愛人のミレーユは、デリク・ケタリングに対して、 「ルースは、リヴィエラではなく、パリへ行って、 そこで元恋人のローシュ伯爵と逢い引きする筈だ。」と主張した。 |
愛人のミレーユ(Mirelle)は、デリク・ケタリング(Derek Kettering)に対して、「ルース・ケタリング(Ruth Kettering)は、リヴィエラ(Riviera)で冬のシーズンを過ごすと言っているが、実際にはパリへ向かう予定で、そこでアルマン・ド・ラ・ローシュ伯爵(Arman, Comte de la Roche)と逢い引きする筈だ!」と話す。10年前、デリクと結婚するまで、ルースが女誑しの悪党であるローシュ伯爵と恋仲だったことを考えると、あり得る話だった。
ミレーユから話を聞いたデリク・ケタリングは、 妻のルースが乗車するニース行き青列車の寝台を予約する。 |
ルーファス・ヴァン・オールディンは、 ニースへと向かう娘のルースの見送りにやって来る。 ルースは、メイドのエイダ・メイスンを伴っていた。 |
ニース行きの青列車は、リヴィエラで冬のシーズンを過ごす予定である英国の有閑階級の人達で満席だった。
ルース・ケタリングは、メイドのエイダ・メイスン(Ada Mason)を連れて、青列車に乗車する。父親のルーファス・ヴァン・オールディン(Rufus Van Aldin)に強く警告されたにもかかわらず、リースは、父親からプレゼントされたルビー「炎の心臓(Heart of Fire)」を携えたままであった。
キャサリン・グレイは、コンパニオンを務めた彼女の雇い主が遺してくれた財産を使って、 リヴィエラに住む従姉妹のレディー・タンプリンのところへ出かけるところだった。 |
青列車の乗客の中には、英国の有閑階級の人達に初めて加わるキャサリン・グレイ(Katherine Grey)も居た。彼女は、ついこの前まで金持ちの話し相手(コンパニオン)を務めていて、彼女の雇い主が遺してくれた財産を相続したばかりだった。
彼女は、長い間、連絡の途絶えていた従姉妹のレディー・ロザリー・タンプリン(Lady Rosalie Tamplin)から、「数ヶ月間、リヴィエラで一緒に過ごさないか?」と招かれていた。レディー・タンプリンにとって、興味があるのは、自分が相続したばかりの財産だと気付いてはいたが、キャサリン・グレイは、自分に巡ってきた幸運を享受するつもりだった。
昼食の際、キャサリン・グレイと同席となったルース・ケタリングは、 これからパリで行おうとしている逢い引きについて、キャサリンに相談する。 |
通常、こういった打ち明け話をした場合、打ち明けた当人は、打ち明けた相手に対して、二度と会いたがらないものだ。実際、ルースは、自室内で夕食を取るようで、食堂車へ赴いたキャサリンは、別の人物と同席することになる。それは、他ならぬエルキュール・ポワロだった。
夕食の際、キャサリン・グレイは、 名探偵であるエルキュール・ポワロと同席になった。 |
昨日、昼食の席で隣席となったルース・ケタリングが、自室内において、就寝中、何者かによって、首を絞められて殺害された後、激しい一撃で、顔の見分けがつかない程になっているのが発見されたのである。そして、彼女が携えていた「炎の心臓」が紛失していた。
メイドのエイダ・メイスンも、その姿を消していたため、警察は、キャサリン・グレイに対して、身元の確認を依頼するが、顔の判別がつかず、それは難しかった。
そして、その場に居合わせたポワロが、警察に対して、捜査の協力を申し出るのであった。
ニースに到着した青列車内において、 ルース・ケタリングの死体が発見されるとともに、 彼女が携えていたルビー「炎の心臓」が紛失していた。 偶然、青列車に乗り合わせていたポワロは、 警察に対して、捜査の協力を申し出る。 |
ポワロと同席となった夕食の際、 キャサリン・グレイは、F・W・クロフツ作「樽」を読んでいた。 |
また、ポワロと同席になった夕食時に、キャサリン・グレイが読んでいた推理小説が、アイルランド生まれの英国の推理作家であるフリーマン・ウィルス・クロフツ(Freeman Wills Crofts:1879年ー1957年)の処女作で、かつ、代表作の一つである「樽(The Cask)」(1920年)となっていて、とても興味深い。実際には、何故か、「The Craft」と描かれてはいるが。
0 件のコメント:
コメントを投稿