2026年1月18日日曜日

エルキュール・ポワロの世界 <ジグソーパズル>(The World of Hercule Poirot )- その20B

英国の HarperCollinsPublishers 社から現在出版されている
アガサ・クリスティー作「三幕の悲劇」の
ペーパーバック版の表紙 -
壁紙と思われるものが、
スティーヴン・バビントン牧師が飲んで急死した
マティーニのカクテルシェイカーの形に切り取られている。


引退して隠遁生活を送る有名な舞台俳優であるサー・チャールズ・カートライト(Sir Charles Cartwight)が住むコーンウォール州(Cornwall)ルーマスの豪邸「カラスの巣」において開催された晩餐会の席上、飲みつけないカクテルを口にした地元のスティーヴン・バビントン牧師(Reverend Stephen Babbington)が急死する。

サー・チャールズ・カートライトの友人で、ハーリーストリート(Harley Street → 2015年4月11日付ブログで紹介済)で開業する有名な精神科医であるサー・バーソロミュー・ストレンジ(Sir Bartholomew Strange)が「バビントン牧師が口にしたカクテルのグラスを分析したが、毒は検出されなかった。」と告げたため、バビントン牧師の死因は、ある種の発作だと考えられたが、サー・チャールズ・カートライトは、殺人を疑い、調査を主張。ところが、調査の結果、何の証拠も出てこなかった。


英国の The Orion Publishing Group Ltd. より2023年に発行された
アガサ・クリスティーをテーマにしたトランプのうち、
2♠️「サタースウェイト氏」


数ヶ月後、モンテカルロに滞在していたサタースウェイト氏(Mr. Satterthwaite - サー・チャールズ・カートライトの芝居に投資したことが縁で、彼と友人関係にあり)は、ある記事を目にして、大変驚いた。

サー・バーソロミュー・ストレンジが、ヨークシャー州(Yorkshire)の自宅において、友人達をもてなしていた際、ポートワインを飲んで死亡したと言う記事だった。数ヶ月前にサー・チャールズ・カートライトの自宅において、地元のスティーヴン・バビントン牧師がカクテルを飲んで死亡したのと、非常に似通った状況である。


サー・バーソロミュー・ストレンジが開催したパーティーに出席していたのは、


(A)ハーマイオニー・リットン・ゴア(Hermione Lytton Gore - 魅力的な美しい女性 / 愛称:エッグ(Egg))

(B)レディー・メアリー・リットン・ゴア(Lady Mary Lytton Gore - 上流階級の未亡人で、ハーマイオニー・リットン・ゴアの母親)

(C)アンジェラ・サトクリフ(Angela Sutcliffe - 有名な美人舞台女優)

(D)フレディー・ダクレス大尉(Captain Freddie Dacres - 元騎手)

(E)シンシア・ダクレス(Cynthia Dacres - ダクレス大尉の妻で、婦人服業界の有名ブランドのオーナー)

(F)ミュリエル・ウィルズ(Muriel Wills - アンソニー・アスター(Anthony Astor)と言う名前で知られる女流劇作家)

(G)オリヴァー・マンダース(Oliver Manders - ジャーナリストで、ハーマイオニー・リットン・ゴアの友人)


と、数ヶ月前にサー・チャールズ・カートライトの自宅において開催された晩餐会に出席した顔ぶれとほぼ同じで、参加していなかったのは、サー・チャールズ・カートライト、サタースウェイト氏とエルキュール・ポワロ(Hercule Poirot → 2025年10月11日付ブログで紹介済)の3人だけだった。


今度も、サー・バーソロミュー・ストレンジが飲んだポートワインが入ったグラスからは、何ら疑わしいものは検出されなかったが、毒物学者は、彼の死因を「ニコチン中毒」だと特定する。つまり、サー・バーソロミュー・ストレンジの死は、殺人だったことになるのだ。


エルキュール・ポワロは、
ジグソーパズル「エルキュール・ポワロの世界」の中央に立っている。
<筆者撮影>


同じく、モンテカルロに滞在中のポワロは、同地に居合わせたサー・チャールズ・カートライトとサタースウェイト氏から、サー・バーソロミュー・ストレンジの急死の知らせを受けた。

サー・チャールズ・カートライトとサタースウェイト氏の2人は、サー・バーソロミュー・ストレンジの死を調査するために、急遽、モンテカルロから英国へと帰国する。


英国に戻ったサー・チャールズ・カートライトとサタースウェイト氏の2人は、調査の結果、奇妙なことを知る。

サー・バーソロミュー・ストレンジは、パーティーの直前に、7年前から奉公していた執事に対して、2ヶ月間の休暇を与えていたのである。何処からともなく現れたジョン・エリス(John Ellis)が、彼の代わりに、臨時の執事として雇われたのだが、サー・バーソロミュー・ストレンジの急死後、このジョン・エリスは、行方をくらましていた。更に、姿を消したジョン・エリスの部屋から、脅迫状の下書きが発見される。

サー・バーソロミュー・ストレンジの死は、臨時の執事として雇われたジョン・エリスと言う人物による仕業なのか?


サー・バーソロミュー・ストレンジの急死を受けて、警察がスティーヴン・バビントン牧師の死体を掘り起こして調べたところ、彼もニコチン中毒で死亡したことが判明したのだった。


(40)マティーニのグラスが載ったトレイ(tray of martinis)



サー・チャールズ・カートライトの自宅において、地元のスティーヴン・バビントン牧師が急死たした際、マティーニのカクテルだった。


(41)実験器具 (laboratory equipment)



スティーヴン・バビントン牧師やサー・バーソロミュー・ストレンジ等の毒殺には、犯人が蒸留装置を使って、薔薇に噴霧するための殺虫剤から抽出(蒸留)したニコチンが使用された。


なお、英語版と米国版では、犯人の犯行動機と結末が異なっている。


<犯行動機>

(英語版)英国における当時の離婚法が影響。

(米国版)犯人の精神疾患による病的な誇大妄想


<結末>

(英語版)犯人は逃亡するが、ポワロは「逮捕と自殺のいずれかを選ぶしかないから、急いで追う必要はない。」と告げる。

(米国版)犯人は「自分は法律を超越した偉大な存在であり、逮捕される筈がない。」と豪語するが、結局のところ、その場で警察に逮捕される。


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