopkins - ローラ・ウェルマンの看護婦):Phyllis Logan

(6)アイリーン・オブライエン(Eileen O’Brien - ローラ・ウェルマンの看護婦):Marion O’Dwyer

(7)ローラ・ウェルマン(Mrs. Laura Welman - 富豪の未亡人):Diana Quick

(8)テッド・ホーリック(Ted Horlick - エリノア・カーライルに対して、想いを寄せるウェルマン家の庭師):Stuart Laing

(9)マースデン(Marsden - 事件捜査を担当する警部):Jack Galloway

(10)セデン氏(Mr. Sedden - ローラ・ウェルマンの事務弁護士):Geoffrey Beevers

(11)検事(Prosecuting Counsel - エリノア・カーライルの起訴を担当):Alistair Findlay

(12)ビショップ夫人(Mrs. Bishop - ウェルマン家の召使頭):Linda Spurrier

(13)店主(Shopkeeper - 食料品店を経営):Ian Taylor

(14)裁判官(Judge - エリノア・カーライルの裁判を担当):Timothy Carlton

(15)メイド(Maid - ウェルマン家の召使):Louise Callaghan

 

アガサ・クリスティーの原作に比べると、英国 TV ドラマ版における登場人物には、以下の違いが見受けられる。


(2)

エリノア・カーライルの婚約者は、原作の場合、ロディー・ウェルマン(Roddy Welman)になっているが、英国 TV ドラマ版の場合、ロディー・ウィンターに変更されている。


(8)

原作におけるテッド・ビグランド(Ted Bigland - エリノア・カーライルに対して、想いを寄せる農民の息子)とホーリック(Horlick - ウェルマン家の庭師)の2人が、英国 TV ドラマ版の場合、テッド・ホーリックと言う一人の人物に統合されている。


(9)

原作の場合、事件捜査を担当する警察官は、ブリル警部(Inspector Brill)になっているが、英国 TV ドラマ版の場合、マースデン警部に変更されている。


(11)

エリノア・カーライルの起訴を担当する検事として、原作の場合、サー・サミュエル・アテンブリー(Sir Samuel Attenbury)と言う名前が与えられているが、英国 TV ドラマ版の場合、特に名前は言及されていない。


(14)

エリノア・カーライルの裁判を担当する裁判官として、原作の場合、べディングフェルド裁判官(Mr. Judge Beddingfeld)と言う名前が与えられているが、英国 TV ドラマ版の場合、特に名前は言及されていない。


追加で言うと、エリノア・カーライルの弁護を担当する弁護士として、原作の場合、サー・エドウィン・ブルマー(Sir Edwin Blmer)が登場するが、英国 TV ドラマ版の場合、彼は登場していない。


2023年12月23日土曜日

エルキュール・ポワロシリーズのペーパーバック表紙コレクション(新装版)- その4


英国の HarperCollinsPublishers 社から出版されているアガサ・クリスティー作エルキュール・ポワロシリーズのペーパーバック表紙が新装版に変わったので、前回に続き、紹介したい。


(25)長編「エンドハウスの怪事件(Peril at End House)」(1932年)

アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第12作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第6作目に該っている。

コーニッシュ リヴィエラ(Cornish Riviera)」と呼ばれるコンウォール州(Cornwall)のセントルー村(St. Loo)に近いホテル マジェスティック(Hotel Majestic)において、エルキュール・ポワロは、相棒で、友人でもあるアーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings)と一緒に、休暇を楽しんでいた。午後のお茶の際、ポワロは、ホテルの庭で蜂が羽音を立てて飛び回っているのを、少しうるさく感じていたところ、発射後の弾丸が庭に落ちているのを見つける。ちょうどそこへ、ホテルからほんの目と鼻の先にある別荘エンドハウス(End House)の若き女主人であるニック・バックリー(Nick Buckley  本名:マグダラ・バックリー(Magdala Buckley))という美しい女性が、角を曲がって姿を現す。彼女によると、「3日間に3度も命拾いをした。」とのことだった。話を終えて、彼女が立ち去った際に忘れていった日よけ帽子の広いつばには、穴が開いており、狙撃によるものだと思われた。

