![]() |
英国の HarperCollinsPublishers 社から現在出版されている アガサ・クリスティー作「白昼の悪魔」の ペーパーバック版の表紙 - 事件の舞台となるジョリーロジャーホテルが所在するデヴォン州の密輸業者島が、デッキチェアの形に切り取られている。 |
アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1941年に発表した「白昼の悪魔(Evil Under the Sun)」の場合、エルキュール・ポワロ(Hercule Poirot → 2025年10月11日付ブログで紹介済)が、デヴォン州の密輸業者島(Smugglers’ Island)にあるジョリーロジャーホテル(Jolly Roger Hotel)に滞在して、静かな休暇を楽しんでいるところから、物語が始まる。
![]() |
| エルキュール・ポワロは、 英国の Orion Publishing Group Ltd. から2023年に発行されている 「エルキュール・ポワロの世界」と言うジグソーパズルの中央に立っている。 <筆者撮影> |
同ホテルには、美貌の元女優で、実業家ケネス・マーシャル(Captain Kenneth Marshall)の後妻となったアリーナ・ステュアート・マーシャル(Arlena Stuart Marshall)も宿泊しており、周囲の異性に対して、魅力を振り撒きながら、避暑地を満喫していた。
ジョリーロジャーホテルには、ポワロとアリーナ・マーシャルの他に、以下の人物が宿泊していた。
* ケネス・マーシャル(実業家 - 以前、ロザモンド・ダーンリーと交際していたが、アリーナ・マーシャルと結婚)
* リンダ・マーシャル(Linda Marshall - ケネス・マーシャルの娘 / 継母のアリーナを疎ましく感じている)
* ホーレス・ブラット(Horace Blatt - ヨットが趣味)
* バリー少佐(Major Barry - 退役将校)
* ロザモンド・ダーンリー(Rosamund Darnley - ドレスメーカー / 以前、ケネス・マーシャルと交際していた)
* パトリック・レッドファン(Patrick Redfern - アリーナ・マーシャルと不倫関係にある)
* クリスティーン・レッドファン(Christine Redfern - パトリックの妻で、元教師。夫の不倫のため、アリーナ・マーシャルを恨んでいる)
* オーデル・C・ガードナー(Odell C. Gardener - 米国人)
* キャリー・ガードナー(Carrie Gardener - オーデルの妻)
* スティーヴン・レーン(Reverend Stephen Lane - 元牧師)
* エミリー・ブルースター(Emily Brewster - スポーツが趣味。以前、投資話でアリーナ・マーシャルに損害を負わされたため、彼女を恨んでいる)
ホテルの宿泊客の数名が、アリーナ・マーシャルの存在を疎ましく感じており、そんな不穏な空気の中、ポワロは、「白昼にも、悪魔は居る。(There is evil everywhere under the sun.)」と呟くのであった。
8月25日の朝、自分の部屋で朝食を済ませたポワロは、通常よりも30分程早い午前10時に、ホテルを出ると、Bathing Beach へと下りて行った。砂浜には、ポワロを除くと、アリーナ・マーシャルしか居なかった。
ポワロに手伝ってもらい、ボートに乗ったアリーナ・マーシャルは、ポワロに対して、「自分の居場所は、誰にも言わないで。一人になりたいの。」と秘密めかして言うと、岬を右へ曲がり、Sunny Ledge 方面へと向かった。「アリーナ・マーシャルには、内密の待ち合わせがあるようだ。多分、相手は、パトリック・レッドファンだ。」と、ポワロは理解した。
アリーナ・マーシャルが岬の先に姿を消した時、夫のケネス・マーシャルが砂浜に現れ、ポワロに妻の居場所を尋ねるが、ポワロは、アリーナ・マーシャルに頼まれた通り、知らない振りを通す。ケネス・マーシャルは、午前中、急いで送る必要がある手紙をいくつかタイプする仕事を抱えていた。
更に、アリーナ・マーシャルの不倫相手であるパトリック・レッドファンが砂浜に下りて来る。彼の様子から、アリーナ・マーシャルを探していることは、明白だった。彼女の居場所が判らないパトリック・レッドファンは、非常にイライラしていた。それでは、内密の待ち合わせへと向かったアリーナ・マーシャルの相手は、アリーナ・マーシャルではないのか?
続いて、米国人のオーデルとキャリーの ガードナー夫妻、そして、エミリー・ブルースターが、砂浜に姿を見せた。
ケネス・マーシャルの娘であるリンダ・マーシャルとパトリック・レッドファンの妻であるクリスティーン・レッドファンの2人は連れ立って、午前10時半にホテルを出発すると、Gull Cove へと向かった。午前中、日当たりが良い Gull Cove において、リンダ・マーシャルは海水浴を、クリスティーン・レッドファンは写生(スケッチ)をする予定だった。
ロザモンド・ダーンリーは、読書する本を携えて、Sunny Ledge へと出発した。
バリー少佐は、セントルー(St. Loo)へ観光に、また、スティーヴン・レーン牧師は、St. Petrock-in-the-Combe へウォーキングに、そして、ホーレス・ブラットは、ヨットで出かけていた。
上記の通り、午前中、アリーナ・マーシャルを除くホテルの宿泊客達は、各々、自由な時間を過ごしていたのである。
昼前、エミリー・ブルースターを伴い、アリーナ・マーシャルを探しに、手漕ぎボートで出かけたパトリック・レッドファンは、Pixy Cove(妖精の入り江 / 洞窟)の浜辺に、水着の女性が倒れているのを発見する。パトリック・レッドファンを現場に残して、エミリー・ブルースターは、ボートを漕いで、ホテルへ助けを求めに戻った。
ホテルからの連絡を受けて、Pixy Cove へと駆け付けた地元警察によると、Pixy Cove の浜辺に倒れていた女性は、アリーナ・マーシャルで、男の手で絞殺されていたとの検死結果だった。
アリーナ・マーシャルに対して殺害動機を有する容疑者として、夫のケネス・マーシャルや不倫相手のパトリック・レッドファン等が浮かび上がるものの、完璧なアリバイがあるため、地元警察の捜査は難航する。
アリーナ・マーシャルを殺害した犯人を見つけ出すには、ポワロの登場が必要だった。ポワロは、州警察のウェストン警視正(Chief Constable Weston)とコルゲイト警部(Inspector Colgate)に協力して、捜査を進めるのだった。
(73)蝋人形(wax figure)
Pixy Cove の浜辺において、アリーナ・マーシャルが何者かによって絞殺された後、リンダ・マーシャルが睡眠薬で自殺を図った。ブードゥー教の呪文を用いて、継母のアリーナ・マーシャルを殺したと思い込んで、リンダ・マーシャルが罪悪感に苛まれていたことが、自殺を図った原因だと、ポワロは後に知る。リンダ・マーシャルがブードゥー教の呪文に使ったのが、蝋人形だった。
(74)ジョリーロジャーホテル(Jolly Roger Hotel)
事件の舞台となるのが、デヴォン州の密輸業者島にあるホテルで、ポワロはそこに滞在して、静かな休暇を楽しんでいた。





0 件のコメント:
コメントを投稿