2026年1月26日月曜日

ロンドン メイフェアプレイス1番地 デヴォンシャーハウス(Devonshire House / 1 Mayfair Place)

グリーンパーク内から見たデヴォンシャーハウス
<筆者撮影>

米国のペンシルヴェニア州(Pennsylvania)に出生して、英国人のクラリス・クルーヴス(Clarice Cleaves)との結婚後、1932年から1946年にかけて英国のブリストル(Bristol)に居を構えていた米国の推理作家で、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)が、カーター・ディクスン(Carter Dickson)という別名義で1944年に発表した推理小説で、ヘンリー・メリヴェール卿(Sir Henry Merrivale)シリーズの長編第14作目に該る「爬虫類館の殺人He Wouldn’t Kill Patience → 2025年11月17日 / 11月19日付ブログで紹介済)」の舞台は、第2次世界大戦(1939年-1945年)下の首都ロンドンである。


京創元社が発行する創元推理文庫「爬虫類館の殺人」の表紙
    カバーイラスト:ヤマモト マサアキ
カバーデザイン:折原 若緒
  カバーフォーマット:本山 木犀


ケンジントンガーデンズ(Kensington Gardens)内にあるロイヤルアルバート動物園(Royal Albert Zoological Gardens)は、園長であるエドワード・ベントン(Edward Benton)によって運営されていた。ロイヤルアルバート動物園の中でも、世界の蛇、蜥蜴や毒蜘蛛等を集めた爬虫類館は、その名物で、人気を集めていた。


そんなロイヤルアルバート動物園であったが、ドイツ軍の爆撃による空襲の脅威下、閉園の危機を迎える。ドイツ軍の爆撃による空襲により、毒蛇、毒蜥蜴や毒蜘蛛、更に、毒のある昆虫等が逃げ出して、サウスケンジントン中を這い回るリスクを抱えていたからである。


グリーンパークの出入口越しに見たデヴォンシャーハウス
<筆者撮影>


1940年9月6日(金)の午後、爬虫類館内において、長年にわたって反目している奇術師の両家に属するケアリー・クイント(Carey Quint - 奇術師の青年)とマッジ・パリサー(Madge Palliser - 奇術師の女性)の2人は、飼育員のマイク・パーソンズと一騒動を起こして、保管用のガラスケースを壊してしまい、大蜥蜴(ジャイアントグリーンアミーバ)とアメリカドクトカゲが逃げ出す要因をつくってしまった。そして、そこに偶々居合わせた陸軍省の御意見番であるヘンリー・メリヴェール卿は、危うく2匹の蜥蜴に噛まれるところだった。

こうして、「爬虫類館の殺人」の物語は始まる。


ピカデリー通りの南側から見たデヴォンシャーハウス(その1)
<筆者撮影>

ケアリー・クイントは、有名な奇術師であるユージン・クイント(1928年に死去)から引き継いだセントトマスホール(St. Thomas Hall - 劇場)の最上階にあるフラットに住んでいた。


ピカデリー通りの南側から見たデヴォンシャーハウス(その2)
<筆者撮影>


ケアリー・クイントが住むセントトマスホールの所在地について、原作上、以下のような記述がある。


新たな空襲警報は、その夜八時二十分に鳴り響いた。ちょうどケアリ・クイントが、ピカデリーのセント・トマス・ホールを出たところだった。


(中略)


セント・トマス・ホールは大きな劇場ではなかった。

それはグリーン・パークの入口の、ほぼ真向かいに建っていた。殺風景な、狭い、三階建ての劇場は、ほとんど目立たない。

(白須 清美訳)


ケアリは窓に近づき、外を見た。三階下では、スチールのヘルメットをかぶった警察官が、ホテル・リッツの前で話をしていた。通りからは色が失われ、灰色と白の色までもあせて見え、その向こうではグリーン・パークが荒野のように不気味に広がっていた。遠くで、車のギアがきしる音がした。

(白須 清美訳)


グリーンパークに隣接して建つホテルリッツ ロンドンは、
現在、横の外壁の改修工事中。
<筆者撮影>

ピカデリー通りの北側から見たホテルリッツ ロンドン
<筆者撮影>


これら2つの記述から、ケアリー・クイントが住むセントトマスホールは、グリーンパーク(Green Park)と公園に隣接して建つホテルリッツ ロンドン(The Ritz London → 2025年7月2日 / 7月14日付ブログで紹介済)のほぼ真向かいに建っていることが判る。



現在の住所表記上、この条件を満たす建物は、ピカデリーライン(Piccadilly Line)とベイカールーライン(Bakerloo Line)の2線が乗り入れる地下鉄ピカデリーサーカス駅(Piccadilly Circus Tube Station)とピカデリーラインが停まる地下鉄ハイドパークコーナー駅(Hyde Park Corner Tube Station → 2015年6月14日付ブログで紹介済)を東西に結ぶ約1マイルの幹線道路であるピカデリー通り(Piccadilly → 2025年7月31日付ブログで紹介済)を挟んで、グリーンパークとホテルリッツ ロンドンの真向かいに建つメイフェアプレイス1番地(1 Mayfair Place)の「デヴォンシャーハウス(Devonshire House)」と言うオフィスビルである。

従って、ケアリー・クイントが住んでいたセントトマスホールの面影は、全く残っていない。


「Nicholson - Super Scale - London Atlas」から
セントジェイムズ地区の地図を抜粋。-
デヴォンシャーハウスが建っているのは、
ピカデリー通りを挟んで、地下鉄グリーンパーク駅の表示の反対側にある
メイフェアプレイス1番地。


現在、「デヴォンシャーハウス」の入口は、ピカデリー通り側に面しておらず、同通りの裏側のメイフェアプレイス側に設けられている。


ストラットンストリート(Stratton Street)沿いにある
高級スーパーマーケットのマークス&スペンサーの出入口 -
マークス&スペンサーの上の建物が、デヴォンシャーハウス。
<筆者撮影>

デヴォンシャーハウスのピカデリー通り沿いの外壁にある
高級スーパーマーケットのマークス&スペンサーの看板
<筆者撮影>


また、「デヴォンシャーハウス」の地上階には、高級スーパーマーケットであるマークス&スペンサー(Marks & Spencer)を初めとする小売店が入居して営業しており、地下にはピカデリーライン、ジュビリーライン(Jubilee Line)とヴィクトリアライン(Victoria Line)の3線が停まる地下鉄グリーンパーク駅(Green Park Tube Station → 2025年7月30日付ブログで紹介済)が所在している。


ピカデリー通り沿いにある
地下鉄グリーンパーク駅の出入口 -
駅出入口の上の建物が、デヴォンシャーハウス。
<筆者撮影>

ストラットンストリート沿いにある
地下鉄グリーンパーク駅の出入口 -
駅出入口の上の建物が、デヴォンシャーハウス。
<筆者撮影>

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