コンウォール州の丘陵を背景にした表紙が、ニック・バックリーが忘れていった日よけ帽子の広いつばの形に切り取られている。


(26)長編「死者のあやまち(Dead Man’s Folly)」(1956年)

アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第48作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第27作目に該っている。

表紙が、鍵の形に切り取られている。


(27)長編「第三の女(Third Girl)」(1966年)

アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第57作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第30作目に該っている。

表紙が、孔雀の羽根の形に切り取られている。


(28)長編「複数の時計(The )」(1963年)

アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第54作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第29作目に該っている。

表紙が、壁掛け時計の形に切り取られている。壁掛け時計は、3時を指し示しているが、厳密に言うと、4時13分を示していてほしかった。


(29)長編「メソポタミヤの殺人(Murder in Mesopotamia)」(1936年)

アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第19作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第12作目に該っている。

イラクの遺跡発掘調査隊の周囲に広がる砂漠を背景にした表紙が、遺跡発掘用のスコップの形に切り取られている。


(30)長編「ヒッコリーロードの殺人(Hickory Dickory Dock)」(1955年)

アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第47作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第26作目に該っている。

ヒッコリーロード26番地(26 Hickory Road)にある学生寮を背景にした表紙が、ネズミの形に切り取られている。


(31)長編「満潮に乗って(Taken at the Flood)」(1948年)

アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第38作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第23作目に該っている。

本作品において、第二次世界大戦(1939年ー1945年)時のロンドン大空襲(1940年)が非常に重要なファクターとなる。

ドイツ軍によるロンドン大空襲を背景にした表紙が、それからロンドンを守る英国空軍の戦闘機スーパーマリン スピットファイア(Supermarine Spitfire)の形に切り取られている。


(32)中長編「クリスマスプディングの冒険(The Adventures of the Christmas Pudding)」(1960年)

雪に覆われた屋敷キングスレイシー(Kings Lacey)の庭園を背景にした表紙が、クリスマスツリーの形に切り取られている。


2023年12月22日金曜日

シャーロック・ホームズのトランプ(Sherlock Holmes - Playing Cards)- その1

シャーロック・ホームズのトランプを入れるケースの表紙 -
右側の人物がシャーロック・ホームズで、
左側の人物がジョン・H・ワトスンである。


英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、昨年(2022年)に、シャーロック・ホームズをテーマにしたトランプが出ているので、紹介したい。


ロンドンをベースとするイラストレーターの Mr. Doug John Miller が、各カードのイラストを担当し、Sherlock Holmes Society of London に入会している Mr. Nicholas Utechin が、「Sherlock Holmes - A Guide to the Characters, Locations and Clues」の解説を担当している。

なお、Mr. Doug John Miller は、英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より2020年に出ている「シャーロック・ホームズの世界(The World of Sherlock Holmes → 2022年12月29日付ブログ等で紹介済)」と言うジグソーパズルのイラストも描いている。


シャーロック・ホームズのトランプを入れるケースの裏表紙


本トランプの場合、


(1)❤️:主に、ベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)の関係者達が描かれている。

(2)♠️:主に、シャーロック・ホームズと敵対する悪人達が描かれてる。

(3)♦️:主に、シャーロック・ホームズの元を訪れた依頼人達や事件の核となるもの等が描かれている。

(4)♣️:主に、スコットランドヤードの警察関係者達が描かれている。


と言うように、カテゴリー分けが行われている。


通常のカード52枚(13枚 x 4)にジョーカー2枚を加えた計54枚に、シャーロック・ホームズの世界が散りばめられているので、次回以降、順番に紹介していきたい。