(76)ABC 鉄道案内(ABC timetable)
アガサ・クリスティーが座る椅子の右側にある本棚の上から2番目の棚の上に、 「ABC 殺人事件」において、殺害現場に必ず残されている ABC 鉄道案内が置かれている。 |
本ジグソーパズル内において、アガサ・クリスティーが腰掛けている椅子の右側にある本棚において、上から2番目の棚の左端に、ABC 鉄道案内が置かれている。
これから連想されるのは、アガサ・クリスティーが1935年に発表したエルキュール・ポワロシリーズ作品「ABC 殺人事件(The ABC Murders)」である。本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第18作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第11作目に該っている。
英国の Harper Collins Publishers 社から出版されている アガサ・クリスティー作エルキュール・ポワロシリーズ 「ABC 殺人事件」のペーパーバック版の表紙 |
南アフリカから戻ったアーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings)は、ロンドンに新しいフラットを構えた友人エルキュール・ポワロの元を訪れた。
そんなポワロの元に、ABC と名乗る謎の人物から、「アンドーヴァー(Andover)を警戒せよ。」と警告する手紙が届いていたのだ。
そして、その手紙通り、「A」で始まるアンドーヴァーにおいて、小さなタバコ屋を切り盛りしていた老女で、イニシャルが「A. A.」のアリス・アッシャー(Alice Asher)が殺害されたのである。その上、彼女の死体の傍らには、「ABC 鉄道案内(ABC Railway Guide)」が置かれていた。
アリス・アッシャーの殺害犯として、大酒飲みで、妻の彼女に度々お金をせびっていた夫のフランツ・アッシャー(Franz Ascher)が、警察によって疑われる。
その最中、ABC と名乗る謎の人物からポワロの元に、第2、そして、第3の犯行を予告する手紙が届く。
第2の殺人事件として、「B」で始まるべクスヒル(Bexhill)において、カフェのウェイトレスとして働いていた若い女性で、イニシャルが「B. B.」のエリザベス(ベティー)・バーナード(Elizabeth (Betty) Barnard)が殺害される。
今度は、ベティー・バーナードの殺害犯として、彼女の婚約者で、不動産関係の仕事をしているドナルド・フレーザー(Donald Fraser)が、警察によって疑われる。何故なら、殺されたベティー・バーナードの場合、異性関係に少々だらしなかったため、彼女の異性関係に着いて、2人の間で、何度も言い争いが起きていたからである。
続いて、第3の殺人事件として、「C」で始まるチャーストン(Churston)において、かつて医師として成功した大富豪で、イニシャルが「C. C.」のサー・カーマイケル・クラーク(Sir Carmichael Clarke)が殺害された。
ベティー・バーナードとサー・カーマイケル・クラークの死体の傍にも、「ABC 鉄道案内」が置かれていたのである。
ポワロは、ABC と名乗る犯人が、住んでいる場所の頭文字とイニシャルが合致する人物をアルファベット順に選び出した上で、殺害しているものと推測した。
ところが、それぞれの被害者に対して、殺害動機を有する者は存在しているが、全ての被害者に対して、殺害動機を有する人物は居なかった。また、被害者達には、ABC 以外の関連性はなく、ABC と名乗る犯人の正体とその動機については、判らなかった。
ポワロは、以下の事件関係者達を集まると、ABC と名乗る犯人の正体を捕まえるチームを結成するのであった。
(1)メアリー・ドローワー(Mary Drower)- アリス・アッシャーの姪で、アンドーヴァー近郊の屋敷でメイドとして働いている。
(2)ドナルド・フレーザー - ベティー・バーナードの婚約者
(3)メーガン・バーナード(Megan Barnard)- ベティー・バーナードの姉で、ロンドンでタイピストとして働いている。
(4)フランクリン・クラーク(Franklin Clarke)- サー・カーマイケル・クラークの弟で、兄の右腕として、兄が趣味としている骨董品を、世界中から買い集めている。
(5)ソーラ・グレイ(Thora Grey)- サー・カーマイケル・クラークの秘書
「ABC 殺人事件」は、ミッシングリンクをテーマにしたミステリー作品の中でも、最高峰と評価される作品で、知名度・評価ともに非常に高く、アガサ・クリスティーの代表作の一つとなっている。
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