2024年6月26日水曜日

ロンドン ベッドフォードスクエア(Bedford Square)- その2

ベッドフォードスクエアの南東の角から
ゴウアーストリート沿いのスクエアの東側を見たところ

アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「白昼の悪魔(Evil Under the Sun → 2024年6月8日 / 6月12日付ブログで紹介済)」(1941年)では、デヴォン州(Devon)の密輸業者島(Smugglers’ Island)の Pixy Cove において殺害された元女優のアリーナ・マーシャル(Arlena Marshall)の弁護士事務所 Barkett, Markett & Applegood が、ロンドンの中心部であるロンドン・カムデン特別区(London Borugh of Camden)のブルームズベリー地区(Bloomsbury)内にあるベッドフォードスクエア(Bedford Square)に所在すると記載されている。当然のことながら、Barkett, Markett & Applegood は、架空の弁護士事務所であるが、ベッドフォードスクエアは、実在の場所である。


ベッドフォードスクエアは、1775年から1783年にかけて開発された。

英国の建築家であるトマス・エヴァートン(Thomas Leverton:1743年頃ー1824年)が、ベッドフォードスクエアに面する建物の多くを設計している。

ベッドフォードスクエアの名前は、同スクエアを含むブルームズベリー地区の土地を所有していたラッセル家(Russell family)のタイトルであるベッドフォード公爵(Duke of Bedford)に因んで、名付けられた。


ベッドフォードスクエアの南西の角から
スクエア中央の庭園を見たところ

ベッドフォードスクエア内には、上流階級や中流階級が住み、同スクエアに住んでいた著名人として、英国の法廷弁護士 / 政治家である初代エルドン伯爵ジョン・スコット(John Scott, 1st Earl of Eldon:1751年ー1838年)が挙げられる。


ベッドフォードスクエア6番地の建物(その1)

ベッドフォードスクエア6番地の建物(その2)

ベッドフォードスクエア6番地の建物(その3)

初代エルドン伯爵ジョン・スコットは、1801年から1806年まで、そして、1807年から1827年までの間、大法官(Lord Chancellor)を務めている。また、彼は、ベッドフォードスクエア6番地(6 Beford Square)に住んでいたので、同番地の建物の外壁に、「初代エルドン伯爵ジョン・スコットが、ここに住んでいた」ことを示すプラークが架けられている。


ベッドフォードスクエア13番地

ベッドフォードスクエア35番地

ベッドフォードスクエア40番地

ベッドフォードスクエア41番地

ベッドフォードスクエア48番地

ベッドフォードスクエア49番地


初代エルドン伯爵ジョン・スコット以外にも、多くの著名人がベッドフォードスクエアに住んでいたため、現在、建物の外壁に、多くのプラークが架けられている。


ベッドフォードスクエア中央の庭園
(通常は、一般には解放されていない)

ベッドフォードスクエアに面して建つ住居の多くは、現在、オフィスへ改装されているが、ジョージ朝建築様式(Georgian architecture)による当時の建物の大部分が今も残っており、1番地ー10番地、11番地、12番地ー27番地、28番地ー38番地、そして、40番地ー54番地が「grade I listed buildings」に指定されている。




ベッドフォードスクエアの中央にある庭園については、通常、一般には解放されていないが、Open Garden Squares Weekend の場合のみ、一般に解放されている。


ベッドフォードスクエアは、
多くの観光客で賑わう大英博物館の近くであるものの、
週末でも、閑静な場所である。


ベッドフォードスクエアは、その東側を南北に延びるガウアーストリート(Gower Street)を間に挟んで、多くの観光客が訪れる大英博物館(British Museum → 2014年5月26日付ブログで紹介済)と隣り合っているものの、週末においても、中央の庭園を含む同スクエア内は、閑静な場所となっている。



アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1953年に発表したミス・ジェイン・マープルシリーズの長編第6作目「ポケットにライ麦を(A Pocket Full of Rye)」の場合、ロンドンにある投資信託会社の社長であるレックス・フォーテスキュー(Rex Fortescue)が、オフィスにおいて、朝の紅茶を飲んだ後、急逝するところから、物語が始まる。


検死解剖の結果、レックス・フォーテスキューの体内から、イチイの木(yew tree)から抽出される毒性のアルカロイド(toxic alkaloid)であるタキシン(taxine)が見つかり、死因は、タキシンによる中毒であることが判明した。レックス・フォーテスキューは、朝食でとったマーマレードと一緒に、タキシンを摂取したものと思われた。

更に、レックス・フォーテスキューの着衣を調べたところ、不思議なことに、上着のポケットから、大量のライ麦(rye)が出てきたのである。


物語の中盤(第9章)、捜査を進めるスコットランドヤードのニール警部(Inspector Neele)から、レックス・フォーテスキューの法律事務所を尋ねられた長男のパーシヴァル・フォーテスキュー(Percival Fortescue)は、「ベッドフォードスクエアにあるビリンズビー・ホースソープ・アンド・ウォルターズ法律事務所(Billingsby, Horsethorpe & Walters)」と答えている


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