英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、昨年(2023年)に発行されたアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)をテーマにしたトランプの各カードについて、引き続き、紹介したい。
(25)7 ♠️「アリアドニ・オリヴァー(Ariadne Oliver)」
アリアドニ・オリヴァーは、フィンランド人探偵(Sven Hjerson)を主人公とするシリーズで有名な女性推理作家で、アガサ・クリスティー自身が彼女のモデルと言われている。
彼女は、リンゴが大好きで、いつも齧っているが、ある事件を契機に、リンゴを食べられなくなってしまう。
登場作品
<長編>
*「ひらいたトランプ(Cards on the Table)」(1936年)- エルキュール・ポワロシリーズ
*「マギンティー夫人は死んだ(Mrs. McGinty’s Dead)」(1952年)- エルキュール・ポワロシリーズ
*「死者のあやまち(Dead Man’s Folly)」(1956年)- エルキュール・ポワロシリーズ
*「蒼ざめた馬(The Pale Horse)」(1961年)- ノンシリーズ
*「第三の女(The Third Girl)」(1966年)- エルキュール・ポワロシリーズ
*「ハロウィーンパーティー(Hallowe’en Party)」(1969年)- エルキュール・ポワロシリーズ
*「象は忘れない(Elephants Can Remember)」(1972年)- エルキュール・ポワロシリーズ
<短編集>
*「パーカー・パイン登場(Parker Pyne Investigates)」(1934年)- パーカー・パインシリーズ
・「退屈している軍人の事件(The Case of the Discontented Solider)」→ 当作品が、アリアドニ・オリヴァーの初登場作品に該る。
(26)7 ❤️「七つの目覚まし時計(Seven Alarm Clocks)」
長編「七つの時計(The Seven Dials Mystery)」(1929年)において、ケイタラム卿から借り受けているチムニーズ館(Chimneys)で、鉄鋼王であるサー・オズワルド・クート(Sir Oswald Coote)がパーティーを開催した。チムニーズ館には、以下の4人が、宿泊客として、滞在していた。
*ジェラルド(ジェリー)・ウェイド(Gerald (Gerry) Wade / 外交官)
*ロナルド(ロニー)・デヴァルー(Ronald (Ronny) Devereux / 外交官)
*ビル・エヴァズレー(Bill Eversleigh / 外交官)
*ジミー・セシジャー(Jimmy Thesiger / 金持ちの御曹司)
ジェリー・ウェイドは、毎日、昼近くまで寝ているため、他の3人は、彼を起こすための悪戯を思い付き、夜中、彼の部屋に8個の目覚まし時計をセットした。
しかし、翌朝、目覚まし時計が鳴っても、ジェリー・ウェイドは、目を覚ますことはなかった。何故ならば、彼は多量の睡眠薬を飲んで死亡していたのである。その上、他の3人が彼のベッドに置いた筈の目覚まし時計のうち、7個は暖炉の上に並べられており、残りの1個は庭に投げ捨てられていた。
本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第9作目に該る。
(23)7 ♣️「スカーフ(Scarf)」
長編「予告殺人(A Murder is Announced)」(1950年)において、養鶏業者であるミス・ヒンチクリフ(Miss Hinchcliffe)の同居人であるエイミー・マーガとロイド(Amy Murgatroyd)が、事件の核心となることを思い出した時、何者かによって、スカーフで絞殺される。
英国の Harper Collins Publishers 社から出版されている アガサ・クリスティー作ミス・ジェイン・マープルシリーズ 「予告殺人」のペーパーバック版の表紙 <イラスト:ビル・ブラッグ氏(Mr. Bill Bragg)> |
長編「マギンティー夫人は死んだ(Mrs. McGinty’s Dead)」(1952年)において、速記タイピストのシェイラ・ウェッブ(Sheila Webb)の同僚であるエドナ・ブレント(Edna Brent)が、電話ボックス内で、何者かによって、スカーフで絞殺される。
英国の Harper Collins Publishers 社から出版されている アガサ・クリスティー作エルキュール・ポワロシリーズ 「マギンティー夫人は死んだ」のペーパーバック版の表紙 |
長編「複数の時計(The Clocks)」(1963年)において、戯曲家のロビン・アップワード(Robin Upward)の養母であるローラ・アップワード(Laura Upward)が、何者かによって、スカーフで絞殺される。
英国の Harper Collins Publishers 社から出版されている アガサ・クリスティー作エルキュール・ポワロシリーズ 「複数の時計」のペーパーバック版の表紙 |
「予告殺人」は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第40作目に該り、ミス・ジェイン・マープルシリーズの長編のうち、第4作目に該っている。
「マギンティー夫人は死んだ」は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第42作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第24作目に該っている。
「複数の時計」は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第54作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第29作目に該っている。
(28)7 ♦️「自由公債(Liberty Bonds)」
短編「百万ドル債券盗難事件(The Million Dollar Bond Robbery)」(短編集「ポワロ登場(Poirot Investigates)」(1924年)に収録)の場合、フィリップ・リッジウェイ(Philip Ridgeway)の婚約者であるエズミー・ダルリーシュ(Esmee Dalgleish)が、エルキュール・ポワロの元を事件の相談に訪れるところから始まる。
彼女によると、フィリップ・リッジウェイは、ロンドン&スコティッシュ銀行(London and Scottish Bank)に勤務しており、同行の副支店長ヴァヴァソア氏(Mr Vavasour)の甥である。フィリップ・リッジウェイは、伯父で副支店長のヴァヴァソア氏と支店長のショー氏(Mr Shaw)の指示を受けて、米国における同行の信用枠を増額するため、1百万ドルの自由公債をニューヨークへ運搬する役目を請け負った。1百万ドルの自由公債は、フィリップの面前でカウントされ、封印された上で、特別な鍵でしか解錠できない革製の旅行鞄に入れられた。
ところが、フィリップ・リッジウェイが乗船した汽船オリンピア(Olympia)がニューヨークに着く数時間前に、鞄の中から自由公債が全て紛失していることが判明。ニューヨーク税関が船を封鎖して、船内を捜索するも、紛失した自由公債は発見できなかった。更に、紛失した自由公債は、汽船オリンピアがニューヨークに着く前に売却されていたことが、後で判ったのである。果たして、1百万ドルの自由公債はどのようにして盗難されたのか?
フィリップの婚約者エズミーの依頼を受けて、ポワロが捜査に乗り出すのであった。
英国の Harper Collins Publishers 社から出版されている アガサ・クリスティー作エルキュール・ポワロシリーズ 「ポワロ登場」のペーパーバック版の表紙 |
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