米国の Penzler Publishers 社から American Mystery Classics シリーズの1冊として 2022年に出版された ロジャー・スカーレット作「猫の足」の裏表紙 < Cover Image : Andy Ross Cover Design : Mauricio Diaz > |
イヴリン・ペイジ(Evelyn Page:1902年ー1977年)とドロシー・ブレア(Dorothy Blair:1903年ー1976年)と言う女性2人のペンネームである米国の推理作家であるロジャー・スカーレット(Roger Scarlett)の第3作目である「猫の足(Cat’s Paw)」(1931年)は、以下の4つのパートに分かれている。
(1)「Prologue : The Question」
(2)「Part I : The Evidence」
(3)「Part II : The Case」
(4)「Part III : The Solution」
これは、ロジャー・スカーレットによる他の4作である
*「ビーコン街の殺人(The Beacon Hill Murders)」(1930年)
*「白魔(Back-Bay Murder Mystery)」(1930年)
*「エンジェル家の殺人(Murder Among the Angells → 2024年4月2日 / 4月5日 / 4月8日付ブログで紹介済)」(1932年)
*「ローリング邸の殺人(In the First Degree)」(1933年)
とは、異なる構成を採っている。
(1)「Prologue : The Question」- 現在、休暇中であるボストン(Boston)警察の犯罪捜査部(Bureau of Criminal Investigation)のノートン・ケイン警部(Inspector Norton Kane)からの依頼を受けて、弁護士で、事件の記録者であるアンダーウッド(Mr. Underwood)が、グリーンノー家(Greenough family)で発生した事件の記録を取りまとめると言う物語の導入部が描かれる。
(2)「Part I : The Evidence」- グリーンノー家において、事件が発生するまでの経緯が描かれる。
(3)「Part II : The Case」- 事件発生後、モラン巡査部長(Sergeant Moran)が現場に到着して、休暇中のノートン・ケイン警部に代わって、捜査を進める過程が描かれる。
(4)「Part III : The Solution」- 休暇から戻ったノートン・ケイン警部が、アンダーウッドが取りまとめた事件記録やモラン巡査部長による捜査記録等に基づいて、事件を解決する過程が描かれる。
(1)「Prologue : The Question」
弁護士で、事件の記録者であるアンダーウッドは、36時間前に、ボストン警察の犯罪捜査部のノートン・ケイン警部から、電報を受け取る。ノートン・ケイン警部は、現在、休暇中で、ボストンへと戻る船上に居た。
ノートン・ケイン警部は、アンダーウッドに対して、「ボストン警察に連絡をとって、グリーンノー家で発生した事件の記録を全て取りまとめてほしい。」と依頼してきたのである。
ノートン・ケイン警部からの電報を受け取ったアンダーウッドは、早速、作業に取り掛かる。そして、6月19日の夜、ボストンへと戻って来たノートン・ケイン警部に、アンダーウッドは、グリーンノー家で発生した事件の詳細について、語り始めるのであった。
(2)「Part I : The Evidence」
物語は、1931年6月13日、大富豪のマーティン・グリーンノー(Martin Greenough)が住むボストンのフェンウェイ屋敷(Fenway estate)と呼ばれるゴシック建築の広大な邸宅から始まる。
マーティン・グリーンノーは、75歳の誕生日を迎えようとしていた。
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