2022年11月15日火曜日

アガサ・クリスティー作「ゴルフ場殺人事件」<英国 TV ドラマ版>(The Murder on the Links by Agatha Christie )- その1

第44話「ゴルフ場殺人事件」が収録された
エルキュール・ポワロシリーズの DVD コレクション No. 4 の表紙

アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「ゴルフ場殺人事件(The Murder on the Links)」(1923年)の TV ドラマ版が、英国の TV 会社 ITV 社による制作の下、「Agatha Christie’s Poirot」の第44話(第6シリーズ)として、1996年2月11日に放映されている。英国の俳優であるサー・デイヴィッド・スーシェ(Sir David Suchet:1946年ー)が、名探偵エルキュール・ポワロを演じている。ちなみに、日本における最初の放映日は、1996年12月31日である。


英国 TV ドラマ版における主な登場人物(エルキュール・ポワロを除く)と出演者は、以下の通り。


(1)アーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings - ポワロの友人):Hugh Fraser

(2)エロイーズ・ルノー(Eloise Renauld - ポール・ルノーの妻):Diane Fletcher

(3)ポール・ルノー(Paul Renauld - ジュネヴィエーヴ荘(Villa Genevieve)の主人で、南米で富を築いた大富豪):Damien  Thomas

(4)ジャック・ルノー(Jack Renauld - ポール・ルノーの義子で、エロイーズ・ルノーの実子):Benjamin Pullen

(5)ベルナデッテ・ドーブルーユ(Bernadette Daubreuil - ジュネヴィエーヴ荘の隣家であるマルグリット荘(Villa Marguerite)の主人):Kate Fahy

(6)マルト・ドーブルーユ(Marthe Daubreuil - ドーブルーユ夫人の娘で、ジャック・ルノーの恋人):Sophie Linfield

(7)ベラ・デュヴィーン(Bella Duveen - ポワロとヘイスティングス大尉が宿泊した Hotel Du Golf の歌手で、ジャック・ルノーの元恋人):Jacinta Mulcahy

(8)ガブリエル・ストーナー(Gabriel Stonor - ポール・ルノーの秘書):Terence Beesley

(9)ジロー(Monsieur Giraud - 名刑事の呼び声が高いパリ警察の刑事):Bill Moody

(10)リュシアン・ベー(Lucien Bex - 地元警察の署長):Bernard Latham

(11)オート医師(Dr. Hautet - 警察医):Andrew Melville

(12)レオニー・オーラード(Leonie Oulard - ジュネヴィエーヴ荘のメイド):Henrietta Voigts


(1)アガサ・クリスティーの原作の場合、ヘイスティングス大尉が恋心を抱く相手は、シンデレラ(Cinderella)と自称する双子姉妹のうち、ダルシー・デュヴィーン(Dulcie Duveen)であるが、英国 TV ドラマ版の場合、その相手は、もう一人のベラ・デュヴィーンに変更されている。

(3)アガサ・クリスティーの原作の場合、ポール・ルノーがベロルディー氏(Mr. Beroldy)の殺害に関与したのは、22年前になっているが、英国 TV ドラマ版の場合、10年前に変更されている。また、ポール・ルノーの正体について、アガサ・クリスティーの原作の場合、フランス風の「Georges Conneau」となっているが、英国 TV ドラマ版の場合、英国風の「George Connor」へと変更されている。

(4)アガサ・クリスティーの原作の場合、ジャック・ルノーは、ポール・ルノーの実子になっているが、英国 TV ドラマ版の場合、ポール・ルノーがベロルディー氏の殺害に関与したのが、22年前ではなく、10年前に変更されている関係上、ジャック・ルノーは、エロイーズ・ルノーの実子ではあるものの、ポール・ルノーの義子に変更されている。

(6)母親であるドーブルーユ夫人(本名:Jeanne Beroldy - アガサ・クリスティーの原作通り)が、ポール・ルノー(本名:Geroge Connor)と共謀して、夫の殺害に関与したのが、22年前ではなく、10年前に変更されている関係上、娘のマルト・ドーブルーユは、母親の裁判にも出廷している設定が追加されている。

(7)アガサ・クリスティーの原作の場合、ベラ・デュヴィーン(事件当夜、ルノー家を訪れたと思しき謎の女性)とだるシー・デュヴィーン(ヘイスティングス大尉が恋心を抱く相手)の双子の姉妹という設定になっていたが、英国 TV ドラマ版の場合、双子の姉妹という設定は全くなくなり、二人の設定が一人に集約され、ベラ・デュヴィーンのみが残り、ジャック・ルノーの元恋人で、かつ、ヘイスティングス大尉が恋心を抱く相手という設定になっている。

(11)アガサ・クリスティーの原作の場合、オート氏(Monsieur Hautet)は、予審判事という設定になっていて、事件現場にも同席しているが、英国 TV ドラマ版の場合、ポワロとジロー刑事の推理対決の構図を強めるため、また、事件捜査には、ポワロ、ヘイスティングス大尉、ジロー刑事とベー署長が既に携わっているので、登場人物を整理するためだと思うが、警察医へと変更されており、登場するのは、検視の場面に限られ、出番は極めて少ない。

(12)アガサ・クリスティーの原作の場合、ポール・ルノー殺害事件が発生した際、ジュネヴィエーヴ荘には、レオニー・オーラード以外にも、フランソワーズ・アリチェット(Francoise Arrichet)とデニス・オーラード(Denise Oulard - レオニーとは姉妹)の2人のメイドが居たが、英国 TV ドラマ版の場合、登場人物を整理するためだと思われるが、登場するのは、レオニー・オーラード1人だけである。


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