2022年11月4日金曜日

アガサ・クリスティー作「ゴルフ場殺人事件」<グラフィックノベル版>(The Murder on the Links by Agatha Christie )- その1

HarperCollinsPublishers から出ている
アガサ・クリスティー作「ゴルフ場殺人事件」の
グラフィックノベル版の表紙
(Cover Design and Illustration by Ms. Nina Tara)-
ポール・ルノーの死体が発見されたゴルフ場に因んで、
ゴルフクラブとゴルフボールがメインに描かれている。
また、右上には、ポワロに対して助けを求める
ポール・ルノーの手紙が加えられている。

17番目に紹介するアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)による長編作品のグラフィックノベル版は、「ゴルフ場殺人事件(The Murder on the Links)」(1923年)である。


HarperCollinsPublishers から出ている
アガサ・クリスティー作「ゴルフ場殺人事件」の
グラフィックノベル版の裏表紙
(Cover Design and Illustration by Ms. Nina Tara)-
ゴルフ場で発見されたポール・ルノーの死体が描かれている。

本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては第3作目に、そして、エルキュール・ポワロシリーズの長編としては第2作目に該っている。


フランス国内を移動中の
アーサー・ヘイスティングス大尉は、
列車内で、シンデレラ(Cinderella)と名乗る
巡業中の女優と出会う。

本作品のグラフィックノベル版は、元々、フランスの作家であるフランソワ・リヴィエール(Francois Riviere:1949年ー)が構成を、そして、クロアチア出身のイラストレーターである Marc Piskic が作画を担当して、2003年にフランスの Heupe SARL から「Le Crime du Golf」というタイトルで出版された後、2007年に英国の HarperCollinsPublishers から英訳版が発行されている。


朝食の席上、エルキュール・ポワロは、
フランスから戻ったヘイスティングス大尉に対して、
「最近、自分のところに届くのは、取るに足らない陳腐な依頼ばかりだ。」と、不満を口にする。

1923年のある日、エルキュール・ポワロは、朝食の席で郵便物に目を通していたが、名探偵としての彼の興味を引くものは皆無で、残念ながら、取るに足らない陳腐な依頼ばかりであった。その結果、次から次へと、届いた手紙は、彼によって放り投げられることとなった。


取るに足らない陳腐な依頼の中に、
フランスのメルランヴィルにあるジュネヴィエーヴ荘に住むポール・ルノーから
緊急な用件を知らせる手紙が混じっていた。


その時、ある手紙に、ポワロは手をとめた。それは、フランス、ノルマンディー海岸のメルランヴィル(Merlinville-sur-Mer)にあるジュネヴィエーヴ荘(Villa Genevieve)に住むポール・ルノー(Paul Renauld)からで、「急ぎのお越しを請う!」という内容だった。手紙によると、彼には、命の危険が迫っているようだったが、絶対に明らかにはできない重大な秘密があるため、フランスの地元警察へは行けず、「ベルギー警察に、その人あり。」と言われたポワロに対して、助けを求めてきたのである。


ポール・ルノーからの手紙を受け取ったポワロは、
ヘイスティングス大尉を伴って、
ドーヴァーからカレーへと向かう。

ポール・ルノーからの手紙に興味を覚えたポワロは、急いで出発の準備を整えると、友人で、かつ、相棒でもあるアーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings)を伴い、英仏海峡を渡り、英国(ドーヴァー(Dover))からフランス(カレー(Calais))へと向かった。


英仏海峡を渡り、メルランヴィルのジュネヴィエーヴ荘まで急いでやって来たポワロ達であったが、
ひと足遅く、手紙の差出人であるポール・ルノーは、既に何者かに殺害されていた。

翌日、ポワロとヘイスティングス大尉の二人は、メルランヴィルのジュネヴィエーヴ荘に到着するが、別荘の門のところで、地元警察の巡査によって、行く手を遮られる。

驚いたことに、ジュヌヴィエーヴ荘の主人で、南米で富を築いた富豪であるポール・ルノーは、今朝、既に殺害されていたのである。残念なことに、ポワロは間に合わなかったのだ。


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