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| 大英図書館(British Library → 2014年5月31日付ブログで紹介済)から 2023年に出版された ジョン・ディクスン・カー作「死が二人をわかつまで / 毒殺魔」の表紙 (Front cover : NRM / Pictorial Collection / Science & Society Picture Library) |
「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)は、米国のペンシルヴェニア州(Pennsylvania)に出生して、英国人のクラリス・クルーヴス(Clarice Cleaves)との結婚後、1932年から1946年にかけて英国のブリストル(Bristol)に居を構えていた米国の推理作家である。彼は、シャーロック・ホームズシリーズで有名なサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)の伝記を執筆するとともに、コナン・ドイルの息子であるエイドリアン・コナン・ドイル(Adrian Conan Doyle:1910年ー1970年)と一緒に、ホームズシリーズにおける「語られざる事件」をテーマにした短編集「シャーロック・ホームズの功績(The Exploits of Sherlock Holmes)」(1954年)を発表している。
| 東京創元社から、創元推理文庫の一冊として出版されている ジョン・ディクスン・カー作 「カー短編全集6 ヴァンパイアの塔」の表紙 カバー イラスト: 志村 敏子 カバーデザイン:東京創元社装幀室 |
ジョン・ディクスン・カーは、1944年に、「男性は、どこまで自分の妻 / 婚約者を信用しているか?」をテーマにして、英国の BBC 用にラジオドラマ「ヴァンパイアの塔(Vampire Tower → 2026年6月14日付bブログで紹介済)」を執筆している。
彼は、プロットの展開は同じであるが、米国の CBS 用にラジオドラマ「Will You Walk into My Parlor?」を執筆している。ただし、登場人物の名前は、前述の「ヴァンパイアの塔」とは異なっている上に、台詞のほとんどが書き直されている。
ジョン・ディクスン・カーは、ラジオドラマ「ヴァンパイアの塔」をベースに、ギディオン・フェル博士(Dr. Gideon Fell)シリーズの長編第15作目として、「死が二人をわかつまで / 毒殺魔(Till Death Do Us Part)」を1944年に発表しているので、今回、御紹介したい。
「死が二人をわかつまで / 毒殺魔」の場合、ある年の6月10日(木)の午後から、その物語は始まる。
Six Ashes 村の Ashe Hall において、アッシュ卿(Lord Ashe)がガーデンパーティーを開催していた。そのガーデンパーティーのバザー会場に、リチャード・マーカム(Richard Markham - 愛称:ディック(Dick))とレスリー・グラント(Lesley Grant - 28歳)の2人が訪れる。
リチャード・マーカムは、Six Ashes 村の郊外にあるコテージに住む劇作家(playwright)で、「Poisoner’s Mistake」や「Panic in the Family」と言うスリラー劇を執筆して、最近成功をおさめた(=大当たりをとった)ばかりだった。
一方、レスリー・グラントは、約半年前に Six Ashes 村にやって来た女性で、リチャード・マーカムとレスリー・グラントの2人は、先週婚約したところだった。
Six Ashes 村の住民達は、元々、前からの知り合いであるリチャード・マーカムとシンシア・ドリュー(Cynthia Drew)の2人が結婚するものと思っていたため、リチャード・マーカムとレスリー・グラントの婚約は、驚きを以って迎えられたのである。
リチャード・マーカムとレスリー・グラントの2人がバザー会場に訪れた時、今にも雨が降り出しそうな天候で、東の空では、雷鳴が微かに轟いていた。
生憎と、バザー会場の人達は、近くで行われているクリケットの試合観戦に出払っており、射的店(miniature shooting gallery)を担当しているホーレス・プライス少佐(Major Horace Price)だけが、バザー会場に残っていた。
先週、レスリー・グラントと婚約したばかりで、幸せの絶頂に居たリチャード・マーカムは、まもなく不幸のどん底へと突き落とされる羽目に陥ることになる。


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