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英国の HarperCollinsPublishers 社から現在出版されている アガサ・クリスティー作「ナイルに死す」の ペーパーバック版の表紙 - 表紙が、スカラベ(甲虫類のコガネムシ科タマオシコガネ属の属名、 および、その語源となった古代エジプト語)の形に切り取られている。 |
アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1937年に発表した「ナイルに死す(Death on the Nile → 2020年10月4日付ブログで紹介済)」は、彼女が執筆した長編としては、第22作目に、そして、エルキュール・ポワロシリーズの長編としては、第15作目に該っている。
弱冠20歳のリネット・リッジウェイ(Linnet Ridgeway)は、英国で最も裕福な女性だった。ある日、学生時代の古い友人であるジャクリーン・ド・ベルフォール(Jacqueline De Bellefort)が彼女に電話を架けてきた。
ジャクリーン(通称:ジャッキー(Jackie))の家族が2年前に破産してしまい、それ以来、彼女は辛い日々を送っていた。それに加えて、今度は、彼女の婚約者であるサイモン・ドイル(Simon Doyle)が失業してしまったのである。
ジャッキーは、リネットに対して、サイモンをリネットが住む屋敷の管理人にしてほしいと頼み込んだ。「私、サイモンと結婚できなければ、死んでしまうわ!(If I don’t marry him, I’ll die!)」と。ジャッキーの懇願に根負けしたリネットは、ジャッキーに対して、「面接をするので、あなたの恋人(サイモン)を私の屋敷に連れて来て。」と答えた。
翌日、ジャッキーは、サイモンを連れて、リネットの屋敷へと向かった。ジャッキーによる紹介を受けて、リネットとサイモンはお互いに見つめ合い、リネットは、その場でサイモンを自分の屋敷の管理人として採用することを決める。
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| エルキュール・ポワロは、 ジグソーパズル「エルキュール・ポワロの世界」の中央に立っている。 <筆者撮影> |
そして、場面は変わり、エルキュール・ポワロ(Hercule Poirot → 2025年10月11日付ブログで紹介済)は、エジプトで休暇を楽しんでいた。
彼が、アスワン(Aswan)で知り合った若い女性のロザリー・オッタボーン(Rosalie Otterbourne)と一緒に、ナイル河沿いを散歩していると、ルクソールから到着した大型汽船から、あるカップルが降りてくる。それは、リネット・リッジウェイとサイモン・ドイルの二人であった。ロザリーによると、二人が最近結婚したことが新聞に載っていた、とのこと。
ポワロは、リネットの目の下のくまと、そして、指の関節が白くなる程に、彼女が日傘を強く握りしめていたことから、彼女が何かに非常に困っているに違いないと感じるのであった。
夕闇が迫るホテルのテラスにおいて、リネットとサイモンが過ごしていると、回転ドアが廻り、ワインカラーのドレスを着た女性がゆっくりとテラスを横切って、リネットの視線の先に座る。それは、サイモンの元婚約者のジャッキーだった。
この出来事にひどく動揺したりネットは、その晩、ポワロに相談を持ちかける。リネットは、ジャッキーが、新婚の彼女とサイモンの二人が行くところ、ずーっとつきまとっているのだ、と言う。彼女によると、新婚旅行先のヴェネツィア(Venice)から始まり、ブリンジジ(Brindisi)、カイロ(Cairo)、そして、アスワンまで続いているらしい。
ジャッキーによるつきまといから逃れるために、リネットとサイモンの二人は、ある計画を立てた。自分達の周囲の人達には、アスワンにこのまま滞在する予定と話しておいて、実際には、二人は、ナイル河の遊覧に参加することにしたのである。ポワロも、リネットとサイモンの二人が乗る汽船で、ナイル河を遊覧することになった。
ナイル河の遊覧船への乗船を無事済ませ、ホッと安心して船室から出てきたリネットとサイモンの二人であったが、そこに笑い声が聞こえてくる。リネットが驚いて振り返ると、そこには、ジャッキーが立っていた。呆然自失となるリネットと怒りを隠せないサイモンの二人。
ナイル河の遊覧船がアブ・シンベル(Abu Simbel)に寄港した際、同神殿において、リネットに目掛け、大岩が落下する事故が発生するが、彼女は辛くも難を逃れる。彼女に向けて大岩を落としたのは、ジャッキーではないかと疑われたが、彼女にはアリバイがあったため、真相は有耶無耶となってしまう。
こうして、船内の緊張が限界まで高まり、ナイル河の遊覧船が折り返し地点である最奥の寄港地ワジ・ハルファ(Wadi Halfa)に着いた際、ある悲劇が発生するのであった。
(59)ナイル河の遊覧船(クルーズ船)(cruise down the Nile)
ナイル河の遊覧船の「カルナック号(Karnak)」が、本作品における事件の舞台となる。
(60)真珠のネックレス (pearl necklace)
船内のラウンジにおいて泥酔したジャッキーがサイモンに詰め寄り、その後、激した彼女が隠し持っていた拳銃で彼の脚を撃ってしまう事件が発生する。
その翌朝、リネットが自室で頭を撃たれて死んでいるのが発見された。リネットの殺害現場から、彼女が持っていた非常に高価な真珠のネックレスが盗まれていることが判明する。
(61)銃座に真珠の装飾が施された拳銃(pearl-handed pistol)
ナイル河から見つかったジャッキーの拳銃は、2発発射された痕があり、1発は、ジャッキーがサイモンの脚に向けて撃ち、もう1発は、何者かが自室で眠るリネットの頭に向けて撃ったものと考えられた。
(62)赤いマニキュア液(red nail varnish)
リネットを殺害した真犯人は、自分が本当に撃たれたように見せかけるために、赤いマニキュア液を使って、出血しているような演出を行った。
(63)ヴェルヴェット(ビロード)の肩掛け(velvet stole)
ナイル河から見つかったジャッキーの拳銃は、米国の大富豪の貴婦人であるマリー・ヴァン・スカイラー(Marie Van Schuyler)が「無くした。」と言っていたヴェルヴェットの肩掛けに包まれていた。
(64)アブ・シンベル神殿(Temple of Abu Simbel)
アブ・シンベル神殿の観光中、大岩がリネットに目掛けて落下する事故が起きたものの、幸いにして、彼女に怪我はなかった。他の皆は、ジャッキーの仕業だと疑ったが、彼女にはアリバイがあり、真相は分からず終いとなってしまう。
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