キングスアボット村(King's Abbot)に住むジェイムズ・シェパード医師(Dr. James Sheppard)は、 同村のキングスパドック館(King's Paddock)に住むド裕福な未亡人である ドロシー・フェラーズ夫人(Mrs. Dorothy Ferrars)が睡眠薬の過剰摂取で亡くなったことを、 噂好きな姉のキャロライン・シェパード(Caroline Sheppard)に話す。 |
「アクロイド殺し(The Murder of Roger Ackroyd)」(1926年)は、元々、1925年7月16日から同年9月16日にかけて、「ロンドン イーヴニング ニュース(London Evening News)」紙上に、「Who Killed Ackroyd?」というタイトルで、54話の連載小説として掲載され、その後、1冊の書籍として刊行された。
外出したシェパード医師は、 同村のもう一人の富豪であるロジャー・アクロイド(Roger Ackroyd)と偶然出会い。 彼から「相談したいことがある。」と言われ、 彼が住むフェルンリーパーク館(Fernly Park)での夕食に招待された。 |
シェパード姉弟が住む家の隣りに、新しい住民が引っ越して来た。 後に判明するが、それは、エルキュール・ポワロだった。 |
フェルンリーパーク館での夕食が終わると、 ロジャー・アクロイドは、シェパード医師を書斎へと招き入れると、驚くべきことを語る。 彼との再婚が噂されていたドロシー・フェラーズ夫人が、 酒好きで、だらしのない夫アシュリー・フェラーズ(Ashley Ferrars)を殺害したのだが、 そして、彼女は、何者かに恐喝されていたと言うのである。 |
(1)長編「スタイルズ荘の怪事件(The Mysterious Affairs at Styles)」(1920年):エルキュール・ポワロシリーズ第1作目
(2)長編「秘密機関(The Secret Adversary)」:トマス・ベレズフォード(Thomas Beresford - 愛称:トミー(Tommy))/ プルーデンス・カウリー(Prudence Cowley - 愛称:タペンス(Tuppence)シリーズ第1作目
(3)長編「ゴルフ場殺人事件(The Murder on the Links)」(1923年):エルキュール・ポワロシリーズ第2作目
(4)長編「茶色の服の男(The Man in the Brown Suit)」(1924年)
(5)短編集「ポワロ登場(Poirot Investigates)」(1925年)
(6)長編「チムニーズ館の秘密(The Secret of Chimneys)」(1925年)
長編5作と短編集1作を既に発表していたが、推理作家としての彼女の知名度は、今ひとつだった。しかしながら、このフェア・アンフェア論争により、アガサ・クリスティーの知名度は大きく高まり、ベストセラー作家の仲間入りを果たしたのである。
ドロシー・フェラーズ夫人を虚喝していた人物の正体を知りたいと語る ロジャー・アクロイドのところへ、執事のパーカー(Parker)が手紙を届ける。 それは、ドロシー・フェラーズ夫人が、亡くなる直前に、 ロジャー・アクロイド宛に出したものだった。 |
「ドロシー・フェラーズ夫人から受け取った手紙の内容を、一人で読みたい。」と話す ロジャー・アクロイドを書斎に残すと、 シェパード医師は、フェルンリーパーク館を徒歩で後にする。 途中、シェパード医師は、フェルンリーパーク館へと向かう人物に、道を尋ねられる。 |
「アクロイド殺し」のグラフィックノベル版を担当したベルギー出身のイラストレーターであるブルーノ・ラチャード(Bruno Lachard)は、2種類の赤色、オレンジ色、黄色、黄緑色、緑色、水色、青色、そして、紫色等を用いて、物語の全編を通し、セピア調の色彩で彩っており、とても印象深い。個人的には、特に、赤色や紫色で彩られたシーンは、読者に対して、非常に強く訴えかけているように思われる。
自宅へと戻ったシェパード医師は、 「執事のパーカーから、「ロジャー・アクロイドが殺害された。」と言う電話連絡があった。」と、 姉のキャロラインに伝えると、車でフェルンリーパーク館へと急行する。 |
フェルンリーパーク館に着いたシェパード医師が、執事のパーカーに尋ねると、 彼は、「そんな電話をした覚えはない。」と言う。 不審を感じたシェパード医師とパーカーが、鍵が掛かった書斎のドアを破ると、 ロジャー・アクロイドが、首筋を短剣で刺されて、殺されているのを発見した。 |
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