![]() |
| リトルグリーン通り(Little Green)の対岸から リッチモンド劇場を見たところ <筆者撮影> |
![]() |
英国の HarperCollinsPublishers 社から以前に出版されていた アガサ・クリスティー作「複数の時計」のペーパーバック版の表紙 |
「複数の時計(The Clocks)」の場合、エルキュール・ポワロ自身、は殺人事件の現場へは赴かず、また、殺人事件の容疑者や証人への尋問も直接は行わないで、ロンドンにある自分のフラットに居ながらにして(=完全な安楽椅子探偵として)、事件の謎を解決するのである。
![]() |
| 英国の Orion Publishing Group Ltd. から2023年に出ている 「アガサ・クリスティーのトランプ」の1枚である 1 ♠️「エルキュール・ポワロ」 |
キャサリン・マーティンデール(Miss Katherine Martindale)が所長を勤めるキャヴェンディッシュ秘書紹介所(Cavendish Secretarial Bureau)から派遣された速記タイピストのシーラ・ウェッブ(Sheila Webb)は、ウィルブラームクレッセント通り19番地(19 Wilbraham Crescent)へと急いでいた。
シーラ・ウェッブが電話で指示された部屋(居間)へ入ると、彼女はそこで身なりの立派な男性の死体を発見する。男性の死体の周囲には、6つの時計が置かれており、そのうちの4つが何故か午後4時13分を指していた。
鳩時計が午後3時を告げた時、ウィルブラームクレッセント19番地の住人で、目の不自由な女教師ミリセント・ペブマーシュ(Miss Millicent Pebmarsh)が帰宅する。自宅内の異変を感じたミリセント・ペブマーシュが男性の死体へと近づこうとした際、シーラ・ウェッブは悲鳴を上げながら、表へと飛び出した。そして、彼女は、ちょうどそこに通りかかった青年コリン・ラム(Colin Lamb)の腕の中に飛び込むことになった。
実は、コリン・ラム青年は、警察の公安部員(Special Branch agent)で、何者かに殺された同僚のポケット内にあったメモ用紙に書かれていた「M」という文字、「61」という数字、そして、「三日月」の絵から、ウィルブラームクレッセント19番地が何か関係して入るものと考え、付近を調査していたのである。
「M」を逆さまにすると、「W」になり、「ウィルブラーム」の頭文字になる。「三日月」は「クレッセント」であり、「61」を逆さまにすると、「19」となる。3つを繋げると、「ウィルブラームクレッセント通り19番地」を意味する。
クローディン警察署のディック・ハードキャッスル警部(Inspector Dick Hardcastle)が本事件を担当することになった。
シーラ・ウェッブは、ミリセント・ペブマーシュの家へ今までに一度も行ったことがないと言う。また、ミリセント・ペブマーシュは、キャヴェンディッシュ秘書紹介所に対して、シーラ・ウェッブを名指しで仕事を依頼する電話をかけた覚えはないと答える。更に、シーラ・ウェッブとミリセント・ペブマーシュの二人は、ウィルブラームクレッセント通り19番地の居間で死体となって発見された男性について、全く覚えがないと証言するのであった。
![]() |
| リッチモンド劇場を下から見上げたところ <筆者撮影> |
ミリセント・ペブマーシュの居間においてキッチンナイフで刺されて見つかった身元不明の死体は「R.・H・カリイ(R. H. Curry)」とされたが、スコットランドヤードの捜査の結果、全くの偽名であることが判明し、身元不明へと逆戻りする。彼が目の不自由な老婦人の居間で刺殺される理由について、スコットランドヤードも、そして、コリン・ラムも、皆目見当がつかなかった。
途方に暮れたコリン・ラムは、ポワロに助けを求める。年若き友人からの頼みを受けて、ポワロの灰色の脳細胞が事件の真相を解き明かす。
![]() |
| リッチモンド劇場の入口 <筆者撮影> |
英国の TV 会社 ITV1 で放映されたエルキュール・ポワロシリーズ「Agatha Christie’s Poirot」の第12シリーズ / 第65話「複数の時計」(放映日:2011年12月26日)において、物語の舞台が、原作上のサセックス州(Sussexウディーン(Crowdean)からケント州(Kent)ドーヴァー(Dover)へと変更されている。
![]() |
| 英国の Orion Publishing Group Ltd. から2023年に出ている 「アガサ・クリスティーのトランプ」の1枚である 7 ♠️「アリアドニ・オリヴァー」 |
そして、物語の冒頭、友人のアリアドニ・オリヴァー(Ariadne Oliver)作の芝居「善きサマリア人(The good Samaritan)」を観劇していたポワロは、その幕間、年若き友人のコリン・レイス大尉(Lieutenant Colin Race)から声をかけられる。
アガサ・クリスティーの原作では、警察の公安部に勤務するコリン・ラムと言う設定になっているが、TV 版では、MI6 に秘密情報部員(intelligence officer)であるコリン・レイス大尉と言う設定に、名前と共に変更されている。
コリン・レイス大尉は、ドーヴァーのウィルブラームクレッセント19番地の居間で死体となって見つかった身元不明の男性について、ポワロに助言を請うために、劇場までわざわざやって来たのである。
この場面は、リッチモンド劇場(Richmond Theatre)で撮影されている。
![]() |
| リッチモンドの周辺地図 - Google Maps から抜粋。 画面中央から左側にある大きな緑地帯が「リッチモンドグリーン」で、 その北側にある小さな緑地帯が「リトルグリーン(Little Green)」。 |
リッチモンド劇場は、ロンドンの特別区の一つで、ロンドン南西部郊外のリッチモンド・アポン・テムズ区(London Borough of Richmond upon Thames)のリッチモンド(Richmond → 2018年3月17日 / 3月24日付ブログで紹介済)内に所在し、リッチモンドグリーン(Richmond Green → 2026年7月24日付ブログで紹介済)と呼ばれる大きな緑地帯の北側にあるリトルグリーン(Little Green)に面して建っている。










0 件のコメント:
コメントを投稿